ここ最近の『天下一品』の閉店ラッシュは、フランチャイズ加盟企業側の経営戦略変更が原因、というのが通説となっている。ただ巷では、「スープが薄い天下一品ばかりが潰れている」という指摘も。単なる錯覚か?それとも何か理由があるのか?
こってりファン安堵?『天下一品』閉店ラッシュは一段落へ
鶏ガラと野菜ベースの「こってり」スープで知られる京都発祥のラーメンチェーン『天下一品』が、首都圏で大量閉店している。
2024年6月末に歌舞伎町、池袋東口、恵比寿、五反田、八幡山、多摩ニュータウン各店が閉店したさいにも天一ファンから悲鳴が上がったが、今年も6月末をもって10店舗が閉店することに。渋谷、新宿西口、池袋西口、目黒、蒲田、田町、吉祥寺、川崎、大船、大宮東口と一等地の店舗ばかりで、これらが一斉に消えることで“天一難民”が大量発生するのではと心配されているようだ。
怒濤の閉店ラッシュに関して、ネット上の天一ファンからは≪天下一品が生活圏から消滅したら本当に困る≫≪でもまあ、あの店は味がちょっと変だったからなあ…≫≪家系とか業界の競争が激化してるし、こってりスープが飽きられたのか?≫といった憶測も。
ただ、結論を言えばこれらの不安は杞憂に終わりそうだ。すでにいくつかのメディアが報じているように、首都圏で閉店している『天下一品』の多くは、同系列企業によるフランチャイズ店舗だからだ。
「最近閉店している『天下一品』のほとんどは、エムピーキッチンHD傘下のフランチャイズ店舗です。東京エリアの『天下一品』で大きなシェアを占めてきた同社が、FC業態から自社主力のつけ麺業態などに転換を図っているのです。2024年に閉店した歌舞伎町や池袋東口、恵比寿の天一が一斉に『三田製麺所』になったのもそれが理由。店舗数の減少によって少し通いにくくなるかもしれませんが、『天下一品』全体の味が落ちているとか、経営が傾いているとかいう話ではないので、これ以上の“閉店ドミノ”を心配する必要はないと思いますよ」(フード業界ライター)
味や価格の問題で“天一離れ”が進んでいるわけではなく、必要以上の心配は無用だという。事実、昨年閉店した五反田店が、この6月下旬に装いも新たに復活するなど、天一ファンにとって明るいニュースも出てきている。
閉店した天一はどの店舗も「スープが薄かった」!?
ただ、このような説明に納得する『天下一品』ファンばかりではない。
京都で大学時代を過ごし、その後就職で上京したT雄さん(40代・都内IT企業勤務)もその一人。関西出身の彼にとって、天一のこってりスープはまさにソウルフード。万一、これを気軽に食べられなくなってしまったら…と気が気ではない毎日を過ごしているという。
「天一はラーメンではなく、あくまでも天一。他では代替できない完成された1つのジャンルなんです。“箸が立つ”とまで形容された時代もあるこってりスープは一見、不健康そうですが、私にとっては“健康食品”。引きはじめの風邪や夏バテも一発で治るので、週一以上のペースで食べ続けています」(T雄さん)
そう語るT雄さんは上京以来、住まい探しの基準として「天下一品に近い」ことを重視してきた。会社からの家賃補助が出るという理由で渋谷や恵比寿の物件に引っ越したさいも、部屋選びの決め手は「天一への好アクセス」だったという。
「ところが昨年、恵比寿店がなくなり、今度は渋谷店も閉店になるそうで。めちゃめちゃショックですよ。今は池尻店のほぼ真横の物件に引っ越したばかりなのですが、これもフレックス出勤前の午前中から天一を食べたい一心からなんです。もし池尻店まで消えたら、自分はいったいどうすればいいのか…」(T雄さん)
職場への通勤に便利で、かつ「天一至近」な物件は多くないと嘆くT雄さん。そんな彼は、一連の閉店ラッシュに関して「スープが薄い天下一品ばかりが潰れている」と確信しているという。
世間の報道では、天一閉店の原因はFC契約の都合とされているにも関わらず、だ。
果たしてこの「スープの薄い天一が潰れている」は、T雄さんの勘違いなのだろうか?あらためて調べると、必ずしも錯覚とは言い切れない事実が浮かび上がってきた。(次ページに続く)
閉店した『天下一品』は、どの店舗も「昔から」スープが薄かった!?