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投資歴10年以上の専業トレーダーであり、テクニカルアナリストとしても活動するFXで馬さんに、「ポイント＆フィギュア（P＆F）」を活用した売買手法について話を伺った。「今回は時間軸を持たないチャートを使ったトレード手法を紹介します」と語るFXで馬さん。まずは、P＆Fの基本構造と特徴から解説してもらった。
（FX雑誌『外国為替』vol.5より再構成／チャート提供：TradingView）
FXで馬氏プロフィール
サラリーマン時代の2000年ごろより、金・プラチナの積み立て投資を開始。2005年ごろより株式投資も開始するが、ライブドアショックなどに巻き込まれ大損してしまう。その後、2011年ごろにFXと出会い、激しいギャンブルトレードを繰り返す。大きく勝つこともあったが、負けの方が大きく、資金管理を徹底。最終的に勝ち組トレーダーへと転じ、2017年ごろから専業トレーダーとなる。現在はFXの投資助言サロンを運営するなど、多くの個人投資家を指導中。
値動きのみで判断、P＆Fパターンの方向へ順張り
FXで馬さんによると、ポイント＆フィギュア（P＆F）は日本ではほとんど浸透していないが、テクニカルアナリストの資格試験には必ず登場するほど有名なチャート形式であり、海外では多くのトレーダーが愛用しているという。
「P＆Fの最大の特徴は、時間を無視するという点です。上昇局面を×、下落局面を○で描いていき、上昇または下落が続く間は横軸が進みません。横軸が進むのは、価格が反転した時のみです。
たとえば私の設定では×と○を一つ（1枠）10pipsとしているのですが、1列に三つ以上の×か○を書くルールと、転換すると1枠空けるルールがあるため、私の設定では40pipsの値幅の反転があって初めてチャートが右に進みます。チャートを見ていただくと分かりますが、視覚的に上昇・下降が分かりやすいですし、ローソク足のようにヒゲに惑わされることもありません」
シンプルなパターンでブレイクを狙う
このポイント＆フィギュア（P＆F）を用いた実践的な手法とはどんなものだろうか。
「P＆Fを使ったトレードでは、形成されたチャートパターンからブレイクアウトを狙うのが基本です。価格の動きを×と○で単純化しているため、チャートパターンを明確に識別しやすいのが特徴です。トリプルトップやトリプルボトムなど、ネット上で検索すれば出てくるような王道のチャートパターン分析で抜けた方向に順張りでOKです」
検証で裏付けられた有効性
「この手法はデイトレからスイングトレードに適しています。エントリー頻度は多くありません。私の場合、1枠を10pipsに設定していますが、値幅を小さくしすぎるとダマシが増え、大きすぎると売買の判断が遅れるためです。通貨ペアごとにボラティリティが異なるので、適切な値幅がわからない場合は1年間の平均ボラティリティの10分の1を目安にしてみるとよいでしょう。
日本ではローソク足に慣れたトレーダーが多いですが、私が検証した結果、ポイント＆フィギュア（P＆F）は非常に有効なツールだと確信しています。トレンド確認だけに使っても十分な価値がありますので、ぜひ試してみてください」
また、P＆Fのチャートではローソク足のようにチャートの急激な変動を見てハラハラドキドキすることは一切なく、メンタルコントロールの大切さも実感できるとのこと。TradingViewで表示させる方法も紹介しているので、一度試してみるといいだろう。
【解説1】この手法で使用する分析アプローチ
ポイント&フィギュアは、縦軸は価格だが、横軸は時間の概念がないチャートだ。ルールは次のとおり。
①価格が設定した値幅（例えば1枠＝10pips）を超えて上昇したら×、下落したら○を書いていく。
②各列は×のみか○のみ。
③価格が方向転換したら右に1列移動する。移動後は1枠空ける。
④×、○は各列3枠以上描く。
時間の経過は無視して、値動きだけに基づいて描画されるため、大局的な分析に適している。なお、TradingViewでは、ローソク足の切替えで表示可能だ。
【解説2】トレード手法の基本情報
| 狙う通貨ペア | ドル円、ユーロドル、ポンドドルなどのドルストレート |
| 表示するチャートの時間軸 | 1時間足、4時間足、日足など |
| 使用するインジケーター | ポイント&フィギュア |
| 平均的なポジション保有時間 | 数時間～数日程度 |
| 平均的な利益確定の値幅 | 約70pips |
| 平均的な損切りの値幅 | 約20pips |
| 勝率の目安 | 約70% |
| トレードの頻度 | 1～2日に1回程度 |
①環境認識
●ポイント&フィギュアチャートを表示する。1時間足、4時間足、日足などの長期足の終値を利用する ★1枠＝10pipsに設定する
②新規売買（新規買いの場合）
●ポイント&フィギュア上のパターン分析で、上方向に抜けたら順張りエントリー（ブレイクアウト）
③決済売買（新規買い→売り決済の場合）
| 利益確定 | ●保ち合いの列×3 上下にもみ合う形で、横方向に3列形成されたら利食いする |
| 損切り | ●3枠転換したとき（4枠＝40pips下落した時） ●保ち合いの逆を抜けたとき |
【トレード実践例】ユーロドル／日足／2022年11月10日
【1】日足のポイント&フィギュアチャートでトリプルトップのブレイクで買いエントリー
【2】エントリー方向に伸びた後、保ち合い3列で利益確定
このトレード例では、ユーロドルの日足ポイント＆フィギュアチャートでトリプルトップを確認後、ブレイクで買いエントリー。上昇が続き、保ち合いが3列になったところで利益を確定した。
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