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投資家ゾーマと学ぶ本当のチャート分析【エリオット波動編】

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FXを学ぶうえで避けて通れないのが、チャートの見方やテクニカル分析。とはいえ、巷には膨大な手法があふれており、何から手を付ければいいのか迷ってしまう――そんな状態の方に向けて、この企画が道標になるはずです。

新人気鋭のFXライター・荻田里佳が、投資家ゾーマさんから“値動きの捉え方”をじっくり叩き込んでいただきました!

(FX雑誌『外国為替』vol.5より再構成/チャート提供:TradingView)

 

投資家ゾーマ氏プロフィール

専業トレーダー歴10年以上。当初、FXで勝てずバイナリ―オプションを始めたものの、結果は同様。そこで、インジケーターやローソク足を徹底的に研究した結果、時間軸を使った独自手法を編み出すことに成功し、3日間で5万円を80万円まで増やす。これを機に専業トレーダーに転身して現在に至る。

エリオット波動は値動きの地図

荻田里佳(以下、荻田)「ゾーマさん、もっとトレードの勝率を高めたいのですが、どうしても成績が安定しません。チャート分析の基本から教えてもらえませんか?」

投資家ゾーマ(以下、ゾーマ)「まず、テクニカル手法を使ってトレードした場合は、どんなに追及しても100点にはならないことを念頭に置いてください。3回に1回は間違えると考えていた方が良いです。環境認識はしっかりしていますか? 日足のトレンド、4時間足のトレンドは必ずチェックしてください」

荻田「エントリーに使う時間足は、短い足でも構わないのでしょうか?」

ゾーマ「上位足でトレンドを把握したうえであれば、押し目を拾うために小さい時間足を使うのは問題ありません」

荻田「逆張りしないように注意します。私はダウ理論をもとに水平線を引き、エリオット波動と組み合わせて判断するようにしているのですが、その二つの考え方を改めて教えていただけますか?」

ゾーマ「では波動の基礎からいきましょう。図①のように、上昇したときや下降したときの安値と高値を結んだラインをそれぞれI波動と呼びます。さらに、上げ下げ、または下げ上げのラインを結んだものをV波動と呼びます。このI波動とV波動を繰り返すことで、N波動になるんです」

source: FX雑誌『外国為替』

荻田「つまりチャートはN波動がずっと連鎖している、と理解すれば良いのですね」

ゾーマ「その通りです。そして、エリオット波動の基本の形は、図②のように、上昇5波(第1波~第5波)と、下降3波(A波~C波)で形成されます。上昇トレンドは5波動続き、下降トレンドが3波動入ります。その後、次のトレンドに向かって上昇5波、下降3波が延々と繰り返されているのがチャートです」

source: FX雑誌『外国為替』

荻田「下降トレンドなら、この上下の関係が逆転するという理解で良いですか?」

ゾーマ「はい。チャートは波動の繰り返しなので『フラクタル構造』といいます。『フラクタル』とは、雪の結晶などの柄がどこを切り取っても同じ柄に見えることを指します。相場の値動きもフラクタル構造で出来上がっているんです」

荻田「分解して見ると、N波動が延々と連続しているのが実感できますね」

ゾーマ「N波動がエリオット波動を形成するので、エリオット波動は値動きの地図と考えてください。また、エリオット波動論には三つの定義(※図③)があります。一つは、2波は1波の安値を下回らない。二つ目は、4波は2波の高値を下回らない。三つ目は、3波は上昇5波動の中で最も短くはならない。少し言い回しが不思議ですよね」

source: FX雑誌『外国為替』

荻田「3波が一番伸びやすい、ということですね?」

ゾーマ「そういう意味で理解して良いです。『第3波を狙っていきましょう』とよくいわれる理由はコレのことを指します」

荻田「どう狙うのがいいのでしょうか?」

ゾーマ「ここで、ダウ理論の考え方が必要となります。ダウ理論では、高値と安値の切り上げ、切り下げを確認するために水平線を引きますよね。そのラインがレジスタンスラインとなっていた場合、ローソク足がレジスタンスラインをブレイクすることで波動となります。そして、波動から値動きが戻り、レジスタンスラインだった線がサポートラインに転換すると、押し目買いにつながるんです」

荻田「その押し目を拾うわけですね」

チャートはシンプルに。見方を変えるだけで世界が変わる

ゾーマ「さらに、エリオット波動の1波、3波、5波、A波、C波を『推進波』または『インパルス波動』と呼びます。どれもトレンドが伸びるI波動を指していると覚えてください。それとは別に、2波と4波、B波の三つは、トレンドに逆行する動きをしているので『修正波』と呼びます。つまりN波動は、推進波、修正波の組み合わせのことなんです。

トレードでは、推進波がトレンドになるので、どれが推進波なのか、ダウ理論を用いて分析します。戻り値で参考になるのは、テクニカル指標のフィボナッチ・リトレースメントで、61.8%~38.2%のゾーンあたりまで値が戻ってくることが多いと思います」

荻田「その付近に、ダウ理論で引いた水平線があれば押し目候補になるんですね」

ゾーマ「そのとおり。ダウ理論は、レジサポのことなんです。ローソク足の実体がレジサポを抜けることによって推進波になったと判断ができます」

荻田「頭では理解できても、実際のトレード中に判断する自信がないんですよね…」

ゾーマ「『エリオット波動は難しい』といって勉強をやめてしまう人もいるんですよね。エリオット波動は勉強をすればもっと奥深い世界が広がっていますが、それらを全て覚えるのはかなり大変だと思います。だから、エリオット波動だと思ったら、チャートをN波動に分解していき、見方自体をシンプルにしてみてください」

荻田「これまで複雑に見ようとしすぎていたのかもしれません。もっと素直に推進波を見つける練習をします」

ゾーマ「エリオット波動には副次波という考え方もあります。例えば、1時間足の中にエリオット波動を発見したとします。時間足をもっと短くして5分足で見てみると、そこでもエリオット波動を確認できるはずです」

荻田「確かに、短期足には波動がたくさん見えますね」

ゾーマ「そこで、どの時間足の推進波を狙うかも考えなくてはなりません。世の中には『3波以外は捨てていいよ』と、極端な表現をしている説明もありますが、僕たちはトレーダーなので、できるだけ値幅を取りたいですよね」

荻田「はい。一回のトレードでできるだけ大きく取りたいですね」

ゾーマ「そうなると、より大きい足での3波を狙えば一番ボラティリティがあって稼げると思います。でも、4時間足や日足レベルの3波は、めったに発生しません。4時間足で下降しているときに3波を狙おうと思ったら、待つ時間が長くなります。これは余談ですが、トレーダーの中には、推進波はローソク足が5本以上発生していることが必須と考える人もいます。これを基に4時間足で見た場合、ローソク足5本でI波動が形成されると考えると、20時間かかるのでほぼ丸一日かかります」

荻田「4時間のエリオット波動で3波のみを狙おうと思うと何日も待つことになります。チャンスが少なすぎると思ってしまって、短い足でエリオット波動を探してポジションを持ちたくなるんですよね」

ゾーマ「しかし、チャートは上の足になればなるほど素直で、下の足になればなるほど思っていた方向と逆行することがあって優柔不断なんです。トレーダー心理や投資家心理的にはチャンスは逃したくない、稼ぎたいからエントリーチャンスがほしい。だから、5分足や1分足でチャートを見るトレーダーが多いんです」

荻田「リスクが高くなるのは分かっているのに、ついつい短い足に吸い寄せられてしまいます」

ゾーマ「だからこし下の時間足でエリオット波動を探すのではなく、大きい時間足を見て、N波動でエントリーするようにしてみてください。ダウ理論が成立したN波動は、たくさん出現していて、3波以外の推進波も取れるはずです」

荻田「3波だけに固執しすぎていました。まずはN波動で入れる形を探すと…」

ゾーマ「そのうえで値幅観測論(水準論)のN計算値で利益を確定する場所をどこに置くか、それを考えるのも大事です。N計算値は、図④を参考にしてください。これは上昇トレンドで発生したN波動です。N計算値では、1波目のI波動と3波目のI波動は、同じ値幅で伸びると考えられているので、おおむねの値動きを予測することができます。もちろん、それ以上伸びたり、届かなかったりすることもあるので一つの目安としてください」

source: FX雑誌『外国為替』

荻田「指値を置く場所として使えるんですね」

ゾーマ「そうです。最初のN波動が水平線をブレイクアウトして推進波になっていると理解できれば一歩前進です。トレードでは、ひたすらこの推進波を探すのが基本だと考えてください。まだまだ小技はありますが、今回はこのへんで」

荻田「ありがとうございました! 続きも気になりますが、まずは今日教わった基礎を反復して、勝率アップにつなげていきます」

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source: TradingView

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