■相対的に中小型株の底堅さが目立つ
今週の新興市場は下落。同時期の騰落率は、日経平均が-2.61%だったのに対して、グロース市場指数は-0.16%、グロース市場250指数は-0.18%。米国で巨額のAI投資に見合う収益獲得への疑念が高まり、半導体・AI関連株の下げが重荷となる中、相対的に中小型株の底堅さが目立った。時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は、週間ベースで-0.02%だった。
時価総額上位銘柄では、Aiロボティクスの週間上昇率が41%を超えた。短期資金の借入およびコミットメントライン契約の締結を発表。増資による希薄化を伴わない資金調達であることが材料視されたようだ。FUNDINNOは同22%超の上昇。26年10月期の連結営業利益予想を前期比5.3倍の11.3億円と発表したことが好感された。一方、GENDAの下落率は10%を超えた。26年1月期第3四半期の連結営業利益が前年同期比9.0%減の49.3億円だったことが嫌気された。
その他、Web3ゲームの開発などを行うMint Townとの資本業務提携を発表したTORICOが週間で70%の上昇。AppBankは同48%の上昇となった。2WINSとの間でAIソリューション事業に関する開発基本契約を締結すると発表した。一方で、PostPrimeの下落率は38%を超えた。日本証券金融(日証金)が15日より増し担保金徴収措置を実施すると発表。需給不安から先週の急伸に対する反動安になったようである。
今週のIPOは、15日にAlbaLink(グロース)、16日にNSグループ(プライム)、17日にSBI新生銀行(プライム)、18日にミラティブ(グロース)、19日にギミック(スタンダード)、辻・本郷ITコンサルティング(スタンダード)、パワーエックス(グロース)の7社が上場。AlbaLinkの初値は公開価格を42.3%上回った。ミラティブ、パワーエックスの初値は公開価格を下回ったものの、パワーエックスについてはその後ストップ高で終えている。
■年末高を意識した物色が活発に
来週の新興市場は、12月の各国中銀イベントを波乱なく消化したほか、海外市場ではクリスマスの祝日で週後半は休場になるため、国内外の機関投資家による資金流入は細りそうだ。薄商いの中、個人投資家中心に年末高を意識した個別材料での物色が活発になりそうである。来週は5社のIPOが予定されており、大きな値幅を狙った資金が集中しやすいだろう。今週は、公開価格を割り込んで始まったパワーエックスがその後ストップ高で終えたこともあり、来週上場する銘柄へも関心が集まりそうだ。そのほか、19日に業績予想の上方修正を発表したベビーカレンダーが評価される一方、下方修正を発表したWASHハウスは嫌気されそうだ。また、来週は25日にフィードフォースグループ、26日にインテグループの決算発表が予定されている。
来週のIPOは、22日にスタートライン(グロース、公開価格480円)、23日にテラテクノロジー(スタンダード、同2090円)、24日にフツパー(グロース、同1020円)、PRONI(グロース、同1750円)、25日にリブ・コンサルティング(グロース、同1000円)の5社が予定されている。なかでも、製造業や物流業に特化したAIサービスを提供するフツパーが注目されよう。同社は生成AIの分野で国際特許を保有しており、最先端技術の深い理解と応用実績を持つ。