■業績動向
(2) コンテンツマーケティングサービス
はてなのコンテンツマーケティングサービスの売上高は前年同期比13.3%減の282百万円となった。売上高の内訳を見ると、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同9.9%減の208百万円、広告収入が同21.6%減の73百万円といずれも減収となった。
「はてなCMS」の運用件数は前年同期比5件増の154件と増加基調が続いたものの、生成AIの台頭により安価で多量な記事コンテンツを自身で制作できるようになったことも影響し、記事制作等の編集受託案件が減少し、1件当たりの平均月次売上も同25.9%減の277千円と下落傾向が続いたことがSaaS等の減収要因となった。メディア新規開設件数は同1件増の13件と堅調に推移した一方で、解約件数が同6件増の11件と従来よりも増加したことが響いた。解約理由は様々だが、企業がオウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングに対する予算を絞り込むようになり、採算面からメディア運営を終了するケースが増えたようだ。広告売上は顧客の予算縮減に伴う広告出稿の減少が減収要因となった。同社では、生成AIの普及により今後も厳しい事業環境が続くと認識しており、人的リソースの一部を「toitta」などの注力分野にシフトすることも考えている。
2024年10月に正式版をリリースした「toitta」は、AIを活用してインタビュー内容を的確かつ安価に整理・共有できるサービスとして、主に企業のリサーチ・マーケティング部門で高い評価を受け導入が進んでいる。汎用的な生成AIサービスでもインタビュー内容の書き起こしはできるものの、内容を分析して最適なスタイルに整理してくれる機能やグループ外への共有機能などは難しく、また使い勝手の良いUI/UXとなっていることも高い評価につながっているようだ。2026年1月には、知りたいことを「toitta」に質問するだけで蓄積されたインタビューデータを横断的に探索し、「ファインディングス(発見)」を複数提案する新機能「ask toitta」を正式リリースするなど、機能強化も継続的に進めており、売上規模はまだ小さいものの顧客数は順調に増加した。
(3) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比9.6%減の151百万円と減収基調が続いた。「はてなブログ」の登録ユーザー数は前期末比1.8%増の1,312万人と堅調に増加したものの、各種SNSや動画広告の普及もあってアドネットワーク広告単価の下落傾向が続いており、広告収入が同7.5%減の84百万円となったほか、有料課金サービス「はてなブログPro」の契約件数減少によりSaaS等も同12.1%減の66百万円と低迷した。ただ、アドネットワーク広告については、改善施策を実施したことにより2026年1月は前年同月比で7%増と3年ぶりに増加に転じるなど、下げ止まり感も見え始めている。
なお、生成AIベンダーとの「はてなブログ」のコンテンツ利用に関するパートナーシップ契約については、データの取り扱いや取り組みの方法などについて複数社と協議を進めており、個社別に最適な連携方法を模索している段階にある。
(4)その他サービス
2024年10月に日本ブロックチェーン基盤(株)が運営・管理するパブリックチェーン※1「Japan Open Chain(JOC)」に共同運営者(バリデータ※2)として参画し、バリデーション業務を開始した。その対価としてJOCトークン3百万円(前年同期は1百万円)を売上計上した。今後はブロックチェーン技術の既存サービスへの実装や新サービスでの展開を検討していくほか、他社と連携し既存サービスとは異なる領域で新規事業を立ち上げることも視野に入れている。
※1 暗号資産の取引情報の記録に用いられるブロックチェーンにおいて、特定の管理主体を置かず、不特定多数の参加者により取引情報の合意形成を行う仕組みのこと。
※2 ブロックチェーン上の取引(トランザクション)を承認する役割のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)