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【安けりゃいいの?】売れないサイトに共通する「しくじり」方程式

スポーツショップを営む方々に向けた経営指南メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』。今回取りあげる“ネットショップ出店”に関する話題は、スポーツショップ経営者だけでなく、あらゆる小売店経営者にとって気になるテーマなのでは?

ネットショップを出せば売れる?

『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』より一部抜粋

若い方から、よくこんな質問が来ます。

「ネットでスポーツ用品を売りたいのですが、どうやって商品を仕入れたらいいですか?」

どうやら、商品を用意すれば簡単にネットショップが始められると思っておられるようです。

確かに、ネットショップを作るのは、実店舗を作るのに比べれば簡単ですし、費用も大してかかりません。きっと、ご自分もネットで商品を買うことが多いことでしょう。

ですから、「ネットショップを出せば、きっとバンバンと売れる」と考えるのも無理はありません。

当然、彼らはネットの世界に慣れ親しんでいます。SEO対策やPPC広告など、ネットショップに必要な知識も備わっています。一刻も早くショップを立ち上げたい様子です。

このようなご相談に対して、私はこう答えます。

「もう一度よく考えてください。商売を簡単に考えない方が良いです。サイトを作れば売れるというものではありません。どんな店になりたいかという思いがカギです。」

若い人たちには、何のことか分からないようです。

そんな世相を反映してか、スポーツ用品のネットショップはどんどんと出来てきています。今までネットショップを持っていなかったお店も参加してきます。順調なお店の評判を聞くからでしょう。

確かに、少し前まではそれほど競争相手がいませんでした。うまく販売しているショップは、一人勝ちの状態でした。

しかし、時代は進んでいます。今や、メーカーさんもネットショップを持つ時代です。やがて、問屋さんもネットショップを持つでしょう。新しい競争時代が始まろうとしています。

そのため、すでに一部のネットショップは、苦しんでおられるようです。思ったほど売上が伸びません。利益も出ません。

それには理由があります。

何でしょうか?

どうしてネットショップは、価格に頼るのか?

それは、価格だけで勝負をしているからです。

ネットショップは安く売ったものが勝てるという風潮があります。ですから、「価格」を前面に出しているショップが多いですよね。まるで、毎日大売り出しをしているようなものです。一般的に見て、これで利益が出るとは思えません。

安く売るためには、安く仕入れる必要があります。メーカーさんや問屋さんから特別価格で買っていることでしょう。そういった商品は少量では分けてくれませんし、なおかつ「買い取り」です。売れ残る可能性もあります。

また、ディスカウントショップのようなものですから、商品を早く回転させなければ利益が出ません。毎日が忙しくて大変です。

そして、中には、実店舗とは別の名前でネットショップを出しているお店もあります。ネットショップの方が価格が安いのを、お客様に知られたくないからでしょう。ちょっとさびしい気がします。

では、どうしてネットショップは、価格に頼るのでしょうか?

理由は簡単です。お客様との間に信頼関係が無いからです。価格でしか、つながりを持てないからです。

いえ、つながりを持とうとしていないのかもしれません。

そんな状態で、お客様との信頼関係を作るのはむつかしいことです。そうしたお店にとっての強みは、価格でしかありません。

実は、これは一番簡単な商売のやり方です。その行きつくところは・・・

価格でつながったお客様は、価格で離れていく

しかし、中にはそうでないショップもあります。

決して「価格」を打ち出してはいません。価格以外のことで、お客様とつながる努力をしています。

例えば、
・手書きの手紙をこまめに出す。
・ブログも毎日書いて読んでもらう。
・ニュースレターを定期的に出す。
・お客様との交流会をひんぱんに行う。
・誕生日のお祝いをする。
・・・といった、あなたもよくご存知のことです。

そのサイトを見てみると、「お客様の声」であふれています。喜びや感謝の声です。まさに信頼されている証拠ではないでしょうか。

これは、価格で勝負をしていないからこそ、出来ることです。価格で勝負をしているショップには、そんな余裕はありません。

以前にも言ったことがあります。

「価格でつながったお客様は、価格で離れていく」

離れさせないためには、さらに価格を安くするしかないのです。ただ「信頼」でつながったお客様は、離れては行きません。このことは、実店舗でも同じですよね。

ネットショップだからといって、特別な手法があるわけではないということです。であれば、実店舗とネットショップの店名を変える必要などありません。

実店舗では、お客様の顔を見ながら、親しくなっていく。そして、ネットショップでは、実店舗で伝えられなかったことを伝える。例えば、「社長や従業員の趣味や特技」お店の創業のドラマ、復活のドラマ」などです。

実店舗とネットショップが補いあってこそ、より成果につながるのではないでしょうか。

新しい競合時代に向かっている今、もういちどネットショップのあり方を考えられてはいかがでしょう。

■今日のツボ■
・ネットショップも新しい時代に入る。
・価格だけで勝負をするネットショップは淘汰される。
・ネットショップと実店舗の相互補完が重要である。

『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』より一部抜粋
著者/梅本泰則
ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
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