米国株は、政治不安や為替リスクが意識される中でも、企業利益の成長や過去データから中長期的な上昇余地があると見られます。中間選挙の年特有の相場の季節性や小型株への資金流入などを踏まえ、調整局面を活用した長期積み立て投資の重要性を岡元兵八郎氏が解説します。(※2026年2月5日収録のマネックス証券YouTube動画に基づく内容です)
【2026年米国株は危ない?】S&P500などの米国株は中間選挙の年にどんなシナリオが考えられるか?
岡元兵八郎氏:マネックス証券のハッチこと岡元兵八郎です。
トランプ大統領が就任して1年が過ぎました。最近の米国の報道を見ると不安になりませんか? ベネズエラ大統領夫妻の拘束、力ずくでのグリーンランド買収の試み、移民問題による国内混乱など、不安を煽るニュースが多いにもかかわらず、米国株は上がり続けています。
冷静に考えると、米国には戦争、関税、政治的混乱といった「怖いニュース」が突然出てくることが多く、加えて「米国株は割高だ」という意見もあります。
しかし、僕は今年、かなり高い確率で米国株が上がると考えています。なぜ米国株は今年も上がると考えるのか、その理由をデータとロジックでわかりやすくお話しします。
現状の整理:不安と好調が入り混じるマーケット
現状の整理をすると、米国は景気後退や金融危機がなく、企業業績は過去最高水準にあります。しかし、現状のマーケットの不安要素は、「次にトランプ氏が何を言うのか?」という政治的な不確実性です。
また、もう1つの不安要素として、日本人投資家にとっての米国株投資のリスクである為替問題が挙げられます。
為替リスクは長期投資の決定的な障壁にはならない
では、為替についてどこまで心配する必要があるのでしょうか? 金融業界での40年ほどの経験から、僕は為替ほど当てるのが難しいマーケットはないと考えています。
そこで注意してください。為替のマーケットではさまざまな意見があるため、投資家は自分の考えを持たないと振り回されてしまいます。では、為替をどう捉えたらいいのでしょうか?
こちらのスライドでは、S&P500の1990年以降の円建てトータルリターンを年次ベースで示しています。まず注目すべきは、円建てでもS&P500がプラスになる確率は約74パーセントに達しているという点です。つまり、4年のうち約3年は、為替込みでも資産が増えているという計算になります。
さらに重要なのは、この期間には強烈な円高局面が複数含まれていることです。
例えば、1990年から1995年にかけて、1ドル160円台から80円台まで下落しています。また、1998年から2011年にかけて、147円台から75円台へと歴史的な円高が進みました。それでもなお、S&P500の円建てリターンは長期的にプラスを維持しています。
加えて、保有期間を伸ばしていくと、結果はさらに安定します。最悪の場合でも、15年間保有していくとS&P500はすべてプラスのリターンとなっています。
為替は短期的には変動要因となるものの、長期投資の観点からは、決定的なリスクにはなりにくいということです。それにもかかわらず、「為替が怖い」という理由だけで米国株投資を避けてしまうと、結果として大きな上昇機会を逃がしてしまうケースは少なくありません。
したがって、長期の積み立て投資を前提にするのであれば、為替の短期変動に過度に振り回される必要はないと考えています。
株価の原動力は企業利益の成長
株式投資で最も重要なことは、「株価=企業利益」という考え方です。原則として、企業の業績が向上すれば株価も上がるのです。
例えば、S&P500のEPS(1株あたりの利益)成長率は、2025年は前年比プラス13パーセントになると予想していますが、2026年は前年比プラス13.6パーセント、2027年は現時点では前年比プラス15.4パーセントで増益予想となっています。
つまり、企業はしっかりと利益を上げているため、中期的に見れば株価は上がる力のほうが強いと思っています。
S&P500について、僕は今年7,700ポイントまで達するシナリオをメインで考えています。その根拠は、来年の予想EPSである357ドル40セントのおよそ21.5倍まで買われるという見込みがあることです。
一方で、「米国株はバリュエーションが高い」という見方もあります。しかし、今年、来年、翌年と2桁成長が見込まれ、加えて、米国では利下げが進行中です。株価の上昇がここから継続しても何の不思議もないと考えています。
「1月バロメーター」から読む今年の相場リズム
米国株に関する非常に有名なアノマリーである「1月バロメーター」について、データを使って整理していきます。
米国市場には、「1月バロメーター」という経験則があります。これは、年初1月の値動きが、その年1年間の方向性を示唆するという考え方です。
今回は、1930年から2022年までの長期データを使い、中間選挙の年で、かつ1月のS&P500がプラスで終わった年に限定して調べてみました。
結果は非常に興味深いものになっており、年間平均リターンはプラスの9.34パーセント、中央値だとプラス13パーセント、その年間がプラスで終わった確率は57パーセントでした。つまり、1月が好調な年は統計的にも年間を通して強くなりやすいと言えます。
ただし、「1月バロメーター」が示す年間を通した市場のリズムは、1年を通してずっと右肩上がりになるわけではありません。実は、年の途中には明確な弱い時期(調整局面)が存在します。まず、2月から3月の平均リターンはマイナス0.95パーセント、上昇確率も50パーセントと五分五分です。つまり、春先はやや調整が入りやすい時期です。
その後、4月から6月の第2四半期は比較的安定して、マーケットは落ち着きを取り戻します。
ところが、次に訪れる第3四半期は鬼門です。平均リターンはマイナス0.21パーセント、上昇確率は57パーセントに低下します。中間選挙の年は政策の不透明感や政治リスクの高まりで、投資家がポジションを軽くする傾向があるため、どうしても選挙前に慎重ムードになりやすいことが原因です。
しかし、選挙が終わると不確実性が一気に後退します。投資家心理が改善して資金が戻ってくるため、10月から12月の第4四半期は上昇確率がなんと79パーセントと、年間で最も強い時期となります。
1月が強いと春に調整が起き、初夏には安定し、夏から秋にかけて再び不安定になり、選挙が終わったあとには年末ラリーがやってきます。これが長い米国株の歴史の中で繰り返されてきた、中間選挙の年の典型的なマーケットのリズムなのです。
投資戦略としては非常にシンプルです。春や夏の押し目はむしろ仕込み場と捉え、年末に向けてリスクオンで臨みます。短期的なノイズに振り回されず、季節性という統計的な優位性を味方につけることが重要です。
市場の裾野に広がる健全な兆候:小型株への資金流入
米国株式市場では、今年に入ってこれまでとは異なる変化が起きています。これまではメガキャップを中心に大型株が市場を牽引しており、資金が集中し、大型株のリターンが小型株を大きく上回る展開が続いてきました。
例えば、小型株指数のひとつであるS&P1000の過去10年間のパフォーマンスを見ると決して悪くありませんが、S&P500などの大型株指数と比べるとリターンは相対的に良くないため、長らく大型株優位のマーケットが続いてきました。
ところが最近、この構図に変化が起きています。昨年末からのS&P500とS&P1000の相対的なパフォーマンスを比較すると、直近ではS&P1000のパフォーマンスがS&P500のパフォーマンスを上回るという展開が見られています。
小型株にはバリュエーションの面から見ても歴史的に割安感があります。小型株指数であるS&P1000は、2010年以降の平均PERが20.3倍で、これが長期的な標準水準と言えます。それに対し、昨年末時点ではPER19.3倍と、すでに平均をやや下回っていました。
さらに、今年の予想EPSベースで見るとPER16倍、来年にはPER14倍となり、そして2028年にはPER約13倍まで低下していく見通しです。
このように割安な小型株が買われマーケットの裾野が広がることは、相場の上昇がより多くの銘柄に波及していることを意味しており、非常に健全な状態だと言えます。
リスクとの向き合い方と結論
そのようなマーケットですが、リスクがないわけではありません。最初に触れたトランプ関税や地政学的なリスク、突発的なニュースなどを受け、短期的な暴落は必ず起こります。しかし、歴史的に見ると下げ相場は回復し、さらに高値を更新してきました。つまり恐怖は一時的、成長は永続的と言えると思います。
つまり結論はシンプルで、相場の上げ下げを予想しないこと、すなわちタイミングを読まず、淡々と積み立てることが大切です。暴落や円高は安くたくさん買える「株のバーゲンセール」だと思ってください。
米国の企業は成長を継続しています。米国株は長期的に上昇するものであり、その過程で調整はつきものです。為替はリスクであり、同時にリターンにもなることを覚えておいてください。
僕は今年も、米国株を中心とした外国株の投資信託の積み立てを継続します。それは「マーケットに居続けた人だけが最終的に勝つ」と信じているからです。みなさまも僕と一緒に、淡々と資産を積み上げていきませんか?
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資産形成 成功の秘訣
資産形成の成功の秘訣として、毎回お見せしている要点をスライドにまとめています。大切なのは、「できるだけ長期で投資を行うこと」「定時、定額で投資を行うこと」「マーケットが上がっても下がっても投資を止めないこと」です。特に下がったときに、止めてはいけません。
成績公開!ハッチの米国つみたて投資
これらの秘訣に基づき積み立て投資を行った、僕の投資成績を見てみます。
現時点で、僕は米国株を中心とした12銘柄の投資信託に積み立てを行っており、中には「Tracers S&P1000」という小型株も含まれています。
これまでの結果として、合計で380万9,114円の投資を行ってきましたが、それが690万1,435円に増え、リターンで見ると約81パーセント増となっています。