次々と新しい政策を打ち出している米トランプ大統領ですが、その政策についての意見は批判と称賛が真っ二つに割れ、世界中で分断を生み出していると報じられています。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、政治家をキャラを除外して「政策だけを論じるべき」として、トランプ大統領の「注目すべき主張」を解説。それは、世界の「軍産複合体」にとって死活問題となる「米国が世界の警察から撤退する」というもの。これは対岸の火事ではなく、在日米軍を抱える我が国日本にも大きな影響を及ぼす大問題です。
軍産複合体に挑戦状を叩きつけたトランプ大統領
かつて、竹村健一という評論家がいました。
1990年代、今の神奈川の黒岩知事が司会するフジテレビの報道番組にでていました。
黒岩氏が「その政策は小沢氏に有利になるんじゃないですか?」などというとソッポを向いていました。
「小沢氏の陰謀」「派閥」「自民党に有利」等々、黒岩氏は政局の話が好きでした。
しかし竹村氏は政局の話を断固拒否していました。
彼は本当に政策だけを論じたいように見えました。
私はそれに強く共感していました。
「政策の是非だけを公平に論じる」
そうすると政治家の話になりません。
また、ある政治家を全肯定したり全否定したりすることはなくなります。1人の政治家の政策に賛成できるものとできないものがあるからです。
私も政治家のキャラクターを除外した純粋な政策論争を望みます。
それが世界の分断の架け橋になるからです。
読者は私がトランプ大統領の強い支持者であると思われているかもしれません。
しかし、私が伝えたいのは「トランプ大統領の納得できる政策」です。
マスコミが、それを一般の人に理解できる形で伝えていないからです。逆に、トランプ大統領の悪いところは、事細かに説明しています。
さて、前置きが長くなりました。
今日は、もっと注目すべきトランプ大統領の主張を解説します。
彼は「ヨーロッパはヨーロッパの国が守るべきだ」「アジアはアジアの国が防衛すべきだ」と言っていたのは周知の事実です。
「米軍は世界の警察ではない、米軍は世界から撤退すべきだ」といった主張です。
真っ当な主張だと思います。
戦後80年も経つのに、まだ日本に広大な米軍基地があり、そこに米国の軍艦や戦闘機がおかれている状況がおかしいのです。
米国の軍事費は世界で突出しています。ダントツの1位です。他のすべての国が束になってやっと米国と互角になるぐらいです。
軍事費が米国経済に占める割合も不自然に大きいです。いわゆる「軍産複合体」です。
しかし、米国が世界の軍事からの撤退を進めると、軍事費が減る事になります。
もちろん、当面は戦争のリスクを感じているNATOや日本が米国の軍事費減少分を肩代わりするでしょう。
しかし将来、NATOや日本が、「これほどの軍事費はいらないのではないか」と思うようになれば、自然に世界全体の軍事費が減ります。
トランプ大統領の主張を進めていけば、長期的に世界の軍事費は減るのです。
それは巨大な軍産複合体にとって死活問題です。
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
暗殺リスクも。トランプが軍産複合体へ叩きつけた「挑戦状」
明確になったのは、先月2月19日です。
米紙ワシントン・ポスト電子版が、ヘグセス国防長官が国防総省高官に対し、今後5年間の国防費をそれぞれ8%削減する計画を立案するよう指示したと報じたのです。
これは大変な指示です。トランプ大統領から軍産複合体への挑戦状です。暗殺のリスクを考えずに出せるものではありません。
そして今後4年間は半導体への巨額投資があり自動車の米国内生産も復活するでしょう。米国が大きな産業転換する唯一のチャンスかもしれません。
トランプ大統領のこの政策を評価すべきです。
軍産複合体は、世界中のマスコミにも十分な根を張っているでしょう。
マスコミの大多数は正義感をもっての信念ある反トランプです。しかし、ごく一部ですが、間接的に軍産複合体からお金をもらうプロの反トランプ活動家がマスコミ内部にいると感じます。
CNNやBBCなどの世界的影響力のあるマスコミ媒体においても、そうでないと理解できない強引な反トランプ報道があるのです。
政治家の評価は難しいものです。
多くのマスメディアは、トランプ大統領を全否定しています。客観的な報道に見えて、実は「彼に騙されるな」と潜在意識にメッセージを送っています。
しかし、ある政治家を全否定・全肯定するのは思考停止です。
よい政策はよい、悪い政策は悪い、と冷静に評価することが大事です。
その一助にこのメルマガがなればよいと願っています。
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