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【5月米雇用統計】好結果でもドル上値は限定的、107.50~110.00円を想定=ゆきママ

6月・7月利上げの可能性が急速に高まったことで、いつも以上に注目されている5月米雇用統計。今回の雇用統計は数字としては比較的良好な結果が出ることが期待できますが、ドル/円の上値は限定的です。どちらかというと下方向への動きを警戒したほうがよいでしょう。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

事前予想以上の数字に期待も、ドル/円は下値拡大余地あり

ストライキの影響で雇用者の増加は抑えられる可能性

今回発表される5月分の非農業部門雇用者数の事前予想値は16.0万人増と、かなり控えめな数字が想定されていますが、その裏には大規模ストライキの影響があります。

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アメリカの通信最大手ベライゾン・コミュニケーションズを中心に、4万人を超える労働者が賃上げや労働環境の改善を求めてストライキを決行しました。すでに暫定合意に達し、6月1日から職場に復帰したとのことですが、この影響によって非農業部門雇用者数が最低でも3.5万人ほど押し下げられると指摘されています。

したがって、もし予想と同程度の16万人前後の増加しかなかったとしても、ストライキによる影響を差し引いて考えれば、20万人に近い雇用者数の増加ということになりますので、見かけほど弱くない可能性があるという点には注意しておく必要がありそうです。

ちなみに、実際にこのストライキの影響が指標に表れたかどうかを知るためには、雇用者数の内訳を確認すると良いでしょう。

アメリカ労働統計局HPの雇用情勢(http://stats.bls.gov/news.release/empsit.toc.htm)にあるTable B-1(非農業部門雇用者数)の詳細(http://stats.bls.gov/news.release/empsit.t17.htm)から、情報(Information)産業の中の電気通信(Telecommunications)に注目です。

この項目において大幅な減少が見られた場合には、ストライキの影響があったということになります。

悪化の兆候はなくメインシナリオは改善方向か

これまでの先行指標において悪化した傾向が見られないので、基本的にはそこそこ強めの数字を期待したいところです。

非農業部門雇用者数に関しては、先ほども書いたように16.0万人増が見込まれていますが、原油価格の反発からエネルギー業界を中心に鉱工業なども含めて雇用者数の減少に歯止めがかかれば、大きく改善する可能性があります。

そして、利上げを占う上で非常に重視されている平均時給(賃金上昇率)については、前月比0.2%増・前年比2.5%増と控えめな予想がされていますが、6月1日に発表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では労働市場の引き締まりから、ほぼ全国的に企業の人件費が増加したとされていますので、上振れも十分考えられるでしょう。

ベージュブックでは、これまで他業種に比べて賃金が低いサービス業を中心に賃金の上昇が報告され、その他の低技能職でも賃金上昇圧力が高まっているとされていました。

また、先に書いた鉱工業はサービス業などと比べて賃金が高いとされていますから、エネルギー業界の持ち直しから雇用者減少を想定するのであれば、事前予想値以上の数字が見られそうです。

Next: 好結果でもドルの上値は限定的、下値は拡大余地ありと考える理由



想定レートは1ドル=107.50~110.00円、米利上げを前に思惑

本日3日午前11時の時点で、ドル・円相場は1ドル=109.10円前後です。なので、今回の雇用統計におけるゆきママの想定レートは1ドル=107.50~110.00円としておきます。

上値は控えめで、下値拡大余地を重く見ているわけですが、その理由としては、6月か7月の利上げを確定するような強い結果となったとしても、それ以降の利上げを見込めない以上、ドルの大幅高は難しいと考えているからです。

米ドル/円 日足(6/3 12:30現在 SBI証券提供)

例えば、今回の雇用統計で非農業部門雇用者数が20万人増、賃金上昇率が前月比0.3~0.4%増、前年比で2.5%増以上になったとしても、発表直前のレートから1円幅の上昇がせいぜいではないかと思います。

やはり強い結果となって6月あるいは7月の利上げがほぼ確実といった見通しになったとしても、年2回以上の利上げというコンセンサスが保証されるわけではないという点に注意したいですね。

去年の終盤からそうですが、今年に入ってなおアメリカの指標はまだら模様となっていますし、世界経済を見ても日本や中国、途上国などが足を引っ張っている状況は変わらずです。

このアメリカ経済そのものの不透明感や海外経済の不安定さを考えれば、仮に今回が良かったからといって、年後半も良くなるだろうと楽観できるわけではなく、依然として2回目以降の利上げスケジュールは流動的ですので、ガンガン上がっていくという相場状況にはなりにくいでしょう。

加えて、来週6日にはイエレンFRB議長の講演が予定されていますから、多少良かった程度ではポジションを動かしにくく、基本的には様子見となる可能性が高そうです。

予想を下回る弱い結果ならドル大幅下落も

逆に、予想を下回る弱い結果となってしまった場合には、少なくとも6月の利上げはないとの見方から、より一層ドルを売りやすい環境となり、大きな下落も予想されます。

ここ1か月はアメリカの早期利上げ期待のみで上昇してきた経緯があるため、これが失われるということは、ドル・円相場も支えを失なってしまうことになります。

さらに、雇用統計とは関係がありませんが、目先のリスクイベントとして6月23日にイギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が行われます。先日発表された最新の世論調査で離脱派が上回っていることから円買いが進んでいますが、6月・7月利上げというモメンタムが失われれば下値を試すことは必至でしょう。

というわけで、今回の雇用統計は比較的良好な結果が出ることを見込みつつも、上値の伸びは限られてきそうですから、どちらかというと下方向への動きに警戒していただければと思います。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年6月6日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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