■キットアライブの事業概要
(5) 優秀な人材の獲得
同社の本拠地である札幌は、IT企業やエンジニアが多く、かつては「サッポロバレー」と呼ばれていた。北海道大学をはじめとする教育機関が数多く存在し、首都圏よりも人材獲得競争が少ないため、優秀な人材を獲得できる機会が多い地域である。一方で産業や大企業が少ないことから、IT分野に関わる理系の学生が希望どおりに地元で就職できない状況である。札幌市はAI関連人材の育成を目的とした「SAPPORO AI LAB」を設立するなど、様々なITビジネス支援に取り組んでおり、ITビジネスに適した環境が備わってきている。同社は、札幌市におけるITエンジニア採用のポテンシャルに着目しており、同社代表が北海道大学出身であるメリットを生かし、積極的に地元の優秀な学生を採用している。2025年2月13日時点で、同大学出身者は全社員の25%を占め、2026年4月には同大学出身者が2名増加する見込みである。
ワークライフバランスの面から見ても札幌に本社があるのは有利で、自然と都市圏がほどよい距離にあり、生活と仕事をうまく切り分けられる豊かな地域性が、人材の定着にもつながっている。同社は男性社員の育児休業・育児時短勤務取得に実績があり、2017年11月には札幌市ワークライフバランス認証のステップ3「先進取組企業」を取得している。2025年12月末時点で、男性労働者の育児休業取得率は75.0%で、前期に続き高水準を維持している。離職率は10.9%(同0.2ポイント低下)で、2025年12月期の退職者は7人(同1人増)、うちエンジニア以外の退職者は2人である。従業員総数に占める女性比率は30.2%(同2.1ポイント上昇)、管理職に占める女性の割合は16.7%(同2.4ポイント上昇)であり、労働者の男女賃金差は全労働者で81.1%(同5.6ポイント低下)、正規雇用で83.8%(同3.9ポイント低下)、パート・有期労働者で32.3%(同28.1ポイント低下)となっている。
2025年12月期の採用は目標16名に対し8名にとどまったが、四半期ごとの入社制度を活用することで第二新卒の採用比率が高まり、新卒採用の競争激化を補う体制を整えている。今後はこの第二新卒層の採用をさらに強化する。また、初年度年俸を月額2万円引き上げることで待遇面の競争力を高め、優秀な人材の確保を図っている。加えて、北海道大学生協の「100円夕食」への協賛などを通じて道内学生への認知度を向上させるとともに、AI活用や勉強会情報の発信を強化し、応募意欲を高める採用導線を構築している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山 博詞)