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ARCHION上場会見、トラック・バス事業において世界トップ10を視野にシナジー創出を加速

登壇者名

ARCHION株式会社 代表取締役社長 CEO カール・デッペン 氏
ARCHION株式会社 代表取締役 財務・経理本部長 CFO ヘタル・ラリギ 氏
ARCHION株式会社 取締役 製品・開発・調達本部長 CTO 小木曽聡 氏

カール・デッペン氏からのご挨拶

カール・デッペン氏(以下、デッペン):みなさま、こんにちは。代表取締役社長CEOのカール・デッペンです。本日はお越しいただきありがとうございます。

本日は、私たちにとって特別で大切な日です。上場を果たすことができた非常に重要な日であり、4万人の社員にとっても大変大事な1日です。日野自動車株式会社と三菱ふそうトラック・バス株式会社という非常に強力な2つの会社・ブランドを統合できた、記念すべき日です。

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスを統合し、ARCHION(アーチオン)となりました。日本に拠点を置いて活動していくため、今後はトラック・バス事業の分野で世界トップ10を目指し、さらに強く成長していけると考えています。

トラック・バス事業の分野において非常に強力なビジネスモデルを有しているだけでなく、アフターセールスや下流部門の事業も展開しています。今後、ビジネスを推進する上で大きな自信を持って進めていくことができます。

今後は明確な戦略を持ち、統合された両社の製品をこの戦略の中で活用していきます。また、この統合により、今後は規模の効果も本格的に享受できるようになります。

さらに、私たちは大変バランスの取れた販売構造を持っています。小型車(Small-Duty)、中型車(Medium-Duty)、大型車(Heavy-Duty)を含め、バランスの取れたセールス戦略を有しています。

また、安定した成熟市場とよりダイナミックな市場という地域的なミックスも備えています。これらを基盤とし、今後の展開を進めていきます。

私たちは、この新しい会社において大変強力な能力基盤を有しています。世界に約3,000人のエンジニアを擁し、日本を含め国内外の6つの拠点で活動しています。さらに、知識や能力の分野においても多岐にわたる活動を行い、今後に向けて展開していくことが可能です。

また、私たちはゼロエミッションの分野でもリードしていくことを目指し、開発を進めていきます。日本では、すでにゼロエミッションの商用車分野でリードしており、今後は持続可能な輸送の実現に向け、さらに貢献していきます。

私たちはこれからも大きな機会を創出していくことができると考えており、それによって株主のみなさまにより多くの価値を提供していけると思っています。両社を統合した製品プラットフォームのシナジーもありますので、今後、株主価値を向上させ、リターンを高めていけると考えています。

また、私たちは非常にユニークな株主構成を有しています。トヨタ自動車とダイムラートラックが主な株主であり、トヨタ自動車は世界最大の乗用車メーカー、ダイムラートラックはトラック分野で世界をリードする企業です。

このような強固な株主基盤を有することが他社と異なる点であり、この分野で今後も大きくリードしていけると考えています。

そして、これらを実現するため、強い決意を持ったリーダーシップチームを組んでいます。多様なメンバーで構成され、日本国内、あるいは世界で長年の経験を培ってきた人材が揃っています。これにより、さらにARCHIONをリードしていくことができると確信しています。

今回、4万人の従業員を中心に、全員が決意を持ってこの統合に備え、支えてきました。彼らの経験をさらに活用し、より強い組織を目指したいと思います。

また、今回の統合は非常に長い道のりでした。この実現に貢献してくださったみなさまに心より感謝します。

大変複雑な取引で非常に長い旅でしたが、規制当局をはじめ、さまざまなパートナーや三菱ふそうトラック・バス、日野自動車の社員のみなさま、トヨタ自動車、ダイムラートラックの関係者のみなさま、そして大変すばらしいチームの方々から多大なサポートをいただき、本日2026年4月1日の上場を実現することができました。ありがとうございました。

質疑応答:経営統合後の最初の100日の戦略について

質問者:デッペンCEOがおっしゃったとおり、Day1に至るまでには非常に長い道のりがあったと思います。「M&Aや経営統合では最初の100日が重要だ」という話をよく耳にします。この後どのように進めていくのか、何を目指していくのか、あらためてお聞かせください。

デッペン:まずお伝えしたいことは、最初の100日はもちろん大切である一方で、それ以降の期間も極めて重要であることです。この業界はサイクルが非常に長く、それを見通したかたちで事業を進めていくことが大前提であると考えています。

ただし、最初の100日は非常に重要であると考えています。この期間が格段に重要である理由は、関係者や従業員に対する透明性をしっかり担保する必要があるからです。

独占禁止法関連の規制により、3月までの期間は情報を十分に伝えることが許されませんでした。当社はこのルールを厳格に遵守してきました。したがって、これからは完全な透明性を持って、あらゆるビジネス関係者に伝えていく必要があると考えています。

また、私たちのチームの有効性を発揮できるよう、時間を無駄にすることなく進めていかなければならないと思っています。オフィスの準備も整い、従業員8,000人がARCHIONとしてそちらに移動し、インテグレーションの取り組みが開始されています。

ただし、まだ多くの課題が残っています。これから数週間かけて見直しを行い、どのような構造で事業を構築していくかを検討し、さらにインテグレーションを進め、最終的に両社のシナジーをしっかり発揮できるかたちを考えていく必要があります。

質疑応答:経営統合の進捗について

質問者:本日Day1を迎えるにあたり、統合面で当初の想定よりも進んでいる部分と、反対に想定より遅れている部分について教えてください。

もちろん、さまざまな事情があるかとは思いますが、デッペンCEO、可能であれば小木曽CTOからもご教示いただきたいと思います。

デッペン:当然ながら、2つの会社を統合するには非常に複雑な作業が必要になります。例えば、ITシステムの統合などです。

忙しく取り組んでいた例として、三菱ふそうトラック・バスはダイムラートラックに統合されていたため、今回はカーブアウトしてARCHIONに統合する必要がありました。最初にこの作業に取り組む必要があり、優先的に進めました。

これはあくまで技術的な理由から、こちらを早く進める必要があったという背景があります。

小木曽聡氏(以下、小木曽):取締役CTOの小木曽聡です。統合についてお話ししてから3年が経過しました。先ほどのご質問で「本日からの100日が大切」というお話がありましたが、私たちは1,000日間の準備期間を持つことができました。

競争法の制約により、ビジネスの具体的な準備はできませんでしたが、三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の関係者がチームビルディングを進め、信頼を築き上げることができています。この信頼を基盤として、実際的なビジネスを進めるための100日間へ移行できることは、非常に大きなメリットだと思います。

三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の従業員は対立することなく、全体を考えるようなチームが形成されている点が良かったと考えています。ビジネスについて、これからさらに進めていきたいと思っています。

質疑応答:市場環境について

質問者:先ほどデッペンCEOから「世界トップ10を目指していく」というお話もありましたが、あらためて市場環境をどのように見ているのかをお聞きしたいと思います。特に日本やアジアが主な市場となるかと思いますが、中国メーカーの存在や市場環境についてどのように捉えているのかを教えてください。

デッペン:おっしゃるとおり、今回の統合はシナジーをしっかり出すことで競争力を高めることを目的としています。業界トレンドについていくつかご質問いただきましたのでお答えします。

まず、この業界はこれまでにない大きな転換点に立っていると言えます。ディーゼル車ベースからゼロエミッション車への移行が進んでおり、例えばバッテリー車、水素、電気など、さまざまな技術的な大きな変化が起こっています。それに伴い、多額の投資と技術開発が必要になっています。

さらに、現在はデジタル変革も起きています。そのため、これからはソフトウェア中心のアーキテクチャへと移行していくことになります。このような観点からも、将来の技術動向には大きな期待が寄せられています。だからこそ、多額の投資が必要です。

2社を1つに統合することにより、投入量を減らしながらも、より多くの成果を生み出すという投資効果が期待できると考えています。

また、この業界で見られるトレンドとして、新たな競争相手の台頭が挙げられます。日本および海外、例えば中国やインドで新興競合企業が野心的な動きをしています。だからこそ、私たちは規模を拡大してさらに競争力を磨き、関連市場において競争力を持ち続ける必要があります。

加えて、競争力という意味では、単に技術・工学系の話にとどまりません。お客さまがどのようにフリートを維持していくかといった戦略にも関連します。

したがって、規模が大きく広範な当社のネットワークを活用し、保守やサービスを提供しながら、パーツへのアクセスを担保し、常に訓練された技術を持つエンジニアを配置することで、しっかりとサポートを提供します。これらが大きな差別化要素となり、お客さまにとってより良い価値になると考えています。

質疑応答:経営統合の受け止めについて

質問者:小木曽CTOにおうかがいします。今回の経営統合は日野自動車のエンジン認証不正問題などが原因で遅れるかたちとなりましたが、本日を迎えてあらためてどのように受け止めているかをお聞かせください。

小木曽:今回の経営統合においては、発表当初から日野自動車の認証不正問題の解決が進められていました。

特に米国においては、最終的な和解に至るのに昨年1月までかかりました。もともとある程度時間がかかるため、著しく遅れたとは考えていませんが、当初予定していたよりも少し時間がかかったと考えています。

一方で、この準備期間は私たちが経営統合を円滑に進めるために良いチームビルディングの機会になったと捉えています。今後、より良いかたちで進められるのではないかと思います。

また、先ほどデッペンがお伝えしたとおり、本日から新しいオフィスで両社のメンバーが共に仕事を始めています。驚くほど連携が取れており、3年間の準備期間は非常に意味のあるものだったと実感しています。本日以降、活かしていきたいと考えています。

質疑応答:国内市場におけるシナジーについて

質問者:小木曽CTOにおうかがいします。国内市場ではいすゞ自動車に遅れを取っていると思いますが、どのようにシナジーを確保しながら巻き返しを図るのかを教えてください。

小木曽:国内市場に目を向けると、いすゞ自動車とは台数の面で大きな差があります。日野自動車単独では、2025年度の業績においても一部商品が遅れている影響を受けています。これから回復のための取り組みを適宜行っていきます。また、CFOのラリギも含めて、今後ご説明する予定です。

ARCHIONとして、いわゆるシナジーと呼ばれる相乗効果を加え、コンペティティブな会社を目指していきたいと考えています。そして、これが実現できる経営統合であると思っています。

質疑応答:自動運転の取り組みについて

質問者:経営統合により技術開発が今後加速していくと思います。特に乗用車の分野では自動運転が注目されていますが、商用車においてもEnd-to-Endの自動運転が重要になると考えます。この点について、どのように取り組むのかを小木曽CTOにご解説いただければと思います。

小木曽:自動運転については、乗用車だけでなく商用車でも同様に注目されています。トラックドライバー不足が問題視されており、トラックとバスの両方で安全性が重要だと考えています。

自動運転技術の基盤には、いわゆるADAS(先進運転支援システム)と呼ばれる運転支援があります。これを推進することで事故を減らすことができるため、非常に重要な分野だと考えています。そのため、ARCHIONグループとしてしっかりと取り組んでいきます。

また、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの両社は、ADASと呼ばれる安全装備に加え、自動運転の技術開発も進めています。いかに一緒になって強化していくかが、ARCHIONグループの課題です。

さらに、自動運転の取り組みは、乗用車においてもさまざまなパートナーと協力するケースが多く見られます。そのようなスキームでは、先ほどデッペンがお話ししたように、三菱ふそうトラック・バスと日野自動車が1つとなることが強みになります。

それに加え、大株主となるダイムラートラックおよびトヨタ自動車のチームやアセットにアプローチできることが、ARCHION独自の大きな強みであると考えています。これらを活用し、世の中に貢献できる商品や自動運転に関わるサービスをお届けすることを目指しています。

そのような観点では、可能性のある企業体になれていると考えています。

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