宗教や占いに多額の資金を投じたり、振り込め詐欺にひっかかる人は愚かに映るかもしれません。しかし、銀行や証券会社が売りつける投資信託を、言われるがままに購入している人は多いはずです。マインドコントロールされているという点では、どちらも変わりはありません。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年2月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
信じる者は支配される
みなさま、こんにちは!『 衰退ニッポンの暗黒地図 衰退ニッポンの暗黒地図 』をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。
今回は、「人々の心をあやつるマインドコントロールの闇」について、考えていきます。
巷では、「自民党と旧統一教会」のズブズブの癒着関係がさまざまな形で取り上げられています。
旧・統一教会(現・世界平和統一家庭連合)といえば、「洗脳」や「マインドコントロール」によって、高額の寄付金や、霊感商法による壺や印鑑の高額販売がひろく知られています。
「地獄に落ちる」だの、「先祖供養」「悪魔祓い」といった、禍々(まがまが)しい言葉が飛び交うばかりの異形の世界を彷彿させます。
こうした言葉を真に受けた信者たちが、自らの家族もそっちのけにして顧みず、莫大なおカネを教団に貢ぐというのですから、恐ろしい話なのです。
部外者からしてみれば、「何でそんな阿保らしい話を信じるの?」といった感想しかないところです。
しかし、実際のところ、旧・統一教会に限らず、人は何かに傾倒させられると、いとも簡単に第三者によってコントロールされるものだ――ということは、誰もが知るところでしょう。
「信じる者は救われる」ではなく、「信じる者は支配される」のです。
占い・予言・スピリチュアル・宗教・悪徳商法などの洗脳テクニック
一般的な詐欺事件の心理的カラクリや銀行・証券会社が勧めるボッタクリ欺瞞商品などについて、心理学およびマネーリテラシーの観点から解説していきます。
まず読者の皆さんは、日々のニュースで「振り込め詐欺事件」が報じられる度に、「なんで自分の息子かどうかを疑うことなく、偽の息子の指示に従い、大金を振り込んでしまうのか?」などと不思議に思う方が多いでしょう。
それも当然です。
“感情”を揺さぶられると正常な判断力が鈍る
「私は、そんな振り込め詐欺なんかに騙されることはない!」
実際そう思っている人が、多いからです。
自分は決して騙されない――。
そんな自信があるにもかかわらず、突然に息子と称する男からかかってきた電話で不安を煽られ、心揺さぶられると、たちまち冷静な判断力も奪われるのです。
息子と信じた男から、「実は〇〇の不祥事を起こしてしまった。急いでお金を払わないと逮捕される。何とか救ってほしい!」などと、すがりつかれると、にわかに平常心を失うのです。
息子の一大事だからです。
不安と恐怖に駆られ、感情のバランスを崩し、たちまち冷静な判断力を失くしてしまうのです。
家族の危難を救うため――という親心に付け込まれ、まんまと犯人グループの言いなりになってしまうのです。
何とかして息子の窮地を救ってやらなければ――という、切羽詰まった親心が仇になり、虎の子の老後資金を奪われます。
しかも毎年、それは万単位の数の人たちに及んでいるのです。
このような主に電話を使って行われる「振り込め詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」などの【特殊詐欺】と呼ばれる被害は、2020年だけで、認知件数が1万3,550件、被害総額は285.2億円にのぼっています。
なんと1日当たり、7,900万円が特殊詐欺の被害で奪われているのです。
また、2021年の特殊詐欺の被害総額は282億円で、認知件数は1万4,461件でした。
しかも、被害金額が最も多かった2014年には、被害総額は559億円にものぼっていたのです(一日当たり1億5,300万円)。
こんな特殊詐欺に騙される人たちだけでも、実に犯罪の認知件数は1万件以上の数にのぼっているわけです。
Next: 銀行や証券会社が堂々と行う“欺瞞的商法”
“欲望”を刺激する投資詐欺の認知バイアスとは?
現預金を保有する割合が非常に高い、高齢者を狙った「投資詐欺」においても、毎年のように摘発が続き、万人単位での被害者が後を絶ちません。
近年の主だった大型の「投資詐欺」事件だけでも、以下の通りなのです。
ニュースでご記憶の読者も多いことでしょう(摘発年を表示)。
★07年「平成電電」被害者1万9,000人(被害額490億円)
★07年「近未来通信」同3,000人(同400億円)
★08年「ワールドオーシャンF」同3万5,000人(同849億円)
★09年「L&G」同3万1,000人(同540億円)
★11年「夢大陸」同400人(同67億円)
★11年「安愚楽牧場」同7万3,000人(同4,200億円)
★17年「ジャパンライフ」同1万人(同2,100億円)
★21年「西山ファーム」同930人(同133億円)
こうした「投資詐欺」は、老後資金を少しでも増やしたいと思う人々の欲望を巧妙に刺激することで成り立っています。
そうした感情を揺さぶる「認知バイアス」を見ておきましょう。
●正常性バイアス・・・儲けている人が大勢いるので間違いない
●感情バイアス・・・儲かる投資に出会えた自分はラッキー
●集団同調性バイアス・・・みんなやっているから安心できる
●正当化バイアス・・・自分はツイている。もっと投資しよう
●喪失不安バイアス・・・辞めると今までの努力が無駄になる
銀行や証券会社も“欺瞞的商法”を堂々と行っている時代
ところで、自分はまともな銀行や証券会社でしか、預金や投資をしていないから、うまい話になど乗ることはない――そう思っている人も多いことでしょう。
ところがどっこい、銀行や証券会社で勧められるままに購入した金融商品でも、大損している人が大勢いるので、気をつけないといけないのです。
定年で退職金が入ったからといって、銀行や証券会社に相談に行ったら、格好の手数料稼ぎのカモにされてしまうからです。
★毎月分配型投資信託・・・たこ足配当で投資元本が減る
★テーマ型投資信託・・・手数料が高く元本割れしやすい
★ファンドラップ・・・手数料二重取りで投資元本が減る
★新興国債券・・・為替変動リスクが高く、為替手数料も高い
★仕組み債・・・仕組みが複雑で手数料がバカ高い
★不動産投資信託(リート)・・・価格変動リスクが高い
こうした商品には、高い手数料がつきものです。
たとえば、銀行では、3カ月だけの見せかけの金利が高い定期預金と抱き合わせ条件で投資信託を薦めたりします。
しかし、この投信の販売手数料だけで2~3%、毎年かかる信託報酬手数料で1.5%も取られます。
1,000万円を投じても、瞬くうちに20~30万円が手数料で消え、さらに毎年15万円ずつ投資元本が減っていきます。
初年度に、投信を買っただけで、35~45万円が消えるのです。
2018年3月時点での金融庁調査でも、銀行の窓販で投信を買った客の46%が、「含み損」を抱えさせられています。
2012年末のアベノミクスのスタートから2028年時点まで、この間株価は右肩上がりだったにもかかわらず、この体たらくなのです。
証券会社は、銀行よりさらに酷い状況です。
2020年末時点での金融庁調査では、6割以上もの投信購入者が「含み損」を抱えているという状況だからです。悲惨です。
残り4割の「含み益」の人たちでさえ、その利益はほんのわずかにすぎません。
結局、銀行や証券会社の手数料収入であらかた消えるような「欺瞞的投資」にすぎないからです。
銀行や証券会社が販売する金融商品は、往々にして、「顧客との利益相反」の関係にあるからです。
金融庁が監督していると思って信用すると、まんまと騙されることになるわけです――
(後略)
(後略)
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※本記事は、神樹兵輔氏のルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2023年2月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!
』(2023年2月6日号)より一部抜粋
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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。