■シンシアの事業概要
2. コンタクトレンズ事業
(1) コンタクトレンズ事業
a) 製造・品質管理
同社は工場を持たないファブレス企業であり、製造は台湾・韓国・マレーシアの3ヶ国の現地工場と提携して製造を委託している。コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、同社でも商品開発段階から現地工場との共同開発体制を採り、徹底的な製造管理・品質管理を行っている。製造元に対しては最低でも年1回の定期監査を行い、定められた工程どおり製造されているか、品質基準を満たしているかなど、製造現場や製造記録を厳しくチェックしている。同社は、国際規格「ISO13485 医療機器の品質マネジメントシステム」の認証を取得している。日本で製造販売業を行うにあたってこの認証取得は必須ではないが、より高いレベルでの製造管理・品質管理を行うために取得した。また、各委託先が得意とする製品を見極め、製品ごとに最適な提携工場を選択している。
同社の品質と安全に対する想いは強く、提携工場内で定められた検査を行い出荷された製品に関しても、輸入した国内でさらに、受入試験と製品試験という2段階の追加試験を行っている。コンタクトレンズの承認基準で要求されている「物理的試験」「安定性試験」「消毒剤との適合性試験」に対応できる試験検査設備を自社で保有しており、ユーザーからの問い合わせなどで届いた製品の迅速な原因究明とレポート提出も可能な体制を整えている。
b) 製品ラインナップと販売チャネル
同社の製品は、販売チャネル別にブランドマーケティングを実施している。
クリアレンズでは、1日使い捨てと2週間交換レンズを展開している。ECサイトでは、「L-CON」シリーズを中心に、「シンシア S」と同じシリコーンハイドロゲル素材を使用した「pranair」を販売する。ECサイトは、子会社ジェネリックコーポレーションの展開する「みんなのコンタクト」での直販のほか、ECサイトに出店する小売店舗に卸・代理店経由で販売している。
処方施設チャネル経由では、クリアレンズの「シンシア S」シリーズを展開する。同シリーズは、業界で普及し始めた第三世代のシリコーンハイドロゲル素材を使用している。従来の素材であるハイドロゲルは水を媒介して酸素を取り入れるが、シリコーンハイドロゲルは素材そのものが酸素を通すため、酸素透過率は166Dk/Lと同社従来品の約14倍も高く、長時間使用でも瞳の酸素不足を防ぐ。また、独自技術「HYDROPHILIC(S)(R)TECHNOLOGY」によりうるおい層を作るほか、業界で初めて保存液に水分を蓄える働きをするヒアルロン酸ナトリウムを配合したことで、心地よい装用感を実現している。高機能、高価格のため処方施設チャネルで販売し、眼科医、ユーザーから高い評価を得ており、2025年12月期決算では自社ブランドの63.1%を同シリーズが占める(サークルレンズを含む)。健康意識も高まりつつあるなか、こうした高品質な製品への需要は根強い。また、乱視、遠近両用などの機能性を高めた製品に対しても需要が強く、2025年2月には「シンシア 1DAY S 乱視用」を販売開始し、2026年夏には遠近両用のリリースを計画している。
ドラッグストアチャネルでは、2017年11月に販売開始した「1day Eye Well」の販路拡大を目的に、2022年2月にドラッグストア向けコンタクトケア商品に強い販売チャネルを持つ卸売りの大木と、同社が2022年3月に発売した「2week Eye Well」の独占販売契約を締結した。その結果、2022年12月期に「Eye Well」シリーズの取扱店舗数が増加し、売上高も前期比38.9%増となった。現在「Eye Well」は、1日使い捨ては2ブランド、2週間交換は1ブランドを発売している。
カラーレンズでは、「FAIRY」シリーズで1日使い捨てと1ヶ月交換のレンズを展開し、ECサイトで販売している。子会社カラコンワークスが運営するEC店舗「FAIRY REPUBLIC」、子会社ジェネリックコーポレーションの展開する「みんなのコンタクト」で直販するほか、ECサイトに出店する小売店舗に卸・代理店経由で販売している。カラーレンズでは、色素をレンズ内に浸透させる方式や色素をレンズにプリントする方式を採用する製法では色素の溶出により眼障害を引き起こすケースもあるが、同社では、コンタクトの素材と素材の間に色素(着色剤)を挟み込むサンドイッチ方式を採用しており、色素部分が角膜やまぶたに直接触れないため、安全性が高い。サークルレンズについては、クリアレンズで展開する第三世代シリコーンハイドロゲル素材を使用した「シンシア S」シリーズとして「シンシア S Cleche」を、同シリーズのクリアレンズと同じ処方施設チャネルで販売している。「シンシア S Cleche」は、シリコーンハイドロゲル素材により裸眼と比較して約98%の酸素を通すほか、保存液へのヒアルロン酸ナトリウム等の配合により、長時間使用時の乾燥を軽減する。瞳の大きさや色の個性にあわせ、裸眼に近い装用感を実現するため、カラーとサークルを兼ね備えたデザインで、1日使い捨ての1DAYでは4種類、2週間交換の2WEEKでは3種類のカラーを揃えている。
(2) コンサルティングサービス(2026年12月期よりコンサルティング事業へ移管)
同社が持つ薬事申請のノウハウを生かし、薬事申請支援コンサルティング及び選任製造販売業者(DMAH)サービスを展開する。2022年12月には医薬部外品製造販売業、2024年9月には医薬部外品製造業の許可を東京都より取得しており、医薬品医療機器等法第12条第1項及び第13条第1項の規定により許可された医薬部外品の製造や販売が可能となった。なお、従来セグメント区分はコンタクトレンズ事業に含めていたが、同サービスの成長見通しに伴い、成長ドライバーとすべく2026年12月期からは、コンサルティング事業に移行している。
a) 薬事申請支援コンサルティングサービス
国内においてコンタクトレンズなど医療機器の製造販売を行うためには、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)や認証機関に対して申請を行い、厚生労働省の承認または認証を受ける必要がある。同社は、自社での承認申請ノウハウを生かして、申請書類の作成支援のみならず、照会事項対応サポート、社内体制構築のコンサルティングなどを行っている。
b) 選任製造販売業者サービス
外国医薬品医療機器メーカーが日本で製造販売を行う場合には、外国特例承認制度により承認を取得するとともに日本において製造販売業者を選任する必要がある。この選任製造販売業者は、日本で医療機器・医薬品などの製造販売業許可を取得していることが条件で、品質管理及び製造販売後安全管理業務などが外国メーカーから委託される。同社は選任製造販売業者として海外メーカーの日本進出のサポートを行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)