■今後の見通し
2. 中期経営計画
サイオスは2026年12月期よりスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。最終年度となる2028年12月期の業績目標として売上高22,000百万円、営業利益610百万円、EBITDA700百万円、ROIC13.5%を掲げた。年平均成長率は、売上高で4.9%、営業利益で15.0%となる。ストック型ビジネスモデルの強化により自社製品・サービスの拡大を図ることで収益性も向上し、売上高も含めて過去最高業績の更新を目指す。1年間の中期経営計画では2027年12月期の業績目標として、営業利益310百万円を掲げていたが、2025年12月期に超過したため、利益の目標水準を引き上げた格好となっている。
(1) プロダクト&サービス
プロダクト&サービス事業では、「継続的な機能開発・性能改善とAIの活用による製品差別化」「ストック型ビジネスモデル売上高比率の向上」「カスタマーサクセスを通じた顧客とのエンゲージメント強化」の3点を成長戦略として取り組み、2028年12月期に売上高7,100百万円(年平均成長率7.3%)、セグメント利益1,100百万円(同14.8%)を目指す。利益率は増収効果によって2025年12月期の12.6%から15.5%に上昇する見通しだ。
a) 「Gluegentシリーズ」のARR拡大
成長ドライバーとなる「Gluegentシリーズ」では、新規顧客の獲得と合わせてAI機能の実装による高付加価値化を進め、既存顧客へのアップセル並びに解約抑止に取り組むことでARRを積み上げていく。新規獲得についてはデジタルマーケティングに加えて販売パートナーとの連携強化を推進する。また、カスタマーサクセスを通じて顧客満足度の維持向上を図り、解約率を低水準に抑えていく。
b) 「LifeKeeper」のサブスクリプション強化
「LifeKeeper」については、クラウド環境での利用が国内外で広がるなかで、サブスクリプション契約(定額制、従量課金制)での販売を強化する。海外で先行しているが国内でも新たにリリースした「LifeKeeper v10」よりサブスクリプション契約での料金プランを用意した。ストック型売上の比率を高めることで安定した収益基盤を構築する考えだ。
c) MFP向けソフトウェア製品のサブスクリプション強化
MFP向けソフトウェア製品では、2025年3月に提供開始した「QuickスキャンAI」のサブスクリプション版となる「QuickスキャンPlus」の販売拡大に注力する。販売パートナーである大塚商会と連携し、既存ユーザーからのアップセルだけでなく新規顧客の獲得を推進する。MFP向けソフトウェア製品はサブスク化へのシフトを進めていることもあって年率1ケタ台の成長となるが、潜在需要の取り込み余地は大きく着実な成長を目指す。
(2) コンサルティング&インテグレーション
コンサルティング&インテグレーション事業では、「顧客のAI活用支援案件の拡大」と「AI活用による社内開発の生産性の劇的改善」に取り組む。APIソリューションに加えて、AIの利活用に関する企業等のコンサルティングニーズは依然強く、こうした需要を取り込んでいく。2028年12月期に売上高4,000百万円(年平均成長率5.0%)、セグメント利益310百万円を見込む。利益ベースでは2025年12月期の水準が高かったことや人員体制の強化を進めているため若干水準は低くなり、利益率も2025年12月期の9.9%から7.8%と若干低下する。売上高に関しては10億円弱の売上規模に育ったAPIソリューション事業の高成長が続くようであれば、リセール収入の増加が見込めることもあり、上振れする可能性もある。
生成AI関連ソリューションでは、「Azure OpenAI Service」の導入・活用支援サービスのほか、2025年5月よりRAGを活用した「社内ナレッジ活用AIチャット導入サービス」を提供している。また、APIソリューションの取り扱いサービスのなかからAIエコシステム※の構築・運用もできるため、AI人材の採用・育成、あるいはM&Aも視野に入れながら旺盛な需要を取り込む考えだ。
※ AI利活用を通じたデータ駆動型のビジネス推進や業務改革において欠かせない「データマネジメント(保持、処理、可視化、知財)」及び「データセキュリティ、ガバナンス」の設計、開発、運用を一貫して支援するサービス。
(3) ソフトウェアセールス&ソリューション
ソフトウェアセールス&ソリューション事業では、「Red Hatをはじめとする提携先との取引拡大」「Elasticsearchとの提携による生成AI関連案件の創出」に注力し、2028年12月期に売上高10,900百万円(年平均成長率3.4%)、セグメント利益100百万円を目指す。既述のとおり2026年12月期に利益水準が一旦落ち込む見通しとなっているため、利益に関しては大きな成長を見込んでおらず、利益確保を重視していくものと見られる。
■株主還元策
内部留保の充実により2027年12月期以降は連結配当性向30%以上を目指す
同社は2022年12月期と2023年12月期の2期連続で損失を計上し、内部留保が脆弱となったことから、2024年12月期と2025年12月期は、2期連続で無配とした。ただ、事業構造改革も一巡し利益体質への転換が進んだことで2026年12月期は1株当たり5.0円(配当性向11.7%)と3期ぶりの復配を予定している。また、内部留保が充実してきたことから、2027年12月期以降の配当方針として、連結配当性向で30%以上の配当を実施する方針を発表した。業績が中期経営計画どおりに進んだ場合には、1株当たり配当金は15円前後の水準に上昇するものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)