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アイキューブドシステムズ、法人向けモバイル端末管理を展開 政府認定ISMAP登録を強みに官公庁開拓を加速

会社概要

坂田崇典氏(以下、坂田):株式会社アイキューブドシステムズ執行役員管理本部長CFOの坂田です。どうぞよろしくお願いします。

まず、当社についてご説明します。アイキューブドシステムズは、法人向けにスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を管理するためのソフトウェアを開発・提供している会社です。2001年に福岡で創業し、2010年に現在の主力製品である「CLOMO MDM」をリリースし、CLOMO事業を開始しました。その後、2020年に東証マザーズに上場し、現在は東証グロース市場に移行しています。

当社は、CLOMO事業の成長と周辺領域のM&Aを通じて事業を拡大しています。また、既存事業とのシナジーを生み出しながら、M&Aの機会を開拓することを主な目的として、CVC投資活動を中心とした投資事業も展開しています。

MDMが注目されている背景

坂田:主力製品の「CLOMO MDM」は、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で基盤となるサービスです。具体的には、業務で使用するスマートフォンやタブレットなどを対象としています。

「CLOMO MDM」は、会社から従業員へ支給しているモバイル端末をまとめて管理・運用するために必要なソフトウェアであり、主に情報システム部門の方にご利用いただいています。「CLOMO MDM」を導入いただくことで、重要な顧客情報が入った端末を仮に紛失した場合でも、管理者が遠隔で端末をロックしたり、データを消去したりすることが可能です。

また、業務に必要なアプリを数百台や数千台の端末へまとめてインストールすることも可能です。スライド右側に円グラフをお示ししていますが、過去1年間で4割近くの企業が情報機器の紛失や盗難といったトラブルを経験しています。

重要なデータが入った端末を社外に持ち出して業務をすることが当たり前になってきた現在、このサービスの重要性は非常に高まっているといえます。

国内MDM市場15年連続シェアNo.1の達成

坂田:当社は2010年という非常に早いタイミングでMDM市場に参入し、サービスインから約15年間にわたり、国内の自社ブランドMDM市場でトップシェアを獲得しています。

なぜ現在までトップシェアを維持できているのか、当社の強みについてご説明します。MDM製品は、Apple社やGoogle社などのOSメーカーから提供された情報をもとに開発されるため、競合製品と顕著な機能差をつけることが難しいという特徴があります。そのため、当社ではサポート面での安心感や技術面での信頼性の高さを強みとして、シェアの拡大に努めています。

政府に認められたセキュリティ品質

坂田:「技術面での信頼性が高い」とはどのようなことか、スライドに一例を記載しています。2024年に、当社サービスがISMAPクラウドサービスリストに登録されました。

ISMAPとは、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスに与えられる認定資格制度で、国や自治体でも安心して利用できるサービスとして認められていることを意味します。審査基準は非常に厳しく、競合のMDMサービスのほとんどがまだISMAPに登録されていない状況です。当社では官公庁や自治体でのシェア拡大を目指しており、ISMAPクラウドサービスリストへの登録が競合他社との差別化を図る大きな強みになると考えています。

また、当社はGoogle社の「Android Enterprise Partner Program」において「Gold Partner」に認定されるなど、OSパートナーからも高い評価を得ています。技術面でも評価が高く、安心して利用できるサービスであることが、「CLOMO」をお客さまにお選びいただける大きな要因の1つになっていると考えています。

OEM提供を通じた顧客拡大

坂田:販売面では、NTTドコモグループさまへのOEM提供を通じて顧客基盤を広げています。当社は2022年からドコモグループさまへ「あんしんマネージャーNEXT」というサービスをOEM提供していますが、それ以前は競合他社が別のMDMサービスをOEM提供していました。

そのMDMサービスは、2022年以降徐々に縮小しており、2026年3月、まさに今月で終了します。そのため、これまでの3年間は当社がOEM提供する「あんしんマネージャーNEXT」への移行期間と位置づけていました。

多くのお客さまに「あんしんマネージャーNEXT」へ移行していただき、顧客基盤を拡大できています。今月はその最終月にあたり、駆け込みで移行されるお客さまも多い状況です。この駆け込み需要が第4四半期の顧客数の伸びや、来期の売上に反映されると見込んでいます。

CLOMO事業がターゲットとする市場

坂田:続いて、当社を取り巻く市場環境についてご説明します。現在のMDMの市場規模は200億円規模といわれています。DXの進展に伴ってMDMの管理対象となる端末が増加しており、年率10パーセント前後の成長を続けているマーケットです。

スマートフォンやタブレットと同様に、モバイルPCもまとめて管理したいというお客さまのニーズに応えるため、当社はPC管理の領域へ事業を広げる方針を掲げています。この資産管理市場まで事業を拡大すると、スライド図の右上に記載しているように、700億円規模の市場が見込めることになります。

なお、前期にはPC向けセキュリティ製品を開発しているワンビ社を子会社化し、新たな市場への進出に向けたサービスラインナップの拡充と販路の獲得を並行して進めています。

2026年6月期 連結業績見通し

坂田:業績についてです。スライドのとおり安定的に推移しています。2026年6月期の業績予想については、左側のグラフの売上高で45億円、右側のグラフの営業利益で11億円としています。第2四半期までの進捗率は、売上高が47パーセント、営業利益はコストが下期偏重型ということもあり、やや高めの61パーセントとなっています。いずれもおおむね期初計画どおりに進捗しています。

中期目標については、3年前に、2026年6月期、すなわち今期の売上高として50億円を掲げました。今期の業績予想は達成可能性の高い数値として実際に45億円と開示していますが、現在もM&A案件の情報収集や検討を積極的に進めており、期末まで諦めずに達成に向けて取り組んでいきます。なお、次期中期目標については、今期の結果が出た後にみなさまにご説明できればと考えています。

株主還元

坂田:最後に、株主還元についてご説明します。当社では、2025年6月期より株主優待制度を導入しています。また、上場以来継続して配当を実施しており、今期からは新たに中間配当を開始しています。期初の配当予想では、中間・期末合わせて34円を予定していましたが、昨年末に増配を決定し、年間配当は36円、配当性向は25.0パーセントとなる見通しです。

なお、当社は現在トップラインの成長を重視し、成長投資を優先するフェーズにあるので、配当性向の目標は開示していません。しかしながら、株主のみなさまへの還元については、これまでと同様に事業成長とのバランスを取りながら継続的に実施する方針です。

ここまで駆け足となりましたが、当社について簡単にご説明しました。ありがとうございました。

質疑応答:NTTドコモグループでのサービス移行後の展望について

塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands代表取締役の塩谷航平です。多くの質問があるため、途中で時間切れになる可能性がありますが、進めていきます。

まず、今月のOEM経由での顧客獲得について確認させてください。NTTドコモグループさまでサービスの入れ替えが3月に終了する予定ですが、旧サービスの提供が終了した来月以降の顧客流入ペースについて、現時点での展望を教えていただけますか?

坂田:先ほどご説明したとおり、今月で旧サービスが終了するため、最後の駆け込み需要が発生することを見込んでいます。この駆け込み需要については3月でいったん終了すると思いますが、この移行期間中に多くのお客さまを獲得することができました。駆け込み需要が終了することでその後の成長ペースは一時的に落ち着くかもしれませんが、当社が獲得した顧客基盤が重要な拡大ポイントだと考えています。

また、導入後のお客さまにおいては、モバイル端末の活用範囲がさらに拡大する傾向があります。その結果、管理台数や1社あたりの台数が増加し、それがアップセルや追加ライセンスの獲得につながる可能性が高いと見ています。この点は非常に大きなポイントだと考えています。

塩谷:駆け込み需要によって3月まで会員数が積み上がったことで、ストック収入も維持されていくという認識でよいですか?

坂田:おっしゃるとおりです。顧客数の伸びは緩やかになる可能性がありますが、当社のサービスはストックモデルであるため、獲得した顧客基盤は翌年以降の拡大につながると考えています。

質疑応答:PC資産管理市場における差別化ポイントについて

塩谷:PCの資産管理市場について、スマートフォン単体で見るよりも市場規模がさらに大きくなると考えています。国内外には既存プレイヤーがいくつか存在しますが、御社の差別化ポイントについてお聞かせいただけますか?

坂田:これまで企業におけるデバイス管理は、モバイルはMDM、PCは資産管理ソフトというかたちで分けて管理するケースが多かったかと思います。しかし、今後はモバイルとPCをまとめて管理したいというニーズが高まると考えています。

当社は、もともと外に持ち出すことを前提としたモバイル端末の管理を中心に技術を培ってきました。そのため、クラウド型のマルチOS管理や、場所を問わずに安全に管理する仕組みといった点が強みだと思っています。

現在、多くの方がリモートワークをされており、モバイルPCの普及も進んでいます。当社のモバイル管理技術はPC管理にも非常に親和性が高いと考えています。そのような意味で、PC資産管理市場については、競合するというよりも、一元管理するプラットフォームとして機能を拡張し、新しい市場に取り組んでいきたいと考えています。

塩谷:御社はMDM市場でシェアNo.1ですが、PC資産管理市場での順位としては業界で何番手くらいの認識でしょうか?

坂田:いくつか市場があるため具体的な順位は定めていませんが、これから上位を目指したいと考えています。

塩谷:MDM市場で開拓されたお客さまが、PC資産管理でも御社のサービスを利用するという展開は、現時点でも発生している認識でよろしいでしょうか?

坂田:部分的にはそうですね。当社の強みは9,000社以上の顧客基盤を有していることです。モバイルを利用している企業のうち、ほとんどはパソコンを利用していると思います。当社の入口はモバイルですが、パソコンを利用している企業に対しては、当社の子会社であるワンビ社が提供するサービスも展開できると考えています。

質疑応答:MDM市場における重要性と活用状況について

塩谷:MDM市場は御社がシェアNo.1を獲得している分野ですが、業界についてもう少し詳しくご説明いただきたいです。先ほどもご説明いただきましたが、MDMはいわゆるモバイル端末管理のことで、基本的には日本企業において必須のインフラ、すなわち大企業であれば必ず導入しなければならないものというイメージでよろしいでしょうか?

坂田:必須になっていると認識しています。DXやペーパーレス化が進展する中で、さまざまな現場で端末利用が広がっています。企業だけでなく、例えば医療機関や病院では内線のツールとして、また物流の現場では宅配業者などに、また店舗でも同様に使用されています。

端末にはさまざまな企業情報が含まれているため、適切に管理することが重要ですが、1台ずつ手動で管理することは非常に手間がかかります。小規模な企業であれば5台程度の管理は可能かもしれませんが、1,000台ともなると非常に困難です。

情報システム部門の方であればご理解いただけると思いますが、通常業務中に「新しいアプリを入れておくように」と指示を出しても、対応が難しい場合や確認できない場合があります。そのような場合に、例えば当社の「CLOMO MDM」をご活用いただくことで、夜間に設定を行い、新しいアプリをインストールするといった作業が可能です。「CLOMO MDM」をご利用いただくことで自動的に管理でき、非常に効率化が図れます。結果としてさまざまなトラブルも回避できるため、必須のインフラだと感じています。

質疑応答:ISMAP登録の効果について

塩谷:ISMAPについてです。まさに御社がこの制度を取得したところですが、競合他社でも取得している企業と取得していない企業があり、取得していない企業も多い印象です。

ご説明の中で少し触れていただいたかと思いますが、ISMAPサービスリストに登録されることで、官公庁や大企業へのさらなる導入にどのような効果があるかをあらためてご説明いただけますか?

坂田:英字で略すとISMAPですが、正式名称は「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」で、政府が定めた厳しいセキュリティ基準に基づくクラウドサービスを登録する制度になります。

なぜ当社がこうした取り組みを行っているかというと、行政機関や自治体がクラウドサービスを導入する際に、ISMAPクラウドサービスリストに登録されているかが事実上の条件となっているためです。例えば、入札の際にもISMAPクラウドサービスリストへの登録が必要で、公共分野に参入するための重要な認証制度となっています。

当社がISMAP登録を推進した意義は、大きく2つあります。1点目は、厳しいセキュリティ基準をクリアし認められたという点です。2点目は、政府や自治体への参加資格を得る、いわば入館証のような役割を果たす点です。また、ISMAPは政府向けの制度ですが、ISMAPクラウドサービスリストに登録されたことで民間企業の方々にも信頼いただき、安心して導入いただけることも利点だと考えています。

塩谷:政府向けの具体的な調達案件だけでなく、大企業へのブランディングや営業効率の向上にもつながるということですね。

質疑応答:営業利益率の中期的な見通しについて

質問者:営業利益率について教えてください。3年から4年ほど前までは営業利益率が約30パーセントまで上昇していましたが、その後減益となり、現在は24パーセントから25パーセント付近で安定しているように思います。これは高い数字だとは思いますが、今後はどのようになる見込みでしょうか?

また、先ほど話題に挙がったPC資産管理市場に参入した場合、営業利益率が下がるのではないかと懸念しています。マージンという観点で見た場合、中期的にどのようにお考えか、ご見解を教えていただきたいです。

坂田:当社の資料を数年間にわたりご覧いただき、ありがとうございます。これまで営業利益率が30パーセントを超えていた時期もありましたが、直近ではおよそ24パーセントが実力値ではないかと考えています。2025年6月期上期の営業利益率はやや高めですが、これは想定どおりであり、下期には来期に向けた投資を進めていく予定のため、通期ではおよそ24パーセントとなる認識です。

当社の目標としては、まずはトップラインを伸ばしていくという方針を掲げており、その点で努力を続けたいと考えています。一方、営業利益額も伸ばしていく方針です。M&Aを行う場合、営業利益率が若干低下する可能性もありますが、利益額や利益率を適切に維持していく方針です。

さらに、当社のビジネスモデルはストック型であるため、顧客基盤の積み上げが可能です。一度顧客基盤が構築されると、その後はストック型として拡大していきます。また、売上が伸びても費用が直線的に増えるモデルではないため、比較的拡大しやすいと考えています。

また、営業利益率の向上だけでなく、成長のための投資も重要だと考えています。収益性と成長性のバランスを取りながら、長期的に高い利益率を維持できるビジネスモデルを目指したいと考えています。

質疑応答:データ消去技術活用後の復元の可能性について

質問者:スライド左下の「強固なデータ消去技術」として「復元困難な消去が可能」とありますが、どの程度の消去を指しているのでしょうか? また、紛失時に遠隔でデータを保護して流出を防止できるとのことですが、例えば紛失したデバイスが戻ってきた際にデータを復元することは可能なのでしょうか?

坂田:「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」は、昨年からグループに加わった子会社のワンビ社が提供しているサービスです。総務省のガイドラインに準拠しているためセキュリティは非常に高く、復元が難しい状態となっていることから、戻ってきた場合でも復元は難しいと思われます。

質問者:その場合、復旧したいデータはどこかに保存されていないのでしょうか? 要するに、盗難に遭っても情報を抜き取ることができなかった場合、企業側は流出しなかったデータを再度利用したい、もしくは紛失時に確認が必要と感じる場面があると思います。特に個人情報であれば補償の問題にも関わります。そのような場合、データのキープはどのように行っているのでしょうか?

坂田:「CLOMO アドバンスドワイプ secured by TRUST DELETE」は、端末内のデータを単純に削除するだけでなく、専用の方式で上書き処理を行うことで、一般的な復元ツールなどでは元のデータを取り出せない状況にしています。

今のご質問はおそらく、「盗難後にパソコンをそのまま使えるか?」という内容と同様のご質問だと思います。例えば、パソコンが戻ってきた場合、それを初期化して再設定すれば使用することは可能です。一方で、データの保存については会社次第です。どこかでバックアップを取っていれば、それを利用して復元することはできると思います。

質疑応答:大学附属病院へのサービス展開の見通しについて

質問者:私立大学の附属病院である東京慈恵会医科大学附属病院で御社サービスが導入されていると思います。病院が付設されている大学のうち、国立が43施設、私立が43施設ありますが(※)、私立のほうが導入しやすいことから同病院で導入されたのでしょうか? それとも、今後は国立大学の附属病院にも広がっていく見通しがあるのでしょうか?

(※)大学病院施設数については質問者の調査によるものです。

坂田:現在、医療機関でのニーズが高まっています。みなさまもお気づきかと思いますが、病院では以前はガラケーが使用されていましたが、現在はスマートフォンが普及しています。NTTドコモグループさまでは今年3月で3G回線が終了するため、この状況はさらに変化していくと考えています。

そのような背景も影響し、現在は病院や医療機関でスマートフォンの導入が進んでいます。私立か国立かはあまり関係ないと思いますが、ご想像のとおり、私立大学の附属病院は比較的意思決定が早い傾向にあり、国立や公立の附属病院は意思決定に時間がかかる場合があると感じます。ただし、当社の事例では琉球大学附属病院への導入などもあり、国立病院も視野に入れて取り組んでいく予定です。

なお、国立大学の附属病院が視野に入ることで、先ほどのISMAP登録実績も大きな安心材料になると考えています。

質疑応答:医療機関でのスマートフォン導入状況について

塩谷:現在、病院でのPHSからスマートフォンへの移行がテーマになっており、足元ではPHSからスマートフォンに移行するための補助金が病院側に出ていると聞いています。御社でも、この影響による医療機関の導入増加は見られますか?

坂田:病院でも危機意識や「変えなければ」「やらなければ」というニーズが高まっていると思います。さまざまなイベントも多数開催されています。当社は、そのような医療機関向けのイベントなどにも出展し、ニーズを把握する取り組みを進めています。

質疑応答:OEM依存度の高さによるリスクについて

荒井沙織氏(以下、荒井):フリーアナウンサーの荒井沙織です。「NTTドコモグループさまなどへのOEM提供が顧客拡大に寄与していると思いますが、OEM依存度の高さによるリスクについてはどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。

坂田:NTTドコモグループさまは当社の重要な成長ドライバーの1つであり、OEM提供だけでなく、当社の自社ブランド「CLOMO」も販売していただいています。そのため、NTTドコモグループさまとの強い関係は、当社の事業拡大における大きな強みと認識しています。

MDM市場では、各ベンダーが特定のキャリアと結びついて販売してきた経緯があり、販売チャネルごとの住み分けが進んでいるため、短期間で大きなリスクが顕在化する可能性は低いと考えています。

一方で、ご指摘のとおり、特定チャネルへの依存度を低下させる取り組みも進めています。例えば、グループ化した子会社のワンビ社が持つ販売ルートは、当社とは異なり、流通商社を活用しています。同社の販売ルートに当社サービスを販売したり、ISMAP登録を通じて官公庁や自治体などにアクセスしたりするなど、販売チャネルの拡大を進め、安定的な成長につなげていきたいと考えています。

質疑応答:新規顧客獲得と既存顧客アップセルの成長戦略について

荒井:「MDM市場では『CLOMO MDM』が長年シェアNo.1とのことですが、今後の成長ドライバーは新規顧客の獲得と既存顧客へのアップセルのどちらが中心になる見込みでしょうか?」というご質問です。

坂田:どちらも重要なテーマであり、新規顧客の獲得と既存顧客へのアップセルの両方で成長を目指したいと考えています。

短期的には、新規顧客の獲得を加速させるフェーズと位置づけています。具体的には、OEM経由での販売展開を通じて、中小規模の企業でもセキュリティ意識が高まり、導入が広がっています。それに加え、教育、医療、官公庁といった新しい市場の開拓も進めています。

一方、中長期的にはストック型モデルになるため、既存のお客さまに対してPC管理やワンビ社の製品などのオプションを提案することで、アップセルやクロスセルを目指したいと考えています。

質疑応答:下期の投資計画について

塩谷:下期の営業利益率についてです。投資に備えて上期よりもやや控えめに見ているとのことでしたが、具体的にどのような投資をメインに考えていますか?

坂田:先ほどもご説明したとおり、下期に投資を予定しています。大きな点としては、認知向上を目的に、広告宣伝費や販売促進費に大きく活用すべきだと考えています。また、人材の獲得も非常に重要と認識しています。特にエンジニアや営業系の人材に対して投資を進めたいと考えています。これらが主な取り組みとなる予定です。

質疑応答:第3四半期における売上成長イメージについて

塩谷:売上の成長イメージについてです。直近の第2四半期連結決算では、売上高成長率が前年同四半期比31パーセントとなっています。これはおそらく、ワンビ社の連結部分や先ほどのOEM提供の切り替え特需が要因と認識しています。この傾向は第3四半期も続くと考えてよろしいでしょうか?

坂田:2025年6月期下期から子会社のワンビ社が連結に含まれているため、2026年12月期第2四半期までは連結部分が若干増加した印象です。ただし、第3四半期以降は前年同期の数字に連結分が含まれることから、成長率はやや減少すると考えています。方向性としては開示しているとおり、売上高は約45億円、営業利益は約11億円に着地する見通しです。

質疑応答:MDM市場シェアNo.1獲得の要因について

塩谷:「15年連続でMDM市場シェアNo.1を獲得できている要因を教えてください」というご質問です。

他社参入の障壁が高い、もしくは先行者利益が続いている要因として、どのようなものがあるのでしょうか?

坂田:いくつか要因がありますが、参入障壁は高いと考えています。当社はOSのパートナーと連携を取りながら、アップデートを早く行っています。この点でキャッチアップするのは難しいと思います。

また、自社内にカスタマーサポート部門を保有していることも大きな特徴として挙げられます。業界によっては一般的と思われるかもしれませんが、MDM業界では自社内でカスタマーサポートを提供している企業は少ないです。販売代理店や別会社がサポートを担っているケースはありますが、当社ではすべて自社でカスタマーサポートを行っています。

自社でサポートを行う利点としては、日本語でサポートを提供していることが挙げられます。外資系企業では日本語で対応することが難しい場合があり、当社独自の特徴となっています。お客さまの困りごとをタイムリーに把握し、それを基に製品の改善を迅速に行うサイクルが確立されています。

このような取り組みによって顧客満足度が向上し、継続率も高まり、結果として市場でのシェア獲得につながっていると考えています。

質疑応答:MDMの導入率と今後の成長見込みについて

質問者:MDM市場は長期化しているように思いますが、MDMの導入率はどの程度で、この先も成長が見込めるのでしょうか? 開始当初は急成長しましたが、現在は鈍化傾向にあるようです。この先さらに成長の余地があるのかについて教えていただきたいです。

坂田:駆け足でご説明した部分を補足すると、現在のMDM市場規模はおよそ200億円とされており、年率約10パーセントの成長を続けています。これは現時点での予測ですが、中堅・中小企業への導入促進が織り込まれていない点があります。

これまでは大企業を中心に導入が進んできましたが、企業全体での普及は十分とはいえません。現在は中堅・中小企業にも導入が進んできていることを考慮すると、今後は年間10パーセント以上の成長が期待できるかもしれません。

一方、モバイル端末の利用増加も成長要因です。スマートフォンやタブレット、業務専用端末など、使用されるデバイスの種類も増加しています。この観点からも利用企業やデバイスの増加が期待され、今後も成長余地は十分にあると考えています。

質疑応答:投資事業の投資対象拡大について

質問者:投資事業についておうかがいします。現在の累積投資社数は9社とのことですが、御社事業と親和性の高い企業が中心であり、地場である九州での活動に制限されている印象を受けます。一方、対象を全国に広げることで、事業としての収益性の拡大につながる可能性があるのではないかと考えています。この点について、将来的にどこまで広げるお考えでしょうか?

坂田:ご指摘のとおり、当社と親和性が高く、分野が近い企業を中心に、累積で9社に投資していますが、それに限らず情報収集を行っている状況です。また、九州にフォーカスしているものの、九州の企業に限定していません。

例えば、セキュリティなど、当社事業に近い分野を見ていますが、事業上直接関係がなくても、九州の企業であれば応援する余地はあると考えています。また、九州に限定せず、さまざまな地域に広げていきたいとも思っています。戦略的な視点を持ちながら、現在のポートフォリオのバランスも考慮して投資を進めていきたいと考えています。

質疑応答:MDM市場の年平均成長率の前提について

塩谷:MDM市場について、年率約10パーセント成長というお話がありましたが、この「10パーセント」は、中小企業が導入を進めない前提と理解してよろしいでしょうか? また、上振れる可能性があるというニュアンスでしょうか?

坂田:現時点でのMDM市場の年平均成長率は約10パーセントです。ただし、市場予測はその時々で変わる可能性があります。仮に中小規模の企業が導入を進める場合、市場予測が変わる可能性もあるというニュアンスです。

質疑応答:2026年6月期第3四半期以降の売上成長イメージについて

塩谷:売上の成長イメージについてです。2026年6月期第3四半期以降は、ワンビ社の売上増加影響が剥落し、御社のオーガニックな成長度合いがより強くなると考えています。3月までのOEM提供の駆け込み需要については、引き続き第3四半期・第4四半期、来期も継続する認識でよろしいでしょうか?

坂田:ご指摘のとおり、ワンビ社の売上増加分は徐々に収斂していきますが、現在ある駆け込み需要のお客さまは、来期以降当社の強みとなります。現在9,000社以上の顧客基盤を保有していますが、今後も増加が見込まれます。それに伴って導入される端末数も増える可能性があるため、その点も含めてしっかりとご提案していきたいと考えています。

質疑応答:今後重視するKPI指標について

塩谷:「導入企業は9,000社以上、継続率は97パーセントとのことですが、今後さらにARRを加速するために、KPIとして最も重視している指標は何でしょうか?」というご質問です。

坂田:導入法人数をさらに伸ばしていきたいと考えています。これまでは大企業が中心でしたが、中堅・中小企業の導入も増加しています。そのため、新規顧客の獲得が短期的には重要だと考えています。

質疑応答:MDM市場における価格トレンドについて

塩谷:「MDM市場で競合が増えている中で、足元では価格競争が強まっていると感じていますか?」というご質問です。

単価のトレンドについて、やや値下げ圧力があるのか、それとも価格改定余地があるのかという内容です。

坂田:現時点での値上げもしくは値下げの予定はありません。当社の認識としては、大きな価格競争は起きていないと考えています。理由はいくつかありますが、一度MDMを導入すると、社内の端末設定や業務フローが仕組み化されるため、単純に価格だけで選ばれる状況ではないと考えています。

また、当社の場合、例えばマルチOS対応や国内での電話サポートといった付加価値をご評価いただいていると認識しています。そのため、極端な値下げ圧力は起きていないと考えています。

坂田氏からのご挨拶

坂田:本日はご参加いただき、ありがとうございました。本日ご説明したとおり、事業成長を進めるとともに、株主のみなさまにしっかり還元できるよう努力していきます。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:現在はMDMが主力ですが、PC資産管理などの新領域へ拡張することで、売上構成は将来的にどのように変化していく想定でしょうか?

回答:PC資産管理市場への進出に関しては、Windows PC向けの情報漏洩対策製品に強みを持つワンビ株式会社を子会社化したことで、同社製品(「TRUST DELETE」)の売上が連結業績に加わるとともに、両社の販路の共有やクロスセルを進めています。しかし、既存のCLOMO事業(MDM)ついてもOEM提供の加速などにより成長投資を進めている段階であり、また新たなM&Aや新規事業についてもさまざまな選択肢を検討・模索している段階です。そのため、将来の事業ポートフォリオを現時点で具体的にお示しするのは難しく、開示を差し控えます。

<質問2>

質問:MDM市場の拡大の中で、御社のシェアはどこまで伸ばせる想定でしょうか?

回答:当社は、中長期的な目標として、国内MDM市場(自社ブランド市場)においてシェア40パーセントの獲得を目指しています。

2025年12月時点では、当社は15年連続でシェアNo.1を達成しており、現状で約21パーセント程度のシェアを獲得しています。具体的な達成年度の目途はお示ししていませんが、この目標に到達できるよう、NTTドコモグループ様とのパートナーシップ等を通じた売上成長とシェアの拡大に努めています。

<質問3>

質問:「CLOMO」の解約率やネットリテンションについて、お答えできる範囲で教えていただけますでしょうか?

回答:当社の事業KPIである継続率は、直近の2026年6月期第2四半期末時点において97.6パーセントと高い水準を維持しています。この数値は直近12ヶ月の解約をもとに算出した年間ベースの指標であり、月次解約率に換算すると約0.2パーセント程度となりますので、解約は低い水準で推移していると認識しています。

なお、主な解約理由としては、携帯キャリアの変更であり、その際に変更先の携帯キャリアに紐づくMDM製品に切り替えるため、解約となるケースがあります。携帯キャリアの変更は頻繁に発生するものではないため、解約の発生頻度が低いという特徴があります。さらに、自社内に設置したカスタマーサクセス部門にて、定期的な顧客面談や操作セミナーなどのカスタマーサクセス活動を推進していることも、高い継続率の維持に繋がっているものと認識しています。

ネットリテンションについては、KPIとして具体的な数値は開示していませんので、回答は差し控えます。

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