AGENDA
松岡竜大氏:代表取締役社長COOの松岡です。それでは、私より2026年2月期通期決算についてご説明します。
本日のアジェンダはスライドをご覧ください。まず、2026年2月期の決算概要からご説明します。
2026年2月期 通期 決算ハイライト
2026年2月期の決算ハイライトについてご説明します。売上収益は84.2億円、前期比9.7パーセント増となりました。営業利益は17億円、前期比13.0パーセントの減益です。売上総利益率は54.7パーセント、営業利益率は20.2パーセントとなりました。
スライド右側に示している主要KPIについてご説明します。稼働対象コンサルタント人員数は298.1名と前期比で増加し、人員規模が拡大しています。一方で、稼働率は91パーセントから87パーセントへと低下し、平均単価も261万円から253万円へと低下しています。この点については後ほどご説明します。
2026年2月期 通期 決算エグゼクティブサマリ
2026年2月期通期の決算エグゼクティブサマリです。通期業績は、概ね2026年1月13日に公表した修正計画どおりの着地となりました。
売上収益は下期以降、人員構成のバランスが崩れたことを原因として、案件組成に影響を及ぼしたものの、前期比9.7パーセントの増収となり、過去最高の売上を更新しました。
利益面では、人員構成の影響による稼働率低下に伴い、販管費に計上される人件費が増加したことから、前期比では減益となっています。
なお、売上および営業利益ともに、修正後の計画に対しては上回る結果となりました。
次に、主要KPIについてご説明します。コンサルタント人員数は着実に増加しており、今後の成長に向けて採用活動を強化しつつ、早期に人員構成の適正化を目指す方針に変更はありません。
一方、稼働率は、人員構成の変化が案件組成に影響を与え、80パーセント台後半となりました。平均単価は253万円で、こちらも人員構成の変化によるものです。
株主還元については、2026年2月期末配当を1株当たり21円に確定しました。後ほどご説明しますが、2027年2月期についても同様に1株当たり21円を予定しています。また、自社株買いについては、2026年1月13日に公表したものが現在進行中です。
2026年2月期 通期 主要KPIハイライト
2026年2月期通期の主要KPIハイライトについてご説明します。コンサルタント人員数は伸び悩みが見られるものの、着実に進捗しています。稼働率は第4四半期累計で87パーセント、平均単価は253万円で、第3四半期からほぼ横ばいとなっています。詳細は後ほどご説明します。
(ご参考)主要KPIの定義・計算方法について
KPIの定義については前回の再掲ですので割愛します。
2026年2月期 通期 決算概要(IFRS)
通期の決算概要です。売上収益は84.21億円で前期比9.7パーセント増収、売上総利益は46.08億円で前期比9パーセント増益となりました。一方、営業利益は17.03億円で前期比13パーセントの減益、当期純利益は12.46億円で前期比12.1パーセントの減益となりました。
主要KPIの状況 ~人員数~
主要KPIについて詳しくご説明します。稼働対象コンサルタント人員数は2025年2月期末の257.7名から、2026年2月期末は298.1名に増加しています。在籍コンサルタント人員数は、2025年2月期末の286名から2026年2月期末は338名と、着実に成長しました。
若手を中心としたメンバー層の採用は好調に推移した一方で、パートナー層およびメンバー層上位の在籍状況が期初計画を下回りました。その結果、人員構成について、当社が最適と考えるピラミッド構造から少し乖離しています。この課題に対する施策および進捗状況については、後ほどご説明します。
主要KPIの状況 ~稼働率・平均単価~
稼働率については、パートナー層およびメンバー層上位が不足していることに起因し、第3四半期から案件獲得のためのチーム組成に影響が及んだことから、通期では87パーセントとなりました。若手を中心としたメンバー層の有償稼働が進んでいない状況でしたが、OJTの延長として無償稼働を一部実施した結果、有償稼働に移行するケースも出始めています。
また、平均単価については、若手を中心としたメンバー層の増加に伴う人員構成の変化により、253万円となりました。
一方、パートナー層を中心に期初計画よりも単価アップを実現できている状況です。
営業費用(売上原価+販管費)について
営業費用についてご説明します。人員増による人件費の増加や外注活用の増加などにより、売上原価と販管費は前期比で9.91億円増加の67.22億円となりました。
スライド右側に、営業費用の主な増減要因を示しています。売上原価の増加要因としては、コンサルタント人員数の増加があったほか、コンサルタントのリテンションを目的とした給与の引き上げなどを実施したことが挙げられます。この結果、売上原価が3.61億円増加しました。
販管費は、前期比で6.3億円増加しています。こちらはコンサルタント人員数の増加に加え、コンサルタントが無償稼働を含むプロジェクト外の活動を行った場合、人件費が販管費に計上される影響もあり、これらを含めて5.17億円増加しました。
また、営業強化を目的として営業部門を拡充したことに伴い、営業工数が増加したことやコーポレート機能の拡充、またAIへの投資などを行ったことにより、販管費が増加しています。
財政状態計算書(BS)
バランスシートです。着実な利益の積み上げにより、利益剰余金は10.27億円増加し、資本全体では71.92億円となりました。
中期経営計画の振り返り・今後の施策
今後の戦略についてご説明します。まず、中期経営計画第1期目の振り返りと、今後の施策についてです。2025年4月に公表した中期経営計画では、売上高はCAGR20パーセントから25パーセント、営業利益率は最終年度において25パーセントから30パーセントという目標を掲げています。
中期経営計画の第1期目にあたる2026年2月期については、主に人員構成のバランスが崩れたことで、案件獲得のためのチーム組成ができませんでした。その結果、稼働率の低下を招き、売上および営業利益率ともに進捗に遅れが見られる結果となっています。
この遅れの原因は人員構成のバランスの崩れであると特定できているため、これからご説明する重点施策を実行することで、中期経営計画の達成はターゲット内であると考えています。
重点施策としては、スライド下部に記載のとおり、3つの施策を掲げています。1つ目が「人員構成の適正化」、2つ目が「既存事業の進化」、3つ目が「営業力強化」です。次のスライド以降で、それぞれについてご説明します。
重点施策① 人員構成の適正化に向けた施策
重点施策の1つ目である「人員構成の適正化」についてです。中期経営計画の進捗が遅れている主な原因は、採用未達や退職の影響によって人員構成のバランスが崩れたことにあります。これにより、案件獲得に必要な体制として、上位層と下位層の適切なバランスを組むことができませんでした。
そのため、2027年2月期では人員構成の適正化を最優先テーマとして取り組んでいます。各施策を推進するため、組織体制の変更を実施しました。これにより、専門性を活かせるキャリアパスを構築・拡大していきます。この点は、後段でご説明する組織体制の話と関連します。
リテンション面の施策としては、従来のリテンション施策に加え、従業員の志向性を踏まえたアサインオペレーション、すなわち従業員の希望を可能な限り組み込んだかたちでプロジェクトにアサインするオペレーションの確立や、福利厚生の強化などを進め、社員にとって魅力的な組織作りを継続しています。
採用面の施策としては、第3四半期から新たに採用委員会を設立し、各施策の検討および実施のスピードを向上させています。主な取り組みとしては、採用プロセスの見直し、人員構成バランス状況のモニタリング、エージェントとの関係性強化、リテーナーを活用した採用活動の開始などがあります。また、4月からは外部から新たに採用責任者を招聘し、これらの施策を順次進めています。
役職ピラミッドを当社が考える適正な比率に戻すため、2027年2月期はメンバー層上位以上の採用強化に注力する方針です。
施策の進捗についてご説明します。
まず、採用プロセスの改善については、週1回の採用委員会にて全体最適を常にモニタリングし、PDCAを高度化させています。1つの部門で採用に至らなかった人材についても、他の部門での採用を検討するなど、当社として可能な限りチャンスを活かす取り組みを進めています。
また、エージェントとの関係性強化の一環として、エージェント向け説明会を実施しています。エージェントに当社のことをより深く理解していただくことで、具体的な応募者を推薦しやすくなるため、当社によりマッチした人材をご紹介いただけるよう施策を進めています。
採用の状況としては、直近の施策に伴い応募数が増加傾向にあります。施策を実施し、その効果が現れた2月以降の応募数は、前期比で約140パーセントと順調な増加を見せています。また、パートナー層については、採用および昇格により予定人員数を充足する見込みが立っています。
このように、2027年2月期に向けて人員数の確保、人員構成の適正化および母集団形成が順調に進捗しており、引き続き各施策を推進していきます。
重点施策② 既存事業の進化 ~国内コンサルティングサービスの動向~
重点施策の2つ目である「既存事業の進化」についてです。スライド左側のグラフは、国内コンサルティングサービスの市場動向を示しています。インターナショナルデータコーポレーションジャパン(IDC Japan)社の調査によると、国内コンサルティング市場は、生成AIの急速な普及やDXの加速を背景に引き続き成長基調にあります。
当社が得意とする実行支援へのニーズがさらに高まっており、2024年から2029年までの年平均成長率は、スライド左下に記載しているとおり、9.9パーセントと予測されています。実行支援のニーズが高まっている点については、当社としても感じ取っています。
したがって、当社としては、スライド右下に記載しているような付加価値をこれまで以上に提供することで、国内コンサルティング市場において既存事業を進化させていきたいと考えています。
重点施策② 既存事業の進化 ~市場イメージと競合優位性~
こちらは市場のイメージについてです。数字についてはあくまでも当社試算の推計値になりますため、イメージであり、情報の正確性などを保証するものではないことをご理解ください。
当社がサービスを提供しているSOMという市場については、2つの領域において特に当社が優位性を発揮できると捉えており、それに併せて当社の組織もStrategic Business Unit1と2に分けました。
まず、「SBU1」がターゲットとする市場は、DXやIT領域に強みを持つ国内の大手コンサルティング企業や新興系のコンサルティング企業が手掛ける市場と考えています。こちらでは「差別化戦略」として、品質や組織力を発揮しながら面で戦うことを押し出しており、現在もお客さまから高い評価をいただいています。その方向性をさらに強化し、競合優位性を発揮していきたいと考えています。
また、「SBU2」がターゲットとする市場は、大手総合ファームが手掛けるビジネスのうち、当社が対応可能な市場です。こちらに対する当社の競合優位性としては、スライド右側に示しているとおり、コストリーダーシップを優位性として戦っていきたいと考えています。
重点施策② 既存事業の進化 ~SBU1とSBU2の連携~
「SBU」について、より詳しくお話しします。
まず、「SBU1」は戦略の実行支援を軸としたコンサルティングサービスを提供する「プロジェクト推進・実行支援領域」です。
当社はこれまで、実行支援を軸としたコンサルティングサービスを提供し、お客さまに伴走しながら支援を進めてきました。お客さまにも価値を感じていただいている部分であり、この実行支援の知見があるからこそ、スライド右側の「SBU2」の領域において、実現性のある計画が立てられるといった点に結びついています。
一方で、「SBU2」は、「戦略策定・実行プランニング領域」です。こちらは計画や戦略を立てることを主としており、業界やソリューションにおける専門性が発揮される領域です。お客さまをより深く理解した上で戦略や計画を立てることで、当社はお客さまへさらなる付加価値を提供できます。
この実行プランニングの力があるからこそ、スライド左側の「SBU1」の領域で行う実行支援そのものにも、より高い説得力と再現性が生まれると考えています。
この2つの領域を分断せず、計画と実行を連動させることで、変革・改革のスピードを上げることが可能となります。「SBU2」で設計した戦略・プランを「SBU1」が現場で実行し、その伴走支援で培った知見や信頼を基に、新たなテーマを生み出すという循環を通じて、お客さまの企業価値向上に貢献していきたいと考えています。
重点施策② 既存事業の進化 ~各SBUにおける具体的な施策~
「SBU1」「SBU2」における具体的な施策についてお話しします。
「SBU1」については、専門性と品質で勝つ領域として、高稼働率モデルの再構築を掲げています。具体的な施策としては、「PMOの専門チームを強化」と「営業力の強化」を推進していきます。
まず、「PMOの専門チームの強化」として、プロジェクトをリードできる人材の一層の獲得を進めていきます。ITプロジェクトの実行にあたっては、コアとなるリーダー層を配置し、そのメンバーを中心に組織的に動けるチームを作ることがお客さまに求められていますので、こうしたニーズに応えるため、PMO専門チームの強化に取り組んでいきます。
また、「営業力の強化」については、現場でお客さまのニーズを把握し、それに基づいて次の案件獲得につなげる力を底上げすることにより、組織的な営業品質の向上を進めていきます。
「SBU2」については、「オファリング×アカウント」のポジショニング戦略として、他のファームに対してコスト優位性および提案力で競争優位を確保する領域となっています。具体的な施策としては、「オファリング強化」と「営業力の強化」を推進していきます。
まず、「オファリング強化」についてですが、提案書を作成するにあたり、オファリングと呼ばれる提案と実績がセットになったものが重要です。当社は基本的にアカウントベースで物事を考えているため、お客さまにより即した提案を行うことが重要なポイントであると考えています。
したがって、お客さまや市場のニーズに合わせたかたちでオファリングを整備し、外部への発信を進めることにより、オファリングの強化を行っていきます。それぞれのオファリングは専門性の高い領域となるため、専属のメンバーを確保し、人材育成を進めていきます。
オファリングの例示として、スライドに上流アジェンダやサプライチェーンマネジメントなどを挙げています。テーマを絞り込みながら、オファリングを作り上げていきます。
また、「営業力の強化」に関しては、主な施策として外部協業の加速を挙げています。具体的には、SHIFT社や他の企業とアライアンスを組むことで営業リードをいただくこと、短期間ながらもプロジェクトとして継続していただける構造を構築すること、そしてアカウントマネジメントを強化することなどの施策を現場で進めています。
重点施策② (参考)既存事業の進化 ~成長戦略実現に向けた体制の変更~
参考資料になりますが、これまでコンサルティング本部内にあった組織を「SBU1」「SBU2」とそれぞれ再編成しました。
これまで「ワンプール」と呼んでいた組織の特性はタレントマネジメント部として残しつつ、事業推進においては市場や顧客ニーズに即したかたちで組織運営ができる体制への移行を進めています。
従業員やこれから当社へ入社を希望する応募者の方々の視点から見て、タレントマネジメント部でさまざまな経験が積めることはこれまでと変わりません。また、「SBU」に所属することで専門性をさらに高めることができる点も応募者にとっての魅力につながると考え、明確な組織体として再編成しました。
重点施策② 既存事業の進化 ~AI機能子会社設立~
AI機能子会社設立についてです。AIに関しては、みなさまからよくご質問いただく内容です。当社としてもAIによるコンサルティング事業への影響については、今後の事業を進める中で重要な要素であると考えています。
本年3月には、AIを活用したコンサルティング事業の提供価値を向上させるため、NouScale社という子会社を設立しました。
製造業を中心としたAI導入について、PoCや単発プロジェクトにとどまらず、継続的に競争力を高める仕組みへの転換を目的としています。PoCの個別導入ではなく、AIがまるで組織の一部のように仕事をすることを目指しています。
当該子会社としては、業務起点でのBPRとベンダーに依存しない柔軟な実装に加え、案件で開発したAIをモジュールとして蓄積・再利用することで、ドメインに特化したサービスを提供していきます。
これにより、導入の速度向上・低コスト化・高精度化を実現し、案件を重ねるほど競争力が強化されるスケーラブルなモデルを構築していきたいと思っています。
先ほど「製造業を中心に取り組む」とお伝えしましたが、製造業に特化するためには、当該領域の知見が非常に重要です。そこで、パナソニック社で副社長執行役員を務めた松下氏を社長に迎え、製造業における深い知見と経営力を取り込むことで、事業成長の確度を高めていきます。
また、AIエージェントについては、単体での活用ではなく、AIエージェント群として複数のAIが連携して働く状態をいかに早く実現するかが重要なポイントだと考えています。これをお客さまが実現するための支援を行うことが、当社グループの中期的な企業価値の向上に資する投資であると考えています。
NouScale社は当社の子会社として設立し、本日リリースしたとおり、当社からNouScale社へ増資を実施しています。コンサルタントだけでなく、エンジニアの能力を持つメンバーを集める必要があるため子会社として設立しました。
重点施策② 既存事業の進化 ~NouScaleの提供価値・差別化~
NouScale社の提供価値および差別化についてです。
当社は、スライドの図に示した4象限の左上に位置するSaaS企業やAI開発ベンダーから「サービスをお客さまに導入するためには、コンサルティングが必要」といった協業の打診や相談をよく受けています。
こうした背景には、サービス起点や製品起点で導入を進めた場合、お客さまの業務に合わないケースが生じるという課題があります。PoCの段階では問題がなくても、全社に導入しようとするとそのような課題が出てくる場合もあります。
この点において、NouScale社の差別化ポイントが生まれます。業務起点での柔軟な実装を提供することにより、十分な差別化が可能な領域だと考えています。
また、4象限の右下に「コンサルwith AI」と記載していますが、コンサルタントの人工提供型ビジネスで内部プロセスをAI化する支援が活発化しています。一方、プロジェクトで都度AI化を進めるとなると案件ごとにゼロベースでの設計・開発が必要となるため、知見の再利用やスケール化に限界があります。NouScale社はこの構造を転換し、案件で開発したAIをモジュールとしてアセット化し、他案件へ再利用することで、案件を重ねるほど競争力を高める戦略を採用しています。
NouScale社は、導入領域を日本の製造業に特化した点が特徴です。日本の製造業の現場では、非常に高度なすり合わせや暗黙知の中で作業が行われています。こうした企業にAIを適用する際には、業界の知見が必要であるため、支援を通じて再利用性の高いアセットも生まれてきます。
戦略的に製造業に特化することで、PoC止まりを回避し、より早く他の会社で適用できた事例を実績とすることで、実運用まで確実につなげていくことができます。
お客さま目線では投資対効果の高いAIの導入が可能となり、NouScale社の目線ではアセットの蓄積が進むという好循環が生まれますので、これを推進していきたいと考えています。
もちろん、当社向けとして、コンサルティング能力をAI化する取り組みも進めますが、基本的には外販を進めていく方針です。
スライド下部に「競争力の源泉」と記載していますが、当社が培ってきた既存のコンサル知見と顧客理解をベースに、NouScale社におけるAI領域のR&Dケイパビリティと実装力を掛け合わせることで、お客さまに実行力を提供できることがNouScale社の強みです。
重点施策③ 営業力強化
重点施策の3つ目である「営業力強化」についてです。
SHIFT社との業務提携は順調に進捗しており、2026年2月期より相互送客による案件獲得が進んでいます。売上が順調に積み重なっており、2027年2月期には全体売上の1割程度に達するのではないかと見込んでいます。
また、右側のリコー社との件ですが、当社はこれまでリコー社が保有するAIソリューションの販売において、コンサルティングを提供していました。こうした背景の中で、リコー社よりその機能をさらに内部に取り込みたいとの意向を受け、新合弁会社(ジョイントベンチャー)を設立することで合意しました。
合弁会社設立に向けた基本合意書を締結し、現在は、リコー社の言葉で言いますと「AX(AIトランスフォーメーション)」を実現するための具体的な内容を詰めている段階です。
本取り組みは、AIソリューションの提供において、リコー社が持つ顧客基盤、顧客接点およびAIの基盤技術に、当社のコンサルティング能力を組み合わせることで、AI分野における当社のプレゼンスを高めていくことを目的としています。
当社としては、リコー社の顧客基盤を活用できることは非常に大きなメリットであり、このような取り組みを拡大することで、当社の営業力をさらに強化していきたいと考えています。
このほかにも、アライアンスなど、営業力強化のための種まきを進めている状況です。
2027年2月期 通期業績予想(IFRS)
2027年2月期の通期業績予想についてご説明します。売上収益は100億円、売上原価は46.2億円、売上総利益は53.8億円、営業利益は9.46億円、当期純利益は6.63億円を見込んでいます。
2027年2月期について営業利益は大幅な減少に見えるかと思います。当社としては、2026年2月期に崩れた人員構成のバランスの適正化を最優先事項とし、なるべく早期に元の体制に戻ることに注力します。
そのため、採用にかかる費用を中心に投資を実行するかたちとなり、このような業績予想となりました。ぜひご理解いただけると幸いです。
2027年2月期 業績推移イメージ・前提
具体的な業績推移のイメージや前提についてご説明します。2026年2月期第3四半期から第4四半期にかけて、人員構成のバランスが崩れた点はこれまでご説明したとおりです。
2027年2月期は、人員構成のバランスを適正化するための施策を実施しています。すでに2026年2月期の第4四半期から施策の効果が見えている部分もありますが、2027年2月期第1四半期については人員構成のバランスによる影響がまだ残っています。また、例年の季節性ではありますが、4月に新卒社員が入社する影響で、営業利益率が一時的に低下する見込みです。
第2四半期から第3四半期にかけては採用活動の成果が表れ始め、利益率の向上が期待できるものの、採用コストが増加する見込みです。一方、稼働率や平均単価の改善が徐々に進み、売上が伸長することで利益率も徐々に回復していくフェーズにあると考えています。
第4四半期については、後半にかけて人員構成が適正化し、採用費が正常化することで、営業利益率は改善基調に入る見通しです。
来期2028年2月期は、人員構成が適正化された状態でスタートできると考えています。2027年2月期の投資を踏まえ、2028年2月期には再び成長路線に戻っていきたいと考えています。
業績予想における考え方・前提(KPI)
主要KPIの考え方です。在籍コンサルタント人員数は、2026年2月期の338名に対し、48名増の386名を想定しており、大幅な増加を見込んでいます。上位層を中心に採用を行うため、容易ではないものの、48名の増員は達成可能であると見込んでいます。
稼働率については、通期で92パーセントを見込んでいます。第1四半期は新入社員の入社およびそれに伴う研修の影響で、80パーセント台後半を想定しています。第2四半期以降は上位層の採用が進むことで、稼働率が徐々に回復していくイメージです。
平均単価については、第1四半期は若手中心の人員構成の影響を受けること、また稼働率の上昇を優先するため、単価が上がりにくい状況となります。一方で、第2四半期以降は人員構成の適正化と昇格後の単価転嫁が進むことにより、期末に向けて上昇していく見込みです。
中計経営計画の達成に向けて
中期経営計画の達成に向けた考え方についてです。先ほどお伝えしたとおり、第1期目では課題があり、難しい状況に直面しました。
一方で、コンサルティング事業については、外部調査や当社の感覚から見ても、需要は引き続き堅調であると考えています。このため、人員構成の適正化を進めることで、中期経営計画の達成を目指していきます。
人員構成の適正化により、稼働率の改善および案件組成力の強化を図り、売上高を段階的に拡大させるとともに、営業利益率も2028年2月期以降は改善基調となることを見込んでいます。
年度ごとの考え方についてです。2027年2月期は、人員構成の課題を立て直す重要な1年と位置づけています。まずは人員構成の適正化を通じて、稼働率の正常化と単価上昇を目指していきます。この結果、売上高は前期比で19パーセントの伸びを想定しています。一方で、営業利益については、採用費の増加などに伴い調整局面となる見込みです。
2028年2月期は、人員構成の適正化による効果が本格化すると考えています。そのため、前期比20パーセント超の成長を想定しています。また、稼働率および採用費の水準が正常化することで、営業利益率は改善基調に入ると予測しています。
2029年2月期以降は、主に人員数の増加による売上高の拡大に加え、規模の経済が働くことで営業利益率の向上を図り、中期経営計画の達成を目指していきます。
株主還元
株主還元についてご説明します。2027年2月期の配当は、1株当たり21円を維持する予定です。配当性向については、基本方針の目安を大きく超えている状況ですが、2027年2月期の利益水準の低下は一時的なものであると判断し、据え置きとしました。
2025年2月期に配当を開始し、2026年2月期には配当金を21円まで引き上げており、2027年2月期においても同水準を維持することで、安定的な株主還元を実施していきます。
自己株式の取得については、現在進行中のものは2027年2月期も継続して対応していきます。引き続き、企業環境および金融市場の変化に応じて機動的な対応を進めていきます。
今後も経営成績および財務状況を総合的に勘案しながら、株主還元の充実を目指していく方針です。
当社が考えるAI普及の影響
最後に、当社のAIに関する取り組みと考え方についてご説明します。スライド左側の図に示しているとおり、AIの活用が進むにつれて多くの作業が効率化されていることは、みなさまもご認識のとおりかと思います。
当社のコンサルティング業務においても、構想・設計・分析といった領域で大きな変化が見られます。情報取得や分析は誰でも実現可能となり、生産性が飛躍的に向上しています。
これを当社では「効率の民主化」と呼び、従来コンサルティングが価値を発揮していた分析中心の領域は、中長期的にコモディティ化していくと考えています。
一方で、「AIの普及により、コンサルティングの需要は減少するのか?」というご質問もいただきますが、当社としてはそのようには考えておらず、むしろ質的な変化を遂げていくことが重要だと考えています。
AIは選択肢の生成や最適化に優れている一方で、最終的な意思決定や組織としての実行プロセス、いわゆる根回しや合意形成には関与できません。これらは引き続き人の力に依存する領域だと捉えています。
さらに、選択肢を生成する際には、立てる問いやプロンプトによって大きく答えが異なります。正しい問いを立てるには、お客さまが持つ暗黙知、文化的背景や過去の経緯を理解することが重要です。これらを踏まえた上で問いを立てなければ、正しい答えは得られません。
正しい問いを立て、多くの選択肢を提示し、それを組織の決定に落とし込む役割は、引き続き存在すると当社は考えており、そのような役割を担うことで今後もコンサルティングは必要とされ続けると思います。
一方で、先ほどもお伝えしたとおり、企業内でAIが導入されていく流れは今後も変わらず、AIの活用がこれからも進んでいくと考えています。
その結果として、例えば10年後には、各社がAIを用いて導き出した答えに大きな差異は生じない可能性があります。場合によっては、各社の製品が同じようなものになることも考えられます。それが最も合理的であり、市場に受け入れられるものであれば、同じものを作るというのがAIです。
そうなると、企業は何を競争力とするかを考えなければなりません。これに対して、当社は「共感」を1つの答えとして捉えています。さまざまな商品の中から消費者に選んでもらうためには、企業に対する「共感」が必要であると考えています。
これを当社は「共感主義エンジン(信頼最大化)」と呼んでいます。企業が、パーパスや意思決定の原則、透明性を備えていなければ、選ばれないと考えています。
したがって、企業としては「資本主義エンジン(効率最大化)」と「共感主義エンジン(信頼最大化)」の2つを備えることが重要であると考えています。資本主義がなくなるわけではなく、共感主義が加わるという考え方です。
当社の競争優位については、これまで「Hands-on Style」や「More than Reports」といった言葉で表現してきましたが、構造変化に対して極めて適合性が高い点にあると捉えています。
当社は、第三者として助言を行う週1回程度の従来型コンサルティングではなく、机を並べて意思決定そのものに伴走するかたちで支援してきました。現場に入り込み、組織の文脈や意思を理解した上で意思決定や実行支援を行ってきた実績と信頼関係は、他社には容易に模倣できない資産だと考えています。
特に重要なのは、この伴走型の実績と信頼関係が、AI時代において非代替性の価値となる点です。AIが代替するのは、分析や選択肢の生成といった領域です。一方で、お客さまの固有の文脈を踏まえた意思決定や、組織を動かす力、合意形成は代替が困難です。
当社の強みは、AIによって代替される部分ではなく、相対的に価値が高まる領域であり、この点を強く意識していただければと思います。この領域は、プロジェクト型の短期的な収益ではなく、お客さまとの長期的な関係性を前提とし、継続的な収益に結びつきやすい特徴があります。
AI時代において当社は、AIコンサルティングの需要を取り込みつつも、より付加価値が高く、持続性のあるビジネスモデルへの転換を図ることが可能であると考えています。当社はAIによる構造変化にディスラプトされる側ではなく、この変化を積極的に取り込み、競争優位を強化し、中長期的な成長を実現できるポジションにあると認識しています。
AIへの取り組み
AI時代における当社の基本戦略についてです。スライド左側に示しているとおり、クライアントにおけるストラテジーやオペレーション、すなわち戦略の立案や組織設計・プロセス設計の領域では、選択肢の生成、分析、最適化がAIによって代替されていくと考えられます。
「効率の民主化」が進むことで、企業の競争力の源泉として、当社は「共感資本主義」を取り入れる必要があると考えています。ここで強調したいのは、「共感資本主義」は理念や社会的スローガンにとどまるものではないという点です。
当社はAI時代における「共感資本主義」という考え方を、企業が持続的に競争優位を確立するための明確な競争戦略であると位置づけています。AIが効率を民主化するからこそ、信頼や関係性といった非代替的な資産が企業価値を決定する要素になると想定しています。
もちろん、資本主義の考え方と併せてとなりますが、当社はこの構造変化を前提として中核戦略を策定しています。
この戦略の下、スライド右側に示しているとおり、当社は3つのソリューションを展開していく予定です。
1つ目は「AI活用を前提とした戦略策定支援」で、主に当社が進めていきます。AIが生成する戦略オプションを活用しながら、クライアントの価値観や意思を言語化し、それらを統合することで意思決定を進めていくものです。この取り組みは、当社が従来から行ってきたことの延長線上にあります。
2つ目は「伴走型AI実装支援」です。この領域の実行主体は、NouScale社が担います。先ほどもお伝えしたとおり、AIを単体で導入するのではなく、群として運用していきます。NouScale社のAIの技術知見と客観性を活かし、業務起点で一気に変革していく取り組みです。AI導入からBPR、組織変革までを一体で推進することで、クライアントの内製化を支援し、持続的な競争力の構築を実現します。
3つ目は「共同出資型事業共創」です。現在、第1の取り組みとしてリコー社との合弁会社設立を予定していますが、これは単なる提携ではなく、当社がこれまで蓄積してきたクライアントとの信頼関係を資本として具現化したものです。短期的なフィーではなく、キャピタルゲインを含めたお互いのパートナーとしての利益源泉を共有していきたいと考えています。当社の強みである共感や関係性、現場で一緒に仕事をするという価値観を、事業価値や収益機会に転換していく取り組みとなります。
今後も、共同出資モデルは積極的に拡大していく方針です。共創を通じて関係性を深化させると同時に、ストック型収益や事業収益の比率を高め、収益構造の高度化と持続性の向上を進めていきます。
当社はAIによる構造変化を前提とし、効率を担う「金融資本主義エンジン」と、信頼を担う「共感資本主義エンジン」という考え方に基づき、「金融資本主義」と「共感資本主義」の両方を支援できるポジションを確立していきます。
戦略から実装、共創までを一気通貫で提供することで、単なるコンサルティング会社にとどまらず、お客さまの企業価値を実現するパートナーとして中長期的な企業価値向上を実現していきます。引き続き、ご支援を賜れれば幸いです。
以降のAppendixはこれまでご説明・開示している内容となりますので、お時間のある時にご覧ください。
ご清聴ありがとうございました。
※文中の「稼働率」と「平均単価」は、「稼働対象コンサルタント」の指標を指します。