「アベノミクスは失敗していないが、道半ば」果たしてそうだろうか?世の中は無常であり、3年半前に正しかった政策が、ずっと正しい政策であり続けることはない。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。
3年半前は正しかった政策が、いまや「破滅的な経済政策」となった
「道半ば」ではなく「間違い」である
「アベノミクスは失敗していないが、道半ばです」
果たしてそうだろうか…。
アベノミクスがスタートした2012年末時点では「大胆な金融緩和」によって無用な円高圧力を取り除くことは、優先順位の高い政策だった。
しかし、それから3年半が経過した今、「マイナス金利付き量的・質的緩和」は破滅的経済政策になっている。
世の中は無常であり、3年半前に正しかった政策が、ずっと正しい政策であり続けることはない。
高速道路を80キロで走行することは安全運転だが、一般道に下りてからも80キロで走り続けることが安全運転でなく暴走になるのと同じ。
アベノミクスは道半ばではなく、時代に合わない間違った政策になっている。
「無謀な安倍政権」と「情けない野党」
アベノミクスを力強く推し進めていくことは、日本経済の歪みを大きくすることである。蓄えられた歪みは何時か解放される運命にあるので、アベノミクスを力強く推し進めることは、将来、日本経済を襲う震度をより大きくすることでもある。
この先の日本経済の舵取りを、日本経済への打撃を大きくするアベノミクスを力強く前に進めようとする無謀な安倍政権に託すのか、円高・株安という表面的な現象をもって「アベノミクスの失敗」だと批判するだけで何が間違っているのか全く指摘できない情けない野党に託すのか…。
忘れてならないことは、壊れてしまった経済を元に戻す方策はないということだ。「対案」はない。しかし、原因を見つけ、処方箋を考え、被害を最小限にとどめる対策をとることはできる。
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参院選は全国民にとって「究極の選択」
経済が壊れていることに気付かない安倍政権の暴走は止めなければいけないが、どこに原因があるかすら指摘できない能力の低い野党に舵取りを任せるのも危険極まりない行為といえる。
10日の参議院選挙は、初めて投票権を持つ10代の若者だけでなく、全ての国民にとって究極の選択だといえる。
ただ一つ言えることは、どちらが勝っても日本経済がすぐに立ち直ることはないということだ。壊れたものをなかったことにすることはできないからだ。
危機的状況とは、「すべてなかったことにしよう」と言えない時である。(マーフィーの法則~ファーガソンの教訓)
アベノミクスという誤った政策によって、日本経済は危機的状況になってきているという覚悟が必要な時期にきている。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年7月9日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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