横浜フィナンシャルグループの強みと特徴
小野寺伸夫氏(以下、小野寺):株式会社横浜フィナンシャルグループ、代表取締役兼株式会社横浜銀行代表取締役副頭取の小野寺です。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。本日の説明を通じて、横浜フィナンシャルグループへのご理解を少しでも深めていただければと考えています。
まずは、当社の強みと特徴をご説明します。1つ目は、全国に多数の地方銀行が存在する中で、当社は神奈川・東京という首都圏に地盤を持つ地域金融機関であることです。
2つ目は、市場環境が良いとはいえ、競争が厳しい状況ですが、その中でメガバンクや大手証券会社との競争を通じて磨き上げてきたソリューション提供力が当社の大きな強みだと考えています。
3つ目は、首都圏に拠点を持つ当社では、金融リテラシーの高いお客さまが非常に多いため、変動金利型貸出の比率が高いという特徴もあります。現在は政策金利が上昇局面にあり、我々の収益に対する感応度が高く、金利が上がればそれに伴って収益も上がります。このようなポートフォリオを持っていることが特徴の1つです。
業績ハイライト
業績ハイライトについてご説明します。スライド左側に示しているとおり、親会社株主に帰属する当期純利益は着実に増加しています。
現在、日本銀行の金融政策が正常化に向かって進んでおり、毎年度20パーセントを超えるボトムラインの成長を達成しています。金融政策の完全な正常化への道のりはまだ続いており、この勢いを維持していきたいと考えています。
スライド中央に示しているROEについても、当期純利益の増加に伴い、着実に改善しています。中期経営計画の初年度である2025年度は7.6パーセントを計画しており、3年目の2027年度においては、現状の政策金利0.75パーセントのままでも9パーセントを超える目標を掲げています。その目標に向けた道筋も、着実につかんでいると考えています。
1株あたり配当金は増配を継続しており、今年度は37円を予想しています(2026年3月9日に増配を公表、2025年度DPSは38円予定)。配当性向は40パーセントです。当社が株主還元にもしっかりと取り組んでいる会社であるとご理解いただけると思います。
会社概要
会社概要についてご説明します。横浜フィナンシャルグループでは、横浜銀行を含む3つの銀行と、今年度に買収した不動産担保ローンを手掛けるノンバンクのL&Fアセットファイナンスを傘下に置いています。
他にも機能別の子会社はいくつかありますが、主にこれら4つの事業体が横浜フィナンシャルグループを構成しています。その中で最も大きいのは横浜銀行であり、横浜銀行を中心とした地域金融機関とご理解いただければと思います。
設立は2016年4月で、設立から約10年が経ちます。沿革は次のスライドでご説明しますが、2016年はマイナス金利が開始された年であり、グループ発足以来、非常に厳しい局面を経験してきました。しかし、金融政策の正常化に伴い、現在は復活の途上にあります。代表者は片岡達也で、片岡は横浜銀行の頭取も兼務しています。
スライド右側に示しているとおり、総資産は約24兆円です。地域金融機関グループは、総資産が20兆円を超えると経営が安定し、収益力も向上し、生き残れると指摘する評論家もいますが、当社は約24兆円という規模を誇っています。
時価総額は1兆5,752億円と記載していますが、地方銀行で最大となります。本日2月18日時点では1兆9,000億円近くに達しています。
沿革
沿革です。スライド右側に示しているとおり、2016年に横浜銀行と東日本銀行が経営統合するかたちで、金融持株会社がスタートしました。当時の名称は「コンコルディア・フィナンシャルグループ」でした。
「コンコルディア」という名称は、ラテン語で「調和・協調」を意味しますが、統合から約10年が経過し、グループとしての一体感は十分に定着した一方で、「社名から地域金融グループであることが分かりにくい」といったご意見をいただいており、今年度に株主総会の決議を経て「横浜フィナンシャルグループ」に改称し、事業体としての内容をよりわかりやすく伝えられるようにしました。
沿革に戻りますが、2023年には、神奈川県の第二地方銀行である神奈川銀行を連結子会社化しました。また、今年度は先ほどお伝えしたとおり、戦略投資の一環として、L&Fアセットファイナンスという会社を85パーセントの出資で連結子会社としています。
数字でみる横浜フィナンシャルグループ
スライド左上に「地銀1位」と記載していますが、時価総額は1.6兆円です。足元では1.9兆円近くに達しています。ボトムラインについては、2024年度の着地が828億円となりましたが、先ほどグラフで示したとおり、2025年度の着地は1,030億円を見込んでいます。
預金平残は19.7兆円ですが、足元の残高ベースでは20兆円を超える水準に達しています。貸出金平残は16.6兆円ですが、こちらも足元では17兆円を超える水準にあります。
神奈川県・東京都のマーケットポテンシャル/稠密な店舗ネットワーク
我々の強みと特徴の1つとして、我々のマーケットは東京・神奈川であり、法人の事業所が集積し、人口も密集した肥沃なマーケットです。
そのようなマーケットにおいて、スライド右側に示しているとおり、我々は稠密(ちゅうみつ)な店舗ネットワークを構築してきました。東京・神奈川に集中している点が、地域金融機関とはいえ、当社の特徴となっています。
また、スライド右下に記載のとおり、海外にも拠点があります。上海とシンガポールには支店を設置しています。
当社の強み
当社の強みについて詳しくご説明します。スライド左側に「グループ総合力」と記載しています。グループ会社や子会社も含め、貸出だけでなく、さまざまな機能を持っています。これらの機能を活用し、スライド中央に示しているとおり、貸出以外にも付加価値のあるサービスを多面的にお客さまに提供しています。
また、横浜銀行と東日本銀行はそれぞれ100年を超える歴史を持ち、この地域で営業を続けています。そのため、スライド右側に示しているとおり顧客基盤が非常に厚い点は、当社の強みの1つと考えています。
ホームマーケットにおける当社のポジション
横浜銀行がベースとしている神奈川県のマーケットは、スライド左側に記載のとおり、貸出金も預金も伸びています。現在、全国を見ると人口減少に伴い預金が減少し始めている県もありますが、神奈川県はまだ成長している市場です。
スライド右側に示しているように、我々の神奈川県内における貸出金シェアは36.1パーセントで、メガバンクを含む大手銀行のシェアを合わせた31.2パーセントを上回っています。このように、存在感のある銀行であることがわかります。
地銀対比で高い成長率
繰り返しになりますが、足元では利益成長率が20パーセントを超えており、この成長率は大手地方銀行の他行と比較しても非常に高い水準にあります。この勢いを維持していきたいと考えています。
メガバンク対比で高い円金利感応度
先ほど我々の強みや特徴として、金利感応度が高いことをお伝えしました。その一例として貸出金割合をご覧ください。メガバンクは国内貸出が全体の約6割を占めており、逆に言うと約4割は海外貸出となっています。
一方、スライド右側に示している横浜銀行を中心とした横浜フィナンシャルグループでは、国内貸出がほぼ100パーセントを占めています。
このうち7割が変動金利に基づいており、金利が上昇した際には貸出金利回りの上昇を通じて直ちに収益の増加につながります。このようなポートフォリオとなっていることをご理解いただきたいと思います。
また、国内金利上昇の文脈においては、横浜銀行のほうがメガバンクよりも利益成長率や金利感応度が高い立ち位置にいると考えています。当然ながら規模はまったく異なりますが、成長率という意味ではそのようなことかと考えます。
政策金利変更による影響
シンプルにお伝えすると、政策金利は現在0.75パーセントですが、仮にもう一段金利が上がり、0.25パーセント上昇した場合、我々の業務粗利益(一般事業法人の売上粗利益に相当するもの)には、1年目に約130億円、2年目に約170億円の増加影響があり、利益が増加すると試算しています。
2年目に170億円となる場合、税引後で約120億円の増益効果が見込まれます。結果として、ROEが1パーセント程度上昇するといった計算が成り立ちます。
ROEは今年度の着地が7.6パーセントとなりますが、2025年12月の利上げを受けて、このまま推移すれば2027年度には9パーセントを超える見込みがしっかりと見据えられる状況になっています。
長期ビジョン
当社が目指している姿についてです。スライド左側に記載しているとおり、当社の目指す姿として「地域密着の都市型総合金融グループ」を掲げています。当社は首都圏をベースとした多機能な地域金融機関でありたいと考えています。
また、地域に密着しつつも、スライドに記載している「MEJAR」という枠組みの中で、北海道銀行、北陸銀行、広島銀行、七十七銀行といった他の銀行とシステムの共同化を図り、コストシェアを通じて合理化を進めています。
さらに、千葉銀行やきらぼし銀行とは、首都圏という文脈において営業を中心とした業務提携を行い、さまざまな営業分野での連携を強化しています。
このような他の銀行との連携を進める中で、スライド右側に記載しているように、ホームマーケットにおけるプレゼンスをさらに高めていきたいと考えています。引き続き機能を強化し、お客さまにさまざまなサービスや機能を提供していく方針です。
中期経営計画の位置づけ・ROE目標
現状の中期経営計画についてご説明します。2027年度の計画では、当期純利益1,200億円超を掲げ、結果としてROEを9パーセント超に引き上げることを目指しています。この計画の前提としては、政策金利を0.75パーセントに設定しています。
また、先ほど「政策金利が0.25パーセント上昇すると、ROEが約1パーセント向上する」とお話ししました。単純計算として、2026年度中にもう1回利上げがあり、政策金利が1パーセントになれば、ROEが10パーセント超となる見通しです。
さらに、政策金利が1.25パーセントになればROEは11パーセント超、1.5パーセントになれば12パーセント超と推移する見込みですが、政策金利だけに頼るわけではありません。我々としては、さまざまなサービスを展開し、収益の増加にも努めていきます。
このように、ROE12パーセント超という目標を実現する姿を将来のイメージとして持っていることをご理解いただければと思います。
法人戦略
法人および個人の営業戦略についてご説明します。我々の特徴の1つとして、スライド右側に示している顧客セグメントにおいては、アッパーミドルや上場・コアと呼ばれる非常に規模の大きな企業が顧客基盤に多く含まれている点が挙げられます。これは他の地方銀行との大きな違いであると考えています。
現在、こうした上場企業を中心とした大規模な企業は、東京証券取引所の要請を受け、多様なコーポレートアクションを実施しています。我々としても、スライド左側に示しているさまざまなソリューションを提供する機会が増えています。この一例について、次のスライドでご紹介します。
法人戦略
今お伝えしたとおり、上場企業におけるM&Aの実施や非上場化のお話を多く受けており、それに伴うストラクチャードファイナンス案件の増加が、貸出の伸びを牽引するドライバーとなっています。
スライド右側に示しているとおり、棒グラフの上部の薄い水色の部分が非常に大きく成長していることをご確認いただけると思います。これは首都圏に拠点を構えているからこそ取り組めるファイナンスだと考えています。
個人戦略
個人戦略についてご説明します。個人のお客さまについては、先ほど「100年の営業実績がある」とお話ししましたが、スライド右側に示しているとおり、いわゆる資産形成層と呼ばれるマス層から富裕層において、取引先数が500万人を超えています。それぞれのお客さまのセグメントに合ったプロダクトとチャネルを提供しています。
個人戦略
富裕層向けの営業についてお話しします。当社では「資産家向け融資」と呼んでいますが、首都圏に土地をお持ちの地主の方々が対象です。こうした方々は相続税負担が非常に重い中、所有する土地の上にアパートやマンションを建設するという需要があります。首都圏では空室リスクも少ないことが特徴です。
当社は、このような地主の方々のアパートやマンションの建設資金の融資を得意としています。スライド右側の棒グラフは、上部の薄い部分が資産家向け融資を示しています。こちらが着実に伸びており、個人向け貸出の主要なドライバーとなっています。
預金戦略
昨今の新聞報道でも「銀行の預金獲得競争が激化している」といった記事があるかと思います。定期預金の金利を設定し、キャンペーンを実施して預金を集めるというのも1つの策かもしれません。
しかし、こうした預金は他行がさらに高い金利を設定するとすぐに流出してしまいます。一方で、当社では人口集積の多い神奈川や東京のマーケットにおいて店舗ネットワークを駆使し、営業活動を行っています。
したがって、スライド左側に示しているとおり、口座数をしっかりと増やし、さらに利用していただく施策を講じています。いわゆる「粘着性」と言いますが、金利の変動に左右されにくい預金の集積を非常に重要視しています。
また、スライド右下に示しているとおり、預金は引き続き順調に伸びています。この中期経営計画期間中も増加を見込んでいます。
人財投資
人財戦略についてご説明します。昔から「金融は人が重要だ」という考え方がベースにありますが、スライド左側に示しているように、当社はお客さまにしっかりサービスを提供する営業人員を中期経営計画期間中に増やす取り組みを進めています。
また、人財投資をしっかり行い、スキルを向上させ、1人あたりの収益を増やすことを基本方針として、人財戦略に取り組んでいます。
人員をただ増やすわけではなく、スライド右側に示しているとおり、役割を見直し、本部人員や事務人員を減らして営業人員を増やすことを考えています。そのために、DXやAIの活用、事務のデジタル化といった施策への投資を行っています。
戦略的投資
先ほどお話しした営業戦略とは別に、当社では蓄積した資本を有効に活用し、戦略的な投資を進めていこうと考えています。この投資を将来のさらなる成長につなげることを目的に、さまざまな案件に取り組んでいます。
スライド左側に示しているとおり、既存のビジネス領域を拡大するためのオーガニックな投資や、現在まだ持っていない機能を新たに取り入れるといった考え方も含まれています。
1つの取り組み事例として、今年度にL&Fアセットファイナンスを買収しました。総投資額は500億円を超えるM&Aとなり、地域金融機関が行ったM&Aの中でも最大級の案件だと思います。
今年度はすでに、のれん償却後であっても連結純利益に大きく貢献しており、内外から「良い案件だった」と評価されています。同社はもともと三井住友信託銀行の子会社でしたが、今回85パーセントの株式を譲り受け、当社の連結対象としています。そのような意味では、利益成長のための買収となりました。
また、異なる切り口として、先月末に公表したとおり、金融分野でAIやDXを行っているベンチャー企業のMILIZEに出資を行い、持分法適用会社としました。
AI活用やDXに取り組む上で、当社にはAIに関する高度な知見を持つ人財が必ずしも多くないため、このように出資を通じて必要な人員や機能を取り込み、我々の事業に貢献してもらう体制を整えています。このような戦略的な投資も進めているところです。
成長投資と株主還元
株主還元についてです。今年度のボトムラインは1,030億円を計画しています。スライド左側に記載のとおり、この中期経営計画期間で1,000億円を超える利益を3年間積み上げれば、3,000億円以上の資本が蓄積されることになります。
もちろん、スライド右側に示しているように、本業の成長に充てる部分もありますが、使い切れないくらいの資本が蓄積されていく状況です。
配当性向は40パーセント程度を目安としていますので、蓄積される資本の4割は株主のみなさまに還元する予定です。残りの4割については、先ほどお伝えしたような戦略的な投資機会があれば、それに取り組みたいと思います。
そのような機会が目先にない場合や遠い将来になる場合は、惜しみなく自己株式の取得を行い、還元に回すことを考えています。
株主還元
2025年度の配当金は37円(増配)、配当性向は40パーセント程度を見込んでいます。これについては累進的な配当方針を採用しており、今年度以降も継続する計画です。
一方、スライド右側に記載のとおり、株主還元については機動的かつ柔軟に対応していく方針です。2025年度は先ほどお話しした2件のM&Aを実施していますが、それでもなお資本は蓄積されるという中で自己株式の取得を進めています。
すでに中間期までに100億円の自己株式取得を実施しましたが、下期には300億円を追加で実施することを公表しています。現在はこのうち170億円分についてバイバックを継続して実施しています。これをすべて完了すると、総還元性向は80パーセントとなります。
このような施策を行わなければROEの向上は難しいと考えており、我々が中期経営計画で掲げている方針に基づき、具体的な取り組みを進めています。その姿勢を感じていただければ幸いです。来年度以降もこのような方針で運営していきたいと考えています。
株主優待
還元の一環として株主優待を開始しています。現状では、基準日の3月31日時点で継続して1年以上保有していただくことが条件となっています。そのため、足元で取得していただいた場合、来年の3月31日を迎えれば対象となります。
具体的な優待内容としては、1,000株以上5,000株未満を保有の方には3,000円相当のギフト、5,000株以上を保有の方には6,000円相当のギフトをご用意しています。
スライド右下に写真を掲載していますが、神奈川や東京にゆかりのある品物をご用意しています。小田原のかまぼこや鎌倉のシャツといったものをはじめ、お肉、三崎のマグロ、中華街の食事券などもあります(※詳細はホームページをご参照ください)。ぜひよろしくお願いします。
参考:株価推移
政策金利の上昇を背景に銀行株全体のパフォーマンスが向上しており、当社の株価も上昇しています。
しかし、まだ政策金利の上昇がすべて織り込まれている状態とは考えていません。営業努力に加え、政策金利の引き上げを追い風として、株価をさらに力強く押し上げていきたいと考えています。そのような視点を持った経営を進めていきます。
説明は以上です。
質疑応答:政策金利の上昇による影響について
司会者:「今後も政策金利の上昇が見込まれますが、御社への影響についてお聞かせください」というご質問です。
小野寺:政策金利0.75パーセントを前提としても、当社としては9パーセントを超えるROEを達成できるという自信を深めています。
こちらのスライドでは、「政策金利が0.25パーセント上昇すると、当期純利益が100億円以上増加し、それに伴いROEも1パーセント程度上昇する」とご説明しました。
アナリストや経済評論家の中では「2026年度中に1回の利上げがあるのではないか」という見方が挙がっています。「4月や6月にもう1度利上げがあるのではないか」、あるいは「2回の利上げがあるのではないか」という意見も見受けられます。
当社としては、2026年度中に少なくとも1回の利上げがあるだろうと予想しています。その場合、中期経営計画期間中にROE10パーセントを超える水準まで見込むことができると考えています。
質疑応答:強みや差別化ポイントについて
司会者:「他の地方銀行にはない強みや差別化ポイントを教えてください」というご質問です。
小野寺:先ほどのご説明と一部重複しますが、地方銀行はその名のとおり、その地方の地盤によってさまざまな影響を受けるという宿命があります。
しかし、幸いにも我々が顧客基盤を持つ首都圏には、法人のお客さまが多く集まっています。また、それぞれの企業がいわゆる家族経営などの零細・小企業というよりは、多くの従業員を抱え、さまざまなサプライチェーンの中でしっかりと事業を運営している大きな会社が多数存在しています。
その結果として、当社には非常に規模の大きなお客さまが多くいらっしゃいます。企業活動が非常に活発化している現在、スライド左側に示すようなさまざまなソリューションを提供する機会が増えています。
特に横浜銀行を中心に、メガバンクと競り合いながらこの地域でいろいろな活動を行ってきました。規模こそメガバンクに及びませんが、非常に機動力のあるサービスを提供できていると考えています。
また、上場企業に対してストラクチャードファイナンスなどの提供も行っています。メガバンクや大手証券は、時価総額が数千億円規模の企業の対応で手一杯になっている場合もあると考えています。
一方で、当行はそれよりやや規模の小さな領域でもしっかりとターゲティングを行っています。メガバンクと競争するというよりも、特定の領域で住み分けや協業を図りながら、首都圏で投資銀行業務を手掛ける事業者として認知されつつあり、存在感を高めています。
このようなスキルやノウハウは、一朝一夕には身につかないため、少し早くから取り組んできた当社が一歩リードしていると考えています。また、他の地方銀行からも非常に関心を寄せていただいているため、当社としてもさまざまなノウハウを提供し、一緒に案件に取り組む活動を進めています。
一方、スライド右側に示している図のミドルゾーンとスモールゾーンに関しては、横浜銀行だけではカバーしきれません。先ほどお話ししたとおり、当グループには東日本銀行および神奈川銀行が属しており、これらの銀行はミドルゾーンとスモールゾーンを得意としています。
そのため、横浜銀行と手分けしながら顧客をカバーしています。このように、グループ内で役割分担を行っています。これらの点が、他の地方銀行とは少し異なるところだと考えています。
質疑応答:地方銀行再編におけるM&Aの考え方について
司会者:「M&A戦略について、特に地方銀行再編に対する考えを教えてください」というご質問です。
小野寺:M&A、特に地方銀行再編という文脈でのご質問ですので、地方銀行再編に絡んだ考え方をご説明します。
先ほどお伝えしたとおり、総資産規模20兆円を超えることが1つの目安となりますが、当社は足元では約24兆円の総資産を有しており、全国的に見てもトップクラスと考えています。さらに規模を拡大していくにあたっては、M&Aは1つの手段になり得ると思います。ただし、むやみに規模を拡大することは適切ではないと考えています。
当社としては、このマーケットにおいて首都圏を基盤としている点が当社の強みであり特徴であると認識しています。そのため、この特徴や強みを活かせる文脈であれば、地方銀行再編という流れの中でのM&Aも選択肢の1つになると思います。
お互いを理解し合えるパートナーがいれば、その機会を否定することはありませんし、むしろ積極的に投資を行っていきたいと考えています。
スライド左側に全国地図を掲載しています。人口や企業が減少している地域もあり、そうした文脈で地方銀行再編が語られることがあります。一方で、当社はそのような地域に地盤を持っているわけではなく、むしろ積極的に攻めていける立ち位置にあると考えています。
この意味では、攻めの経営統合やM&Aを行っていきたいと考えており、その中で中心となれるプレーヤーであると認識しています。お答えになっているかわかりませんが、この考え方をベースに、スライド右側の丸に記載したキーワードがあるとご理解いただければ幸いです。
現時点で具体的に動いているものはありませんが、5年後や10年後に備えて、さまざまなパートナーシップや関係構築に取り組んでいます。
質疑応答:L&FアセットファイナンスとMILIZEの事業シナジーについて
司会者:「L&Fアセットファイナンス、MILIZEなど、戦略的投資を実行していますが、すでに顕在化しているシナジーや今後強化したいポイントを教えてください」というご質問です。
小野寺:まず、L&Fアセットファイナンスについては、不動産担保やローンを手掛けているノンバンクであり、銀行が扱っているゾーンを対象とする会社ではありません。審査に手間がかかり、銀行が扱っていないゾーンに取り組んでいる会社です。
具体的には、永住権のない外国人の方、過去に信用に傷がついて銀行借入が難しい方、あるいは不動産そのものには価値があっても建築基準法に適合していない物件などに対して、手間をかけた面談や情報収集を行い、1件ずつ審査して融資を実行します。
そのため、我々よりも2倍から3倍の高金利で融資を行っていますが、それでもそのようなニーズが存在するのだろうと思います。
シナジーについてお話しすると、我々の銀行チャネルに持ち込まれた案件の中には、先ほどお話ししたような理由から、入り口段階で取り扱えないと判断される案件があります。
そのような案件は、お客さまのご了解のもとでL&Fアセットファイナンスに積極的に紹介しています。その中にはL&Fアセットファイナンスであれば取り組める案件もあり、このようにトレースすることによってシナジーが生まれています。
また、横浜銀行を中心とした横浜フィナンシャルグループは、他の地方銀行とのネットワークも非常に充実しています。L&Fアセットファイナンスは北は仙台、南は福岡まで支店を持ち、支店周辺の地域金融機関との連携を進めています。それに伴い、地域金融機関からの案件の持ち込みも増加しています。
このようにシナジーが生まれつつあり、今年度もすでに期待以上の実績を上げています。これからも非常に期待できる子会社になったと考えています。
MILIZEについては、まだ出資を行ったばかりでシナジーが生まれるのはこれからですが、出資前からさまざまな協業を進めてきました。
我々の銀行アプリに対する機能追加の協力や、投資信託などの販売ツールの開発に携わってもらうなど、協業実績がすでにあります。これらを通じて同社の能力をしっかりと確認した上で、今回持分法適用関連会社化を行いました。
このように、我々が十分なリソースやノウハウを持っていない領域について、MILIZEにさまざまな手助けをしてもらうことで、グループとして目指していることをしっかりと実現していきたいと考えています。
質疑応答:相互関税とインフレの影響について
司会者:「相互関税適用やインフレ継続といった外部環境下において、取引先の業績や御社の与信費用に実際の影響は出始めていますか? また、今後影響が顕在化する可能性について、どのように見ていますか?」というご質問です。
小野寺:非常に鋭いご質問だと思います。相互関税の影響はだいぶ薄まっていると考えており、影響があったとしても、広く浅くということだと思います。
当初は影響を受けた事業者が多くいたものの、与信費用においては相互関税の影響はほぼ出ていない状況です。相互関税が導入された際に専用の相談窓口を設置しましたが、ほとんど電話が鳴らなかったというのが実態です。
自動車メーカーは業績に相互関税の影響が多少出ていますが、彼らは強固な事業基盤を有していますので、大きな心配はないと認識しています。むしろ、インフレの影響のほうが大きいと考えています。
インフレ下においては、当社のお客さまの業績が非常に良くなっています。営業利益が増加していることがその理由です。お客さまも価格転嫁がしやすい環境になっており、以前のように仕入価格が上昇して業績が大幅に悪化するという状況ではなくなりつつあるように見えます。
もちろん、金利が上昇すれば、お客さまの借入の返済負担が増加するため、それには十分注意が必要だと思います。一方で、現状では営業利益の増加に伴い、お客さまの利払い能力には変化はありません。
むしろ、金利に関しては、上昇幅よりもどれくらいのスピードで上がるかが重要だと考えています。インフレの状況やお客さまの業績回復のペースに合わせて金利が上昇していくのであれば、お客さまは十分対応できると思います。
ただし、何らかのインシデントによって金利が急騰した場合には、やや懸念が生じるかもしれません。しかし現時点ではそのような可能性は低く、日本銀行はお客さまの返済能力に応じて十分対応可能なペースで利上げを進めていくと予想しています。
住宅ローンユーザーについては、変動金利で借りていても、すぐには返済額が上がらない仕組みになっています。
当然ながら、金利が上がった分、後に月々の返済額は増加します。ただし、現在は企業が積極的に賃上げを行っており、返済額の増加に合わせるかたちで賃上げが進めば、リスクが顕在化することはないと現時点では考えています。
いずれにしても、金利がどこまで上がるかというよりも、どれくらいのペースで上がるか、お客さまや社会がついていけるペースで上がるかが重要であると考えています。その点を注意深く見ていきたいと思います。
質疑応答:ROE12パーセント以上達成のための戦略について
司会者:「長期的にROE12パーセント以上を目指すという目標について、具体的にどのような道筋、実現シナリオを描いていますか?」というご質問です。
小野寺:冒頭のご説明と一部重複しますが、長期的に12パーセント以上を目指すというのは、当社の経営の意思を語った目標と位置づけています。ROE9パーセント超は現状で達成できる到達点と自信を持って言える数値であり、来年度に売上がもう一段上がれば、10パーセントが見えてくると考えています。
ターミナルレートと言われる利上げの到達点については、さまざまな意見がありますが、多くの専門家が1パーセントから1.5パーセント程度が限界ではないかと考えています。
1パーセントから1.5パーセントを平均すると、約1.25パーセントとなります。仮に利上げが1.25パーセントで打ち止めとなる場合、単純な計算ではROEは約11パーセントが限界と考えられます。
したがって、12パーセント以上のROEを達成するには、さらなるストレッチが必要となります。このストレッチについては、営業努力を重ねつつ、機能強化や首都圏でのプレゼンス向上を通じてオーガニックに獲得していくことが考えられます。
また、先ほどご質問いただいたL&Fアセットファイナンスのように、資本を活用してM&Aを実施し、新たな収益源を取り込むという方法もストレッチの手段として挙げられます。
M&Aで収益を獲得するにあたっては、我々に知見のない不得意な領域で実施すると失敗する可能性もあると考えています。
そのため、今回のL&Fアセットファイナンスのように、我々の事業に近接し、一定の知見やノウハウを有し、我々でコントロール可能な規模の案件があれば、そのようなものにチャレンジしたいと思います。
このように資本を投じた結果、ROEが12パーセント以上となる道筋が示せる案件であれば、株主還元としての自社株買いよりも戦略投資を優先することについて、株主のみなさまにもご理解いただけると考えています。
戦略投資機会なども含め、ROE12パーセント以上という目標に取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:預金獲得競争と戦略について
司会者:「預金戦略について、他行との競争環境をどのように見ていますか? また、御社として今後どのように預金を獲得・拡大していく方針か、具体的に教えてください」というご質問です。
小野寺:先ほど預金について少しお話ししました。預金獲得競争という面では、我々が非常に驚くような「その金利で預金を取ったら赤字になるのではないか?」というレベルでも、預金を必死に集めなければならない金融機関が存在し、そのようにして預金を獲得しているところもあります。
一方で、先ほどお話ししたとおり、我々は神奈川を基盤とし、約500万人の稼働口座があります。したがって、基本的にはふだん使いしていただける口座を着実に増やし、そこに貯まる個人預金を増やしていくことをベースとして考えています。
そのような意味では、融資を行っている取引先の従業員の給与振込口座や、地元の高校・大学に通う学生の学費口座などを地道に積み上げていくことが、ベースとなる考え方となります。
また、「全国を見渡すと、預金が減少に転じている地域もある」と先ほどお話ししました。人口減少に加えて、そのような地域で相続が発生すると、相続を受ける方の多くが首都圏で働いているため、首都圏に預金がどんどん集まる傾向があります。
我々は首都圏に基盤を置いており、相続が発生した際に預金を受け入れる地域で活動しているため、このようなかたちで流入してくる預金も期待できますし、実際にそのような動きが見られます。
一方で、自然体では限界があるため、先ほどお伝えしたとおり、しっかりと口座を獲得していくことが重要です。また、他行に預金を取られる状況があれば、それを取り戻すためのキャンペーンを行う必要が出てくる場合もあると考えています。
我々が個人の厚い流動性預金を有していることは強みであり、これを確実に維持・強化していくことが重要だと考えています。
小野寺氏からのご挨拶
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。本日の説明会で少しでも我々に関心を持っていただき、銀行というキーワードで投資を考える際には、我々のことを思い出していただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。