01 基盤整備期の振り返り
熊野英介氏(以下、熊野):アミタホールディングス株式会社代表取締役会長兼CVOの熊野です。このパートでは、基盤整備期の振り返りをお話しします。よろしくお願いします。
2024~2025年度「基盤整備期」
まず、2024年度から2025年度の基盤整備期についてご説明します。
当社は、コロナショックを契機に、社会の不確実性が高まる中で、従来の事業モデルの延長では持続的な成長は難しいと判断し、2021年度より2030年度に向けた社会デザイン事業の確立に向けた業態改革を進めてきました。
当初は2024年度での完了を想定していましたが、その後の国際情勢の変化、特にロシアによるウクライナ侵攻などを受け、外部環境の前提が大きく変化しました。これを踏まえ、中長期経営計画のロードマップを見直し、2024年度から2025年度を「基盤整備期」と位置づけ、業態改革の完遂と業績回復を優先しつつ、次の市場展開に向けた土台づくりに注力してきました。
ここで少し、マクロ環境について触れます。
2020年のコロナショック、そして2022年のウクライナ情勢の影響下では、株式と債券が同時に下落する局面が見られました。これは、インフレの進行とそれに伴う金利上昇を背景としたものであり、従来の金融市場ではあまり見られなかった動きです。こうした動きを踏まえると、1980年代以降続いてきた低金利環境や安定的な市場前提から、新たな局面へ移行しつつあると認識しています。また、今年2月にはイランとアメリカ・イスラエルの紛争が発生しており、不確実性の高い状況が継続しています。
これまでの長期安定的な市場環境とは異なる前提のもとで、企業経営を考えていく必要があると考えています。
当社としては、こうした環境変化を踏まえ、単なる景気循環への対応ではなく、社会構造の変化に対応した事業モデルへの転換を進めてきました。
基盤整備期の取り組み
2021年からの業態改革も、いよいよ基盤整備の終盤期ということで取り組みを進めてきました。業態改革を経験された方はご存知かと思いますが、業態改革では事業戦略自体を大きく転換しなければなりません。
当社としては、その中核をスライドにある5つの戦略「商品戦略・営業戦略・生産戦略・関係性(仕入)戦略・組織戦略」の統合と位置づけ、この2年間取り組んできました。
商品戦略では、今まで「サーキュラー」「BPO」「コンサルテーション」などと細分化されていた商品を統合しました。その具体例が、スライドに記載の「Cyano Project」です。
「Cyano Project」では、企業の移行戦略支援として、コンサルテーションからソリューション、オペレーションまでを統合し、カスタマイズして提供します。また「MEGURU STYLE」では、地域課題に対して同様に統合的な価値提供を行います。
営業戦略では、これまでのセールス強化に重点を置いた営業から、ソリューションを強化するプル型の営業へと転換しています。インバウンドマーケティング戦略を構築し、営業活動の統合化を進めています。
生産戦略では、昨年急速に進化したAIを非常に重視した戦略の見直しを進めています。
関係性戦略については、当社では「内骨格経営」と表現しています。
コアとなる競争力は自社で保持しつつ、それ以外の領域については外部パートナーと柔軟に連携することで、変化に強い事業構造を構築する考え方です。
当社のコアコンピタンスは、45年以上にわたり蓄積してきたサーキュラーモデルと、そこから発展したサステナビリティ領域にあります。この中核領域に経営資源を集中し、それ以外については、同じ方向性を持つ企業との連携を通じて対応していきます。
組織戦略では、従来のKPI中心のマネジメントに加え、プロセス重視のOKRを導入し、当社の事業特性に合わせた形で運用しています。
しかし、2025年度業績は下方修正
しかしながら、2025年度の業績については、期初予想に対して下方修正となりました。経営者として恥じ入るところです。誠に申し訳ありません。
想定を超える市場環境の変化
業績が下方修正となった要因を一言で表すと、市場変化のスピードに対して、経営判断が遅れたことが挙げられます。
当社は、主に製造業に向けた事業を展開していますが、2025年前半は対アメリカ輸出における関税戦略や中国のデフレ輸出の影響を受け、顧客企業において一部計画が停滞していました。
また、ESGのためのディスクロージャーニーズが鈍化したことも影響しています。トランプ大統領の再登場により、世界最大の資産運用会社であるブラックロックなどが、気候変動対策グループから離脱するなど、一部で検討の先送りや温度感の変化が見られました。これは当社の読みが不十分だったと言わざるを得ません。
また、当社では毎年下期偏重で予算達成しているため、判断が下期に偏りがちだったことも反省すべき点です。
このような急速に変化する環境下で、顧客反応を重要視しすぎたことにより、タイムリーな判断ができなかったことを深く反省しています。
2025年度はサステナビリティ市場の開拓に注力
しかし、その一方で、将来に向けた投資と取り組みは継続してきました。
昨年は「サステナビリティ市場を顕在化できるのか」というテーマのもと、経営者層を対象とした「羅針盤セミナー」を全4回にわたり開催しました。いずれの回も満席となり、多くの企業からご参加をいただくなど、関心の高さを実感しています。
当社としては、これまで潜在的であったサステナビリティに対するニーズが、経営課題として顕在化しつつあると手応えを得ています。
今後は、こうした顧客ニーズを着実に事業機会へと転換していくことが重要であると考えています。
さらに、引き続き時代はアミタに追い風
その流れは数字にも表れています。「脱炭素や生物多様性を持続しようと思ったら、サーキュラーエコノミーしかないのだ」ということから、サーキュラーエコノミー市場は成長しています。それに加え、全体的な流れとしてサーキュラーエコノミー関連ビジネス市場も拡大しています。
さらに「サステナビリティ2026年問題」があります。これは2027年3月期から、東証プライム上場企業で時価総額が3兆円以上の企業を対象に、国際基準に整合するサステナビリティ情報の開示が義務化されるものです。
このような流れが追い風の1つになっていると言えます。
社会課題解決市場の始まり、本質的なサステナビリティ経営ニーズがさらに高まる
では、本格的なサステナビリティ経営のニーズが高まる中で、当社はどのように行動するのかということをご説明します。
これからのマルチエージェントAI時代、労働生産性から価値生産性のビジネスモデルへ
まず、AIの登場について、深く考える必要があります。
インターネットが登場した際、日本企業はモノ作りの業務改善にインターネットを活用しました。しかし、インターネットは事実上「GAFA」などの新しい市場のイノベーションを生み出しました。
この歴史を踏まえると、AIにおいても同じことを繰り返すのではなく、AIを用いて新しい市場を作れるかどうかが重要な分岐点になると考えています。
その観点からみると、社会のビジネスモデルは、「労働生産性」という工業モデルの基軸から、「価値生産性」へ移行していると捉えています。
価値生産性は3つの柱で成り立っていると考えています。1つ目は資源生産性であり、資源が循環するサーキュラーエコノミーがこれにあたります。2つ目は情報生産性であり、拡散する情報ではなく、ストックした情報をどのように活用するかというDXです。3つ目は関係生産性であり、関係性を強化するようなAIの活用です。
これらに対応できるかどうかが、重要なポイントになると考えます。
基盤整備期を振り返ると、あらためて時代が猛烈な勢いで変化していることを実感します。これまで「まだいける」とみられていた潜在的な可能性が、「もう限界だ」という状況へ変化し、それがグローバルサプライチェーンの劣化につながっています。その中で鍵となるのが、特にAIを中心とした技術進化です。
AI技術をどのように市場創出に活用していくかという部分をしっかりと向上させていく必要があると考えています。この流れについては後半で詳しく説明しますが、現時点で基盤整備を推進しつつ、商品のフレームの構築も着実に進めています。
さらに、当社が最も大事にしているのは、売上や利益の牽引力以上に、「利は元にあり」という原価への意識です。生産の基礎である原価とは、単に物を仕入れることだけでなく、価値を生み出す原価です。
当社は創業当初から、不要とされ無関心だったものに関心を向け、地上資源として再編集し、それによって新たな市場を創出してきた企業です。
変化の方向は見えている
当社には変化の兆しが見えており、この加速するAIの時代に向けて成長フェーズに移行します。
スライドには「成長」と記しましたが、進化しなければならないと思います。過去の延長線上での成長を企業の説明にするより、どのように変革し、進化するかという点を経営者が覚悟を持って語る時代になったと考えています。
02 2025年度 決算・事業報告
末次貴英氏:代表取締役社長兼CIOOの末次です。私からは2025年度決算および事業報告と、2026年度経営方針についてご説明します。
サービス全体像
こちらはアミタグループのサービスの全体像です。
大きく4つの領域があります。実効力を持って、顧客企業のサステナビリティ経営への移行を伴走支援する「Cyano Project」、人口減少、少子高齢化、雇用縮小、社会保障費の増大という地域の4大課題を統合的に解決する「MEGURU STYLE」、自然資本の持続可能な利用を支えるトレーサビリティとしての「環境認証審査サービス」、日本で培ったサーキュラー技術をアジアへ展開する「海外事業」です。
本日はこの4つの領域に基づいてご説明します。
業績ハイライト|期初予想比較
2025年度の決算報告です。先ほど熊野がお話ししたとおり、2025年度の業績は期初予想に対して下方修正となりました。
売上高および営業利益の減少は、市場環境の変化により、企業のESGに関するさまざまな取り組みやディスクロージャーニーズの鈍化、製造業への圧迫に伴う生産活動の乱れなどが生じ、「Cyano Project」や「サーキュラーマテリアルの製造・提供サービス」などが計画を下回ったことが主な要因です。
親会社株主に帰属する当期純利益の減益は、海外事業におけるマレーシアでの、サーキュラーマテリアルの出荷費用の増加により、持分法による投資利益が計画を下回ったことが影響しています。
これらの要因により、売上高は期初予想比で4億3,000万円のマイナス、営業利益は2億1,700万円のマイナス、経常利益は2億8,700万円のマイナス、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1,500万円のマイナスとなりました。
業績ハイライト|前期比較
前期比較です。
売上高では、シリコン再資源化や環境認証審査サービスが確実に伸長しました。一方で、サーキュラーマテリアルの製造・提供サービスでは取扱量の減少や高単価処理案件の減少、一部出荷の期ずれなどの影響がありました。
営業利益の減少は、設備投資による減価償却費の増加に伴い、製造原価が増加したことが影響しています。
経常利益の減少は、海外事業のマレーシアにおける持分法適用会社の影響を受けています。
親会社株主に帰属する当期純利益の減少は、前期には繰延税金資産の増加によるプラス要因がありましたが、今期はその発生がなかったことが要因です。
貸借対照表
貸借対照表です。
資産では、「サーキュラー3.0」におけるスマートファクトリーの新設に関連する有形固定資産の増加により、10億8,700万円増加しました。
負債では、「サーキュラー3.0」への投資や事業推進資金の確保を目的とした長期借入を実施した結果、8億1,700万円増加しました。
純資産は、当期純利益の計上等に伴い、2億6,900万円増加しました。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書については、ポイントは2つあります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、「サーキュラー3.0」におけるスマートファクトリー新設に係る投資などにより、前期比で2億8,900万円のマイナスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、「サーキュラー3.0」への投資および事業推進資金の確保により前期比で7億1,000万円増加しました。
期末配当
期末配当については、業績を下方修正しましたが、期初予想どおり1株当たりの配当金は5円を予定しています。結果として配当性向は28.2パーセントとなりますが、今後は配当性向30パーセントを目指して取り組んでいきます。
経営指標
経営指標です。
営業利益率は9.0パーセントとなり、製造原価の増加の影響で前期比を下回りました。
経常利益率は9.7パーセントとなり、海外事業におけるマレーシアの持分法適用会社の投資利益減少や為替差損の影響で、前期比を下回りました。
ROEは11.1パーセントとなり、当期純利益の減少の影響で、前期比を下回りました。
ROICは7.7パーセントで、「サーキュラー3.0」への投下資本の増加があった一方、利益の減少が影響し、前期比を下回りました。
事業サマリー①
それではここから、2025年度の事業報告に移ります。事業サマリーです。
企業向けサステナビリティ経営支援を推進する「Cyano Project」の強化に向けて、商品戦略および営業戦略に注力しました。
しかし、コンサルテーションおよびソリューションの分野では、市場環境や経営環境の変化への対応が遅れたことが原因となり、売上高は計画比で未達となっています。
このような状況を見据えつつ、AI時代に即した新サービスの開発にも着手しました。このサービスは今年4月にリリース予定です。後ほど詳しくご説明します。
オペレーションの分野においても、市場変化の影響などにより売上高および利益率は前期比・計画比で未達となっていますが、現在は資源生産性の向上を目指した「サーキュラー3.0」を構築中です。
サプライチェーンマネジメントシステムは、サーキュラーリンクス株式会社において営業強化や新サービスの開発を進めています。顧客企業の人材確保や持続可能なサプライチェーンマネジメントなどのニーズを背景に、堅調に推移しています。
事業サマリー②
環境認証審査サービスでは、環境認証の需要が拡大する中で審査体制を強化してきました。
「FSC」は森林や林産物のトレーサビリティの認証、「ASC/MSC」は水産物の認証を対象としており、これらを中心に安定的なサービスを提供しています。特に「ASC/MSC CoC認証」は、審査顧客数が前期比107パーセントとなっています。
海外事業におけるマレーシアでは、セメント産業向け再資源化事業において入荷量が堅調に推移しているものの、出荷の段階で費用がかさみ、持分法による投資利益が期初予想を下回る結果となりました。
インドネシアでは、2027年度中の100パーセント再資源化事業の開始に向け、工場の稼働が計画どおり進捗しています。
地域の持続的な運営を支援する「MEGURU STYLE」は、京都府亀岡市にて、現在、プロトタイプ構築を開始しています。今年1月には、同市で初の拠点となる「MEGURU STATION」を設置しました。
企業向けサステナビリティ経営支援 Cyano Project|2025年度 総括
それぞれの領域についてもう少し詳しくご説明します。
企業向けサステナビリティの経営支援である「Cyano Project」では、2025年度の総括として、市場環境の鈍化の中で売上高は計画比では未達となりました。
一方で、新サービスとして「Circular Co-Evolution(以下、CCE)」と「Sustainable Executive Alliance(以下、SEA)」の開発・提供を開始しています。この取り組みの一環として、経営層と実務担当双方を対象にセミナーや営業活動を実施しており、現在市場を開拓しています。
Cyano Project 移行戦略支援|2025年度の注力事項①
注力取り組みの1つ目として、新サービス「CCE」および「SEA」についてご説明します。
「CCE」は、製造業向けのサステナビリティ経営支援サービスです。このサービスの特徴は、6社の協業体制の中でサステナビリティ経営を包括的に支援する点にあります。昨年6月から提供を開始し、現在は特に製造業を中心としたお客さまへの提案やサービス提供に力を入れています。
「SEA」は今年4月から提供する経営者コミュニティです。経営幹部が市場環境を含めた現状認識を俯瞰して固め、その上で経営戦略を描き、実行に向けた意志決定を支援する、総合的なサービスを提供することを目指しています。詳細は後半に熊野からご説明します。
Cyano Project 移行戦略支援|2025年度の注力事項②
注力取り組みの2つ目として、具体的な支援事例を2つご紹介します。
最初は、大手重工業メーカーの事例です。サーキュラーエコノミーへの移行に向けた包括的な支援を行うものです。
これはサーキュラーエコノミーを収益機会へ転換する取り組みで、サーキュラーエコノミーを単なるお題目にせず、いかに戦略的に昇華できるか、プロジェクトを組みながら進めていきました。現場だけでなく経営も巻き込み、双方を統合しながら、全社的な実行基盤の構築に向けて伴走支援をしました。
次は、株式会社コーセーの事例です。ネイチャーポジティブ実現に向けたTNFD開示支援を起点に、開示支援にとどまらず、自然資本を活用した経営への移行に向けた基盤構築をトータルでご支援しました。
Cyano Project サステナブルBPO|廃棄物を原材料にしたサーキュラーマテリアルの製造・提供|2025年度 総括
「Cyano Project」のオペレーション領域の「サーキュラーマテリアルの製造・提供」についてご説明します。
2025年度の総括として、市場環境においては、アメリカの関税政策や中国のデフレ輸出の影響によって、製造業が圧迫された状況がありました。
これを受けて、セメント原燃料化では、入荷量・出荷量の減少に加え、高単価処理案件の減少も生じ、利益率が低下しました。
シリコン再資源化は、取扱量自体は前期比で増加したものの、半導体産業の低調な状況の影響を受け、計画比を下回る結果となりました。
また、このような市場環境の変化を踏まえ、資源生産性向上型モデル「サーキュラー3.0」の構築を開始しました。
資源生産性を重視した事業モデル「サーキュラー3.0」①
「サーキュラー3.0」は単純に取扱量の拡大を目指すのではなく、資源生産性を重視した事業モデルです。AIを活用することで、さらなる効率化と高度化を推進していきます。
資源生産性を重視した事業モデル「サーキュラー3.0」②
「サーキュラー3.0」は3つの特徴があります。
1つ目の特徴は、排出事業者の発生品情報および循環資源ユーザー企業の需要情報を一元管理する「入出荷予約システム」です。
資源が発生する場所で、いつ、どんなタイミングで、何が出るのか、それを必要とする側がいつ、どんなタイミングで、どのようなものを求めているのか、このような情報の調整において、通常のオペレーションでは非常に負荷がかかっています。
これらを一元管理することで、運送会社も含めた入出荷調整の効率化や最適化を図ります。
資源生産性を重視した事業モデル「サーキュラー3.0」③
2つ目の特徴は、製造実行システム「スマートファクトリー」です。
こちらは入荷予約システムで最適化された情報とデータベースに基づいて、成分シミュレーションを行います。これによってサーキュラーマテリアルのレシピと製造計画を導き出します。さらにその計画に基づいて、自動制御システムがクレーンやバケットなどを自動制御することで、製造プロセスが完全自動かつ無人化され、サーキュラーマテリアルが製造されます。
この自動化・無人化の実現によって、人手作業に伴う危険性や粉じんの問題を回避し、従来は対応が困難であった製造領域の課題の解決を目指します。
資源生産性を重視した事業モデル「サーキュラー3.0」④
3つ目は、最適な資源循環のアイデアを生み出す対話型AI「Circular Chatbot」です。
先ほどの社内データベースに加え、さまざまな市場で作り出される公開情報を基に、AIを活用して新しいサーキュラーマテリアルの開発アイデアを生み出していくものです。
資源生産性を重視した事業モデル「サーキュラー3.0」⑤
これらの仕組みにより、お客さまのニーズをより広く、より深く捉え、サーキュラーマテリアル製造の効率化・高度化を図りたいと考えています。
海外事業|2025年度 総括
海外事業についてお話しします。
市場環境として、海外においても資源化ニーズが高まる中で市場競争が発生しています。そのため、単純な価格競争に陥らないための差別化や模倣困難性の重要性が一層高まっています。
マレーシアでは、入荷量が堅調に推移する一方で、ユーザー側との価格交渉などにより出荷が難航し、出荷費用が増加しました。
その結果、期初予想を下回る結果となりましたが、対策として資源ユーザー企業の製造工程における診断やコンサルティングを実施し、当社のサーキュラーマテリアルの活用価値を明確化しました。これにより、当社のサーキュラーマテリアルの採用拡大が進み、2025年度内には改善状態へと移行しています。
インドネシアでは、2027年度のセメント産業向け再資源化事業開始に向けた準備を着々と進めています。
海外事業|各国での展開状況
その他の展開地域として、インドでは、環境最大手企業であるラムキーグループと連携し、脱炭素や循環型社会に向けた包括的な事業可能性調査を共同で実施しています。
パラオでは、島嶼資源循環モデルのプロトタイプとして、低炭素・循環型システムの構築・支援を進めています。
地域の4大課題を解決 MEGURU STYLE|2025年度 総括
地域の4大課題を解決する「MEGURU STYLE」についてお話しします。
2025年度は京都府亀岡市で持続可能なコミュニティデザインサービス「MEGURU STYLE」のプロトタイプの開発を開始しました。
それ以外の地域でも、国内外で互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION」による取り組みを推進しています。
MEGURU STYLE|MEGURU STATIONの展開状況
「MEGURU STATION」は、現在7地域19箇所に展開しています。
特徴的な事例として兵庫県神戸市が挙げられます。当社の「MEGURU STATION」は2箇所ですが、神戸市が展開する資源回収ステーション「エコノバ」と連携しているため、70箇所で展開が進んでおり、神戸市では面的な広がりを持ち始めています。
03 2026年度 経営方針
次に2026年度の経営方針についてお話ししていきます。
マルチエージェントAI時代、AMITAに勝機がある!
2025年はAIエージェント元年、2026年はマルチエージェント元年と言われています。自律性を備えたAIエージェントが複雑な業務処理を含めて対応できる時代に入りつつある中で、アミタとしてもこの波をしっかりと掴み、勝機を確実なものにしていかなければならないと考えています。
AIが導き出す戦略は差別化が難しく、均質化しやすいものだと考えています。だからこそ、AIでは代替できない領域こそが、今後の価値競争力の源泉になると考えています。
AIが代替する領域として、情報収集・分析や概念先行型の戦略提案など、さまざまなものが挙げられます。
一方で、AIによる代替が難しいアミタの強みとして発揮できるのは、現場で具体的にどのように実施するのか、どのようにオペレーションするのかといった、実証実験、BPO・現場実装の領域があります。
さらに、当社が培ってきたサステナビリティの実務知見を活かした、実務支援の領域などが挙げられます。
また、価値観や哲学も求められるのではないかと思っています。
これらの強みを活かし、「統合サステナビリティ・ソリューション企業」を目指します。
2026~2027年度「市場展開期」
2026年度と2027年度は市場展開期と位置付けており、「統合サステナビリティ・ソリューション企業」として市場における独自のポジションを確立していきたいと考えています。
2026年度の注力領域は、「Cyano Projectの強化」「海外事業の推進」「MEGURU STYLEの開発」「生成AIの活用推進による価値創出力(生産力)の強化」「事業執行力の強化」の5つです。
1.Cyano Projectの強化①
1つ目の注力領域は「Cyano Projectの強化」です。2年間の市場展開期での成長を支える中核サービスへと進化させていきたいと考えています。
新サービスである「SEA」では入会企業数50社、「SEA」経由での新規ソリューション提供社数を30社とする目標を掲げています。
商品戦略としては、「SEA」を単体サービスとしてではなく、顧客接点の起点と位置づけます。「SEA」を通じて顧客との関係性を構築・深化させ、各種ソリューションへ展開することで、持続的な成長基盤を構築したいと考えています。
1.Cyano Projectの強化②
営業戦略においては、AIエージェントの活用により、従来の提案型営業から「共創型商談」への転換を図ります。これにより、商談のスピード、品質、受注率、再現性の同時向上を目指します。
具体的には、商談前は事前準備の自動化や効率化、商談中は現場でのリアルタイムの企画品質の向上やクロージングの加速、商談後は提供価値や将来像の直感的な可視化を通じて、クライアントと相対する関係ではなく、共創する関係へと転換し、商談の成約率や顧客の期待値、満足度をさらに高めていきたいと考えています。
2.海外事業の推進
2つ目の注力領域は「海外事業の推進」です。ASEANを中心としたサステナビリティ市場の開拓を進め、2年間にとどまらず中長期の成長を牽引する事業として確立していきます。
2026年度の目標として、マレーシア・インドネシアでの事業基盤を着実に拡大していきます。
マレーシアでは、セメント産業向けの100パーセント再資源化事業をさらに強化し、海外初となるバイオマスエネルギー事業の実現に向けた準備を推進します。具体的には、パーム油製造工程から生じる残渣由来のバイオマス資源の活用を具現化していきたいと考えています。
インドネシアでは、セメント産業向け100パーセント再資源化事業の2027年度中の開始を目指し、2026年度中に資金調達や製造所建設の着工を計画どおり実行できるよう準備を進めています。
3.MEGURU STYLEの開発
3つ目の注力領域は「MEGURU STYLEの開発」です。地域におけるサステナビリティ運営への移行支援として、「MEGURU STYLE」の開発を行い、「2030年エコシステム社会構想」を具現化していきたいと考えています。
2026年度の目標は「MEGURU STYLE」の基盤構築です。地域における資金調達手法の検討など、地域内で循環の仕組みをどのように作るかを具現化していきます。後ほど熊野より詳しくご説明します。
また、京都府亀岡市内全域23箇所への「MEGURU STATION」展開を進めるとともに、情報技術(IoE)を活用しながら資源回収やコミュニティ参画に関するデータも収集していきます。これらを統合したものをプロトタイプと位置付け、その開発を推進していきます。
4.生成AIの活用推進による価値創出力(生産力)強化
4つ目の注力領域は「生成AIの活用推進による価値創出力(生産力)強化」です。
サービスと組織を変革するAI活用基盤の確立を目指します。
サービス面では、「サーキュラー3.0」や「SEA」では当然のことながらAIを活用しますが、組織内でも、組織の意思決定を進化させるAI活用を進めていきます。
AIを「効率化ツール」として活用するだけでなく、社内で仮説設定と検証を繰り返し行い、戦略実行を支える「判断支援ツール」として活用することを目指しています。現在、各部署にAI・DX担当メンバーを配置し、全社横断でこの取り組みを推進しています。
5.事業執行力の強化
5つ目の注力領域は「事業執行力の強化」です。現代は、不確実で変動性の高い時代であり、戦略や戦術の遅れは許されません。グループ戦略と事業執行を一体化する体制の中で、意志決定の迅速化と実行精度の向上を図る考えです。
具体的には、アミタホールディングス株式会社の取締役が各事業会社の代表取締役を兼務するかたちで、体制強化を進めていきます。
私はアミタサーキュラー株式会社の代表取締役を兼務し、全体戦略との一体運営を推進するとともに、サーキュラーマテリアル事業の革新的成長モデルへの転換を主導します。
取締役兼CGO(2026年3月26日より、CIBO)の岡田は、アミタ・サーキュラーデザイン株式会社の代表取締役を兼務し、海外事業の強化およびその展開をさらに加速させます。
今年の株主総会で取締役兼CBOに就任予定の宮原は、アミタ株式会社の代表取締役を兼務し、「SEA」の開発・提供を加速させます。
市場展開期の計画
このような方針のもと、2026年度および2027年度はスライドに記載した業績目標の達成を目指していきます。
中長期目標については、現在の社内外の情勢を踏まえ、より確実性の高い目標へ見直しを行いました。2026年度および2027年度を着実に推進することで、次の市場拡大期に備えていきたいと考えています。
基盤整備期の取り組みをもとに、2026年度は着実な業績発展を目指します
基盤整備期では、さまざまな事業基盤や成長の種を育ててきました。これらの成果を市場展開期に確実に引き継ぎ、着実な成長と発展を目指します。さらに、その成長の次の飛躍へとつなげるための基盤をあらためて構築していきたいと考えています。
04 2030年に向けた中長期経営戦略
熊野:2030年に向けた中長期経営戦略についてご説明します。
2030年、複雑性と不確実性の“混沌の時代”へ
先ほど末次から今期の予算について説明がありましたが、この予算発表後にアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃が始まりました。
こうした不確実性の高い環境下においてこそ、我々経営陣は「計画した予算を着実に実行する」という強い意志を持っています。
以前、株主総会において株主のみなさまから「御社はいろいろなことにトライして取り組んでいるし、今何をしているのか、という事業説明はだんだんと精度が上がってきてわかりやすいが、何を目指しているのかが今一つわからない」というご指摘をいただきました。
そこで当社は2022年11月に「エコシステム社会構想2030」を発表し、それに対して「なんとなくおぼろげにわかった」とご評価いただきました。以来、当社は本構想の実現に向けて取り組んできました。2030年まで残り5年となりましたが、引き続き目標に向けて邁進していきます。
現在は、複雑性と不確実性が渦巻く「混沌の時代」と言われています。実は、今から約45年前の創業時にジョン・K・ガルブレイスの『不確実性の時代』という書籍がベストセラーになっていました。当時、私はそれを読み、「そうか、不確実な時代になるのか」と思いながら、創業に至りました。
その複雑性の振れ幅はこの45年間、縮まることなく拡大する一方だったと実感しています。
当社は創業以来、絶えずその不確実性と向き合ってきた会社です。現在語られるような混沌の時代やVUCA(ブーカ)の時代も、当社はこの45年間で鍛え上げられた企業であるとご理解いただければと思います。
複数の構造的変化が同時進行する中で、最も確実に変化する人口動態をはじめ、段階的に進む資源枯渇、気候変動、地政学リスクといった不確実な要素が顕在化しています。加えて、現在、マルチエージェントAIの時代が到来しています。
これにより、社会変革の駆動力は変化していくと考えています。
産業革命以降、プロダクト、すなわち「モノ」が社会の駆動力となり、大量生産・大量消費を前提とした工業社会が進展しました。工業社会は、非常に重たい仕組みの上に成り立っています。原料を購入するための資金、原料を加工するための工場、さらには資金調達や計画立案に加え、そこで働く社員の教育も必要です。そして、生産した製品をしっかりと販売する必要があります。このように、一連の流れ自体が非常に重厚な仕組みといえます。
次に、日本でインターネットが普及し始めた1990年代以降は、「データ」が社会の駆動力となりました。ここから情報社会が生まれます。有名な話として語られるように、ガレージからスタートしたジーンズ姿の起業家たちがプログラムを打ち込み、新たな社会基盤を築きあげました。こうして情報社会はインターネット社会へと発展し、GAFAのような巨大プラットフォーマーが登場するにいたったのです。
ではこれからのマルチエージェントAIの時代における駆動力はどうなるのかということについて、私は、「人々の意志」こそが駆動力となり、マルチエージェントAIを活用して新たな価値を生み出す「価値社会」へと移行していくと考えています。
効率化重視の工業・情報社会におけるモノを作って売る「労働生産性」の時代は終わり、企業は「価値生産性」の時代へ
ここでみなさまに考えていただきたいのは、「この国が今でもモノ作り国家と言えるのか?」という点です。
例えばAmazonは、人々が欲しいものを提供し、1980年代から続く「マーケットイン」の概念を、インターネット化することで市場にイノベーションを起こしました。このように、軽い価値づくりが、重厚な工業社会の価値づくりを下請け化しているような時代になっていると感じています。
これからのAI時代においては、価値を創る際の起点として「何をしたいのか?」という人間の意志が、これまで以上に重要になります。その上で、個人のモバイルを基盤に、人間の知恵や創造性を拡張する「人間拡張」が実現していくでしょう。そして、この技術革新や人間拡張が業務改革に用いられるのか、あるいは他の目的のために活用されるのかによって、社会や価値創出の在り方は大きく変わります。
当社は、目的や意志を持った価値を情報化し、それをモノ作りへとつなげていく「価値生産性」の時代が到来すると考えています。そして、この価値生産性を基盤として、エコシステム社会への移行を主導していきます。
価値生産モデルの確立に向けたアミタの取り組み
前半でも触れたとおり、当社は「価値生産性」を3本柱で捉えています。
1つ目は資源生産性であり、物質的な資源循環力を意味する「サーキュラー」です。当社は45年以上にわたり、この分野に取り組んできました。
2つ目は情報生産性であり、資源情報などを収集・可視化し、価値として編集・活用する力、すなわち「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。当社は2009年以降、約15年にわたりICTを活用した環境管理業務のBPOサービスを展開し、情報の蓄積と活用基盤を構築してきました。
3つ目は関係生産性であり、地域や他社、社会との関係性の中で問い・意味を設計する力、すなわち「AIX(AIトランスフォーメーション)」です。これまでに築いてきた関係性を活用し、そこから価値を生み出せるかどうかがポイントとなります。
その中核として、サーキュラー3.0において、姫路循環資源製造所でスマートファクトリーの建設を進めており、2026年7月の稼働開始を予定しています。このファクトリーでは、フィジカルAIの活用により、サーキュラーマテリアルの製造プロセスを高度化し、これまで4人を要していた作業を、将来的には無人化していく計画です。
これが可能となる背景には、情報技術によってサプライチェーン全体を一貫してつなぐ仕組みがあります。調達から製造、販売、そして次の資源循環へと至る流れが、情報として統合される時代が到来しています。
当社はこの領域において先手を打ち、「サーキュラー3.0」(スマートファクトリー)による価値づくりを開始させ、完全無人化や遠隔操作の実現に向けた挑戦を加速していきます。
引き続き、3つの生産性を統合した価値創出と新たな収益モデルの構築を推進していきます。
課題先進国の成熟社会における新たな収益モデルのカギ①
もう1つ、当社が強く問題意識を持っている点があります。それは、資本市場における評価軸が、現在大きな変化の過程にあるということです。
パリ協定以降、ESGという考え方が広がり、企業評価の重要な軸となってきましたが、直近では一部の金融機関でスタンスの見直しも起きています。背景には、投資家向けの評価対応にコストがかかる一方で、企業の実態が必ずしも伴っていないという課題があります。
評価基準の是非についてはさまざまな議論がありますが、重要なのは、この変化を後退ではなく、「修正資本主義の再調整」が始まった動きとして捉えるべきだという点です。つまり、資本主義のあり方そのものが、いまアップデートされつつあります。
従来のESGは、特に「G=ガバナンス」に象徴されるように、投資家視点の評価が中心でしたが、今後はより広いステークホルダーによる評価へとシフトしていきます。実際に、IFRS財団のもとで策定されたISSB基準により、企業活動はステークホルダー全体を対象とした視点で評価される方向に進んでいます。
これは単なる開示ルールの変更ではなく、評価基準そのものが社会に組み込まれていく動きです。つまり、企業価値は投資家だけでなく、社会全体の中で測られる時代に入ります。そして、そのステークホルダーに共通するニーズは、社会課題の解決です。
こうした変化を踏まえると、課題先進国である日本においては、「社会課題解決市場」こそが今後の成長領域になると考えています。
その前提として、資源制約や社会課題の顕在化により、「無駄のない循環」が社会の基本構造になっていきます。
その中で重要なのは価値創造の起点です。
これからは企業が一方的に価値を提供するのではなく、生活者の行動や選択そのものが価値を生み出す時代になります。環境に配慮したい、社会を良くしたいという動機に基づく「社会的動機」が価値の源泉となり、その蓄積が価値の先行指標になります。つまり、「人間=コスト」だった工業モデルから、「人間=価値を生む主体」への転換が進んでいます。
課題先進国の成熟社会における新たな収益モデルのカギ②
次に、その価値をどのように持続的に生み出していくかについてです。
当社は、スライドにあるとおり、「生活者と生産者の価値づくりが相互に作用し、持続する構造」が重要になると考えています。
日本は成熟した市場であり、従来のような価格や利便性だけによる差別化では、需要の持続性に限界が見え始めています。その中で、近年は「社会的な意味や価値を伴う商品・サービスを選好する傾向」が徐々に高まっていると認識しています。
これは、デジタルネイティブ世代の台頭や、情報環境の変化なども背景にあると考えられます。今後は、こうした価値観がさらに広がり、「意味のある選択」が購買行動に影響を与える場面が増えていく可能性があります。
こうした環境の中で重要になるのが、価値の循環をいかに設計するかです。
当社は、AIの役割を単なる効率化ツールではなく、価値の循環を最適化する手段として位置づけています。
具体的には、生活者の行動データから価値の兆しを捉え、それを分析・学習し、生産者側の価値提供に反映するといった循環を通じて、より適切な価値創出につなげていくことが可能になると考えています。
また、社会課題の多くは単一企業で解決できるものではなく、ステークホルダー間の連携が不可欠です。そのため、多様な関係性の中で価値を共創する力、データを活用し、価値が生まれる構造を設計する力が、今後の競争力の源泉になると認識しています。
当社は、こうした考え方のもと、AIを活用しながら生活者と生産者の価値循環を高度化し、価値を最大化する仕組みづくりに取り組んでいます。
社会課題解決市場の基盤となる「サーキュラープラットフォーム」を構築
社会課題解決市場の基盤として、当社が2030年に構築を目指しているのが、「サーキュラープラットフォーム」です。
ポイントは、スライド左上にあるとおり、「資源×情報×関係」を統合することにあります。
この中核となる仕組みが「MEGURU STYLE」です。生活者や地域の活動単位を一定の粒度で捉え、人とモノの動きをデータとして収集し、ローカルデータセンターで蓄積します。
ここでは、モノの動きであるIoTと、人の動きであるIoHを統合し、それらを社会的な動機性のもとで結びつけることで、データを価値へと転換していきます。さらに、これらを統合・インテリジェンス化することで、従来にはないオルタナティブデータとして活用されていきます。
蓄積された情報は、予測情報として生成され、企業や地域へ提供されます。これにより、地域ごと・顧客ごとに最適化された生産やサービス提供が可能になります。
つまり、需要を事後的に捉えるのではなく、需要そのものをデータとして捉え、供給側に反映する構造です。これにより、無駄のない循環型の製造・供給が、個社単位ではなく、地域単位・社会単位で実装されていきます。
これは、「製造者が作ったものを選ぶ時代」から、「生活者や地域のニーズに基づいて生産が行われる時代」への転換でもあります。サステナビリティ価値のインプットとアウトプットが同期し、その速度を飛躍的に高めていくのがAIの役割です。
当社は、こうした仕組みを通じて、工業をサービス化するプラットフォームの構築を進めています。
予測で無駄をなくし、企業活動・地域運営を最適化するRemixモデル
サーキュラープラットフォームで加工された予測情報によって無駄をなくし、企業活動と地域運営を最適化する仕組みを、当社では「Remixモデル」と呼んでいます。
MEGURU STYLEを通じて蓄積されたデータは、ローカルデータセンターにおいて調達予測・需要予測・行動予測・滞在予測など、「意志決定に活用できる未来の予測情報」へと編集されます。
この情報を活用することで、企業は、地域ニーズに即した商品・サービスの提供、生産計画の最適化が可能になります。
同時に、自治体や地域にとっても、資源や人の動きを踏まえた、より効率的な地域運営が可能になります。
AMITAは「サーキュラープラットフォームプロバイダー」を目指す
「エコシステム」という象徴的な言葉も使いましたが、当社はサーキュラープラットフォームを構築する「サーキュラープラットフォームプロバイダー」となることを目指しています。
2030年、“社会課題解決市場”創出を支えるアミタの2大事業柱
そして2030年には、「MEGURU STYLE」と「Cyano Project」は「社会課題解決市場」を支える2大事業として確立し、サーキュラープラットフォームを通じたIoEによるデータ活用を基盤に、地域課題の解決と企業のサステナビリティ経営を一体的に支援していきます。
重要事業戦略①Cyano Project|「経営の質」が問われる今、経営者の「意志ある決断」を支える新サービス=SEA
ここで、Cyano Projectの新サービスとして開発しており、4月に提供開始する、経営幹部限定コミュニティ「SEA(Sustainable Executive Alliance)」についてご説明します。
不確実性が高まる現代において、従来の経営手法だけでは十分に対応できない局面に入っていると認識しています。これまでのように、過去の成功事例をベースに運営の精度を高めていく手法は、一定の合理性はあるものの、結果として競争が激化し、レッドオーシャン化しやすい構造にあります。
そのため今後は、単なる効率化ではなく、どの市場を創るのかという意志決定の質とスピードが、より重要になると考えています。
一方で、社会課題は複雑かつ多面的であり、単一企業の視点だけで最適な意志決定を行うことには限界があります。当社自身も、これまでサーキュラーモデルの構築や、廃棄物を「地上資源」として再定義する取り組みを進める中で、単独での最適化ではなく、関係者との連携や仮説共有を通じて意志決定の精度を高めてきました。
また、近年のAIの進化により、複数のシナリオを同時にシミュレーションし、意志決定を支援する環境が急速に整いつつありますが、それをどのように経営判断に活かすかが問われています。
こうした背景から、同じ方向性を持つ企業の経営幹部が集い、AIも活用しながら共通の視座で意志決定の解像度を高める場として、「SEA」を構想しています。
本コミュニティでは、サステナビリティや事業変革をテーマに、企業間の対話と知見の共有を通じて、実行につながる意志決定を支援していきます。
重要事業戦略①Cyano Project|Sustainable Executive Alliance(SEA)
具体的にSEAでは、サステナビリティ経営の実現に向けて、経営幹部が現状認識を固め、計画を描き、実行へ踏み出すための一連を支援します。
経営哲学の深化として、意志決定の質を高めるインプット「羅針盤フォーラム」、意志決定の高度化として、サステナビリティに特化した経営幹部専用の壁打ちAIチャットボット「AI Inner Compass」、戦略の実効性向上として、6つの資本の循環構造を可視化・定量評価するフレームワーク「MEGURU Capital Model」などがあります。
これらを統合的に提供することで、AI時代に適合したサステナビリティ経営支援へと変革していきます。
重要事業戦略①Cyano Project|企業のサステナビリティ経営への移行を「構想・構築・実践」の各フェーズで支援
SEAを踏まえて再構築したCyano Projectでは、2つのフェーズを通じて、サステナビリティ経営への移行を支援していきます。
まずフェーズ1は、「サステナビリティ経営戦略の構想」です。
ここでは、意志決定の解像度を上げることを目標にしています。SEAで提供しているフォーラムやAIツールを活用し、経営幹部が正確かつ迅速に判断できる力を高める段階です。
続くフェーズ2は、それを実際に行動に移す段階です。ブルーオーシャン型事業として意志決定を具体的な成果に変え、社会への貢献につなげていきます。
もし日本が、「信頼」を工業のサービス化として具現化し、提供できるようになれば、国際競争の中で大きな優位性を発揮できると考えています。
企業活動には、人やモノ、資金を動かす力が必要ですが、「民間が製品を作り、販売を拡大することで、社会全体がより良くなる」という好循環を生み出すことが理想です。
世界には不確実な要素が多く、例えばイラン情勢など、エネルギーやサプライチェーンの安定に影響を与える課題も出てきます。
そうした状況でも、日本の製品やサービスは、価格が高くても「安定性」と「信頼性」を提供できる存在であることが重要です。取引を通じてサプライチェーンの安定が期待できること自体が、付加価値になります。
つまり、これまで人と人との関係で培われてきた「信頼」を、工業製品やサービスとして形を変え、社会や経済に還元していくことが必要です。
「高品質で信頼性のある日本製品・サービスを通じて、持続可能な社会や安定した経済の実現に貢献する」というのが、私たちの目指す日本の姿です。
重要事業戦略②MEGURU STYLE|地域内に良関係のコモンズを実現し社会的行動動機を最大化する
次に、重要事業戦略②として、「MEGURU STYLE」の深化と推進についてお話しします。
「MEGURU STYLE」は、MEGURU BOX、MEGURU STATION 、MEGURU COMPLEXなどのハードを用いて、資源循環を軸に日本における社会的行動を最大限に有効活用するための仕組みです。
重要事業戦略②MEGURU STYLE|2029年に目指す新しい地域運営モデル
現在MEGURU STYLEは、2029年の新たな地域運営モデルの完成を目指し、開発を進めています。
新しい地域運営モデルで中核となるのが、当社が提案する「地域循環共生圏ボンド」です。
このボンドは、一般市民自身が「希望」に対して出資を行い、地域の課題を解決するビジネスの資金として活用されます。そして、そのサービスや商品を地域住民である一般市民自身が購入・利用する仕組みです。
つまり、市民の出資・参画・利用によって資金が循環し、地域の課題解決と経済活動が一体となる構造を作ります。こうした取り組みは、個人が孤立するのではなく、多くの人々が集まり、モノや情報、言葉を交換することで新しいコミュニティを構築することも目的としています。
この仕組みを進めれば進めるほど、廃棄物処理費や社会保障費の削減につながり、成果は民間に還元され、ボンドの利息として地域に循環します。この仕組みは「ペイフォーサクセス」と呼ばれており、我々は日本版レベニューボンドの仕組みとして構築することを目指しています。
さらに、このモデルは国の金融政策とも接続可能です。
国がNISAを推進する中で、国民は2,300兆円もの金融資産を保有していると言われています。
この資産を地域に還元し、地域の社会課題を解決する仕組みを広げることで、長年続いた日本の社会課題を打破する新しい市場を創出できると考えています。
重要事業戦略①Cyano Project ②MEGURU STYLE|国内事業の中長期事業取り組み
当社は「2030年エコシステム社会の実現」を目標とし、スライドに記載した計画のもと、2大事業である「Cyano Project」と「MEGURU STYLE」を加速させていきます。
重要事業戦略③海外事業|ASEAN中心の海外事業を拡張
次に、重要事業戦略の3つ目として、海外事業の拡張についてお話しします。
当社は、特にASEAN諸国を中心に事業展開を進めています。
現在、ASEAN諸国は、日本が戦後50年かけて歩んできた経済成長のプロセスを、わずか5年で達成するかのようなスピードで、目覚ましい経済発展を遂げています。その一方で、こうした急速な発展の裏側では、日本がかつて直面してきた社会課題が、同様に顕在化していくことが予想されます。
ここに、当社が日本で培ってきた環境技術や資源循環のノウハウを活かす余地があると考えています。現在は、マレーシア、インドネシア、インド、パラオの4カ国において、各国の課題解決に資する事業展開を進めています。
これにより、日本での経験と技術を海外に展開し、地域社会と経済の発展に貢献すると同時に、当社にとっての新たな事業機会の創出を目指しています。
事業構造の中長期的な戦略的変化と拡張の見通し
以上ご説明した戦略を進めることで、事業構造もスライドのとおり、戦略的に変化と拡張をしていく予定です。
現在、当社では既存事業であるサーキュラーマテリアルやBPOで成長曲線を描いていますが、いずれこれらは統合していくことになります。これが2026年度から2027年度の市場展開期になすべきことです。
これらの整備が完了した際には、先ほどお話しした社会課題解決市場の基盤整備を構築し、そこに大きなビジネスチャンスを生み出したいと考えています。
2030年に向けた経営アーキテクチャ
2030年に向けた経営アーキテクチャについてご説明します。
本スライドでは、4つの取り組みを整理していますが、ポイントはシンプルです。
当社はこれから、何に投資するかを再定義していきます。
まず1つ目は、経営重点の再定義です。売上志向から利益志向へと転換し、社会課題解決領域をコアな市場機会として捉えていきます。
2つ目は、ステークホルダー経営です。企業単体ではなく、関係性の中で価値を生み出すことで、取引コストの低減と収益性の向上を実現していきます。
3つ目は、エコシステム経営です。パートナーとの連携を通じて、多面的に価値を創出し、持続的な成長につなげていきます。
そして4つ目が最も重要なポイントです。人財と関係性への投資です。AIを活用できる人財の育成を進め、これまでリソースとして捉えていた人材を、価値を生むキャピタルへと転換していきます。あわせて、ステークホルダーとの関係性そのものも価値の源泉として投資していきます。これらは従来の会計上はコストとして扱われますが、当社はこれを投下資本として捉え直し、新しいROICの考え方として市場と共有していきます。
こうした取り組みによって、社会課題解決市場の獲得と、営業利益率の向上、経常利益の持続的成長を実現していきます。
先行投資型経営を加速する攻めのガバナンス強化
加えて、先行投資型経営を加速する攻めのガバナンス強化を実施していきます。具体的には、取締役の任期を1年から2年へ見直すこととしました。
この見直しの背景には、経営環境の変化があります。
現在は不確実性が高まる中で、潜在ニーズへの先行投資型の経営が求められており、事業の立ち上げから価値創出に至るまで、一定の時間を要する時代となっています。
そのため、短期的な視点だけでなく、中長期戦略を一貫して遂行できる体制の構築が必要であると考えました。今回の任期見直しは、戦略の継続性を担保するとともに、経営責任の明確化を図ることを目的としています。
一方で、任期を延ばすだけではなく、適時・適切な情報開示の充実も併せて進めていきます。
具体的には、経営状況や戦略の進捗について、従来以上に積極的に情報開示を行い、中長期戦略の実行状況を継続的に共有していきます。
2030年に向けた経営アーキテクチャ
こちらは、2030年に向けた成長イメージです。
2025年度までの基盤整備期においては、事業基盤の構築と成長のための種まきを進めてきました。
その上で、2026年度および2027年度の市場展開期では、この基盤整備期の延長線上で、各事業の展開を着実に進めていきます。営業利益および経常利益の拡大に加え、利益率の改善も図りながら、安定した成長を実現していきます。
そして、2028年度以降は市場拡大期へと移行します。このフェーズでは、これまでの延長線上の成長ではなく、成長の角度を変え、「成長率」から「進化率」へと転換する時期になると考えています。
特に重要なのは、市場そのものの拡大です。現在の日本市場は、構造的に縮小していくことが想定される中で、既存市場の中だけで成長を目指すには限界があります。そのため、この市場拡大期においては、社会課題解決市場そのものを創出・拡大していくことが不可欠です。
これらの取り組みを通じて、2030年に向けて社会課題解決市場の獲得と拡大を実現し、持続的な成長へとつなげていきます。
「社会課題解決市場」こそが課題先進国・日本に残された最大の成長市場
作れば作るほど、売れば売るほど、働けば働くほど、生活すればするほど、社会課題が解決されていく市場こそが、世界で最も開拓しやすい最大の成長市場であると考えています。
当社は、この中期の2年間でしっかりと取り組み、みなさまに「ここまで来た」という発表を行う予定です。以上で、ご説明を終了します。