本日のポイント
三橋厚弥氏(以下、三橋):富士製薬工業株式会社経営企画部の三橋です。本日はお忙しい中ご視聴いただき、ありがとうございます。弊社の現在の取り組みについて、みなさまに丁寧にお伝えできればと思います。よろしくお願いします。
今日のポイントはスライドの3点です。1点目に、当社は国の課題に沿った競争優位性の高いビジネスモデルを有しています。具体的には、女性の健康課題と医療費抑制に貢献するバイオシミラーの2つにおいて優位性を持っています。これが2点目です。3点目に、この2つの優位性が大きな潜在市場を有していることについてご説明します。
本日のアジェンダ
本日のアジェンダです。
会社概要
三橋:まず、当社の歴史について簡単にご説明します。設立は1965年で、昨年春に60周年を迎えました。
本社は東京にあり、富山の工場とタイにある100パーセント子会社のOLIC社が製造を行っています。
売上高は、2024年9月期は461億円、現在は約500億円強となっています。従業員数はタイの子会社を含め約1,700名です。取引所は東京証券取引所プライム市場です。
医療用医薬品とは
三橋:まず、医療用医薬品について簡単にご説明します。青い枠内で示しているのが、医師の処方箋に基づき使用される医療用医薬品です。当社はこの領域を主力としています。
医療用医薬品の中にも、さまざまな区分があります。先発品として位置付けられている新薬、特許期間が終了しても先発品として残っている長期収載品があります。さらに、先発品の特許期間が満了した後には後発品(ジェネリック医薬品)が発売可能となります。
また、バイオ医薬品の特許期間満了後に発売される後発品は、バイオ後続品として区分されることが一般的です。後ほどこちらについてもご説明します。
緑の枠内にある一般用医薬品、いわゆるOTCについて、当社では一部製品の販売を開始しました。この点についても、後ほど触れます。
女性の健康課題と医療費の増大:2つの社会課題に挑む製薬会社
三橋:当社の60年間の歩みを簡単に示したものです。当社の特徴である女性領域には1974年に参入し、以来、右肩上がりに成長を続けてきました。
当初はジェネリック医薬品、つまり先発医薬品の特許満了後に発売した製品を中心に事業を展開し、国の医療費抑制の流れを追い風に成長してきました。
大きな契機となったのは1996年です。この年にCT・MRI検査時に使用される血管造影剤の販売を開始し、多くの医師から高い評価を得たことで、成長が加速しました。
さらに、2008年にはいよいよ女性領域の新薬の取り扱いを開始しました。これにより医師との関係性が非常に強化されるとともに、成長が一段と加速するフェーズに入りました。
2012年には海外事業を開始し、タイにあるOLIC社を100パーセント子会社化するなど、海外展開にも早期から取り組んでいます。
本日のテーマの1つであるバイオシミラーについても、10年以上前から参入しています。
一方で、「仕込み期間」と記載されていますが、2020年から数年間は成長が一時的に停滞しました。これは、新薬の特許満了と造影剤新薬の販売契約満了が重なったことが原因です。しかし、この期間に準備した新薬およびバイオシミラーが現在販売フェーズに入り、再び成長軌道に乗っています。
経営理念として「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」と「富士製薬工業の成長は、わたしたちの成長に正比例する」の2点を掲げています。
女性領域とバイオシミラーに注力する理由を簡単にご説明すると、これらの領域はいずれも潜在的な市場規模が大きく、他社が参入しにくい領域です。満たされないニーズにしっかり対応し、当社の専門性を活かして貢献し、挑戦を続けていきたいと考えています。
長期ビジョン2035実現に向けた4つの成長戦略と3つの施策
三橋:2025年から「長期ビジョン2035」をスタートし、「女性医療で新たな価値を創出し続け、誰もがwell-beingを実感できる社会へ貢献する」と掲げています。
中期経営計画は2029年9月期までの5ヶ年計画で、現在1年半が経過しました。4つの成長ドライバーとして、女性医療、バイオシミラー、グローバルCMO、将来に向けた成長投資の確保を挙げています。なお、CMOとは医薬品製造の受託事業を指します。
中期経営計画を支える経営基盤の強化として、人財の強化・組織の高度化・デジタルの推進の3点を軸に推進しています。
日本が直面する課題と当社の重点領域
三橋:スライドは、日本が現在直面している課題と当社事業との関連性をまとめたものです。高齢化による医療費の高騰が社会課題となっています。当社はバイオシミラーにより、医療費の適正化および持続可能な保険制度の実現に貢献します。
また、女性特有の健康課題に起因する経済損失も大きな社会課題です。当社はその課題解決に向けた事業を推進しています。次のスライドより、各取り組みについてご説明します。
女性医療とは
三橋:女性医療といっても、月経に関する疾患から更年期、子宮内膜症、避妊、不妊症治療、女性特有のがんなど、女性のライフステージにはさまざまな健康課題があります。当社はこれらを網羅するかたちで、医療用医薬品を取りそろえている点が特徴です。
社会にとって大きな課題である女性の健康課題
三橋:スライドは女性の健康課題による経済損失を示したものです。経済産業省の資料によると、生理痛など月経随伴症による損失が年間約6,000億円、更年期症状による損失が約2兆円弱と推計されており、国として重要な課題となっています。
そのほかにも、子宮内膜症、子宮筋腫、婦人科がん、不妊症治療など、多くの女性が直面している健康課題が挙げられています。本日は、これらについてもご紹介できればと思います。
女性医療 – 主要製品
三橋:これらの課題に対する、当社の主要医薬品です。ジェネリック医薬品と新薬とを組み合わせることで、幅広い領域に貢献しています。
国内の女性医療領域に関連する医療用医薬品は42製品を提供しており、これは国内最多のラインナップです。
更年期障害
三橋:更年期障害および月経困難症という、2つの疾患についてご紹介します。まず、更年期障害についてです。一般的に45歳から55歳頃とされる更年期には、さまざまな症状が現れます。
直近では、高市首相が更年期に伴うほてりなどの症状に苦労し、周囲の理解を得られにくかったという趣旨の発言をされ、社会的に注目を集めています。当社は、これら更年期症状に対応する医薬品を幅広く揃えています。
具体的には、新薬である「ル・エストロジェル」や「エフメノカプセル」を展開しています。これらは、天然型に近いホルモン剤を用いた新薬であり、より安全性の高い治療薬として注目されています。
女性の更年期症状は個人差が大きく、さまざまな症状が見られます。一方で、治療を受けずに我慢している女性も多いのが現状です。該当する症状があれば、ぜひ気軽に産婦人科などの医療機関を受診していただきたいと考えています。
月経困難症
三橋:月経困難症はいわゆる生理痛であり、生理のある女性の約70パーセントが悩んでいるとされています。そのうち約2割は重い症状を抱えています。
これに対する治療薬として「アリッサ配合錠」および「ルナベル配合錠」という新薬を展開しています。特に「アリッサ配合錠」は天然型に近いホルモン剤で、安全性の高い治療薬として注目されています。
【主力製品】更年期障害治療薬:エフメノカプセル
三橋:先ほどご紹介した「エフメノカプセル」は、市場規模が年々拡大している状況が見受けられます。
一方、更年期治療の受診率について、海外では約40パーセントの女性が治療を受けているのに対し、日本では伸びているとはいえ、約2パーセントから4パーセントにとどまっています。
依然として多くの女性が症状を我慢し、受診していない状況です。このように、欧米と比較して普及率に大きな差がある点をご理解いただければと思います。
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):「エフメノカプセル」の売上が、2025年9月期に大きく伸長しています。足元でも比較的好調な印象ですが、この成長の背景について教えていただけますか?
三橋:主に2点あると考えています。1点目はやはり市場自体の拡大です。欧米と比較すると、国内市場には大きな潜在性がありますが、足元では緩やかに成長を続けています。
今後、なんらかの契機があれば、欧米のように急速に拡大する可能性もあると考えていますが、現状では国内は依然として緩やかな成長段階にとどまっています。
2点目は「エフメノカプセル」への切り替えです。欧米では標準的に使用されている安全性の高い製品ですが、日本では4年ほど前に承認・発売された新しい製品です。他の薬剤から「エフメノカプセル」への切り替えが進行中であり、市場拡大と相まって成長が継続している状況です。
Ken:市場の拡大の背景として、更年期症状の自覚があっても病院を受診していなかった層による受診行動の影響が大きいのでしょうか?
三橋:その点は大きいと考えています。月経困難症も同様ですが、症状を我慢する患者さまが多いことに加え、更年期の場合はまず内科を受診するケースが多く、ホルモン剤での補充による治療が広まっていませんでした。
現在は、更年期に入るとエストロゲンが著しく低下することが、症状の一因だという認識が進んでいます。ホルモン補充療法は、不足したホルモンを補う治療であり、そのような理解が深まったことも背景と考えます。
Ken:マーケットの拡大を踏まえると、売上成長の継続性は一定程度高いと考えてよろしいですか?
三橋:おっしゃるとおりです。この流れは今後5年から10年程度、国内で継続するものと見込んでいます。
【主力製品】月経困難症治療薬:アリッサ配合錠
三橋:月経困難症治療に使用する「アリッサ配合錠」についてです。本剤の最大の特徴は、天然型エストロゲンであるエステトロールを初めて配合したことにあり、世界的にも新しい薬剤です。高い関心を集めており、安全性に優れた治療薬です。
月経困難症の治療初期には、マイナートラブルと呼ばれる吐き気などの軽微な副作用がみられるものですが、本剤は比較的これらの副作用が少なく、血栓症などの重篤な副作用リスクが低いとされています。現在、世界各国で販売が開始されています。
当社は本製品のASEAN地域および日本での販売権を有し、今後の成長ドライバーの1つと位置づけています。
Ken:先ほどご説明がありましたが、市場が今後も拡大していく背景について、もう少し詳しく教えていただけますか?
三橋:欧米やアジアにおいてホルモン剤の普及が進んでおり、患者数も非常に多い状況です。国によって差はありますが、普及率40パーセントから20パーセント程度の国が多くみられます。一方で日本は10パーセント強であり、生理痛に対するホルモン剤治療の普及が低い水準です。更年期治療の需要と同様の環境です。
Ken:意識の変化が進めば、少なくとも他国の平均水準程度までは拡大する可能性があるということでしょうか?
三橋:ご認識のとおりです。産科婦人科の医師も普及拡大のため、日々、診察に向き合っています。
女性医療における成長戦略
三橋:中期経営計画の最終年度である2029年9月期には、「アリッサ配合錠」と「エフメノカプセル」を中心とした女性医療の売上高を現在の約260億円から380億円まで成長させる計画です。
Topic
三橋:最近のトピックスとして、緊急避妊薬がドラッグストアでも購入可能となった旨が報道されています。当社も「レソエル72」という製品名で、アリナミン製薬株式会社を通じ、3月9日より店頭で販売を開始しています。
当社は医療機関向けでは約9割のシェアを持っていることから、ドラッグストア市場でもシェア拡大を目指しています。
Ken:女性領域においてメガプレーヤーが少ないと聞いたのですが、その理由について教えてください。
三橋:国内外を含めても、女性医療領域、特に産科婦人科分野の医療用医薬品は、全体の約5パーセントにとどまっています。メガファーマは1製剤で1,000億円規模の売上を見込めるところを開発しますので、規模的に女性医療は合致しにくいという難しさがあります。
ただし、潜在的な市場が拡大して市場環境が変化すれば、将来的にメガファーマが参入してくる可能性もゼロではありません。しかし、現時点では大手企業の参入が限定的なニッチな市場であると認識しています。
婦人科領域におけるゲデオン・リヒター(GR)社との戦略的協業契約締結に関して
Ken:女性医療領域の今後のパイプラインについて教えていただけますか?
三橋:先日プレスリリースで公表しましたが、当社は欧州の女性医療分野に強みを持つゲデオン・リヒター社と新薬のパイプラインを共同で探索、評価、獲得する取り組みを開始しています。
このような取り組みを通じ、今後の成長に資する新薬のパイプライン獲得を進めていく方針です。現時点では具体的な製品名は公表していませんが、今後順次みなさまに開示する見込みです。ご期待ください。
国内医薬品市場動向
三橋:もう1つの柱であるバイオシミラーについてご説明します。スライドは日本国内の新薬売上トップ10の製品名を示したものです。
グラフの緑色がバイオ医薬品であり、これらの特許満了後に承認取得された製品がバイオシミラーと呼ばれるものです。国内外で、バイオ医薬品が占める比率が拡大しています。
今後、このようなバイオ医薬品の多くが特許満了を迎えますが、バイオシミラーの開発は、非常に難易度が高い点が特徴です。
バイオ後続品(バイオシミラー)とは
三橋:スライドに示しているとおり、バイオシミラーは通常のジェネリック医薬品と比較して開発費が大きくなりがちで、50億円から300億円を要します。
一方、これまで中心であった低分子ジェネリック医薬品は、1億円から10億円程度で開発が可能でした。このため、十分な企業体力がある会社でなければ、特許満了後の医薬品であっても参入が難しい状況になっています。
また、バイオシミラーは人での臨床試験が必要です。新薬並みではないものの実際の患者を対象とした試験を実施するために、新薬と同等の企業体力が求められます。そのため、開発および市場参入のハードルは非常に高いカテゴリといえます。
上市済み3製品は1st上市、承認取得3製品も1st上市を見込む
三橋:当社は現在、5成分の承認を取得しており、国内で最多のバイオシミラー承認数を有しています。
当社が承認を保有する5成分は全て単独もしくは1st上市 (予定含む)
三橋:当社が承認を保有する5つの成分すべてが、国内で初めて承認を取得した薬です。
国内ではこれまで、18成分に対してバイオシミラーが上市されています。このうち6つの成分では1社のみがバイオシミラーを提供しており、当然その1社がシェアを占める構造となっています。一方で、12成分については複数の会社からバイオシミラーが提供されています。
ここでお伝えしておきたいのが、最初に上市した会社のバイオシミラーが同じ成分内で必ずトップシェアを取ってきたという歴史があります。当社は、5つのバイオシミラーについて最初に上市するかたちで承認を取得している点が特筆すべきポイントです。
今後のバイオシミラーの見通しとトピック
三橋:直近では、昨年の秋に承認を得たのがこの3成分です。これらは中期経営計画期間中に大きく成長していくと考えています。
薬価改定率推移
Ken:薬価改定やルール改正の影響について教えていただけますか?
三橋:現在、医療用医薬品は企業が独自に価格設定することができない領域となっています。国が公定価格と呼ばれる価格(薬価)を算定し、その薬価で販売が行われます。公定価格は年に1回見直され、これを薬価改定と呼びます。毎年4月に薬価改定が実施され、この際に各社の医薬品の価格は増加・減少するのですが、大半は価格が引き下げられます。
スライドの折れ線グラフをご覧ください。オレンジ色の折れ線は、業界平均の薬価改定率を示しています。直近では、業界平均で4パーセントほど薬価が下がっています。当社の薬価改定率はブルーの折れ線で示しており、今回は0.75パーセント下がりました。
当社は特殊な医薬品を多く取り扱っており、そのため業界平均よりも低い薬価改定率となっています。実勢価格が次の薬価となりますので、当社が適切な価格で販売していることがわかります。
このように特殊な医薬品が多いこと、薬価に近い価格で販売できていることが、薬価改定率の低さにつながり、経営の安定化にも寄与しています。
29年9月期売上800億円に向けて、初年度順調な滑り出し 26年9月期以降、女性医療・BSを軸に更なる成長を計画
三橋:中期経営計画最終年度である2029年9月期の売上高800億円に向け、現時点では比率がまだ低いものの、将来的には女性医療とバイオシミラーの2つで、売上の3分の2を構成する想定です。
この2つは粗利率が非常に高いものです。新薬もバイオシミラーも高い利益率が見込めます。売上はもちろんのこと、収益にも磨きをかけていきたいと考えています。
売上高800億円を着実に達成します
三橋:中期経営計画において、どのように成長を実現するかについてです。女性医療においては「アリッサ配合錠」で100億円、タイを中心とした海外展開で20億円を積み上げます。
バイオシミラーで130億円、グローバルの製造受託事業であるCMO事業でプラス20億円としています。
経営目標 効率的な経営を実現します
三橋:売上高800億円、営業利益100億円、EPSが240円、ROEも2桁に乗せるといった非常に大きな成長を見込んでいます。
企業価値向上に向けた道すじ(サマリー)
三橋:事業の着実な成長、収益力の向上について、もう一度整理します。女性医療およびバイオシミラーの売上比率が変わることで、これらの数字を達成していきます。
株主還元(20期連続非減配)
三橋:株主還元は、累進配当を掲げています。今期の予想配当は47円でお約束しています。直近では新株予約権の行使により約33億円を市場で調達しましたが、この希薄化があっても累進配当を維持します。
26/9期1Q 連結決算ハイライト
三橋:第1四半期は順調に推移し、上方修正を行いました。今期の売上高の計画は、600億円弱に修正しています。
26/9期上期・通期の業績予想修正サマリー
三橋:売上高、売上総利益、営業利益、経常利益は上方修正しましたが、純利益については保有株式の評価損があり、下方修正しています。
26/9期1Q 主力製品売上高
Ken:上方修正の理由についてもう少し詳しく教えていただけますか?
三橋:第1四半期が終わったばかりの段階ですので、確実な部分のみを修正しました。ポイントは2つありますのでご説明します。
1つは、女性医療分野における更年期治療薬の新薬「エフメノカプセル」が、予想を上回る売上を記録したことです。市場が拡大していることに加え、他社の一部の競合品において、新薬の欠品や出荷調整を行っていることも追い風となっています。
2点目に、今年12月から発売を開始しているアイリーア(一般名はアフリベルセプト)という眼科のバイオシミラー薬があります。これは競合となるバイオシミラーが市場に出てこない状況で、予想以上に売上が膨らんでいます。そのため、上方修正を行いました。
Ken:1月からこれだけの成果を上げられているため、先生方の中での認知の広がりが影響していると思いますが、今後さらに利用者が増えることで市場での認知も拡大し、さらなる伸びしろがあると感じられますね。
三橋:おっしゃるとおりです。販売は眼科医に強い日東メディックさまにお願いしています。当社は日東メディックさまに製品を供給し、売上に至るという仕組みです。情報提供も日東メディックさまを通じて行っており、眼科医の先生方から非常に大きな反響があるようで、弊社にも大きなバックオーダーが届いています。
【修正後】26/9期領域別売上高予想
三橋:まずは手堅く上方修正をしましたが、9月までにさらに大きくなる可能性も十分にある状況です。
本日のまとめ
三橋:本日みなさまに覚えていただきたいポイントをまとめました。当社は国が抱える2つの課題に向き合っている会社です。1つは女性の健康課題、もう1つは、今後医療費を圧迫する可能性があるバイオ医薬品の増加です。この課題に対して、特許切れに対応したバイオシミラーをしっかりお届けできるメーカーであることを、ぜひ覚えていただきたいと考えています。また、この2つの潜在的な市場には、まだ大きな成長余地があることも、併せてご報告します。
質疑応答:主力製品の成長余地と新たな製品の可能性について
荒井沙織氏(以下、荒井):「現在の売上を支えている主力製品の成長余地、また、今後新たに柱となる可能性のある製品について、あらためて教えていただけますか?」というご質問です。
三橋:当社はさまざまな薬剤を販売しています。スライドは第1四半期における主力製品の売上です。表の上の2つは、すでにご説明したものです。
3つ目の「ウトロゲスタン腟用カプセル」は、不妊症治療、特に体外受精で使用される新薬です。こちらは市場の競合状況により弱くなると考えていました。しかし、順調に推移しており、計画を上回る数値が出ています。
上から4段目の「ファボワール錠」「ラベルフィーユ錠」は、みなさまもご存じの避妊薬、いわゆるピルと呼ばれる製品です。現在、富士製薬工業が製造する2種類の避妊薬は、国内の枚数ベースで55パーセントから60パーセント弱程度のシェアを占めており、女性のみなさまや医師から広く支持されています。これも一部競合品が出てきたため計画を控えめに設定していましたが、力強い数字が出ています。
また、バイオシミラーの「ウステキヌマブBS」は、現在、先発市場では600億円程度の規模があります。しかし、我々の「ウステキヌマブBS」に関しては、一部の効能効果しか国から承認を得られていません。この後、9割を占める市場の効能効果について追加承認を待っている段階です。
現在、「ウステキヌマブBS」は皮膚科の乾癬という病気に対する効能効果で承認を受けていますが、今後、クローン病や潰瘍性大腸炎への適用追加を待っています。追加されれば、市場の大きな部分を特許切れ医薬品に置き換えることが可能となるため、非常に期待しています。
また、本年5月に発売を予定している「ゴリムマブBS」も、約400億円規模の市場をターゲットに、単独で展開していきます。こちらも先生方からの期待も非常に高いため、大きく成長するのではないかと考えています。
さらに、「デノスマブBS」も単独で市場に展開する予定です。これらのバイオシミラーについても、3年から5年のスパンで大きな成長を見込んでいます。
質疑応答:女性医療領域の今後の成長見込みについて
荒井:「御社が女性医療領域に強みを持つ企業であると理解しています。この分野の市場について、今後どの程度の成長が見込まれると考えていますか? 先ほど、更年期障害や月経困難症に対しての潜在的なポテンシャルについて少しご説明いただきましたが、それを含め、全体的にどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
三橋:前半でお話ししたように、女性の健康課題は依然として大きい状況にあります。当社は、それぞれに対応できる医薬品を取り揃えていますので、更年期障害や月経困難症だけでなく、どの分野の女性の健康課題がクローズアップされても、多くの場面で活躍できると言えます。
また、当社は海外展開も進めており、特にタイ市場への進出に力を注いでいます。「アリッサ配合錠」はタイでは避妊薬として承認を取得しています。タイの避妊薬市場は、日本と同程度、もしくは驚くことに日本以上に大きな市場となっています。この市場に向け、当社が安全性の高い新薬の販売を担っています。
さらに、子会社であるタイのOLIC社については、製造受託のために買収しましたが、2年ほど前から販売機能も加え成長を遂げてきました。タイやASEAN地域も日本と同様に、女性医療への貢献においていまだ多くのチャンスがあると考えています。
質疑応答:海外展開の中で期待できる市場について
荒井:「海外展開に関連する製品について、どの地域で市場拡大を最も期待されているか?」とのご質問です。ASEAN地域を中心としたアジアでよろしいでしょうか?
三橋:ご認識のとおりです。加えて、スライドがないため口頭になりますが、いよいよ富山工場から米国のFDA承認を取得する動きを進めています。米国市場でもホルモン剤のニーズが一部製品で見受けられ、大きな潜在性を示しています。
富山工場をFDAの製造所として承認を得ることは非常に難しい課題ですが、現在その実現に向けて挑戦中です。近いうちに承認を取得し、みなさまに良い報告ができるよう取り組んでいるところです。米国市場も我々のターゲットとしています。
荒井:米国では効き目の強い薬が多く販売されているという印象があります。北米に進出した際、御社の薬の優位性はどのような点で発揮されるとお考えでしょうか?
三橋:世界的に見ても、ホルモン剤をしっかり製造できる企業は非常に少ないです。米国展開で予定している製品はホルモン剤の注射剤ですが、その製造能力や承認を持っている企業も少ない状況にあります。
このような点が我々の大きな強みであり、米国のパートナー企業と連携し、優位性を発揮できると考えています。
質疑応答:業績拡大に伴う、工場新設などの計画の有無について
Ken:「今後も複数の製品の上市や業績拡大が見込まれる中、現在見通せる需給のバランスについて教えてください。また、工場新設の計画などはありますか?」というご質問です。
三橋:当社の生産拠点は、富山県とタイのアユタヤにあります。それぞれの敷地には、投資可能なスペースも確保しています。
これまでも、さまざまな環境や需要の変化に対応するため、積極的に設備投資を進めてきましたが、今後も臨機応変にニーズに対応できるよう、しっかり考えて取り組んでいきたいと考えています。
Ken:前年から売上が2倍かそれ以上に増加している製品もあります。キャパシティ的な問題について、特に注意を払う必要はありませんか?
三橋:現在の緩やかな成長の中で、一部の製品においてはご迷惑をおかけしているケースがあるのは事実ですが、成長に伴い設備投資を行い対応してきました。そのため、製品のキャパシティに関して、大きな支障となる問題はないと考えています。
質疑応答:原薬の主な供給先について
Ken:「原薬の主な供給先はどこからでしょうか?」というご質問です。
三橋:どのメーカーも同様ですが、ヨーロッパやアジアから原薬を輸入し、タイと富山で製造しています。
質疑応答:更年期治療へ至る動線と日本で更年期治療が普及しなかった理由について
Ken:「更年期の治療について、患者が内科から婦人科へ移る動線は、内科の先生の紹介によるものでしょうか? また、国内で更年期治療が普及しなかった理由として、更年期症状であることに気づいていない女性が多いためなのでしょうか?」というご質問です。
三橋:すばらしいご質問をいただきました。ご説明したとおり、まずは内科に行く女性が多いのが現状です。その結果、漢方や鎮痛剤、さらには抗不安薬といったさまざまな薬が処方されます。
しかし、更年期症状はエストロゲンの減少によるものですので、ホルモンを補充することが根本的な対応や治療です。症状の改善が見られない場合、内科の先生が産科婦人科の先生を紹介するという流れを、当社としても今後さらに強化していきたいと考えています。現状ではまだ十分とは言えないと認識しています。
質疑応答:2025年9月期の利益の伸びについて
Ken:先ほど投資先の評価損があったとうかがいましたが、2025年9月期も当期利益が伸び悩んでいるように見受けられます。これは、2024年9月期に特別利益か何かが計上されていたということでしょうか?
三橋:2024年9月期の第1四半期に保有する投資有価証券の売却益を特別利益に計上したことが影響しています。
三橋氏からのご挨拶
三橋:本日はご視聴いただき、誠にありがとうございました。今後も女性の健康課題や医療費高騰などの課題解決に向け、しっかり貢献していきます。今後ともご支援賜りますようお願いします。