部下がChatGPTを使って浅い報告書をまとめてきて困っています、という悩みが世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんのメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』に送られてきました。赤羽さんは、生成AIを使いこなすことと依存してしまうことの違いを整理し、AI時代における部下の育成とマネジメントの在り方を解説しています。
部下がChatGPTを使ってさらっと報告書をまとめてきます。内容は一見それっぽいのですが、よく見るといろいろ浅くて、事実関係も微妙なことが多いと思います。
Question
メーカーの経営企画部なので、いろいろな検討資料をトップに上げる必要があります。私の部署では、新事業や新しい規制緩和や海外市場について、月に3つも4つも仕上げなければなりません。ものすごく大変な作業なのですが、部下がChatGPTを使ってさらっと報告書をまとめてきます。内容は一見それっぽいのですが、よく見ると浅いところが目につきます。頭にもスッと入ってこないし、事実関係もいくつかチェックすると微妙なところが多かったりして、あやうい感じです。こういう部下がこれからも出てきそうなのですが、どう指導すればいいでしょうか。本気でスキルアップに取り組んでくれるでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。お気持ち大変よくわかります。今は生成AIが爆発的に進化していますので、使う人はかなり駆使し始めています。
その部下の方もそうだと思います。それはそれで素晴らしいことなのですが、今、AI活用で大問題が起きており、相談者さんの部下もそこに陥っている可能性が大きいです。
ChatGPTを例にとってお話ししますが、おっしゃるように、「内容は一見それっぽいのですが、よく見ると浅いところが目につきます。頭にもスッと入ってこないし、事実関係もいくつかチェックすると微妙なところが多かったりして、あやうい感じ」になります。
ChatGPTはあくまで自分の仮説を作るときの予備知識として走らせ、聞ける人には直接何人か話を聞いて仮説を立て、自分でいったん仕上げた上でフィードバックをもらうとか、社長に提案したときにどういう反応が起きるかをシミュレーションするために使うとかする必要があります。
自分の考えが全くない状況で頼りっきりになって資料を作成すると、どこがおかしいのか、どこが浅いのか、全く判断できません。ChatGPTの言うなりになってしまいます。
この問題は人に関しても同様で、スキルが低く、知見の乏しい部下に新事業や海外市場について検討させるとかなりいい加減な資料を作ってきます。一見まとまっている場合は、忙しい上司が見抜けず引き取ったあと、しっかり見直すとアラだらけ、ということがよくあります。
ChatGPTはできない部下よりも巧妙にまとめてきますので、余計に一見だまされてしまいます。
ChatGPTを使いたがる部下には、ともかく自分の考えをきっちり整理し、それの肉付けなり、壁打ちにChatGPTを使うよう、厳しく指導してください。
それでも手抜きで出してくることが防げないでしょうから、以前より何倍も注意深く、部下が適当に出してきたのではないかを見抜くスキルが上司にとって本当に大切になりました。
この記事の著者・赤羽雄二さんのメルマガ
image by: Iryna Imago / Shutterstock.com