MAG2 NEWS MENU

卑怯な騙し討ち。“湖西市いじめ隠ぺい放置事件”の被害者に第三者委員会と市教委が仕掛けた「最悪の所業」を現役探偵が暴露

2019年発生の「重大事態いじめ」を隠ぺいし続けた静岡県湖西市。これまで当サイトでは湖西市側の不誠実な対応をお伝えしてきましたが、昨年12月に就任した新市長の元でもその「姿勢」は変わることがないようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、同市教育委員会といじめ第三者委員会による「だまし討ち」と呼ぶしかない被害者への仕打ちを紹介。その上で、政治と行政の腐敗を厳しく批判しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:湖西市いじめ隠ぺい放置事件

「打つ手なし」の現状。湖西市いじめ隠ぺい放置事件

覚えているだろうか。

2023年5月11日、忘れもしない日になった。

当日は、湖西市いじめ隠ぺい事件で、第三者委員会が被害保護者に中間報告をする日であると聞かされていたが、報道機関からの一報で、当日第三者委員会と市教委による記者会見が行われるとの情報で、方々探してもらって、その記者会見後に被害側がコメントを出すための記者会見をセッティングしたのだ。

しかし、何の説明もなく始まった第三者委員会は、その後中間報告をすることもないわけだから、肝心の調査結果もなければ、調査経緯やどのような調査を行ったかもわからない。

前任のNPO法人(現在は廃止)は、滅茶苦茶な対応をする事で有名で、実際は市教委支援をして被害側をないがしろにしていた。その後に、引継ぎという引継ぎのないままに受任して、対応していた私にとっては、第三者委員会が教育長などに答申をする時間とお昼休憩を取る時間で、報告書を専門的に分析して被害側に解説し、もしも意見がある場合はこれをまとめたり、根拠づけをするなど、本来であれば数週間は掛かることを、わずか2時間程度で完了させないといけない。

中間報告と当初報せていた第三者委員会と市教委は、被害側を上手く騙せたと思っただろう。まさにだまし討ちである。直前に知っても避けようのないだまし討ちである。

また、現状の多くの自治体は、非営利活動法人如きは屁とも思っていない節がある。被害側が専門家として私の同席を求めても、弁護士以外の同席は認めないと拒絶するわけだ。

一応、新書で専門書を3冊書いていても、大学教授でもない、本業探偵という者は、彼らより専門知識が深くても経験実績があっても、肩書がないから認めないということなのだ。

それに世間的に、非営利活動法人、つまり、NPO法人は「公金チューチュー」なんでしょという偏った見方もある。

国や自治体などの助成を拒み、補助を求めないのは、いじめ被害側の支援をする際に、必ずと言っていいほど助成や補助を受けていると酷い圧力をかけられることを知っているからであり、賛同してくれる多くの同志に支えられているからなんとか動けているということもあるが、自分達の枠組みに降らない数少ない団体である私のNPO法人ユース・ガーディアンは、教育業界からは仲間認定されないため、極度に警戒された可能性も否めない。

肝心の第三者委員会と被害保護者の面談は、委員が報告書を読み上げただけの反論や質問を許さない一方的な説明で終わったそうだ。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

阿部探偵のコピー機使用も拒絶した湖西市と市教委

私は調査報告書を預かると、すぐさま車の座席で、一気に報告書を読み上げて頭の中で分析をはじめ、調査過程が抜けまくっているところをあらゆる方向から、その結論に至るまでの仮説検証をしていった。耳から湯気が出そうなほど思考をフル回転させて、報道コメントや所見書の草案作りを開始した。

また、被害側に確認をはじめて、気持ちを話してもらい、疑問点の仮説説明などを行いつつ、報道陣に渡すプリントを作成し、所見もまとめていった。タイピングはほぼ話す速度で打ち込めるため、誤字脱字は見直しの際に直すことにした。

湖西市も湖西市教委もコピー機は貸してくれないということであったから、近くのコンビニにいって、オンラインで文書をプリントアウトし、これを報道記者分複写して、カバンに詰め込み、なんとか手配できた記者会見場に出向いた。

被害側記者会見で、もともと一般人で取材慣れをしていない被害者や保護者は、記者さんからの色々な質問にまともに答えるというのは難がある。弁護士がいれば、こうした場合はお任せできるが、費用面や中立公正の面で依頼できる人がないということもある。

今回は弁護士がいないから、私が司会をしつつ、概要面の説明を行い、被害側には率直に気持ちを話してください、みんなそのお気持ちを聞きに来ていますと伝え、補足は全て行いますとした。

無事に終わった瞬間、全身の力が抜けたのを今でもしっかりと身体が覚えている。

当日急遽作成した書面一部_草案


湖西市サイドが取る「嘘と引き延ばし」という姑息な手口

その後、湖西市は第三者委員会の検証委員会の設置を約束したが、交渉においては、湖西市側の担当者がいじめ防止対策推進法を理解しておらず、こどもでもわかるように丁寧な説明をしても、そもそも交渉前に彼らが決めていた誤った理解軸で話を終わらせようとしたり、職能団体に推薦を求めるように再三要望しても、これをやっていないなど、目に余るものがあった。

とどのつまり、こども家庭庁に助言を求めていますと自信満々のメールが来たが、こども家庭庁には確認済みで、この返答の際にはきっぱり断られていたのだ。

まあ、こども家庭庁のいじめ関連の相談については、高校生の被害で保護者が助けを求めて電話すると保育しかやっていませんと断らたり、第三者委員会の設置の助言を求めても回答が来なかったなど、大量の使えませんでしたという報告が私のところには上がっているから、いじめ問題は基本あんまりやらないんだなと勝手に認識しているところだ。

嘘と引き延ばしで、湖西市は結局、2025年5月23日現在の段階で、検証委員会の委員候補すら決まっていない状態である。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

新市長は平気でウソをついた前任者のやり口を踏襲するのか

前任の影山元市長は、とにかく被害保護者を一方的に嫌った。面談は無視、懇談は受付すらせず、記者からの質問では「(被害側との交渉は)やっています」と嘘をついていた。

財務省出身のエリートである影山元市長は、伝説の探偵でも何度か取り上げた。

【関連】市長に反省の色なし。静岡・湖西市いじめ隠ぺい事件で被害者が行政側から受けた「あまりにも酷い仕打ち」
【関連】暴かれたウソと壮大な開き直り。中2女子生徒が助けを求めた手を払いのける静岡県湖西市いじめ隠蔽事件の絶望

その都度、関係者からは、私は相当嫌われていると耳に入ったが、一切手を緩めなかったのには理由がある。

組織のリーダーというのは、仕組みを決めたり方向性を示すだけが役割ではない。財務省当時であれば有能な官僚が控えているのだからそれで十分彼らが仕事を先に進めてくれたのかもしれないが、市行政は違う。例えるなら、大手上場企業と中小企業の差だ。

リーダーは率先して組織をけん引し、現場に降りて時にはチェックし、先へ進ませる役割担うものだ。私は彼にはそれができる人だという思いがあった。

例えば、私は1つの提案として、大阪府寝屋川市のいじめ対策がもっとも自治体が行ういじめ対策として効果があるとして「監察課」設置を2023年5月11日に提案している。

それまで、湖西市の教育行政では管轄課の「か」の字も記録にはなかったのに、これ以降の2024年11月には「湖西市いじめ防止対策推進条例」が設置され、市長部局が先頭に立って、「こども政策課」に「いじめ防止対策室」が新設されて、学校以外にいじめの相談ができる場がリアルにもオンライン上にも出来たのだ。

つまり、市長自ら動けば、新たな条例を作り、各所利害を含めて整備して、いじめ問題の対策は1年と少しあれば完成できてしまうのである。

ところが、この設置の契機となっている問題は、ただ時間を浪費し、交渉の場すら持たず、逃げ回った挙句に、法すら理解できていない担当者が、持論を展開して、私に注意されるという顛末なわけだ。

事態が急展開を迎えたと思ったのは、2025年2月5日のことだ。それ以前から、新市長の田内市長が被害保護者と面談の意向がある事は知っていた。

この日については、事前に15分だけ、支援者としてNPO法人ユース・ガーディアン代表理事の阿部泰尚の同席は許さないと伝えられていた。

だから、伝えるべき事項、市に求める事項を無理のない範囲で、私は被害保護者とまとめたのだ。

面談直後、被害保護者によれば15分ではなく1時間程度話したということであった。その後メディアのぶらさがりの取材があり、これに応じてきたということであったが、最も驚いたのは、市長が「再調査はしないことは既に決まっている」と発したということであった。これは市教委とも話し合った上であということであるが、本来再調査は、首長の専任事項であり、市教委云々は関係がない。一見、よく検討したように聞こえるが、そうではないのだ。

また、第三者委員会についての検証ではなく評価をしていくことを念頭においていたことなどが分かった。

伝えるべきところで、多少の感情が入ってしまうのは被害側にはよくある事であるが、検証委員会の設置は再度約束されたが、その後全く進んでいないことにはがっかりせざるを得ない。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

「異常の中の常態」となったいじめ放置という事態

被害側は検証委員会の目的を「事実、情報、プロセスの正確性正当性の確認と保証」として、焦点を「事実確認、基準への適合性、不正・誤謬の発見」期間を「第三者委員会発足について決定したときから現在」と考え、いじめ重大事態ガイドラインに沿った運営がされていなかったことや調査過程とその結論についてのプロセスの不明瞭さなど問題提起している。

つまり、根拠ある当然の要求をしているのであるが、市側は根拠と言えば、自らの課で話し合った結果を、こうしたいと伝えてくるだけで、これについての説明がない。

交渉については、市側の要求に被害側が応じるかどうかの二択であり、質問をすれば、その回答に半年待たされるのである。催促をしても返答は無視され、被害側は話し合いに市庁舎に行こうとすれば、別の施設を指定されるという事実上の出入り禁止処分を喰らっているのである。

その間に担当者が変われば、積み上げた話はまたゼロに戻る。これは何かの罰ゲームなのだろうかという遅滞に次ぐ遅滞を繰り返すのだ。

ハッキリ言う。

政治と行政の腐敗は、他人事ではない。いじめの発生件数は年々増えているし、減ったとしても高止まり現象に過ぎないだろう。いじめがゼロの地域はないし、重大事態という、こどもの命や酷い心身の苦痛を伴う、犯罪行為等も行為に混じるいじめが発生していないように見えている地域があるとすれば、隠ぺいされただけであると断言できる。

事実、本来重大事態となるいじめが放置されていた件は枚挙に暇がなく、重大事態と認定された後、第三者委員会が発足しない件は普通にあり、その数は乖離している。

すでに専門家の多くは、こうした事態を異常の中の常態であるとしているし、データとしてこれを表すものも出ている。

子育て世代は、いつ我が子が被害者になるかわからないというのが、今の社会なのだ。そして、いじめのみならず、何らかの問題が生じて、彼らの意向に沿わぬ要望をした場合、何年も放置できることになる。

私は教育行政を通じ、他の問題も多くみてきた。正直吐き気しか催さない。教育行政はまだマシで、もっと酷い行政問題はあるのだ。つまり、こうしたいじめ問題の放置事件は、その地域の別の問題を見る目安でもあると言えるのだ。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

もはや「湖西市サイドへの遠慮」は不要と判断

私は本件支援にあたり、担当部署と被害側の会議に参加しておりました。そこで、会議で話されたことなどは記事にしはしない方針ですと約束していますが、ここまで約束を反故にされ続けると、我慢も限界です。私の記事はよくよく読んでいるとのことですから、もはや遠慮は不要だと判断しました。文句があるならいつでもお相手します。

教育委員会では今はほとんどありませんが、それ以外の部署がいじめ問題に出張ってくると、超高確率で「いじめ防止対策推進法」を読んでいません。読んでいても解釈や運用などについて実用知識がないという人はいますが、これでよく仕事が成り立っているなと私は思います。嫌味ですが、相当甘い世界なのですね。

まずは最低限守らなければならない法律くらいは読んで来いと思います。法律は最低限のルールだと私は思います。つまり守るべきは倫理や道徳であり、担当者になったのであれば、わずか35条ほどしかない法律をなぜ読んでいないのだと思うわけです。

私も色々な人からヤバいヤツと言われてきましたが、何も読まず、ノープラン、ノー知識でくる担当者は、マジでヤバいヤツだと思います。嫌味ですが。

だからレクチャーするのですが、湖西市の担当チームさんは女性の方だけ理解していたかな、偉い方は理解できてなかったかなと表情を見て思いました。上司がダメな人だと部下は苦労しますね。時間はどんどん過ぎていきますから、きちんとやって頂きたいと真に思います。本件は、「湖西市いじめ隠ぺい放置事件」と名称を改めたいと思います。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: X(@湖西市役所【公式】

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 阿部泰尚メルマガ「伝説の探偵」 』

【著者】 阿部泰尚 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎月 9日・23日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け