無線の発展と当社無線システム事業の沿革
鈴木昭氏:代表取締役セーフティ&セキュリティ分野責任者の鈴木です。無線システム事業の理解を深めていただくために、業務用無線の成り立ち、市場環境、主な特長についてご説明します。
上段は、業務用無線の出発点となる電磁波について記載しています。1860年代にマクスウェルによって電磁方程式が提唱され、周波数の単位となったヘルツは、1888年に電磁波の実証を進めました。さらに、1894年にはマルコーニによる無線電信の実用化が行われました。
当社の創業事業であるアマチュア無線に関しては、1926年に日本でアマチュア無線連盟(JARL)が発足しました。2026年はJARL発足100周年、つまりアマチュア無線の100周年となります。
そのような中で、業務用無線システムは、当初北米を中心に軍事通信が発展してきました。
下段には、当社の無線システム事業の歴史が記載されています。1946年に有限会社春日無線電機商会として設立され、高周波向けのコイルから事業を開始し、チューナーやHF受信機の製造にも携わりました。そして、1983年に米国の業務用無線事業へ参入しました。
その後、各種端末の開発・販売を継続し、2001年にはP25規格に対応したデジタル無線機を導入しました。このP25規格は北米の公共安全向けデジタル無線機の規格に基づいたものです。
2007年には、民間市場向けの「NEXEDGE」という商品を導入しました。この商品は、NXDNというデジタルプロトコルを採用しています。
以降、当社は業務用無線の市場で各種商品ラインアップを整え、2014年にはEF Johnson Technologies, Inc.(以下、EFJT社)を連結子会社化しました。EFJT社は、主に公共安全向けのビジネスを展開している事業会社です。
当社は、1983年の業務用無線事業への参入以降、民間市場で一定のステータスとプレゼンスを確保してきましたが、さらなる拡大を目指すために公共安全市場へ参入することを決定し、その一環としてEFJT社を子会社化しました。
2018年には、Radio Activity S.r.l.の連結子会社化およびTait International Ltd.との資本業務提携を開始しました。この提携は、主に世界中で普及しているDMRという民間市場向けプロトコルの商品ラインアップ強化を目的としています。
直近では、2023年にP25デジタル無線機「VP8000」を導入しました。スライドの写真にもあるこの無線機は、「トライバンド」と呼ばれる機能を備えており、警察、消防、救急といった公共安全分野でそれぞれ異なる周波数バンドをシームレスにつなぐことが可能です。この革新により、公共安全市場でのシェアが大きく拡大した状況です。
2024年から2025年にかけては、当社ではハイブリッド市場と位置づけている、ブロードバンドとナローバンドを統合した新しい市場へ進出します。その一環として、2024年にはサイエンスアーツ社との資本業務提携契約を締結し、また2025年には米国のSan Luis Aviation, Inc.(以下、SLA社)を完全子会社化し、今年度末にクロージングを迎える計画です。この2社を通じて、IP無線の領域に参入し、事業拡大を図ります。
主な製品年表
主な製品年表です。上段は業務用無線です。1983年の導入当初は車載機からスタートし、その後、携帯機も含めて商品ラインアップを拡充してきました。直近では2023年に「VP8000」シリーズを投入し、さらに2025年には「VM8000」という車載タイプのP25無線機を発売しました。これにより、商品ラインアップが大幅に強化されています。
下段は創業事業であるアマチュア無線です。1946年以降、アマチュア無線事業でも幅広い商品ラインアップを展開し、全世界の人々から高い評価を受けています。現状、2010年以降はフラッグシップモデルであるHFトランシーバー「TS-990」「TS-890」と商品ラインアップを揃えています。
当社が米国の業務用無線市場に参入し、ここまで成長を遂げてきた背景として、業務用無線のお客さまの中に多くのアマチュア無線家がいたことが挙げられます。そうしたアマチュア無線家の方々から、KENWOODブランドの製品を高く評価いただいていることが、業務用無線市場へのスムーズな進出につながったと考えています。
なぜ北米で発展したか
現状、当社の無線システム事業の売上の約8割が北米に集中しています。なぜ北米で発展したのかについては、まずは地理的要因があります。広大な国土において都市間距離が非常に長い中、どのような通信網が必要かが重要な課題でした。
また、固定電話網はインフラ構築に非常に高いコストと多くの時間が必要であり、遠距離通信のニーズが高まりました。この広大な国土で移動しながら広域で通信できる唯一の手段として、業務用無線が即時通信の手段として広がった背景があります。
さらに、技術の進化もこの普及を後押ししました。中波や短波で数十キロメートルから数百キロメートルの通信を行う技術から進化し、現在ではプライベートシステムとしてセル方式と呼ばれるVHF/UHF帯が導入されています。これらは周波数が高いため、比較的都市部や近距離での通信を高品質で行えることから、現在最も普及している領域です。
このように、広大な国土を背景に、公共安全や産業活動の基盤を支える必須インフラとしての業務用無線が北米で発展してきた経緯があります。
業務用無線システムとは
こちらについては以前からご説明していますが、スライド左に「自営網である」「多くの自治体がプライベートシステムを構築している」と記載のとおり、プライベートシステムは通信を確実に担保するため、各カウンティ(郡)やタウン(町)、シティ(市)が独自のシステムを構築しています。
また、中継器をビルやアンテナなどロケーションの良い場所に設置し、広範囲なカバーエリアを確保しています。
さらに、携帯網とは異なり、プライベートシステムは災害時にも非常に強く、停電があってもバックアップ電源によってシステムダウンを防ぐことができます。特に当社が展開している「ATLAS」という中継システムはこうした特長を持ち、北米ではトルネードなどの災害が発生しても稼働を続けており、高い評価を受けています。
この中継器を利用した広範囲のプライベートシステムを安定的に稼働させるシステムを提供している状況です。
【イメージ】業務用無線システムのカバレッジ
こちらは無線通信のイメージです。中央から徐々に色が薄くなっていますが、これは距離が遠くなるほどカバーエリアや通信距離が厳しくなることを表しています。しかし、隣の通信ネットワークとIPで接続することで、カバーエリアを拡大していくことが可能です。
P25規格の成り立ちとデジタル移行
P25は、北米の公共安全向けデジタル規格です。2000年以降、携帯電話の普及に伴い周波数が枯渇してきた中で、アナログからデジタルに移行することで周波数の有効活用を図る動きがありました。
1979年当初、公共安全用の通信手段としてP16というアナログ規格が使用されていましたが、その後、P25のフェーズ1によりアナログからデジタルへの切り替えが進められました。また、2001年の9.11事件を契機として、P25準拠の無線システムへの移行が加速しました。
さらに、2009年頃から民間市場でナロー化が始まり、2012年頃にはP25のフェーズ2として一層のナロー化への移行が開始されました。これに伴い、製品の買い替え需要が周期的に発生しています。
スライドにはデジタル化のメリットが記載されていますが、特に秘話性の向上や通話カバレッジ範囲の拡大が挙げられます。IP接続によりネットワークが広範囲に拡大するという特長があります。
市場環境
市場環境です。長期的にはブロードバンド領域が拡大していくと考えられますが、ナローバンドシステムは社会インフラの一部として安定的な市場を形成しています。
スライド下段のグラフをご覧ください。2024年のナローバンドの公共安全市場と民間市場を合わせた規模は約10.6ビリオンドルと予想されています。この市場は、2030年には上段の薄い青で示されたハイブリッド市場を加えることで、17.7ビリオンドルにまで成長し、約1.7倍となる見込みです。
このような分野において、私たちの主戦場とする対象市場を広げ、事業拡大を目指しています。
本資料における市場区分と主な通信規格(プロトコル)
こちらのスライドは参考資料としてご覧いただければと思います。
公共安全分野ではデジタル規格としてP25があり、これは北米を中心に展開されています。我々はこの分野に成長投資を行い、拡大を図る計画です。
一方で、欧州・アフリカ、中国、アジアではTETRA、TETRAPOL、PDTといった規格が採用されていますが、これらについてはまだ参入していない状況です。
民間市場におけるデジタル規格にはDMR、NXDNなどがあります。DMRはモトローラ社が導入しているプロトコルで、NXDNは当社とアイコム社が共同開発したデジタル規格であり、多くのユーザーに利用されています。アナログは全世界で利用されています。
いずれにしても、これらの中で大きく伸びているのはP25とDMRとなっています。
当社ターゲット市場とその規模(全世界、2024年)
当社ターゲット市場とその規模です。先ほどのプロトコルを含むナローバンド領域における民間市場の市場規模は約4.5ビリオンドルです。
スライド中央に記載されている公共安全市場は、P25やTETRAを含めて全世界で6.1ビリオンドル、また、先ほど触れたIP無線の領域は、ハイブリッド領域として約1.7ビリオンドルといった規模になっています。
地域別市場規模(2024年, US$billion)
地域別市場規模です。私たちの現在の主戦場は北米で、民間市場や公共安全を含めて約45億ドルの規模となっています。ここでシェア10パーセントを取ることが、私たちの最大の戦略課題です。
市場は欧州、日本にもありますが、北米が圧倒的に大きな市場です。ただし、北米一辺倒ではなく、欧州やAPAC(アジア太平洋地域)、さらには国内を含めて、地域戦略を今後進めていく必要があると考えています。
業務用無線システムの特長①
業務用無線システムの特長です。以前から何度かご説明しているとおり、業務用無線は携帯電話やスマートフォンとは異なる優位性があります。特に、有事や災害時に強いという点です。携帯電話の公衆回線網はシャットダウンすると使用できなくなる一方で、業務用無線の中継器を利用したプライベートシステムでは広域のカバーエリアを確保できます。
また、自営でオペレーションすることも可能です。
高品質で堅牢性が高いことも特長の1つです。災害時を含め、非常に堅牢性が要求される環境で使用されることが多いため、これは必須条件と言えます。
次に、低遅延です。安心・安全、人命に関わる通信手段を提供する以上、遅延は可能な限り少ないことが求められます。業務用無線のナローバンドにおいては、非常に低遅延の通信を担保しています。
最後に、一対多数の即時通話が可能である点です。これが他と大きく異なる特長で、多くの人に対して一斉に指令を発することができます。
【事例】堅牢性
事例を紹介します。米国で大寒波が発生した際、ミシガン州で消防隊員が稼働している地域において、豪雪により無線機が雪に埋もれて凍結したものの、問題なく動作したとのお礼のメールをいただきました。
当社の無線機の動作保証温度範囲は、マイナス30℃からプラス60℃までです。実際にはこれより若干広い範囲で使用可能ですが、当社の無線機器が安全に関わる業務に携わる方々の通信を担保できたことは、非常に喜ばしいことだと感じています。
業務用無線システムの特長②
業務用無線システムの特長を、通信距離やエリア、安定性、使用温度範囲、セキュリティ、導入・運用コストの各項目で携帯電話網や衛星通信網と比較しています。
業務用無線は特に安定性や通信の確保に優位性があります。また、携帯電話網も非常に広範囲をカバーしていますが、業務用無線は必要な領域でプライベートシステムを構築し、確実な通信を担保するという点で、同等のエリアを確保できると考えています。
業務用無線システムの特長③(機能)
機能面での特長比較です。データ通信、低遅延、1対多数の即時通話、堅牢性といった観点で評価すると、データ通信に関しては、携帯電話などブロードバンド通信のほうが大量のデータを扱うことが可能です。音声通信を主体とする業務用無線においては、このデータ通信では若干劣ると考えられます。ただし、現在利用されているお客さまの音声主体の通信では、まったく問題ない状況です。
ここまで、業務用無線の成り立ちや市場環境の主な特長についてご説明しました。無線システム事業の詳細は佐藤からご説明します。
事業別売上構成比(2024年度)
佐藤勝也氏:それでは、無線システム事業部長の佐藤から、無線システム事業の詳細をご説明します。
こちらのスライドは、2024年度のJVCケンウッドグループ全体の売上を示しています。そのうち右半分の青色の部分が、M&T(モビリティ&テレマティクスサービス)分野、車載製品関連です。売上の約55パーセントがこの分野となっています。
無線システム事業は、左下に記載されているS&S(セーフティ&セキュリティ)分野に含まれます。この分野は全体売上の約27パーセントを占めており、そのうち無線システムは全体売上の約20パーセントとなっています。
左上に示されているのはES(エンタテインメント ソリューションズ)分野です。写真にあるように、プロジェクターやイヤホン、ヘッドホンなどとエンタテインメント関連製品で、全体売上の約16パーセントとなっています。
成長牽引事業、利益創出ドライバー
こちらは過去の事業利益の推移です。無線システム事業の事業利益の構成比は、2023年度および今期2025年度の見込みにおいても全体の70パーセント以上を占めています。そのため、当社は当事業を利益創出のドライバーと位置付けています。
無線システム事業に関わる主な拠点
こちらは無線システム事業に関わる主な拠点です。現在、私たちがいるのは日本の横浜市神奈川区で、こちらが本社となっています。
開発を伴った販売を行っている事業会社が2つございます。まず、右側にあるのは、先ほど鈴木からも名前が挙がったEFJT社で、テキサス州アービングに所在します。こちらではインフラ系の開発と販売も行っています。少し重なっていますが、オレンジ色のマークの場所としてネブラスカ州リンカーンに、「VP8000」などの端末の開発を担う部門があります。
左側は、イタリアのミラノに所在するRadio Activity S.r.l.で、DMR対応のレピーターの販売および開発を行っています。
当事業には2カ所の主な生産拠点があります。1つ目は、山形県鶴岡市にあるJVCケンウッド山形です。こちらはメイド・イン・ジャパンで、EFJT社向け、特に公共安全システム端末の生産を担っています。
もう1つは、マレーシアのジョホールバルに所在するJVCKENWOOD Electronics Malaysia Sdn. Bhd.です。画面下部に緑のマークで示されています。こちらでは、全世界向けの端末、レピーター、およびアクセサリーを生産しています。
当社の強み
当社無線システム事業の強みです。全部で4点あります。
まず図の左上に記載のとおり、先ほど鈴木が述べたように、100年以上の歴史を持つEFJT社と、JVCケンウッドの無線事業は1980年から市場に参入しており、約50年の業務用無線の歴史があります。
この歴史を基に、図の右上にあるように、アメリカの民間市場および公共安全市場においては、基本的に代理店を有し、約800のネットワークが現在稼働しています。
また、高い堅牢性を有しています。当社は後発で参入しているため、図の左下にあるとおり、カスタマイズ対応を通じて信頼を獲得しています。
図の右下においては、ノイズキャンセリングを例に挙げています。約20年にわたり世界最高峰のモータースポーツにおいて無線機を供給していた実績があり、ノイズキャンセリング技術を用いて騒音下でもクリアな音声の送信を可能にするシステムを開発しています。
導入実績の一例(公共安全市場)
公共安全市場の主な導入事例です。当社は「VP8000」「VM8000」を2023年度に導入しましたが、ここで挙げられている各システムでは、トライバンド(VHF、UHFと700/800メガヘルツの3つの周波数帯)を有する製品が案件の獲得要件となっているケースがあり、そのような案件を獲得できるようになりました。
スライドには主な案件名が記載されていますが、1案件あたり10ミリオンドルを超えるような大型案件を獲得できるようになっています。
また、国務省や世界各地域の米国大使館においても当社の無線機が導入されています。さらに、台湾の台北市警察にも導入実績があります。
導入実績の一例(民間市場)
こちらは民間市場の主な事例です。特筆すべきは北米の鉄道会社です。北米の鉄道で使用されている無線機における当社のシェアは90パーセント以上で、非常に多くのお客さまにご利用いただいています。
他にも、電気、ガス、水道といったユーティリティや、ホテル、カジノ、野球場、競馬場など、さまざまな場所で使用されています。
無線システム事業の業績推移
業績の推移です。左側のグラフには過去10年間の売上収益と事業利益率を示していますが、ここ数年、「VP8000」の導入以降、非常に高い事業利益率を確保しています。右側のグラフにありますとおり、特に北米の売上が約8割を占める状況です。
成長要因
成長の要因です。まず、各国が危機管理対応に予算を大きく投入したことにより需要が拡大し、特に北米で大きな利益を出すことが可能となりました。
2番目の参入障壁については、先ほど来述べているインフラやエリアをカバーするシステムを供給できるメーカーは、現時点で数社に絞られています。
今後この市場に新たに参入するには、無線機の開発やインフラの開発が必要であり、非常に高い参入障壁があると考えています。残された数社の中でシェアを獲得していくことが、我々のミッションとなります。
最後に3番目の商品力ですが、「VP8000」の導入以降、商品力が強化され、業績が非常に好調になった状況です。
2024年 当社シェア
当社のシェアです。左側のグラフで示した2024年度におけるグローバルの業務用無線市場では、民間・公共を合わせた当社のシェアが4.8パーセントとなっています。
続いて中央のグラフに示した北米公共安全市場ではシェアが6.4パーセント、その下に小さく括弧書きで4.4パーセントと記されていますが、これは2023年度との比較を示しています。EFJT社の成長により、北米公共安全市場におけるシェアは約2パーセント伸びています。
右側のグラフに示した民間市場におけるシェアは、2023年度の比較で若干減少しています。この要因として、2021年から2022年にかけて発生した半導体不足の影響が挙げられます。
この時期には非常に大きな受注をいただいており、2023年度はその受注残が多く残っていたため、出荷が好調に推移しました。その結果、2024年度は若干目減りしましたが、約6.5パーセントのシェアを獲得しました。
中長期的な基本戦略
無線システム事業部の中長期的な基本戦略です。現在のナローバンド市場は、大幅に縮小することもなく安定しています。
そのため、この分野に注力し、特に公共安全市場でのシェア拡大を目指しています。売上高については、北米のP25市場において400ミリオンドルを達成することができれば、シェア10パーセントが視野に入ります。また、グローバルの民間市場においても、現在の6.5パーセントというシェアを10パーセントに引き上げることが我々の戦略です。
一方、新たに参入可能となったハイブリッド領域については、サイエンスアーツ社への出資やSLA社の買収を通じて、この領域への参入を進めていきます。
地域戦略については、現在北米での売上が8割を占めるため、他地域、特にDMRを中心としてシェアと売上を伸ばしていきたいと考えています。
最後に非常に重要な点として、昨今のメモリや半導体不足といったさまざまな外部要因により、部品供給において非常に厳しい条件が重なっています。そのため、サプライチェーンの強靱化を図り、特にクリティカル部品で入手が困難なものについては、数社購買を行うなど対応を進めています。重要サプライヤーとの連携を強化し、安定供給を依頼していきたいと考えています。
人員増強や製品ラインアップの拡充
2030年度に向けた無線システム事業の目標です。2030年度には売上1,200億円を目指します。その中で、EFJT社は案件獲得に向けた人員増強を進めるとともに、社内でも当事業へリソースをシフトするなど、前期から人員の増強を進めています。
北米公共安全市場における案件獲得までの仕組みと取り組み状況
先ほど、公共安全市場における案件をいくつか紹介しましたが、あのようなシステムの入れ替えは大きく案件が増加しています。具体的には、アメリカ国内には数千件のシステムがありますが、それらのシステムは約10年から20年周期で置き換え需要が発生します。
EFJT社では、これらの案件に対して入札が可能かどうかをまず認識し、案件を分析した上で入札、応札を進め、最終的に受注につなげます。認識できる案件数の増加と応札可能な案件数の拡大を目指し、人員増強を進めていきます。
北米公共安全市場向けビジネスモデル(受注~売上)
こちらはデラウェアカウンティ(デラウェア郡)でのビジネスモデルを示しています。受注から売上まで、約20年弱の契約期間があります。入札・案件獲得後、現地調査をし、サイトを建設し、その後無線機を供給し、最終的に設置が完了するまでに約3年から7年の期間を要します。
その後、サービス・メンテナンスの契約を結びます。デラウェアカウンティ(デラウェア郡)の事例では、1件あたり約40ミリオンドル規模の契約となり、この金額を十数年にわたって支払っていただくというビジネスモデルです。
こちらは、案件数が増加することで、後半の10年以上にわたるサービス・メンテナンスの売上が安定的かつ継続的な収入の確保に繋がるビジネスモデルです。
IP無線(ハイブリッド領域)への本格参入
こちらは、IP無線の本格参入に向けて今後取り組む内容です。「ESChat」は、SLA社のアプリケーション名です。このアプリケーションは、スマートフォンやタブレットにインストールするものとなっています。
写真の左から3つが、iPhoneやその他のスマートフォンです。右から2番目は、スマートフォンタイプのうち、落下に強く堅牢性がある業務用向けのものです。
今後は、右端にある「VP8000」に「ESChat」のアプリケーションを取り込むことで、無線機でありながらLTEなどの携帯網を利用した商用回線にも接続可能にする取り組みを進める予定です。このような案件が増加していることから、今後もこれらの取り組みを推進していきたいと考えています。
ESChatを梃子としたチャネル拡大
先ほど述べた案件ですが、さまざまな案件の中には、LTEで通話が可能になるといった要件も今後含まれてきます。今後、新製品を導入しながらこれらに対応し、先ほどの案件の獲得数を増加させていきたいと考えています。
ハイブリッド領域における事業拡大のシナリオ
今後の事業領域のシナリオです。特に北米ではSLA社を中心にIP無線の展開を進めていきます。同じく国内では、サイエンスアーツ社が「buddycom(バディコム)」というアプリケーションですでに大きなシェアを取っていますが、国内無線向けに新商品を導入することで、国内のIP無線市場にもこれから参入していきます。
右側の図にあるように、先ほど約10ビリオンドルと17ビリオンドルという話がありましたが、下のナローバンド市場プラスハイブリッド領域、この赤く囲んだ部分に、今後当社は参入していきます。
北米公共安全市場における2030年度目標
我々はKPIとして売上収益を設定しており、現在の売上は約800億円程度ですが、2030年度には北米公共安全市場において約400ミリオンドルプラスアルファの売上を目指しています。
また、繰り返しになりますが、市場シェア10パーセントを目標に進めていきます。
成長投資の促進
最後は、成長投資の促進についてです。前述のように、オーガニックな成長に加えてインオーガニックな成長も視野に入れ、今後は北米およびそれ以外のグローバル市場で成長を進めていくため、他社との協業や一部M&Aを含めた投資を行い、目標である1,200億円を達成したいと考えています。
Q&A
質疑応答に関してはこちらに掲載されています。