あなたが合法的に「カネを貸す側」=「勝ち組」にまわるためのテクニックを、作家・投資家の鈴木傾城氏が解説する。新しいパチスロを打ちたい、身の丈に合わないクルマに乗りたい、違法なオンラインギャンブルで勝負したい、あの女に見栄を張りたい――カネを借りる事情は人ぞれぞれ違うが、1つだけハッキリしている事実がある。それは資本主義が「カネを借りる者は大損し、カネを貸す者が大儲けする」仕組みになっていることだ。(メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
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資本主義において、他人に金を借りるのは「やられる側」の人間だ
2025年3月時点で、貸金業者から個人に貸し出されている資金の合計は約11兆6,907億円にのぼる。これはカードローンやクレジットカードのキャッシングなどを含む数字である。
契約件数は約1,760万件、実際に借り入れ残高のある人は約1,116万人。ひとり当たり平均して1.58件の契約を抱えている計算となる。契約1件あたりの平均残高は約66.4万円で、数十万円単位の借金を抱えている人が多いことがわかる。
新しく申し込まれた件数を見ると、2025年3月には約264万件の申込がおこなわれ、さらに既存契約に対する途上与信(追加審査)は約995万件あった。つまり、新規と継続の両面で多くの人が継続的に借り入れを検討している実態がある。
一方で延滞(返済が61日以上遅れること)に陥っている人も少なくない。
延滞情報のある人数は約400万人にのぼり、残高有情報人数のおよそ35.8%が支払い遅延の状況にある。全体の借入残高に対する延滞件数の割合は約4.6%で、借金総額のうち一定程度が返済トラブルに直面している。
さらに深刻なのは、法的整理を選ばざるをえなくなった事例だ。2023年(令和5年)には自己破産の新規申立件数が78,215件に達し、前年の70,602件から約10.8%増加した。
これに対して、借金の一部を分割返済する「個人再生」の申立件数は8,552件で、前年の9,581件から減少しているものの、年間でおよそ8千件規模の利用がある。
まとめると、日本では1000万人以上がカードローンや消費者金融で借り入れを行い、その総額は11兆円を超えている。支払いが遅れる人は400万人に及び、延滞率は約4.6%だ。さらに自己破産申し立ては年間7万件台、個人再生申し立ては約8千件と、経済的に追いつめられた人が一定数存在する。
ところで、彼らは資本主義の「最強の魔術」でやられている側だという認識を持つ必要がある。(次ページに続く)
資本主義社会はカネを借りたら大損する仕組みになっている
日本におけるカードローンやクレジットカードのキャッシング金利は、法律によって上限が定められたうえで、貸金業者や銀行、カード会社ごとに若干の差がある。
消費者金融が提供するカードローンの金利は、下限3.0%程度から上限18.0%程度が相場である。たとえば、プロミスでは年4.5~17.8%、SMBCモビットでは年3.0~18.0%が設定されている場合が多い。
銀行が提供するカードローンは、消費者金融に比べて金利がやや低めに設定される傾向がある。たとえば、メガバンク各行では年1.5~17.5%程度、準大手行では年2.0~14.0%程度のレンジが一般的だ。
クレジットカードのキャッシング機能では、年15.0~18.0%が相場となっている。カード会社によっては単一金利で設定する場合もあれば、申込時の審査結果に応じて幅をもたせるケースもあるが、多くは年15.0~18.0%となっている。
アイフルのWeb解説でも「キャッシングの金利は年15~18%が相場」と明記されている。
だいたい金利15%として計算すると、100万円借りると1年間で15万円が上乗せされて、その分もまた支払わなければならない。つまり、100万円借りると自動的に15万円を損するカタチになる。けっこう大きな負担であるのがわかる。
カネがないからカネを借りているのに、カネを借りたら大損する仕組みになっている。
「カネを借りたら損する」というのが資本主義の仕組みである。ということは、逆に言えば「カネを貸したら得する」という資本主義の仕組みもあることに気づかなければならない。
見も知らぬ、どこの馬の骨ともわからない人間にカネを貸したら戻ってくるかどうかもわからないし、逃げられるかもしれないし、早く返せと言ったらキレられたり殺されたりする可能性もある。
しかし、きちんとした大企業で、きちんとした契約の場で、きちんとしたシステムでそれが運用されているのであれば、安全に金利が入ってくる。それなら「カネを貸してやったほうが得だ」と思わないだろうか?
それが、まさに株式市場がやっていることである。(次ページに続く)
借りたら損するが、貸したら得するという構造
資本主義では、とにかくカネを借りたら大損する仕組みになっているのだ。逆に、カネを貸したら儲かるようになっている。
もちろん、貸す相手をよく見極めなければならないが、そこさえきちんと押さえていたら資本主義の仕組みで生きていける。
株式市場で資金を出して配当をもらうというのは、つまり企業にカネを貸して金利を取るということなのだ。まじめに働いてせっせと稼いで配当をたくさん払ってくれる企業の株を持てば、将来永劫に渡ってカネが入ってくるようになる。
この「金利」こそが、資本主義の「魔術」である。
株式市場で資金を企業に提供すると、その対価として配当という形で金利が還元される。この配当を同じ企業に提供すると、タダでもらった配当分も加算されて、また配当が増える。その増えた配当を再投資すると、また配当が増えていく。
この「魔術」によって、投じた資金を雪だるまのように増殖させることができるようになる。
もちろん「企業が利益を上げ続ける」という但し書きが必要だが、企業がおかしくならない限り、株主は永劫にわたって配当という金利を享受できる。この永続性こそが金利の真骨頂であり、魔術である由縁だ。
金利(配当)を受け取ることで自分の資金を増殖させていく。この魔術の素晴らしさは、自分は稼ぐために働く必要がないことだ。
利益を生む企業の出す配当は、そこでまじめに働く従業員の努力と経営者の戦略が結実した結果であって、自分が何かするわけではない。自分は、彼らの価値創造の果実を受け取るだけだ。
これが資本主義の妙味でもある。「借りたら損するが、貸したら得する」という構造になっている。それを考えると、カネを借りる側になるのか、貸す側になるのかで資本主義で運命が変わってくることがわかるはずだ。(次ページに続く)
資本主義の魔術に「やられる側」に回りたくない
事業をする人たちの中には「借りたカネ以上に稼げばいい」と豪語する人もいる。実は、そうやってリスクを取った起業家の一部が大成功して大きな利益を手に入れることになる。しかし――(本記事は、メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』2025年6月22日号を一部抜粋、再構成したものです。続きはご購読ください。「借りたカネ以上に稼げばいい」という考え方にはどんな罠が潜んでいるのでしょうか?「カネを借りたら資本主義の魔術にやられる。カネを貸したら資本主義の魔術を使える側になる。私自身は1円もカネを借りていない」という鈴木傾城氏が、さらに詳しく解説しています)
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著者の鈴木傾城氏は、米国株式を軸に据えた資産運用術を長年メルマガで啓蒙し、読者から絶大な支持を得てきました。鈴木氏が提唱する投資方法は、短期的なマーケットの上げ下げに惑わされることなく、着実に不労所得を構築していくもの。たとえば突然、NYダウ指数やNASDAQ指数が-80%の大暴落に見舞われたとしても自分の生活は安泰。そんな、巷の「株バブル」とは一線を引いた資産運用の普及・啓蒙につとめています。
毎週のメルマガでは、投資哲学、マクロ経済分析、株式市場全般の動向、個別銘柄の動き、新たに組成された株式ETFの評価、相場急変時の解説など有益な情報を配信中。1日で大金を稼ぐような内容では決してありませんが、不労所得の実現にむけて株式投資に取り組む際のよきペースメーカー、よきパートナーとなってくれることでしょう。
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