「利上げドミノ」が起こした世界同時株安は今がピークか？米長期債利回り低下でリスクオンの可能性も＝Team xoxo

16日に台湾、スイス、イギリスが追随利上げ、世界的な「利上げドミノ」で、米国株は大きく下落。市場の焦点は「インフレ沈静化のための利上げ懸念」から「リセッション懸念」にシフトしている。しかし株が大幅安でありながら、債券は買われており、市場のリスクオフはピークが近い可能性もある。（『元外資系レジェンズ　Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』ロン）

※本記事は有料メルマガ『元外資系レジェンズ　Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』2022年6月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール：Team xoxo
元外資系金融機関出身3人で結成した『あなたに寄り添う』をテーマに金融リテラシー向上で人生を楽しむお手伝いを目標にするチームです。

かえるさん：証券歴27年だがTeam xoxo代表兼癒し担当。サラリーマン生活のそのほとんどが欧米外資系証券だが実は大手日系証券会社出身。地方個人営業から外資系証券でのマネジメント業務までありとあらゆる証券業務を日本とロンドンで経験。趣味は食とクルマ。

ロン：証券業界歴37年でTeam xoxoの精神的支柱兼ご意見番。セールストレーダーとして外資系証券の第一線で活躍。スモールキャップアナリストがキャリアスタート。それゆえに銘柄発掘と企業分析が得意。趣味はスキー、ランニング、登山とベイスターズ。

JB：業界歴20年以上でTeam xoxo唯一のバイサイド出身。日系・外資系資産運用会社におけるグローバル株式ファンドマネジャー経験。現在は軸足の半分を海外に置き、個人投資家や中小企業支援。保守的取引と積極取引のバランス感覚に定評。

NYダウ反落741ドル安3万ドル割れ。「利上げドミノ」世界株安

NYダウは741ドル（2.4％）安の2万9927ドルで引けた。2021年1月以来1年5ヶ月ぶりの30,000ドル割れ。

スイスの15年ぶり、イギリスの5会合連続の利上げで、欧州株の大幅下落を引き継いで、ギャップダウンして寄り付き。寄り直後には30,000ドル割れ、一時900ドル以上下げる局面もあった。S&P500のボラティリティ指数のVIXは32.95まで上昇した。直近ピークは6月13日の34.02。

NYダウはFOMCでの利上げ懸念から、FOMC前5日続落で2,815ドル下落していた。15日にFOMCイベント通過で、15日には303ドル反発した。

しかし、16日に台湾、スイス、イギリスが追随利上げ。世界的な「利上げドミノ」懸念が拡がった。市場の焦点は「インフレ沈静化のための利上げ懸念」から「リセッション懸念」にシフトし、リスクオフの流れが強まることとなった。しかし、米長期債利回りは低下。

テクノロジー投げが米株下げ牽引、NASDAQピークから34％安

NYダウの下げが2.4％に対し、ハイテク比率の高いナスダック総合指数の下げは4.1％と大きく上回った。半導体指数のSOXははさらに上回る6.2％の下げでボロボロ。

ナスダック総合指数は2020年9月以来の安値。21年11月22日高値16,212ポイントからの下落率は34％に達する

投信などの組み入れ比率の高い主力IT株で構成されるNYFANG+指数※は4.9％安。

※フェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラ、ツイッター

★主力IT株の動向

アップル＜AAPL＞　130.06（-5.37　-3.97％）
マイクロソフト＜MSFT＞　244.97（-6.79　-2.70％）
アマゾン＜AMZN＞　103.66（-4.01　-3.72％）
アルファベットC＜GOOG＞　2132.72（-75.09　-3.40％）
テスラ＜TSLA＞　639.30（-59.70　-8.54％）
メタ・プラットフォームズ＜META＞　160.87（-8.48　-5.01％）
AMD＜AMD＞　82.05（-7.25　-8.12％）
エヌビディア＜NVDA＞　156.01（-9.26　-5.60％）
クアルコム＜QCOM＞　120.82　（-10.21　-7.79％)
ASML＜ASML＞　468.15　（-37.18　-7.36％)

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個人投資家（ミレニアル世代）の株・暗号通貨売り止まらず

米国ではミレニアル世代の投資が増え、個人投資家のウエイトは2割くらいまで上昇した。そのミレニアル世代の株売りが今年のナスダックなど成長株売りを牽引していた。足元で、インフレで生活費も圧迫され始めたこともあり、個人投資家の売りが再燃してきている。

ミレニアル世代はビットコインなど暗号通貨でもメインプレイヤーだけに、ビットコインの下げが個人投資家の指標になる。

ビットコインは15日も続落。対ドルで20,597ドル（24時間比8％安）と2020年12月以来の1年半ぶりの安値。対円では272万円（同10％安）。

化粧品の米レブロン破産法申請も株安のきっかけに

老舗化粧品メーカーの米レブロン＜REV＞は、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した。サプライチェーンの混乱とインフレ急加速で、重い債務負担に耐えられなかった。この報道は昨日14日午後2時過ぎにブルームバーグで報じられ、昨日の日本株が午後から上げ幅を縮小するきっかけとなった。

しかし、破綻に関する報道はすでに6月10日に報じられており、10日に53％安、11日に43％安しているだけにすでに株価や市場にはある程度織り込み済み。本日の株価は13％安だった。

大きな企業の倒産は、象徴的なイベントとして相場が変わるきっかけになることも多い。かつても、GM破綻、LTCM破綻、山一証券破綻、リーマン破綻などで相場が悪材料織り込み済みで底打ちするようなことも多かった。

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米長期債利回りは低下、リスクオフのピークも近い？

スイス中銀が50bpsの利上げを発表し更に追加利上げを示唆。英中銀も25bpsの利上げを発表し更に今後の利上げ幅拡大の可能性を示唆。これらを受けて、欧州主要国債利回りが上昇し、10年債利回りも朝方に3.491％まで上昇した。

しかし午前8時半発表の5月住宅着工件数は前月比14.4％減の年率154.9万戸と予想を大幅に下回り、5月建築許可件数も前月比7.0％減と予想以下。6月フィラデルフィア連銀景況指数は3.3減と予想以下。週間失業保険申請件数は22.9万件と予想をわずかに越え、継続受給者数は131.2万人と予想を上回り前週から増加。

これらを受けて、連銀の利上げにより経済鈍化の影響が出始めているとの見方とともに、今後の利上げペースは減速するのではないかとの観測も加わり、10年債利回りは低下に転じている。

株の大幅安ながら債券が買われていることは、市場のリスクオフはピークが近い可能性もある。

★米国債券動向
米国債利回り（NY時間16:30）
2年債　 　3.100（-0.091）
10年債　　3.218（-0.066）

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