ファーストアカウンティング
■ファーストアカウンティング 森様
承知いたしました。私たちが特に注力しており、かつ難易度が高いとされている領域が3つございます。
1つ目は、来年4月から適用される「新リース会計基準」への対応です。これは国際会計基準(IFRS第16号)と同様の判断が求められるもので、契約書を精読した上で、資産をバランスシート(BS)に計上する「オンバランス」か、費用処理とする「オフバランス」かを判定しなければなりません。従来、人間が行っていたこの高度な判定業務を、弊社のAIで自動化することに成功いたしました。
2つ目は、経費精算の確認業務です。経費精算は、従業員が会社のために支払ったお金を精算する不可欠な業務ですが、それ自体が直接利益を生むわけではありません。そのため、従来はBPO(業務委託)に外出しされることが多い領域でした。 弊社のAIは、単なる領収書のデータ化に留まりません。社内規定や出張旅費規定を「理解」した上で、その申請が妥当かどうかを判定します。つまり、人間が行っていた「規定との照合」という判断業務をAIが代替しているのです。
そして3つ目が、間接材の支払確認業務です。請求書を支払う際、振込先口座が正しいか、二重請求ではないかといった膨大な確認作業が発生します。ここをAIで自動化し、ミスと工数を劇的に削減しています。
よく「会計ソフトを作っているのですか?」と聞かれますが、私たちの本質はそうではありません。「経理業務そのものをAI化」しているのが最大の特徴です。先ほど、山本さんから「AI企業か、SaaS企業か」という問いがありましたが、私たちが「AI企業」であると自負しているのは、提供している価値の核心が、判断業務を担うAIそのものだからです。
●フィスコ 山本
ありがとうございます。前半の締めくくりとして、従来のやり方と比べて「効率」や「精度」が具体的にどの程度向上するのか、改めて教えていただけますでしょうか。
■ファーストアカウンティング 森様
はい。例えば、経費精算の「AIエージェント」を例に挙げますと、明確な比較数値がございます。処理スピードに関しては、人間によるBPO(業務委託)と比較して「5倍速」を実現しています。精度についても、大手企業向けに提供しているBPOと同等の極めて高い水準を維持しており、その上でコストは「半分」に抑えることが可能です。
そうすると、大きな生産性改善が期待できるため、導入検討につながるケースが多いです。特に現在の日本は深刻な人手不足であり、経理人材は完全に売り手市場です。大手企業であっても優秀な人材の確保が難しくなっている中、重要度が比較的低い経費精算の確認業務、新制度への対応などはAIに任せ、人間は「利益を生む業務」にフォーカスすべきだと考えています。
●フィスコ 山本
価格が半分で、スピードが5倍。となると、単純計算で「生産性は10倍」という計算になりますね。それほどの差があれば、導入を検討しない理由がないのではないでしょうか。
■ファーストアカウンティング 森様
まさに仰る通りです。生産性が10倍も異なれば、強い関心をいただくお客様が非常に多いです。直近の状況としては、世の中全体でAI活用への機運が急速に高まっており、弊社にとっては非常に強力な追い風が吹いています。こうした「圧倒的な生産性の向上」を直接的な価値として提供できる点が、一般的なSaaSベンダー様との大きな違いであると自負しております。
●フィスコ 山本
ありがとうございます。先ほどお話に出た「新リース会計基準」への対応など、さらに掘り下げたいポイントがいくつもございました。まずは、ありがとうございました。
▲フィスコ 高井
森様、詳細な企業説明をありがとうございました。ここからは、直近の決算内容や事業戦略について、山本さんから深掘りしていただきます。山本さん、よろしくお願いいたします。
●フィスコ 山本
はい、よろしくお願いいたします。まずは御社のビジネスモデルについて、数点お伺いできればと思います。収益がどのように積み上がっていく構造になっているのかという点と、非常に低い水準で推移している「チャーンレート(解約率)」の背景について、改めてお聞かせいただけますか。
■ファーストアカウンティング 森様
承知いたしました。まず収益の積み上がりについてですが、弊社は基本的に「複数年契約」を主軸としております。一度ご契約をいただくと、月額費用が発生するサブスクリプション・モデルとして継続的に収益が積み上がっていくため、非常に強固なビジネス基盤となっています。
特に弊社のお客様は、日本を代表するようなナショナルクライアント(大手企業)が中心です。
大企業の複雑な経理業務にAIを適合させるには、導入後のきめ細やかな調整が不可欠です。弊社はAIがお客様の業務に完全にフィットするまで徹底して伴走するスタイルを得意としており、この手厚いサポート体制こそが、一般的なSaaSベンダーと比較しても極めて低いチャーンレート(月次解約率)を実現している最大の要因だと考えております。
●フィスコ 山本
ありがとうございます。今後の売上成長のドライバーについてお伺いしたいのですが、「新規顧客の獲得」と「既存顧客のアップセル(単価向上)」、どちらの勢いがより強い、あるいは今後注力されるといった傾向はございますか。
■ファーストアカウンティング 森様
当社はこれまで、新規顧客・既存顧客ともに順調に成長を続けてまいりました。特に今年度は、「新リース会計基準」の導入が大きな追い風となっております。この新基準は2027年4月より強制適用となるため、現在は上場企業を中心とした大手企業において、法改正への対応が急務となっています。このような背景から、今年度は新規契約数が大幅に増加する、飛躍の年になると確信しております。
●フィスコ 山本
ありがとうございます。続いて、競合環境についてお伺いできればと思います。単刀直入に、現在の競合・類似企業はどこにあたるのでしょうか。また、そうした企業と比較した際の御社の優位性や独自の強みについても、併せてご教示ください。
ファーストアカウンティング株式会社×フィスコアナリスト山本泰三対談動画文字起こし(4)に続く