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P-京橋アートレジ Research Memo(3):主柱は新築マンション開発事業

■事業概要

1. 事業セグメント
京橋アートレジデンスは不動産開発創造事業とESG関連事業の2事業を展開している。不動産開発創造事業では、成長著しい新築マンション開発事業を軸に、マンションなどのリノベーション再販、アパートメントホテルの開発、新築戸建・宅地開発、新築テラスハウス開発、事業用地販売、コンサルティングなど様々な事業を手掛けている。ESG関連事業では、賃貸マンションや店舗といった生活関連施設と太陽光発電施設の保有運営を行っている。2025年11月期の売上構成比は不動産開発創造事業が97.0%、ESG関連事業が3.0%であった。時期によって異なるが、現状、不動産開発創造事業の収益の大半が好調な新築マンション開発事業で占められており、リノベーション再販とアパートメントホテルを第2、第3の柱として中長期的に育てている。なお、同社グループは同社及び連結子会社1社((株)L-CUBE)により構成されており、L-CUBE社は集合住宅や戸建住宅の企画デザイン設計監修及び工事監理などを主な事業内容とし、同社の不動産開発創造事業をサポートする役割を担っている。

新築マンション開発から様々な事業へ展開

2. 不動産開発創造事業
(1) 新築マンション開発事業
新築マンション開発事業では、資産形成のための一棟収益マンション「CASA(カーサ)」シリーズを開発販売している。東京23区のなかでも「新宿、高田馬場」「池袋、練馬」「渋谷、世田谷」「品川、大田」「上野、日暮里、浅草」「江東、城東」の6エリアに絞って、学生や社会人の賃貸ニーズの強い駅から徒歩10分圏内で、大型商業施設や人気の商店街に隣接する生活利便性の高い立地を厳選している。そうした物件のなかで、200m2前後の比較的狭い敷地に4~5階建てで8~20戸の小規模マンションという、ニッチで価格を抑えた物件の開発を行い、賃貸募集を済ましたうえで販売している。主な顧客は、資産運用や相続税対策を目的とする企業オーナー・富裕層など国内の資産家、分散投資の機会を探っている国内投資家、安定経営を目指す一般事業法人、さらに日本の低金利と円安を享受したい海外投資家など優良な顧客がメインで、購入しやすい価格で安定した利回りのうえ、融資や分散保有など顧客のニーズに合致しているため需要は強い。

特に価格面で、一般的に鉄骨造のマンション(耐用年数34年)で3億円以下、鉄筋コンクリート造で5億円以上と言われる一棟収益マンションが多いなか、「CASA」シリーズは鉄筋コンクリート造(耐用年数47年)にもかかわらず3~5億円と価格優位性が高い。ただし近年、物件サイズ(戸数)の拡大や物価高、顧客ニーズを反映して10億円程度の物件も扱うようになった。商品面でも、鉄筋コンクリート造のため耐火性や遮音性、耐震性、耐久性に優れているのはもちろんのこと、デザイン性や居住性、機能性にもこだわり、TVモニター付きオートロックシステムや宅配ボックス、浴室TV、エアコンなどを標準装備している。また物件によっては各住戸専用のトランクルームを設置したり防音設備を施したりと優位性のある仕様となっている。ユーザーにとってもオーナーにとっても安心・快適で付加価値や資産性の高いマンションのため、2019年3月の第1号物件「Casa Bianca(東京都江東区)」を販売以来、リリース後に即完売する物件も出るなど人気を博している。なお、小規模物件では大手不動産開発会社はスケールを生かしきれないため、競合はさほど厳しくなく、安定した事業環境を維持できている。

(2) リノベーション再販/アパートメントホテル開発
同社は、リノベーション再販とアパートメントホテル開発にも注力しており、中長期的に第2、第3の柱へと育成する方針だ。リノベーション再販は、新築物件の価格が高騰するなか、希少な立地で価値優位性のある中古不動産を、現代のニーズに合わせて高付加価値化できるため注目されている。ただし、参入障壁が低く競争の激しいスタンダードなマンションの区分リノベーション再販には参入せず、自社の企画力や富裕層ネットワークを生かせる一棟賃貸マンションのリノベーション再販や高額ヴィンテージマンションの区分リノベーション再販の開発を進めている。一方、アパートメントホテルは、ターゲットは国内外の長期滞在者で、なかでもインバウンド需要の増加に伴って外国人によるニーズが強まっている。観光に便利でニッチな立地の開発は同社の得意とする分野であり、現在、アパートメントホテルを前提にした開発や運営のための提携など事業化を進めている。エリアも東京のみならず、大阪や九州へと広げて物件を検討している。

リノベーション再販は開発から販売までのリードタイムが半年~1年以内と回転が早く、アパートメントホテルは一棟収益マンションと同じ2~3年程度のリードタイムと見られ、いずれも収益性が高く、同社の他の事業とのシナジーを発揮しやすい事業と言える。高輪のヴィンテージマンションの区分フルリノベーション、共用部分などを高付加価値化した南大塚の一棟賃貸マンション再販、ホテル運営に転用した「9STAY文京大塚」など、いずれも既に事業としてスタートさせ、本格的に事業化へ向けて開発・販売体制を強化し始めている。

(3) その他
新築マンション開発事業、リノベーション再販事業のほかにも、新たな価値を創造する不動産開発事業を展開している。新築戸建・宅地開発事業では、子育て環境に適した立地や都心部の生活利便性に優れた立地で付加価値の高い都市型戸建住宅「ブライト」シリーズを供給しているほか、同社が企画開発の主体となって施工会社や販売会社と共同の開発事業も行っている。低層の資産運用型新築テラスハウス開発事業では、東京23区を中心に住環境が良く生活利便性の高い立地でワンルームタイプからメゾネットタイプまで多様なプランを提供してきたが、資産運用型の新築集合住宅の事業に関しては、新築マンション開発事業に重心を置いているところである。事業用地販売事業では、瑕疵免責や境界未取得、権利調整など諸事情のある土地を購入し、これまで培ってきた経験や取引先の協力によって物件価値を高め、マンション、ホテル、オフィスなどの事業用地としてディベロッパー各社に販売している。ほかにも、自社仕入や企画開発力など様々なノウハウを生かし、周辺地権者との権利調整やオーナーの意向に沿った等価交換、税務面のフォローなど土地活用のためのコンサルティング事業も行っており、千葉県柏市や川崎市の大規模不動産開発プロジェクトではプロジェクトマネジメントを担った実績もある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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