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「西友」買収のトライアルHDに新たな疑義。土壌汚染1800倍でも「安価な対策」を選択してしまった理由

「西友」買収で全国的に注目を集める小売大手トライアルホールディングス(トライアルHD)のコンプライアンス問題について、前回の報道に続き、新たな疑惑が浮上しました。前回記事(2025年10月23日付)で報じた、下請け会社とのトラブルの背景にあったとされる北九州市の大規模商業施設計画地において、土壌汚染対策に関する重大な疑義が確認されました。水銀が基準値の約400倍、ベンゼンが約1800倍という深刻な汚染が確認されたにもかかわらず、トライアルHD側が安価な遮水壁での対策を選択した経緯、そしてこれに対する市の見解と関係者の声に迫ります。メルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』では、同社のコーポレートガバナンスを問う続報として、この問題を詳しく検証しています。

「西友」買収で注目──「トライアルHD」中井口・高見台商業施設の土壌汚染問題

本紙は今年10月16日、「トライアルホールディングス」(141A。東証グロース。福岡市東区。永田洋幸社長)の重大コンプライアンス違反行為に関する記事を報じている。

トライアルHDといえば、今年7月に総合スーパー「西友」を子会社化。九州地盤の小売りグループだが、首都圏に130店舗を持つ西友を買収したことで売上高は来期1兆3000億円を超える見通しになると共に、今年11月上旬の小売店舗「トライアルGO」(東京都杉並区)開店など首都圏への出店攻勢を始めており、大注目の一大小売グループだ。

ところが、10月の前回記事では、このトライアルHDの連結子会社と下請け会社が解体工事の料金支払いでトラブルになったところ、同和関係者を同席させ、下請け会社社長を畏怖させた件を報じた。

なお、今現在、この本紙記事につき、トライアルHD側からは何ら抗議はない。

【関連】相手を恫喝する音声記録も入手。あの「西友」買収で全国区の知名度を得た「トライアルHD」の信じがたい“コンプライアンス違反”

下請けとのトラブル背景にあった商業施設用地

今回報じるのは、その記事の最後で、このトラブルになった下請け会社は、トライアル側が北九州市で大規模商業施設を計画しており、そこでの解体工事をエサに、無料で他の仕事もいろいろさせられていたとの関係者の証言を紹介していた。(*その下請け会社は、北九州市の大規模商業施設計画地の解体工事をもらえていない)

とても全国規模の上場企業らしからぬ手法だが、今回報じる土壌汚染対策の件も同様の疑義がある。

この商業施設計画地(北九州市への届け出では「中井口・高見台商業施設」=仮称=になっている)は、北九州市小倉北区の中井口・高見台にある実に敷地面積約2万6000坪、売り場面積約1万坪という広大なもの。

子会社の「サンリアルエステート」が2023年3月にこの計画地を取得。翌24年6月に別の子会社「トライアルリアルエステート」に所有権移転している。

深刻な土壌汚染とその対策の違い

この土地には、「日本化薬」(4272.東証プライム。東京都千代田区)と「大阪ソーダ」(4046。東証プライム。大阪市西区)という共に化学メーカーの工場があった。工場の面積は約半々。

関係者によれば、日本化薬の方の土地は同社が約36億円かけて土壌汚染を取り除き、きれいな土壌と入れ替えている

汚染問題が持ち上がったのは、大阪ソーダの工場跡地の約65%、8450坪の方で、ここからは水銀が基準値の約400倍ベンゼンに至っては基準値の約1800倍の汚染が確認されたからだ。

大阪ソーダの方は汚染土壌の入れ替えをしてないからで、日本化薬の土地は雑草が生い茂っていたのに、大阪ソーダの汚染地は何も生えていなかったとも。

ただし、これは決して大阪ソーダに問題があったわけではない。

本紙への情報提供者によれば、売買契約書を見たところ、「トライアル側が責任をもって土壌汚染対策をする」旨の記載があり、つまり、その対策をしてない分、ひじょうに格安でトライアル側はこの土地を購入したと見られる。

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安価な対策を選択したトライアルHD

ところが、日本化薬は土壌を入れ替えたのに、トライアル側は土壌汚染を入れ替えず、格安の方法で問題ないとされ、北九州市から開発許可を受け、すでに造成工事を始めており、市に出した大規模小売店舗新設届け出書(今年3月)によれば来年9月には新設予定。

というのは、同じく土壌汚染が確認されても、トライアル側購入地は土壌汚染対策法に基づく「形質変更時要届出区域」に指定されたからだ。

これは分かり易くいえば、汚染物質の採取経路がなく、人の健康被害が生じる恐れがないと判断された土地をいう。

その場合は、遮水壁(土壌とセメントミルを攪拌させて作る)などで周辺地域に汚染水が流出しない措置をすればよく、土壌入れ替えに比べコストはひじょうに安く済む

一方、その逆に、人の健康被害が生じる恐れがある場合は「要措置区域」といい、土壌汚染の入れ替えが必要だ。

井戸水の汚染検査の有無

本紙が北九州市の関係部署課長に電話取材したところ、「調査したところ、この土地では飲み水に使う井戸は1つもなかったから」旨の回答だった。

もっとも、実際には38本の井戸があり、しかし、飲用に使ってないということで井戸水の汚染検査は一切していないようだ。

「飲用でなくても農作物への水やり、洗濯や食器洗いなどで使っていないのか」といった声も、市議会では出たそうだ。

また、本紙への告発者は、大阪ソーダにトライアル側は遮断壁だけで対策したことを告げたところ驚き、「あり得ない。キチンと対策してもらわないと」と言っていたという。

こうした市の指導に対し、実はーーー(『アクセスジャーナル・メルマガ版』2025年12月8日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です。)

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