■Laboro.AIの今後の見通し
1. 2026年9月期の業績見通し
2026年9月期は売上高で2,486百万円(前期比30.8%増)、営業利益で294百万円(同53.6%増)、経常利益で294百万円(同76.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で201百万円(同36.9%増)と予想している。最適化・生成AIの2つの技術的な注力領域にメリハリをつけてリソースを投下し、既存顧客/新規顧客との安定的な関係構築することで、同30.8%の増収を目指す。
2. 主な施策と計画(カスタムAIソリューション事業)
(1) 最適化・生成AI領域の技術的な強みを活かしたメリハリある事業展開
1) AI-SD:最適化・生成AI領域を中心に、技術的なエッジを活かした営業活動を強化
ソリューションの顧客へのプッシュ型提案を強化する。
2) AGT-X:技術基盤を活用したエージェントAI領域のPJ(プロジェクト)を垂直立ち上げ
PJから得られた技術基盤や知見を型化/展開することで効率的な営業活動を実施する。
3) R&D:最適化/生成AIの技術的な強みを強化するメリハリある研究開発活動の推進
最適化、生成AI、知識グラフ等でWGを立ち上げ、グループで連携しながら研究開発を実施する。
(2) 成長を支える体制の整備
1) 採用:通期で約50名程度の人員拡張に向けた採用活動の加速化
(AI-SD/AGT-X)事業推進に必要なスタッフを約15名程度新規採用する。
(エンジニア)開発の実務を担うAIエンジニア/システムエンジニアを約20名新規採用
2) 育成:採用した人材を早期から立ち上げるための育成の仕組みの充実化
(AI-SD)オンボード/育成プログラムの整備・強化
(AGT-X)新たなチームの立ち上げの伴う評価・育成の仕組みの整備
(エンジニア)組織の急速な拡大を踏まえた、新規入社メンバーのオンボードの仕組みの整備
(3) 新たな領域への染み出しの検討
1) M&A/協業:補完的な機能を持つ領域への染み出しの検討/推進
M&Aや企業提携等の複数の手法を活用し、同社の事業と補完的な領域への進出の機会を探索する。
2) 新領域:未来リサーチの事業開発を通じた、新たな事業モデルの実験・検証
受託と異なる新領域へのトライによる新たな事業モデルや既存事業とのシナジー創出を検証する。
3. 主な施策と計画(システム開発事業)
(1) 事業の取り組み方針
強みであるグラフデータベースに関する知見やUI/UX開発の知見を活かして事業拡大を目指す。2025年9月期に引き続き、既存顧客との良好な関係を維持しつつ、同社との連携を通じて新規顧客に対してAI×システム開発の切り口での案件を獲得する。同社と連携した基礎研究や、新たな領域への取り組みにも挑戦する。
(2) 組織の取り組み方針
目標売上を実現するため、プロジェクトマネジメント/営業が可能な人材やUI/UX開発デザイナを採用する。プロジェクトマネジメント/営業が可能な人材を確保することで、新規/既存顧客への営業を加速化する。デザインに専門的な知見のあるUI/UX開発デザイナを採用し、同社との協業案件含めUI/UX開発を加速する。さらに2025年9月期に構築した管理体制をもとに、上場企業の子会社として求められるガバナンスを瑕疵なく運用する。
■中長期の成長戦略
既存事業の加速に加え、新領域を模索し成長を図る
同社は、特に中期経営計画などは発表していないが、市場環境は今後も堅調に推移する見通しであり、2026年9月期以降は既存コア事業を確立するとともに、中期的な成長に向けた新たな機会を積極的に模索して成長を図る計画だ。
(1) カスタムAIソリューション事業
1) 既存事業の展開
2025年9月期までの目標として、市場成長を超えるペースでの収益の安定成長を掲げて、各産業のリーダー企業とのAIの新たな事業価値の共創とそれを通じて得られたノウハウの蓄積・ソリューション化を進めてきた。
2026年9月期以降は、同社の強みとする技術テーマが生成AIや最適化に収れんしつつあることから、生成AI/最適化領域でのフルカスタムでのAI開発は引き続き注力しつつ、より汎用的な技術基盤を活用した“セミカスタム”でのAI開発領域(AGT-X)を成長のエンジンと位置付け、メリハリをつけながら事業を加速化させる。具体的には、各エリアで以下のような施策を推進する。
・(AI-SD)最適化を中心にした技術的エッジを活かした営業活動の強化
・(AGT-X)技術基盤を活用したエージェントAI領域のPJの垂直立ち上げ
・最適化・生成AI領域の価値提供に資する研究開発活動の推進
2) 成長を支える体制の整備
2025年9月期までも「成長を支える体制の整備」として、ソリューションデザイナや機械学習エンジニアの採用の加速化、新規参画メンバー活躍するための育成の仕組みの整備・強化を進めてきた。2026年9月期以降も、基本的にはこの方針を踏襲して、成長を支える体制の整備(特に採用/育成・オンボード)を進めていく。
(2) 新領域
2025年9月期も非連続な成長に向けた新たな領域への染み出しの検討を進めてきた。特に、カスタムAIと補完的な領域への進出やこれに向けたインオーガニックな手法の活用検討などを進めてきたが、2026年9月期以降もこれを継続していく。
■株主還元策
現在は将来への投資優先で配当は無配
同社は現在、事業がまだ成長過程であることから内部留保・先行投資を優先し、配当は行っていない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)