事業概要
渡邊徳人氏(以下、渡邊):株式会社サニーサイドアップグループ代表取締役副社長の渡邊徳人です。よろしくお願いします。
事業概要について説明します。当社は、2つの事業とグループの事業領域を拡充する新規事業の3事業で構成されています。2023年5月に中長期経営方針を発表し、ブランドコミュニケーション事業をコア事業として位置づけ、その強化を図ってきました。
2026年1月にビルコム社の株式取得について発表していますが、当社グループの既存サービスと同社のSaaSを一体的に提案し、付加価値の向上を目指すもので、現在その準備を進めています。ビルコム社はビジネスディベロップメント事業に区分される予定で、SaaSの機能拡張に向けて、更新投資を行う方針です。
スライドの下部に、現在の3事業を示しています。ブランドコミュニケーション事業に含まれる企業には、PR会社のサニーサイドアップ、コマーシャル制作も行う広告代理店のクムナムエンターテインメント、記者発表会などを手掛けるエアサイド、ファッション業界においてハイブランドのPRを担うステディスタディがあります。
2つ目のセグメントは、フードブランディング事業です。この事業では、フライパンという企業を通じて、オールデイダイニング「bills」を日本と韓国で展開し、ライセンス管理と店舗展開を行っています。また、SUNNY SIDE UP KOREA,INCという企業を通じて、韓国で「bills」を直営展開しています。
3つ目のビジネスディベロップメント事業は、新規事業を開発する役割を担っています。ここにビルコム社が加わり、これまでグループになかった機能を提供することで、クライアントのニーズに対応していきます。
PR会社の一般的な収益モデル
渡邊:PR会社の一般的な収益モデルを簡単に説明します。PRは「パブリックリレーションズ」の略称です。PR会社は、企業や団体を取り巻くさまざまな関係者と良好な関係性を構築するためのコミュニケーション・サービスを提供しています。
外部環境の変化や事業活動の活発化を背景に、企業や団体のコミュニケーションに関するニーズは高まっています。PR会社は戦略の策定や施策の立案・支援を提案・受注し、サービス提供後にフィーをいただくビジネスモデルを構築しています。
PR会社の売上高は、企業や団体などのクライアントが支出する広告宣伝費やマーケティング費用から得ています。売上高は、毎月の「リテナー契約」もしくは一時期の「スポット契約」という2種類の形態で構成され、プロジェクト毎に労務費などの原価が発生し、費用を差し引いたものが最終的に当社の利益となります。
クライアント側で相対する部署として、広報部門やマーケティング部門がありますが、最近ではマーケティング部門から受注を獲得することが徐々に増えています。
収益性の改善推移
渡邊:収益性の改善推移です。古くは2014年6月からのデータを示しています。2026年6月期は業績予想を修正し、営業利益率9.7パーセントを見込んでいます。かつての2、3パーセント台から、2桁を目指して取り組んできた成果が表れているのではないかと思います。
これは主に、ブランドコミュニケーション事業を強化し、収益構造が改善したことによるものです。加えて、不採算事業の整理や赤字企業の統合なども完了したことで、すべての事業で利益を生み出す体質へと転換しています。
エグゼクティブサマリー
渡邊:エグゼクティブサマリーです。売上高および営業利益以下の段階利益は、中間期として過去最高を更新しました。主力のブランドコミュニケーション事業で受注拡大が続く中、増収効果により費用の増加を吸収し、アップセルなどの営業政策も奏功したことから、収益性が改善しています。
また、ビルコム社の株式取得について発表しました。これにより、既存サービスとテクノロジーを融合した一体的な提案を進め、さらなる付加価値の向上を目指します。
好調な業績進捗を受け、通期業績予想の上方修正と増配を発表しました。現中期方針の総仕上げを進めるなか、中期経営計画の定量目標を超過達成する確度が高まっています。今後、PMIへの着手と次期成長戦略の最終化を図ります。
2026年6月期 通期業績予想の上方修正
渡邊:2026年6月期の通期業績予想の上方修正について説明します。今後も堅調な業績トレンドが持続する見通しです。売上高予想は232億円、営業利益と経常利益はともに22億5,000万円を予想しており、1株当たりの当期純利益は86.76円を見込んでいます。
なお、株式取得を発表したビルコム社の連結業績への影響は精査中で、確定後に反映する予定です。
連結業績の概況
渡邊:2026年6月期第2四半期の連結決算の概況です。売上高は、第1四半期におおむね計画どおり進捗しましたが、第2四半期に想定以上伸長したため、通期予想の上方修正につながりました。
増収効果により人件費や賃料などの固定費の増加が吸収でき、主力事業でPRの単価上昇が続いていることから、収益性も維持改善されています。
四半期別売上高推移
渡邊:四半期別売上高の推移について説明します。当社グループの第2四半期には、事業特有の季節性がありますが、そのなかで前年実績を大幅に超過しました。第2四半期の大幅増収の要因は、ブランドコミュニケーション事業が売上を牽引したことで、特にIPコンテンツを活用した独自の商品企画「Happyくじ」の売上高が倍増したことが影響しています。PRも4四半期連続で増収を達成しています。
四半期別営業利益推移
渡邊:四半期別営業利益の推移です。第2四半期は3割増収で4割増益を達成し、収益性が改善しました。中期方針期間の終盤で「コア事業の強化」の効果が顕在化しています。
なお、前年より賞与関連費用を計画段階で平準化し、業績進捗を勘案して四半期毎に計上するよう変更しています。前年と当年は同条件下での比較が可能になっています。
セグメント別業績
渡邊:セグメント別業績です。全セグメントで増収増益を達成しました。ブランドコミュニケーション事業では好調な業績が続いています。
主力事業以外では、フードブランディング事業において、客数増加やメニュー改定に伴う単価上昇が寄与し、収益が拡大しています。また、ビジネスディベロップメント事業では、コンサルティング事業の受注が増加しています。
営業利益変動要因
渡邊:営業利益の変動要因についてです。ブランドコミュニケーション事業では、比較的原価率の高い商品企画や販促施策の構成が高まる中、PRの効率改善が進み、利益が着実に積み上がりました。
連結財務諸表/キャッシュ・フロー
渡邊:連結財務諸表とキャッシュ・フローです。キャッシュは潤沢であり、財務基盤の安定性に揺らぎはありません。純資産も順調に積み上がっています。
関本圭吾氏(以下、関本):株式会社IR Agents代表の関本圭吾です。ここまでの業績概要について、いくつかご質問します。まず1点目ですが、2025年6月期の第4四半期頃から前年比で非常に高い伸びを継続されている印象があります。
この背景として、なにか特定の案件や条件があるのでしょうか? それとも、全体的に需要が好調で、事業の施策がうまく進んでいることが要因でしょうか? この点について、もう少し詳しく背景を教えていただけますか?
渡邊:前年の第4四半期から好調を維持している要因の一つに、商品企画「Happyくじ」が大きく成長したことが挙げられます。販促施策における商品キャンペーンの受注も収益拡大に寄与しています。
また、PRの単価が上昇したことも要因として挙げられます。市場全体を俯瞰して見て、PRの予算だけを獲得していた段階から、川上まで遡って包括的に請け負うことで、より大きな予算を獲得できるようになっています。
コンサルティングの受注はまだ一部に限られていますが、戦略策定から施策遂行までを手掛けることで、利益率の向上につながりました。このように複数の要因が相まって成果が出たもので、単一の要因だけではないということです。
関本:比較的、自社商品や施策が順調に進んでおり、今後も継続するということですね?
渡邊:おっしゃるとおりです。
関本:もう1点気になるのが、ブランドコミュニケーション事業についてです。この事業は、コンサルティングも含めて利益率が高い事業だと思いますが、第2四半期終了時点で、前年の売上高が62億円から80億円と18億円の増収となった一方で、利益は約7億円から約10億円と、3億円程度の増益にとどまっています。
もう少し限界利益率が高くてもよいのではないかと思うのですが、事業内容や構造について、また費用面で特に使ったものがあれば、その詳細を教えていただけますか?
渡邊:第2四半期の商品企画・販促施策の収益構造について説明します。特に、販促施策は為替の影響を受けやすい傾向があり、施策を企画・提案し、クライアントの了承を受けて、中国などの海外で生産し、輸入して納品するというビジネスモデルとなっています。
このため、売上高は大きいものの、利益率が比較的低いビジネスとなっています。したがって、商品企画・販促施策が拡大すると、全体の利益率が低く見える傾向があります。
為替の影響を軽減するため、為替予約を行うなどの対応を進めていますので、大きく影響するまでには至らないと考えています。
現中期方針期間の定量目標達成へのプロセス
渡邊:現中期方針期間の定量目標達成へのプロセスについてご説明します。2023年5月に策定した中長期経営方針では、営業利益目標として3年平均20パーセントの増益を掲げ、最終年度には20億円を目指していました。
2025年6月以降は、人財投資の加速に伴う費用の増加が影響し、2026年6月期の期初予想として、営業利益19億円を見込んでいました。
そこから中間期に22億5,000万円に上方修正したのは、増収によって固定費の増加を吸収でき、かつ主力事業の収益改善を継続して見込めると判断したためです。課題としていた売上成長スピードは改善基調にあり、定量目標を超過達成する確度が高まりました。
2026年6月期 配当予想
渡邊:配当予想についてです。配当政策として、親会社株主に帰属する当期純利益の増加を前提に、配当性向30パーセント程度を維持する方針を掲げています。
中間配当はM&Aに係る資金需要を考慮し、期初予想を維持することとしました。一方、期末配当金については、通期業績予想の修正に伴い、配当予想を1株あたり13円から15円に修正し、年間4円の増配を予定することを発表しています。
当社はまた、2025年8月から11月にかけて自己株式を取得し、取得総額は1億9,900万円となりました。総還元性向は45.6パーセントとなります。
自己株式の活用については、株主還元と資本効率の最適化を両立させる観点から、その一部をビルコム社の株式取得の決済の一部に充当します。現預金の流出を抑えつつ、新たにグループに参画いただく経営者に当社の株式を持っていただくことで、グループ一丸となって持続的な成長を図るための戦略的な判断です。
関本:中期経営計画の結果についておうかがいします。中期目標を上振れて達成できそうな背景には、具体的に何が計画よりも良かったとお考えでしょうか?
渡邊:中期経営計画で考えていた施策が予定どおり実施され、商品企画が想定以上伸長したことが要因だと思います。PRについては、サービスの品質を向上するための人件費の上昇をクライアントのみなさまにもご理解いただき、単価に反映できた点は大きかったと考えています。
ブランドコミュニケーション事業 業績推移
渡邊:主要事業の概況です。ブランドコミュニケーション事業の業績推移について説明します。PRは、前年の第3四半期から4四半期連続で増収を達成しました。収益性も改善傾向にあります。
PRでは、アップセルをはじめとする営業政策が奏功したほか、戦略策定から施策遂行まで携わる事例も増加し、利益率が向上しました。これにより、PR領域の一部の受注にとどまらない事業としての広がりが生まれました。
商品企画では、自社ブランド「Happyくじ」が成長を遂げています。販促施策では大型案件を継続的に獲得しているものの、為替変動の影響で利益改善が縮小している部分があります。
ブランドコミュニケーション事業 四半期別売上高
渡邊:ブランドコミュニケーション事業のPRと商品企画・販促施策を区分して売上高を示しています。
ブランドコミュニケーション事業 業種別売上構成【PR】
渡邊:ブランドコミュニケーション事業の業種別売上構成について説明します。多種多様な業種に対応していますが、円グラフの青い部分で示されているコスメ・ファッション分野が大きな割合を占めています。
次に、商業施設・ホテル分野について、当社グループはこのスタジオが位置する渋谷周辺の商業施設のPRにも携わった実績があります。
スポーツ分野では、もともとアスリートのマネジメントを行うほか、スポーツ関連イベントのPRも多数手掛けてきたことから、一定の割合を占めています。また、大阪・関西万博開幕にあたって、複数の国からPRの受注をいただき、業績に貢献することができました。また、ヘルスケアや地方創生に関する案件にも取り組んでいます。
ブランドコミュニケーション事業 ハイライト【商品企画「Happyくじ」】
渡邊:ブランドコミュニケーション事業のハイライトとして商品企画「Happyにくじ」ついて説明します。「Happyくじ」の売上高は、中間期で通期並みの規模へと拡大しています。「Happyくじ」は、映画やテレビと連動した新規IPコンテンツも好調で、受注件数や規模の拡大により効率が改善しています。
商品企画のビジネスにおいては、人気キャラクターのIPコンテンツホルダーとの関係性が重要です。現在、IPコンテンツホルダーと良好な関係性が築けており、大手コンビニエンスストアをはじめとするクライアントへの提案も、こうした関係性の中から行われています。
また、コンテンツがより強力な場合、同じ労力でも受注数を拡大し、売上高を大幅に伸ばすことができるというビジネスモデルになっています。
フードブランディング事業 業績推移
渡邊:フードブランディング事業は主に「bills」の事業で、客単価と客数の双方が向上しており、売上高が順調に伸びています。
「bills」は日本と韓国で展開しており、韓国では直営による展開です。なお、韓国では、「山本屋」という味噌煮込みうどんのフランチャイズ展開に着手し、オペレーターとして成長させる取り組みも始まっています。
関本:主要事業の状況について、質問させてください。直近の業績を牽引している商品企画「Happyくじ」は非常に興味深いと感じています。こちらは御社の自社プロダクトという位置づけと理解してよろしいでしょうか?
渡邊:そのとおりです。「Happyくじ」はサニーサイドアップのブランドになります。
関本:これを、IPホルダーなどに「このような商品でやりませんか?」と提案されているのでしょうか?
渡邊:おっしゃるとおりです。
関本:クライアントが「Happyくじ」を実施したいと思う理由は、どのような点にあるのでしょうか?
渡邊:「Happyくじ」は、サニーサイドアップのメンバーが、主にコンビニエンスストアを対象に展開しています。例えば、コンビニエンスストアを展開するクライアントと一緒に、どのような層に来店していただきたいかを綿密に打ち合わせ、ターゲットとなる客層に向けて、現在どのような流行があり、どのような商品がくじとして提供されれば喜んでいただけるのか、議論を重ねています。
サニーサイドアップのメンバーが、IPコンテンツホルダーとの信頼関係を基に、ストーリー性も考えた上で、過去に流行したものから最新のトレンドまでを幅広く検討し、IPコンテンツとして契約、選定しています。
このような提案から、クライアントが展開するコンビニエンスストアなどにフィットし、ターゲットの客層に「刺さる」商品として提供し続けられるかが重要なポイントです。
関本:企業側からすると非常によく売れる商品を提供してくれ、IPホルダー側にとっても、ターゲットを的確に理解した上で商品を作ってくれるという点で、御社の企画力やこれまでの実績が信頼されているということでしょうか?
渡邊:おっしゃるとおりです。大切なキャラクターを託し、さらには収益モデルにつなげてくれるということで、IPホルダー側からも信頼をいただけているのではないかと思います。我々も、どこへでも提案できるわけではなく、クライアントのニーズやIPホルダーとのコミュニケーション、信頼関係が非常に重要だと考えています。
向井沙耶氏(以下、向井):フリーアナウンサーの向井です。実際に私も「Happyくじ」を拝見しましたが、売上を牽引する「Happyくじ」については、一時的な需要と捉えているのか、それとも長期的な成長が見込めるものだと見据えているのか、どちらでしょうか?
渡邊:一時的な需要ではなく、持続的な成長が見込めると考えています。過去には、自社ブランドに限らずお手伝いしてきたこともありました。しかし、「Happyくじ」という我々のブランドに切り替えたことで、継続的な成長が見込めるようになっています。
また、お客さまが来店される際に「くじ」ではなく、商品が受け取れるようなキャンペーンも非常に好調です。これも複数の企業に展開することにより、成長を果たしています。
確かに、大きなヒットがあるとボラティリティは生じますが、事業としての成長モデルが確立されており、そこに新たなヒット商品が加わって、伸長していく段階にあると認識しています。
M&Aの戦略的位置づけ
渡邊:M&A戦略についてです。M&Aは、中期経営方針で想定する事業成長に向けて、機能を補完・強化する役割と位置づけています。
2023年9月に完了した子会社3社間の統合は、ブランドコミュニケーション事業の改革を加速させました。この統合は、過去にM&Aで加わった企業などを統合し、サニーサイドアップのブランドとして集約したもので、統合の結果として利益率も向上しました。
一方、テクノロジーの領域はかねてから課題となっていました。PRの上場企業のなかで、テック領域を持たない企業は、おそらく当社ぐらいしかないのではと思います。この部分で、非常に出遅れていました。
テクノロジー領域について自社で開発すべきかどうかですが、自社で開発するとなると、時間を要するため、M&Aを通じてグループに新たな企業を迎え入れ、シナジー効果を期待するとの判断に至りました。そして、PRテックとしてSaaSを展開するとともに、PRエージェンシーとしても活躍しているビルコム社をグループに迎え入れることができました。
ブランドコミュニケーション事業のサービスにPRテックを付加することで、さらなる成長が可能になると考えています。
ビルコム社の子会社化による機能強化
渡邊:ビルコム社の子会社化による機能強化について説明します。ビルコム社については、2026年1月に全株式取得を発表し、3月に取得が完了する予定です。
ビルコム社は、PRコンサルティングのほか、クラウド型PR効果測定ツールや広告媒体データベースを展開しています。当社グループのサービスと同社のSaaSをクロスセルすることで、付加価値化を高め、相互送客をしながら収益拡大を図っていきます。
ビルコム社のPR効果測定ツール「PR Analyzer」は、PR会社を販売対象とはあまりしていなかったと思いますが、当社グループのクライアントの一部で「PR Analyzer」を利用するケースが見られました。
ビルコム社が当社グループの一員となり、「PR Analyzer」の導入を推進していけば、売上向上が期待できます。また、既存の機能にプラスアルファするなどの更新投資を行い、測定ツールにとどまらないものに進化させていくことにより、さらなる収益の向上を期待しています。
なお、ビルコム社の代表取締役である太田氏と取締役である早川氏は、当社グループの中で引き続き成長を目指していく方針です。その一環として、当社の株式を一部保有いただくこととしました。
前回のセミナーでM&Aの再開と自己株式の取得について同時に説明しましたが、経営者の方々にクロージング後もグループの一員として成長を実現させるために関わっていただきたいという考えがあります。そのため、取得した自己株式を株式取得の決済の一部に充当する方法をとっています。
業績への影響
渡邊:業績への影響についてですが、2026年3月末をみなし取得日として連結に取り込む予定で、のれんについては、監査法人と協議した後に決定し、償却していく予定です。
先日の発表では精査中と開示しており、今後業績への影響について見極めていきたいと考えています。
M&A実施に向けたファイナンス
渡邊:M&Aに向けたファイナンスについてです。3月2日に自己株式を処分し、決済の一部に充当する予定です。その他は銀行借入と手元資金を一部活用します。借入によるレバレッジを効かせながら、のれんを償却し、回収していきます。
関本:M&A戦略についていくつかおうかがいします。全体感として、M&Aは中長期経営方針で想定する事業成長に向けて機能を強化・補完する役割を担うとのことでした。ビルコム社はテクノロジーの部分を補強するということですが、ほかに補強・強化したい部分はありますか?
渡邊:我々が41年間にわたりPRを手掛けてきた中で、実績、特にPRの効果については、メディアへの露出件数や広告換算でいくらになるとしか測定できておらず、大きな課題となっていました。発注側の社内でもPR効果に対する要求が厳しくなっており、ビルコム社が作り上げてきた「PR Analyzer」を我々のグループに取り入れることができたのは非常に重要です。
加えて、我々がユーザーとして、「このような部分をもっと改善したらよいのではないか」と意見を反映させる必要があると考えています。ビルコム社の開発者とコミュニケーションを取り、「クライアントが我々に何を求めているか」という、これまで蓄積されたノウハウを提供することで、「PR Analyzer」のさらなる進化を期待できるのではないかと考えています。また今後、新たな機能の追加や機能拡張も可能だと考えています。
関本:今後、テクノロジーの領域において、強化の余地があるということでしょうか?
渡邊:おっしゃるとおりです。
関本:ビルコム社についてです。以前「自社株買いを行うのは、M&Aで活用していきたいと思っているからだ」とおっしゃっており、今回まさに有言実行ということですが、ビルコム社自体はもともとご存じの会社だったのですか? どのようなご縁があったのでしょうか?
渡邊:もともとビルコム社は、当社の競合として認識していた企業です。ただし、テックの部分ではなく、通常のPRエージェンシーとしてです。
なお、ビルコム社の太田社長は一般社団法人クチコミマーケティング協会の理事長を務められた経歴があり、博士課程を修了され、博士号を取得されています。そのような点からも、よく存じ上げていました。
お会いしたきっかけは、当社が人財投資を進める中で、サニーサイドアップの社長に登用したリュウ・シーチャウ氏が太田社長と知り合ったことがきっかけです。
ビルコム社の太田社長は、会社や事業の売却を検討されていたことはなく、自社の成長に向けて真剣に取り組んでいらっしゃる最中にお声がけをさせていただき、お互いに賛同した上で、グループに参画していただくこととなりました。そのため、M&A仲介手数料は一切発生していません。
関本:次に、M&Aの業績への影響に関する質問です。スライドに示されているとおり、現時点では利益面で大きな影響は見られないものの、今後、どのようにして御社の業績に寄与するとお考えですか? テクノロジーの強化を通じて利益が向上するのか、それともクロスセルを通じてビルコム社がさらに成長するなど、どのような見通しをお持ちでしょうか?
渡邊:M&Aにより、効果測定ツールをグループのクライアントにも提供できるチャンスが生まれました。そこで、「今年はクライアントに何十パーセント導入していこう」と目標を掲げて取り組みたいと考えています。グループのクライアントに導入が進むことで、グループ全体として売上拡大につながると見込んでいます。
過去、当社グループに「PR Analyzer」のような効果測定機能がないために、「ほかに頼みます」と失注したケースもありました。今般のM&Aで、効果測定まで対応できる企業をグループに有することは、ビジネスを拡大していく上で、強力な武器になると思います。
また、ビルコム社はPR会社として、エージェンシーとしての事業をお持ちですが、当社が得意とするPRの手法とビルコム社が得意とするPRの手法は異なります。
ビルコム社が当社グループに加わることで、私自身も含めてビルコム社について営業ができるようになります。これまで1社で営業していた場合に比べて、グループで営業を進めることで、ビルコム社のPR事業も成長が見込めるのではないかと思っています。
我々のグループには、IPコンテンツ活用、コマーシャル制作、ファッションを専門とする企業などがあり、さまざまな領域で相談することが可能です。例えば、インフルエンサーのキャスティング業務についても、グループ企業を活用することで、ビルコム社のPRエージェンシーとしての営業力の強化につながると考えています。
中長期の事業成長イメージ
渡邊:中長期の事業成長イメージについてです。事業環境は、ブランドへの共感重視、メディアの多様化、AIの活用などによって大きく変化していると認識しています。従来のPRからコンサルティング、さらに規模の大きな広告を包括した市場を対象に、事業機会を獲得していきたいと考えています。そのため、コミュニケーションに関わる領域を網羅したサービスを一気通貫で提供できる体制を構築しています。
当社ではすでに、PRにとどまらず、コマーシャルの制作やキャスティングにも対応しており、広告を含む市場全体が我々のターゲットとなっています。我々は、これらのすべてを「ブランドコミュニケーション市場」と総称しています。
中期方針期間 成長ターゲット
渡邊:中期方針期間の成長ターゲットについてです。もともと、主力のブランドコミュニケーション事業で年平均13パーセントの売上成長率、営業利益率16パーセント程度を想定し、連結営業利益20億円を目標として掲げていました。
中間期で業績予想の修正を発表し、連結営業利益は22億5,000万円を予想しています。M&Aの効果が早期に得られれば、もう一段階上の成長も目指せるのではないかと考えています。
クライアントとの関係性とサービスの方向性
渡邊:クライアントとの関係性とサービスの方向性についてです。クライアントの開拓では、クライアントリレーション型を志向し、マーケティングの責任者と関係を構築してイベントに参加していただきながら、広報部門だけでなく、マーケティング部門へのアプローチを拡大してきました。これが大きな成果をもたらしています。加えて、ビルコム社の合流により、アップセルをさらに狙っていくことが可能となります。
成長への戦略投資
渡邊:成長への戦略投資として、3年間で15億円を戦略投資枠として投資を行ってきました。人財投資は順調に進んでいますが、テクノロジー投資に対する課題が、ビルコム社とのM&Aにつながったと言えます。
人財投資の加速と生産性の向上
渡邊:人財投資では、新卒採用に加えて中途採用が進んでいます。
質疑応答:ブランドコミュニケーション事業における高付加価値化の施策について
関本:中長期的にブランドコミュニケーション事業で高付加価値化に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にどのような施策を行っているのか、イメージしづらい部分があります。具体的なご提案内容や、説明しやすい事例があれば教えていただけますか?
渡邊:例えば商品発表会をする場合、商品についての記者発表会とプレスリリースの作成・配信だけでは、PRの予算しか獲得することができません。企業がどのような商品を導入したらよいか、どのようなブランディングをすればよいか、PRから川上に遡ってコンサルティングを担うことができれば、獲得可能な予算規模は変わってきます。
大手のファミリーレストランを事例とするならば、お客さまのニーズを捉えた上で、メニュー提案など、商品企画段階から参画することも考えられると思います。若い女性をターゲットとする場合、流行も踏まえた上で、「映える」商品を取り入れ、Instagramで発信するという提案を行います。これは、我々が長年「bills」に取り組んできた実績があるからこそだと思います。SNSでお客さまが投稿し、さらなる来店につなげるという循環を長年継続し、実績を積み上げてきたことで、提案に対する親和性や信頼感が高まっているのだと思います。
商品・メニュー・デザインを1つのパッケージとして提案し、商品発表会の開催やインフルエンサーの招致につなげていきます。一部のPRを受注するだけでなく、発注側の企業の方々とともに考え、提案することで、付加価値を生み出しています。
質疑応答:高付加価値化の取り組みの進捗状況について
関本:高付加価値化の取り組みは、基本的には想定どおりに進んでおり、来年以降も現状の取り組みを継続できるのか、それともさらなる改善の余地があるのか、現在の進捗状況はいかがでしょうか?
渡邊:成功している事例を増やすことによって、これまでPRしか提案できていなかった部分から、コンサルティングも含めた提案を進められる段階に来ています。
質疑応答:人財投資と採用の状況について
向井:「成長投資として人財に大きく投資しているように見えますが、現状で成果は出ていますか?」というご質問です。
渡邊:人財投資については、この数年、新卒採用に力を入れてきました。入社3年目あたりになると、各々が自分のクライアントを持つようになり、効果が出てきています。
また、中途採用も強化しており、大手企業経験者やプロフェッショナル、中にはクライアントを当社グループに提案できるような人財も採用することができました。
向井:では、定着率や採用難といった課題は改善していると捉えてよろしいでしょうか?
渡邊:改善しています。
質疑応答:M&Aの予定、予算規模や対象について
関本:「M&Aの今後の予定や予算規模に関して、どのような事業をさらに成長させたいのか、戦略投資の対象に対する考え方があれば教えてください」というご質問です。
渡邊:M&Aはコロナ禍以降停止していましたが、前回の説明のときに「これから再スタートします」とお伝えしています。ビルコム社を皮切りに、我々のグループに加わっていただける企業の検討を行っています。当社と無関係なビジネスを取り込むのではなく、マーケティングコミュニケーション領域に密接に関わる企業を検討しています。
このような説明を行うと、「M&Aを検討している企業だな」とご提案をいただくことが多くなります。経営者がイグジットするのではなく、グループ企業として一緒に成長していく、いわば集団経営を行うようなM&Aを志向しています。
質疑応答:M&A先に求めるものについて
関本:一概には言えないかもしれませんが、M&A先に求めるものとして、例えばお客さまの獲得やサービス・プロダクトの獲得など、テーマは存在するのでしょうか?
渡邊:マーケティングコミュニケーションに関わる領域において、我々が持っていない機能で、武器となり、プラスアルファになる部分を求めています。その意味において、ビルコム社の「PR Analyzer」をグループに取り入れられることは非常に意義のあるものだと思います。これからも「ぜひ一緒に取り組みたい」と思えるサービスや企業を選定したいと思っています。
質疑応答:フードブランディング事業の背景とビジネスモデルについて
関本:あまり触れられなかったフードブランディング事業についてですが、この事業に取り組む背景は何でしょうか?
先ほど、フードブランディング事業を進めることでPRにも役立つ部分があるとお話しいただきました。ただ、ブランディングと店舗運営は少し性質が異なるように感じるため、このビジネスの考え方についてお聞かせいただけますか?
渡邊:我々は飲食店を経営しているわけではなく、ブランディングビジネスを行っています。当社は過去に中田英寿氏をはじめとするさまざまなスポーツ選手のマネジメントを手掛けてきましたが、フードブランディング事業は、スポーツ選手のマネジメントに似たかたちでスタートしました。スポーツ部門のほか、文化人やレストラン経営者・シェフ部門を設け、ビル・グレンジャー氏のマネジメントを開始したのです。
まず、ビル・グレンジャー氏の人となりをPRし、マネジメントするところから始まりました。利益の回収手段としては、例えばビル・グレンジャー氏がパンケーキ・ミックスのコマーシャルに出演し、手数料を得るビジネスでしたが、これでは十分ではないと考えました。そこで「bills」のブランディングに注力し、「世界一の朝食」としてヒットにつながったわけです。
「bills」はまた、クライアントとしてグループ企業にPRを依頼しています。この取り組みは2008年から始まり、現在で約18年続いています。「bills」で効果が出ているため、世界から日本に初進出する飲食店から、同様のPRをお願いしたいと声をかけていただいています。
関本:御社にとっては、実績と実例が重要になるということですね。
渡邊:おっしゃるとおりです。
渡邊氏よりご挨拶
渡邊:本日はご視聴いただき、ありがとうございました。中期経営計画も達成し、これから新しい会社を迎え入れ、サニーサイドアップグループはさらなる成長を目指していきます。なにとぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。