もう辺野古の海を離れようかな。絶滅危惧種ジュゴンの楽園追放問題

2015.03.16
by kousei_saho
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米軍普天間基地の移設先とされる名護市辺野古。住民や県からは反対の声が上がっています。その辺野古を含む大浦湾を一望できる『ジュゴンの見える丘』を写真家の伊波一志さんが訪ね、フォトレポートしてくれました。

 

ジュゴンの見える丘 沖縄県名護市嘉陽(かよう)

沖縄本島北部、名護市の東側に大浦湾という湾があります。点在する巨大なサンゴの群集に約170種ともいわれる魚の群れ。サンゴに囲まれたイノー(礁池)には海草が豊富に生え、それを食べに、国の天然記念物ジュゴンがやってきます。大浦湾はまさに生き物たちの楽園と言って過言ではありません。今回ご紹介したいのは、その大浦湾を一望できる『ジュゴンの見える丘』。

目を凝らすと、この写真のどこかに…

目を凝らすと、この写真のどこかに…

ジュゴンはかつて、沖縄本島や周辺に広く分布していたそうですが、戦後の食糧難による乱獲などで65年以降激減、生息数はもはや数十頭とのこと。今では、目撃情報も大浦湾周辺と本島北西部の古宇利島で年に数回ある程度。しかも、大浦湾の西岸・辺野古は、米軍普天間飛行場の移設予定地になっており、今後ますますジュゴンを目にする機会が減っていくかもしれません。

途中、嘉陽の海を望む

途中、嘉陽の海を望む

さて、『ジュゴンの見える丘』ですが、辺野古から車で北へ30分ほど行ったところにある「嘉陽(かよう)」という地区にあります。まず、嘉陽集落にある嘉陽小学校を起点に国道331号線を北上。1.7kmほど進むと、右手に「丸宮リサイクルセンター」「ハング・パラグライダー 嘉陽エリア」というふたつの看板がありました。そこを右折し、ゲートを抜け、しばらく進みます。だんだん道が細く悪くなっていきましたので、途中、少し開けた場所に車を止め、ここから歩きました。

どんどん森が深くなっていき、ハブが出てもおかしくはない雑草だらけの山道。途中何ヶ所か崖崩れで道幅が2mほどに削られている所も。左右どちらに落ちてもタダではすまないのでご注意を(そのうちこの道が崩れてしまうと丘には行けなくなりますね)。ただし、ときどき木々の切れ間から海を見下ろす景色はすばらしいですよ。15分ほど歩くと森の前方が開けてきました。ようやく『ジュゴンの見える丘』に到着です。

まずは、標高約100mから見下ろす真っ青な海と空が眼に飛び込んできました。まさに絶景です(もともとこの場所はパラグライダーの発射地点として切り開かれたそうです)。絶景を堪能した後は、ジュゴン探しです。目を皿のようにしてリーフを凝視し、カメラの望遠レンズも駆使しながら探したのですが、残念ながらジュゴンらしきものは見当たりませんでした。めったなことでは目撃できないとは分かってはいたのですが、本物のジュゴンを見てみたかったなあ。ジュゴンには出会えませんでしたが、丘に腰をおろし、30分ほど気だるくてまったりした時間を楽しむことができました。カップルや家族連れで行くのもおすすめです(実際、この日も家族連れに会いました)。

ジュゴンの見える丘と家族連れ

ジュゴンの見える丘と家族連れ

さあ。ジュゴンに会えるかどうかはあなたの運次第!『ジュゴンの見える丘』を訪ねてみませんか。持ってるあなたならきっとジュゴンに出会えると思います。

 

iha伊波 一志(いは かずし)

1969年、沖縄生まれ。写真家。香川大学法学部卒。2007年夏、44日間で四国八十八カ所1,200kmを踏破。現在、沖縄県在住で、主に『母の奄美』という作品撮りのため奄美大島を撮影中。家族は、妻と三人の子。


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