探偵が突き止めた、時折ポストに入れられている「NTT」チラシの正体

2017.05.12
 

事務所にあるデータベースで見てみると、詐欺被害相談として、マンションにポスティングされていたチラシを見て、工事をしなければならないと思い、電話をしたところ、結果的に月額使用料が高くなってしまったとか、ブロバイダを変えられてしまい、従前のメールアドレスが使えなくなってしまった。などの相談が入っていた。

実のところ、この手の相談は詐欺というよりかは悪質商法の部類であり、NTTに直接問い合わせることで、多くは解消される。

ただし、この手の被害は実に多いのだ。

第一、色々な友人と話をしていても、この話題を出せば、必ず、「あれ何なの?」と知っているのだ。

きっと日本全国津々浦々にこうしたチラシは、ばらまかれているのであろう。

まずは電話で業者に直接電話をしてみようと考えたが、それでは下世話な素人記者レベルであるので、電話番号から設置事業者を調べ、会社名が判明したところで、法人登記簿謄本を取り寄せた。法人登記簿謄本には所在地や事業の目的、代表取締役の氏名と住所、取締役の名前がある。

そこでまずは、所在地を調査することにした。

都内ではオフィス街にあたる住所である。早速、移動の折に現地調査をしてみることにした。

しかし、住所は確かにあるし、オフィスが入居している雑居ビルなのだが、ポストや入居企業の一覧を見てもこのNTTの代理店を名乗る企業名はなかった

こうしたことは調査ではよく発生することであるので、私は軽い聞き込みを行うことにした。

ちなみに、法人登記簿謄本には、建物名や部屋番号を示す必要はない。

だから多くのは、番地から枝番あたりまでを表記し、部屋番号や建物名は表示しないのだ。

この企業の登記簿も同じであった。

ただ、まともに営業をしている企業であればポストに企業名くらいは書くものだ。

個人ならば、昨今の混沌とした犯罪被害への懸念や個人情報保護の高まりから、表札を出さないことは納得できるが、企業情報は個人情報云々ではない。

むしろ、その逆だろう。

つまり、この段階でまともな営業をしている事業者ではないと頭の片隅にはおいておいた方が無難なのだ。

さて、聞き込みの結果、この企業は建物の6階の1室に事務所を構えているということがわかった。

早速、その正確な住所をGoogle先生で検索をしてみると、オフィス賃貸情報の下に「一般社団法人」がヒットした。

現在、一般社団法人は15万くらいで株式会社を作る要領で簡単に作ることができる。一部の金持ちなどは、これを相続税逃れに使っているとも指摘されているくらいだ。

この一般社団法人は、東京都の一部だと誤認させるような説明で多重債務者を個人再生させることを事業としていると謳っていた。

念のため、東京都に問い合わせをしてみたが、そのような事業は委託もしていなければ、そのようなセンターは知らないとの回答を得た。

ますます怪しい

「一般社団法人」は「公益社団法人」とワケが違う。

一般的には、「社団法人」と聞くと、あたかも「公益社団法人」なのかとイメージしてしまいがちだが、一般社団法人には主務官庁はないし一定の基準を満たせば登記することは簡単なのだ。

こうしたものは、あたかも消費者を誤認させようとする意図が見て取れる。

また、社会的信用力のある企業名や行政の名前を使い、あたかも公の事業のように見せかけて、消費者を誤認させるように仕向けて、あぶく銭を得ようとする発想は、そのものズバリで、同じ住所にある一般社団法人もNTTの代理店と名乗る企業も同じで
はないか。

私は一旦現地を引き上げ、一般社団法人の登記簿謄本を取り寄せることにした。

さらに貸金業の届け出や金商法における届け出を確認してみたところ、さらに別法人がこの住所地に存在することが判明したのだ。どうやら問題だらけのターゲットを引いてしまったらしい。

あちこちの企業を調べていたらキリがないと判断し、私はこのNTTの販売代理店と名乗る企業をターゲットにして、他は補足情報程度で取り扱うことにした。

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