■BBDイニシアティブの業績動向
2. 財務状況
2025年9月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比144百万円減少の3,989百万円となった。主な増減要因は、流動資産では新株予約権の行使が進んだことで現金及び現金同等物が618百万円増加した。また、非流動資産は使用権資産が118百万円、のれんが215百万円、無形資産が493百万円それぞれ減少し、繰延税金資産が115百万円増加した。
負債合計は前期末比621百万円減少の2,230百万円となった。有利子負債が539百万円減少したほか、営業債務及びその他の債務が102百万円減少した。資本合計は前期末比477百万円増加の1,758百万円となった。当期損失377百万円の計上や配当支出が36百万円あったが、新株の発行に伴い資本金が442百万円、資本剰余金が427百万円それぞれ増加した。
経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末比13.1ポイント上昇の44.1%となり、有利子負債比率は逆に70.4ポイント低下の75.7%となるなど、財務体質が大きく改善した。期間業績は損失を計上したものの、キャッシュアウトを伴わない減損損失の計上が要因であったこと、また、2024年4月に発行した第三者割当による新株予約権がすべて行使され、882百万円を調達できたことが主因だ。同社はSaaSを中心としたストック型ビジネスが収益の大半を占めているため、安定したキャッシュを獲得できること、また資金需要に関してはM&Aを実施する場合を除けばさほど大きくはならないことから、財務の悪化リスクは低いと言える。実際、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを引いたフリーキャッシュ・フローは、2025年9月期で442百万円と4期連続でプラスとなっている。
収益性に関しては既述のとおり、2025年9月期は減損損失を計上したことでROEや営業利益率は大きく悪化したが、同要因を除けば利益体質を維持していることに変わりない。ただ、新ビジネスモデルを確立するまでの間は、開発費や顧客獲得のための営業費の増加が負担となり、一時的に収益性が低下するリスクもあるが、中長期的な成長を実現していくうえで必要な投資期間と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)