2026年3月期 第4四半期 決算ハイライト
先崎正文氏(以下、先崎):執行役社長兼COOの先崎です。私から決算ハイライトについてご説明します。
2025年度は、米州OEM事業やオセアニアで前年度比減収となったものの、欧州や米州の独自展開事業は堅調さを維持しました。一方、調整後営業利益は、米国の関税や成長投資に伴うコストの増加、地域・製品構成差の悪化などにより、前年度比で減益となりました。
2026年度は、前年度比で増収増益を見込んでいます。米国関税による影響の懸念は払拭しきれませんが、北米・欧州を中心に需要は堅調に推移する想定です。マイニング本体やスペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの増収により製品構成差が改善し、前年度比で増益を見込んでいます。
米国関税による原価の増加が発生しますが、販売価格の引き上げによって一定程度を吸収できる見込みです。また、2027年4月の社名・ブランド変更に伴い、コストが発生することを織り込んでいます。
なお、中東においては予断を許さない緊迫した状況が続きますが、情勢が日々変化していることから、現時点では業績見通しへの影響を織り込まず、状況を注視しています。
連結決算の概要
塩嶋慶一郎氏(以下、塩嶋):執行役常務兼CFOの塩嶋です。私から、2026年3月期の決算および2027年3月期の業績予想についてご説明します。
まずは連結決算の概要です。2025年度の売上収益は、前年比2パーセント増の1兆4,055億円となりました。調整後営業利益は前年比8パーセント減の1,330億円で、利益率は9.5パーセント、営業利益は1,301億円で、利益率は9.3パーセントでした。
親会社株主に帰属する当期利益は、前年比10パーセント減益の732億円となりました。
欧州、インド、日本向けの売上が堅調に推移したほか、米国関税の影響が懸念されていた米州独自展開事業においても底堅く推移したことで、通年では増収に転じました。調整後営業利益は、米国関税によるコスト増加に加えて地域製品構成の悪化が影響し、減益となりました。
親会社株主に帰属する当期利益についても、一過性の構造改革費用の計上が影響し、金融収支の改善が見られたものの減益となりました。
当年度の為替レートは、前年比で米ドルが1.4円の円高となった一方、ユーロは12.1円の円安、中国元とオーストラリアドルもそれぞれ0.2円の円安となりました。
年間配当については、中間配当として1株当たり75円を配当済みであり、本日の取締役会において期末配当100円を決議しました。これにより、年間配当は年初に公表した見通しと同額の1株当たり175円となります。
連結地域別売上収益
連結地域別売上収益についてご説明します。2025年度の売上収益は、前年比で342億円の増収となりました。為替円安の影響による増収要因を106億円と分析しており、現地通貨ベースでは前年比236億円の増収と見ています。
地域別では、主に欧州、インド、日本で前年比増収となった一方、米州、オセアニア、中国で減収となりました。特に米州では、OEM供給分の売上減が大きく影響しましたが、独自展開事業は増収となっています。
なお、海外売上収益比率は前年と同レベルの84パーセントとなりました。
マイニング売上収益推移
マイニング売上収益の推移です。今回より、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスならびにマイニングに関連するレンタル、中古販売、ソフト事業も、マイニング売上収益に含めて表示しています。
スライド右端の棒グラフに示したとおり、2025年度のマイニング売上収益は4,240億円で、前年から1パーセントの減収となりました。
本体売上では、アフリカや中南米の大口納入案件の反動により、トラックが前年比38パーセント減、ショベルは前年比2パーセント減となりました。一方、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスは、前年度のM&A効果により8パーセント増となりました。
部品・サービスは、上半期におけるオーストラリアおよびアジアでの顧客のメンテナンス投資抑制の影響を受け、ほぼ前年同水準にとどまりました。
なお、連結売上収益に占めるマイニング売上比率は30パーセントで、前年から1ポイント低下しました。
バリューチェーン売上収益推移
バリューチェーンの状況です。スライド右端の棒グラフをご覧ください。
2025年度のバリューチェーン売上収益は、前年比4パーセント増の6,197億円となりました。為替影響による増収要因は60億円と分析しており、現地通貨ベースでは176億円の増収と見ています。
部品・サービス収益はほぼ前年同水準でしたが、レンタル事業では13パーセント、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスでは8パーセントの増収を確保したことで、過去最高収益を更新しました。
連結売上収益に占めるバリューチェーンの比率は、前年比1ポイント増の44パーセントとなっています。
連結損益変動要因
連結損益の変動要因についてです。2025年度の調整後営業利益が前年比120億円の減益となった要因を示しています。
スライド左端から、米国関税政策の影響を受けたコスト増や売価アップによりネットで43億円、物量・構成差として134億円の減益要因があったと分析しています。
物量・構成差の内訳は、吹き出しに記載のとおり、物量増で49億円、バリューチェーン売上の増加による構成差で7億円の増益がありました。しかし、米州向けOEMやマイニング本体の売上減を主とした地域・製品構成差などにより、190億円の減益となっています。
他方、売価変動による改善額63億円や資材費5億円の低減により、間接費増の49億円を吸収しました。間接費の増加は、人件費や償却費など成長分野への施策的経費が中心です。さらに、為替円安影響による38億円の増益要因も享受しましたが、調整後営業利益は1,330億円となりました。
また、スライド右側に記載の営業利益は、調整後営業利益の減益に加え、構造改革関連費用の増加および前年度における高額な一過性のその他営業収益計上の反動も影響し、前年比246億円減の1,301億円となりました。
要約連結財政状態計算書
2026年3月末時点の連結貸借対照表です。前年度末と比較すると、非流動を含めた営業債権は250億円、棚卸資産は100億円増加しました。ただし、現地通貨ベースでは、営業債権はほぼ前年と同水準、棚卸資産は354億円の大幅縮減と見ています。
総資産は1兆8,573億円と前年度末より663億円増加しましたが、運転資本の縮減や効率化を進めた結果、現地通貨ベースでは557億円の縮減と分析しています。
手持日数については、営業債権が89日で前年度末より4日延びたものの、健全な水準を維持しています。一方、棚卸資産は1日短縮され、141日となりました。正味運転資金手持日数は前年度末より6日延び、190日となりました。
スライド右側の有利子負債は、前年度末比で403億円減、現地通貨ベースでは707億円の縮減となりました。ネット有利子負債も3,561億円と、縮減が進行しています。
資本合計は9,557億円となり、親会社所有者帰属持分比率は48.5パーセント、ネットD/Eレシオは0.40まで改善しました。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローです。2025年度の営業キャッシュ・フローは1,642億円のプラスとなりました。FFOは1,605億円で前年と同水準を確保し、運転資本の縮減も前年度に続いて進んでいます。
また、レンタル資産購入の抑制や売却等の効果がポジティブに働き、営業キャッシュ・フローマージン率は11.7パーセントを維持しました。
投資キャッシュ・フローでは、戦略的な固定資産投資を継続し467億円を支出しましたが、フリー・キャッシュ・フローは前年から264億円増加し、1,175億円を確保しました。
油圧ショベル世界需要推移
油圧ショベルの世界需要見通しについてご説明します。2025年度の需要実績は、前回1月の見通しから1万8,000台上方修正し、前年比6パーセント増の23万4,000台となりました。北米をはじめ、アフリカ、欧州、アジアなどほとんどの地域で需要が上振れています。
2026年度は、前年比で5,000台減少する見込みです。2025年度に大きく伸長したアフリカ、中南米、アジアでのわずかな減少を織り込んでいます。米国関税の影響は払拭しきれないものの、北米および欧州は堅調に推移すると想定し、全世界合計では前年比2パーセント減の22万9,000台を見込んでいます。
マイニング機械需要推移
マイニング機械の需要見通しです。2025年度は好調な資源価格を背景に、金や銅などハードロック向け機械の需要が増加しました。
一方で、石炭向けは中国経済の回復遅れによる需要および価格の低迷が影響し、機械需要を押し下げました。通年では前回予想に変更はなく、対前年で10パーセントから15パーセントの減少で落ち着く見通しです。
2026年度も、豪州、米州、中央アジアでのハードロック向け機械需要は堅調に推移すると見込まれます。
石炭向け機械需要については、足元では中東情勢の緊張により価格が上昇しています。しかし、中国を含めた世界経済の不透明感から現時点では見通しが非常に難しく、通年では前年比横ばいになると予想されます。
要約連結損益計算書(予想)
2026年度の業績予想についてご説明します。先ほどご説明した需要環境ならびに2025年度実績を踏まえ、今年度の業績予想を、売上収益1兆4,300億円、調整後営業利益1,400億円、親会社株主に帰属する当期利益800億円とし、調整後営業利益率は9.8パーセントを見込んでいます。
予想為替レートは、米ドル150円、ユーロ178円、中国元22.1円、オーストラリアドル107円と設定しました。
米国の関税およびブランドプロモーションに伴うコスト増を織り込みつつ、販売価格の引き上げに加え、米州での独自展開やマイニング事業およびバリューチェーン事業の業容拡大による構成差改善により、増収増益を見込んでいます。
また、年間配当は1株当たり15円増配し、190円を想定しています。
なお、中東情勢の緊迫化による業績への影響については、不確定要素が多いため、本見通しには織り込んでいません。
参考資料1: 為替レート及び為替感応度
参考資料1として、売上収益と調整後営業利益に影響する為替感応度を掲載していますので、ご参照ください。
連結地域別売上収益(予想)
地域別売上収益の予想です。2026年度の売上収益は、前年比245億円増の1兆4,300億円を見込んでいます。こちらには前提為替レートによる183億円の増収影響が含まれていますが、現地通貨ベースでも増収の見込みです。
地域別では、中東およびインドで減収を見込んでいますが、インドは現地通貨ベースでは増収の見込みとなっています。
米州独自展開事業については、北米コンストラクション向けに加え、中南米事業、マイニング事業、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの拡大も織り込み、増収を見込んでいます。その結果、OEM事業の減少を吸収し、米州全体としても増収の見込みです。
なお、海外売上収益比率は前年と同じ84パーセントを見込んでいます。
マイニング売上収益推移(予想)
マイニング売上収益の予想です。2026年度のマイニング売上は、前年比12パーセント増の4,744億円を見込んでいます。また、前提為替レートによる178億円の増収効果を分析し、現地通貨ベースでも8パーセントの増収を予測しています。
受注残が大幅に増加しているトラック本体の販売や、ペルーにおけるミルライナー生産工場への投資による収益増を期待するスペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの売上増を織り込んでいます。
売上構成比は、前年比3ポイント増の33パーセントを見込んでいます。
参考資料2: マイニング本体・部品サービス 売上収益内訳
参考資料2には、地域別のマイニング売上収益内訳を掲載していますので、ご参考ください。中国での減収を見込む一方で、米州では増収を見込んでいます。
バリューチェーン売上収益推移(予想)
バリューチェーン売上収益の予想推移です。2026年度のバリューチェーン売上収益は、前年比5パーセント増の6,507億円を見込んでおり、過去最高収益の更新を目指します。こちらには、前提為替レートによる180億円の増収影響を含んでいます。
部品・サービスのコンストラクション・マイニング向けで前年比2パーセント増の3,300億円、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスで前年比19パーセント増の1,624億円を見込みます。
売上構成比は、前年比2ポイント増の46パーセントを見込んでいます。
連結損益変動要因(予想)
連結損益変動要因について、2026年度の調整後営業利益が前年比70億円増の1,400億円となる要因をご説明します。
スライド左端から、米国の関税政策影響を受けたコスト増および売価アップにより、ネットで63億円の減益と見ています。
物量構成差としては、196億円の増益を織り込みます。内訳は、物量変動で52億円の減益、バリューチェーン構成差で14億円の増益を見込んでいます。地域・製品構成差他では、米州独自展開の増収がOEM売上減を上回るほか、マイニングトラック本体やスペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの売上伸長による構成差改善の結果、234億円の増益を織り込みます。
また、売価変動の改善額51億円や資材費12億円の低減により、間接費15億円の増加を吸収します。想定為替レートによる増益効果57億円を見込む一方で、ブランドプロモーションコストとして168億円を織り込み、調整後営業利益は前年比70億円の増益となります。
スライド右側の営業利益については、調整後営業利益の増益による持ち上げ効果70億円に加え、構造改革関連費用やその他営業収支の改善により、前年比99億円増益の1,400億円と予想しています。
関税について(2026年4月24日時点)
米国の関税の影響について、現時点での見通しをご説明します。今月初旬より従来の相互関税が停止される一方、建設機械の完成品に対し、鉄鋼・アルミ派生品として一律25パーセントの関税が適用されることになりました。
この関税比率の変更と関税未適用の現地在庫の減少により、2026年度の見通しには前年比で210億円の原価増を織り込んでいます。一方、販売価格の引き上げによる147億円の増益効果も見込んでおり、通年での関税影響額はネットで63億円の減益予想です。
引き続き、売価転嫁と並行してレンタルビジネスの強化や原価低減などの対応策を講じ、インパクトの極小化を図っていきます。
なお、41ページ以降に参考資料を添付していますのでご参照ください。以上で決算関連のご説明を終わります。
CONTENTS
先崎:今年度より始まる中期経営計画「LANDCROS 2028」についてご説明します。
当社は、2027年4月に「ランドクロス株式会社」への社名変更を予定しています。この新中期経営計画を「新たな船出を成功させるための3年間」と位置づけるとともに、ブランド変更を未来に向けた変革の起点とします。
ここからは、スライドに記載の目次に沿ってご説明します。
前中計の振り返り
まずは、前中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」を振り返ります。当期間においては、油圧ショベルの世界需要が2022年度の25万台から2025年度の23万4,000台と6パーセント減少する、厳しい市場環境となりました。
そのような中にあっても、当社は米州での独自展開を中心に売上を伸ばし、部品・サービス事業でも着実に成果を積み上げてきました。さらに、営業キャッシュ・フローを大きく改善させるなど、財務体質を強化することができたと考えています。
前中計の振り返り
この結果は、前中計で掲げた4つの施策を順調に進められたこと、特にバリューチェーンの拡大とソリューションの深化が牽引したものです。
厳しい市場環境の中でも、顧客に寄り添った革新的ソリューションを提供しました。その一環としてフル電動ダンプトラックの実証実験を成功させ、2027年度の商用化に向けた道筋を確立しています。
バリューチェーン事業の拡充においては、「ConSite」の深化による継続的な売上拡大を図るとともに、「LANDCROS Connect Insight」で稼働データの解析に取り組んでいます。
米州事業の拡大においては、事業基盤を強化し、当社製品の稼働台数を着実に増加させることができています。
人・企業力の強化では、グローバルにモノづくり人財を育成するとともに、インドに開発・設計センターを設立し、次の成長に向けた基盤作りを進めました。
LANDCROSがめざす姿
「LANDCROS」が目指す姿と成長ストーリーについてご説明します。
まず、社名やブランドは変更しますが、当社として大切にしている「想い」は変わらないことをお伝えします。私たちは、75年にわたる誇りある歩みを礎に、人と技術が協働することで持続可能な社会を創り、次の100年も変わらずお客さまの想いに応え続けていきます。
LANDCROSがめざす姿
コーポレートブランド「LANDCROS」は、私たちのビジョンである豊かな大地「LAND」と、私たちが大切にしている「Customer」「Reliable」「Open」「Solutions」を組み合わせ、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、新たな価値を創造し続けるというミッションを表しています。
「LANDCROS」とともに、私たちのミッションやスピリットを継承しながら、日本発のモノづくり力、グローバルな販売サービス力、オープンな協創力などのこれまで培ってきた強みを進化させ、企業価値を向上させていきます。
LANDCROS成長ストーリー
「LANDCROS」の成長ストーリーを6つ示します。キーワードは「継承と進化」による新たな船出です。
バリューチェーン事業は強化を続け、リカーリング収益を拡大します。また、戦略の柱にマイニング事業を名実ともに追加し、さらに強化します。加えて、事業を「太く・強く」する大胆な成長投資と構造改革を実施し、オープン戦略とともに事業拡大・企業価値の向上・株価向上を実現します。
これにより2030年には業界トップスリーを実現し、「LANDCROS」ブランドを飛躍させていきます。
LANDCROS成長ストーリー
2030年の業界トップスリー実現に向け、4つの成長ドライバーと具体的な目標をスライドに記載のとおり定めました。
厳しさを増す競争環境の中で、自律的かつ持続的に成長し、革新的ソリューションを提供し続けるため、事業規模の拡大は不可欠です。売上と利益の絶対額に注力し、大胆な成長投資と事業ポートフォリオ戦略を実施し、ここに示した重点事業の目標を達成していきます。
2030年に業界トップスリーとなる通過点として、新中期経営計画「LANDCROS 2028」を推進していきます。
LANDCROS 2028
新中期経営計画「LANDCROS 2028」についてご説明します。「LANDCROS 2028」では、2030年に業界トップスリーを目指す成長ドライバーとして、4つの重点事業を拡大していきます。
そのための推進力として、代理店・パートナー企業とともに創るオープン戦略、特に注力している人・企業力の強化、業界トップスリーに向けた成長投資と事業ポートフォリオ戦略を掲げています。
(1) LANDCROS 2028における重点事業
「LANDCROS 2028」における4つの重点事業についてご説明します。
北米事業では、独自展開の第2フェーズとして、主力である油圧ショベルやホイールローダーに加えて製品ラインナップを拡充することで、販売シェアのさらなる向上を目指します。
中南米事業では、成長基盤の拡大による構築を進めます。特にマイニングを中心に、ファイナンス、サプライチェーン、サービス体制などを引き続き整備し、部品・サービスおよびスペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの強化に注力します。
マイニング事業は、北中南米・アフリカを重点地域として位置づけ、お客さまのニーズに応えることにこだわり、コア製品を一層強化します。あわせて、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスなどの事業領域をさらに拡大していきます。
部品・サービス事業では、北中南米事業やマイニング事業の拡大に伴う稼働台数の増加に対し、捕捉率の向上施策を実行することで、売上高と利益額の拡大を図っていきます。
(2) 代理店・パートナー企業とともに創るオープン戦略
代理店やパートナー企業とともに創り上げるオープン戦略についてご説明します。これは、当社の強みとオープン戦略を掛け合わせ、アセットライトで重点事業の拡大を推進するものです。
当社の強みは、75年にわたる建設機械の研究開発力と、それに裏付けられたモノづくり力、代理店のみなさまと培ってきた販売サービス力です。ここには、全世界約300社の代理店と、約9,000人のメカニックが支えるお客さまとの接点、蓄積された知見やデータという強固な基盤があります。
これらに加え、パートナー企業と連携して価値を広げる協創力を有しており、これらをオープンに連携することで、当社ならではの革新的ソリューションを提供し続けていきます。
(3) 人・企業力の強化:研究開発強化による価値創造と競争力の強化
「LANDCROS」の成長基盤であり、協創力の源泉となる人財と企業力の強化についてご説明します。
まず、研究開発力の強化による価値創造と競争力を向上します。モノづくりの技術とデジタル価値を統合し、革新的ソリューションで差別化を図ることで、安全性・生産性の向上、ライフサイクルコストの削減、環境対応といったお客さまの普遍的価値を追求していきます。
また、品質管理や油圧制御といったコア技術・価値をさらに洗練させ、グローバルに展開している当社機械の稼働データやAI・デジタルなどの先進技術を融合することで、技術革新を加速させます。
そして、人検知システムや遠隔・自動化対応、稼働状況に基づくサービスなどを組み合わせることで、高い付加価値を有する製品・サービス・ソリューションを提供し、お客さまの現場課題に総合的に応えていきます。
(3) 人・企業力の強化:人の知恵とAIの協調による提供価値の高度化
人の知恵とAIの協調による提供価値の高度化についてご説明します。AIの活用では、お客さまの価値創造を実現するために、ヒトの知恵とAIの進化を掛け合わせることを基本方針として掲げています。
施工現場の安全性向上や稼働率の向上、機械の巡回メンテナンスサービスの最適化など、お客さまに関わる領域において横断的にAI活用を推進していきます。
同時に、人がフィジカルに対応する領域をAIがサポートすることで、革新的なソリューションの提供と事業競争力の強化を着実に進めていきます。
(3) 人・企業力の強化:環境価値・社会価値向上に向けて
環境価値・社会価値向上に向けた取り組みについてご説明します。新中計においても、前中計に引き続き、1.5℃シナリオに沿った取り組みで2050年のカーボンニュートラル実現を推進していきます。
また、事業全体を通じて、サーキュラーエコノミーやネイチャーポジティブにも取り組みます。
(3) 人・企業力の強化:持続可能な成長に向けた人的資本経営の実現
持続可能な成長に向けた人的資本経営の実現についてご説明します。社名およびブランドの変更という節目を迎えるにあたり、従業員と企業の関係性の強さや深さを示す指標であるエンゲージメント、また、多様性や一体感を表す指標であるインクルージョン&ダイバーシティの向上に取り組みます。
社員一人ひとりが変化の担い手となり、多様な人財が力を発揮できる環境作りを経営の重要課題として推進していきます。
(4) 業界トップスリーに向けた成長投資と事業ポートフォリオ戦略
業界トップスリーを目指すための成長投資と事業ポートフォリオ戦略についてご説明します。
まず、これまでご説明した各種取り組みによりオーガニック成長を着実に進め、重点事業を拡大していきます。さらに、2030年に業界トップスリーを確実に実現するため、戦略的な成長投資と事業ポートフォリオ戦略を推進し、インオーガニック成長を実現することで、事業拡大を加速させます。
新中計の3年間では、安定的な営業キャッシュ・フローの獲得に加え、財務レバレッジを戦略的に活用することで5,000億円規模の成長投資資金を確保し、積極的に成長戦略を実行していきます。
新中計の定量的目標
定量的目標についてはスライドに記載のとおりです。表の中央にオレンジ色で示されている部分が2028年度の目標値となります。
成長性の面では、4つの成長ドライバーを軸に事業を拡大します。また、収益性と効率性の面では、記載されている数値を上回ることを目指し、成長に伴い売上高、利益額、営業キャッシュ・フローを拡大していきます。
スライド右端は、業界トップスリーを目指す2030年度の目標値を参考までに記載しています。
社名・ブランド変更と株主構成変更で成長をさらに加速
社名・ブランドおよび資本構成の変更についてご説明します。
当社は2027年4月より、ランドクロス株式会社へと社名を変更します。多様なお客さまの事業課題を解決するため、オープン戦略を積極的に推進し、幅広く迅速なソリューションの提供を進めていきます。
また、伊藤忠商事が筆頭株主となる新たな体制のもと、成長の選択肢と実行力が拡大される点を最大限に活用し、販売・レンタル・ファイナンス・M&A・新規事業領域での協業を進めます。これらの変化を成長の推進力とします。
日立建機からLANDCROSへ
日立建機は、社名変更、ブランドの変更、株主構成の変更という大きな節目を迎えますが、「お客さまに寄り添い続ける」という想いが変わることはありません。その想いを大切にしながら、個々の機械の進化にとどまらず、ライフサイクル全体を通じたソリューションの深化を進めていきます。
また、本日ご説明のとおり、既存の枠組みや競合他社の戦略とは異なるかたちで、当社は成長を実現していきます。「Solutions Beyond Machinery」、これが当社の成長に対する考え方です。
質疑応答:中東情勢が生産活動に与える影響や事業リスクについて
質問者:中東情勢の影響は2026年度の数字には織り込んでいないとのことでしたが、現時点ではホルムズ海峡封鎖に伴うナフサや塗装に使うシンナーなどの供給懸念が広がっています。これらが現在の生産活動に及ぼす影響や、今後想定される事業リスクについてどのように分析しているのかを教えてください。
先崎:先ほどご説明したとおり、中東情勢については現時点で状況が不透明であり、業績に織り込むことや今後の展開を推定することは困難です。おそらく、これは当社だけでなく、日本国内の各メーカーも同様の状況ではないかと考えています。
生産状況については、ナフサ由来の製品の供給に対する不安が徐々に広がりつつあるのが実情です。ただ、現段階で我々の生産が止まるといった事実はなく、供給をどのように確保するかにおいて、調達面では他社も含めて取引先とともに日々奮闘している状況です。
そのため、業績や今後については、引き続き時間をかけて慎重に状況を見極めていく必要があると考えています。
質疑応答:新中計の成長事業ごとの調整後営業利益目標について
質問者:スライド38ページで、新中計における成長事業ごとの売上収益が示されています。全体で調整後営業利益2,000億円を目指す中、事業ごとの調整後営業利益はどの程度を想定しているのでしょうか?
先崎:今回の新中計は、1年かけて全員で取り組んでまとめてきました。ご質問とは少し異なりますが、当社としては規模拡大がどうしても必要であると考え、まずはこの点を大きな目標として掲げることを決めました。
成長事業としてご説明した4つは、従来から進めているものです。ただし、マイニングについては外部にはきちんと公開していなかったため、これを数字として公開し、大きな目標値を設定しています。
調整後営業利益の目標値も存在しますが、ここで詳しくお話しするものではないと考えています。売上だけでなく効率性をしっかり担保しながら利益を確保し、拡大を図ることに注力します。
塩嶋:注力事業の中でも収益の柱となるのは、リカーリング分野だと考えています。例えば、バリューチェーンにおける部品やSPSでの収益貢献は非常に大きいと考えています。
また、マイニングの新車本体や、米州独自のコンストラクション新車の成長も見込んでいます。このような利益向上も含め、大きなエンジンとなるのはやはりバリューチェーンにおけるリカーリングの分野であると認識しています。
なお、今回は数字の詳細についての開示は控えます。
質疑応答:新中計の成長事業および油圧ショベルの需要見通しについて
質問者:新中計の成長事業4つにおける2028年度の需要分析と、油圧ショベルの2028年度の需要見通しについて教えてください。
先崎:需要については、大きな変化はないと前提しています。これはコンストラクション系もマイニング系も同様です。徐々に不透明感が増している状況もあり、場合によっては需要が伸びる可能性もあるかもしれません。しかし、新中計では需要は伸びないという前提で見込んでいます。
その中で、どのようにオーガニックに成長するか、さらにそれに対してインオーガニックをどのように加えるかを考えています。これはマイニングにおいても同様であり、大きな需要伸長を前提としているわけではないとご認識ください。
質疑応答:インオーガニック成長戦略の背景と方向性について
質問者:今回の新中計では、インオーガニックな成長を実現することが非常に大きな変化だと感じました。今までも、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスやウェンコ社の買収といった施策がありましたが、今回掲げた5,000億円という規模感は、従来とは異なる次元にあると感じます。
あらためて、このような買収を積極的に推進する戦略や意思決定に至った背景について教えてください。また、この5,000億円によって、具体的にどのような領域を強化していくお考えでしょうか?
今回のような抜本的なインオーガニック成長を目指す背景、実際にそれをどのように実現するのかについて、ぜひお考えを聞かせてください。
先崎:この話は、前中計「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」から始まります。「第2の創業」として3年前に始めた取り組みですが、その中で米州での独自展開を進めるとともに、株主構成を一部変更し、事業を独自の力で新たに開始しました。
その中で、当社機械が世界中に40万台ある現状ではまだ足りないという結論に至りました。
我々がまず考えたのは、特に北中南米におけるフットプリントが非常に脆弱であるという点です。この状況を受けて、より多くの機械をお客さまにご利用いただくという目標を掲げ、そのためにオーガニック成長を軌道に乗せる取り組みについて1年かけて議論してきました。
加えて、投資家のみなさまからの厳しいご指摘も受けながら、将来性をどう考えるべきか議論を重ねた結果、規模の拡大を目指すべきだという結論に至りました。
規模の拡大と、「LANDCROS」の「O」にあたるオープン戦略は非常に相性が良いと考えた結果、オープン戦略の活用とM&Aを併用し、トップラインを確実に伸ばしていくべきだと考えてきました。
推進分野についてですが、我々は日本を基盤とするメーカーですので、メーカーとしてまず油圧ショベル、ホイールローダー、ダンプトラックといった製品で、世界一の品質を追求・供給していくことが重要です。
それに加えて、今回掲げたバリューチェーンやマイニング事業、北中南米での事業を確実に成長させることを目指しています。これはオーガニック戦略の一部でもあり、インオーガニック戦略の一部とも同様の考え方に基づいています。
ですので、我々の基盤をしっかりと保ちながら、それを支える分野に5,000億円という大きなリソースを活用していきたいと考えています。
前中計における成果として、在庫コントロールがある程度可能となり、キャッシュを生む体制も整ってきた点が挙げられます。これを今後も活用し、レバレッジを効かせながら成長投資に5,000億円を充てることを、次の成長を目指す我々として数字で示した次第です。
質問者:4つの成長事業において、例えば、チャンネルを強化する買収や製品ラインナップを強化する買収、バリューチェーンにおけるさまざまなかたちでの部品・サービス・チャネルを強化する買収などを、インオーガニックに追求していくという理解でよろしいでしょうか?
先崎:おっしゃるとおりです。さまざまなリストや検討事項がありますので、ご質問中の内容が完全に一致しているわけではありませんが、大筋では我々も同様の認識を持ち進めているつもりです。
質疑応答:中東情勢が建設機械・マイニング事業に与える影響について
質問者:ナフサなどの問題は理解しましたが、中東情勢が御社の建設機械やマイニングなどの事業環境に与えている影響について、もしこの3月や4月で具体的に影響が出ている事例があれば教えてください。
塩嶋:現在、さまざまな面で少なからず懸念が出ているのは事実です。調達面においては、現時点で製造に大きな影響はありませんが、現在の状況が長期化すれば、塗料やシンナー、油脂関連の調達に影響が及ぶ可能性があります。
また、これらの影響はサプライヤーにも波及することが考えられます。そのため、ボリュームの確保が必要となり、化学資材費の高騰が懸念されます。さらに、燃料コストが上昇することで、お客さまをはじめとする需要にも影響を及ぼす可能性があると考えています。
一方、足元では一般炭の価格が非常に高騰しており、これによりマイニングの石炭セクターが動いている状況です。しかし、燃料不足により稼働率が低下するという影響も出ています。
さまざまな要素が関わる中で、現状では大きな経済状況へ影響を及ぼしているため、数字を正確に見極めることが難しい状況です。ただし現時点では、操業に大きな支障をきたしているところはありません。
質問者:足元で実際に需要が変化している等の話はありますか?
先崎:中東で船が動けない事態が発生していますので、この部分においては輸送に関するトラブルが起きています。また、中東には当社の事務所も構えているため、家族の退避なども実施しています。
ただし、14ページを見てもわかるように、当社における中東地域のビジネス規模は非常に限られています。
また、2025年度から2026年度にかけて数字が落ちているのではないかというご指摘があるかもしれません。しかし、これは2025年度の好調による反動を考慮した予算であり、今回の中東緊迫状態が起こる前に策定したものですので、中東情勢の影響ではありません。
実際に船が通らないことによる影響はあるものの、業績に与える影響はそれほど大きくなく、問題にはならないと考えています。ただ、これから日本全体に起きると予想される不安感について、取引先も含めてそれをどう払拭するかに頭を悩ませているのが現状です。
質問者:アジアやインドに影響は出ていますか?
先崎:そちらについて具体的な影響は聞いていませんが、今後の話になるとも考えています。
質疑応答:北米事業の製品ラインナップ拡大について
質問者:北米事業の製品ラインナップを拡大されるとのことですが、具体的に何をラインナップに追加されるのかを教えてください。
先崎:製品ラインナップの詳細については、現時点で具体的な内容をお伝えすることは控えます。
質疑応答:捕捉率の定義について
質問者:部品・サービス事業の捕捉率向上にあたり、現状の捕捉率を教えてください。また、捕捉率を計算する際の分子について、どの台数が「捕捉された」と判断されるのか、定義を教えてください。
先崎:部品・サービス事業における捕捉率の考え方についてご説明します。捕捉率とは、部品・サービス事業を中心に、お客さまの部品・サービス事業を当社がどのくらい捕捉できているかを示す指標です。
当社の機械が世界中に存在しており、理想的な状態、つまり「通常の状態であればこれだけの部品やサービスのビジネスが見込める」という計算式を我々は持っています。その計算を分母とし、実際の売上を分子として算出する割合を、当社では捕捉率と呼んでいます。
さまざまな場面でお伝えしているのは、現在の捕捉率が世界平均で60パーセント程度であるということです。つまり、残りの40パーセントは当社のサービスではないものが使用されている状況です。
当社のネットワークやデジタルソリューションなどを活用して捕捉することにより、この数字を引き上げていけば、部品サービス売上の拡大につながると考えています。この方針も今回の中期経営計画に組み込まれています。
質疑応答:アセットライトとWIXIMの関連について
質問者:先日発表された「WIXIM(ウィクシム)」についてです。先ほど「アセットライトで事業を広げる」というお話が出ましたが、300社9,000人の既存アセットを有効活用しながらアセットライトで事業を拡大する点と関連があるのではないかと考えています。「WIXIM」とアセットライトの関連についてあらためて教えてください。
先崎:今回発表した内容は、新興国向けブランドとして、当社が現在ラインナップに持たない製品をOEMで提供するものです。それを我々の責任とサービスネットワークのもと、「WIXIM」ブランドで展開するという趣旨になります。
「WIXIM」ブランドの特徴は、当社がコントロール下において展開するため、「ConSite」やデジタルソリューションを一部活用できる点です。これにより、バリューチェーンビジネスの拡大に寄与し、当社のポピュレーションが増加すると考えています。
この製品は自社で製造するものではないため、研究開発を含めた直接的な負担が発生しないことが、アセットライトの中身の1つを成しています。
質疑応答:関税に対する見方の変化について
質問者:今期計画の関税コストについて、原価増は210億円と示されていますが、従来の見方からあまり変わっていないようにも感じています。
関税未適用の現地在庫の減少分が今期は増えることや、鉄鋼・アルミ派生品の関税適用はプラスになる可能性もあります。一方で、相互関税の停止によりコストがマイナスで減少する部分もあるかと思います。
これらが相殺された結果、特に変更がないという認識でよいのでしょうか? 関税に対する従来からの見方の変化について、考え方を教えてください。
塩嶋:210億円のコスト増については、前年比較の話となります。2025年度が93億円、2026年度が303億円のP/Lインパクトであるとご理解ください。
従来の見立てでは、当初250億円から260億円程度のコスト増を見込んでいました。しかし、4月に鉄鋼・アルミ派生品の税率が一律25パーセントに変更されたことにより、約50億円のプラスが発生しました。そのため、トータルで303億円となっています。
全額を売価改善で対応することは難しいですが、ある程度の努力を織り込んでいるとご理解いただければと思います。
質問者:つまり、相互関税に特に変更はなく、鉄鋼・アルミ派生品の税率変更の影響で50億円増加し、前年比で210億円増ということで間違いないでしょうか?
塩嶋:ご理解のとおりです。
質疑応答:新中計における投資方針について
質問者:新中計における5,000億円の投資枠は、基本的にM&Aを中心に据えているのか、現地拠点や倉庫の拡大などオーガニック成長への投資も多分に含まれているのかについて教えてください。
また、投資を進める上で、収益性や投資効率に対する考え方についてもお聞きしたいです。売上規模や台数の拡大を追求するとのことでしたが、規模拡大を最優先として投資を実施する方針でしょうか?
塩嶋:成長投資の5,000億円は、すべてをM&Aに使うわけではありません。
当然ながら既存事業とは大きく区別しますが、中南米をはじめとする新しい国での販売チャネル拡大や拡販等の施策も成長投資に含まれます。加えて、製品ラインを増やすことやマイニング事業分野の拡大といった取り組みも、成長投資に含まれると考えています。
成長投資の金額については、まだ明確に決まっているものではないため、具体的な数字での回答は控えます。
また、投資においては投資効率やリターンを重視しています。社内での取り決めに基づき、これまでどおり、事業への投下資本に対するリターンを追求する方針です。ただし、今後は単一の投資だけではなく、シナジー効果を加味したリターンの検討も進めることで、ボリュームの拡大を目指していきます。
質疑応答:2026年度のコスト影響と対応策について
質問者:金利が上昇傾向にあり、原材料費やエネルギー費用、物流費、人件費といったコストが上がっています。これらの中で、2026年度の貴社事業に最も影響を与えるコストはどれになると捉えていますか? 理由や背景とともに教えてください。
また、コスト高の影響を軽減するため、どのような取り組みを進めていかれるのでしょうか?
塩嶋:さまざまなコスト上昇要因がありますが、それらを計画に織り込みつつ、効率的に縮減していくことを考えています。
1つの例として、人件費に関するコストについてお話しします。国策でもベースアップに非常に注力している中で、当社も一定のガイドラインに沿って人件費を上げていく必要があります。
同様に、他の先進国や特にアジアではベースアップの水準が高くなっています。そのため、こうした状況をしっかり受け止め、適切な対価を払いながらリテンションを追求する一方で、人員の効率化を図りながら増加分の抑制を行うことが重要だと考えています。
具体的には、注力事業には適切に投資を行い、コーポレート部門については効率化を進めるといった工夫を行っています。
また、金利については、日本をはじめ米国でもなかなか下がらない状況が続いています。そのため、資金効率を改善する必要があります。当社は連結オペレーションを多国間で展開しており、それぞれの国で一定のキャッシュを保有しています。
この点は2025年度から改善に取り組んでおり、余剰資金を連結内のプーリングに活用したり、オーバードラフト枠を活用し極限まで削減したりすることで、金利の低減を図っています。
質疑応答:新中計における成長バランスについて
質問者:37ページの図表を見ると、中計目標に対して、オーガニック成長とインオーガニック成長を半々で達成されるように見えます。実際にそのようなイメージでよいか確認させてください。
先崎:我々としては、オーガニックな成長がなければインオーガニックな成長も実現できないと考えています。強いものはさらに強くする必要があり、それができなければ成長は続きません。それを踏まえ、成長は「半分ずつでありたい」と考えており、両方とも推進していきます。
ただし、インオーガニック成長については、これまで明確にお伝えする機会があまりありませんでしたので、今回はこの3年間でしっかり計画を立てて実行することをここに宣言します。
質疑応答:「WIXIM」のOEM先について
質問者:「WIXIM」について、東南アジアで御社が持っていないラインナップのシェアを上げるとお話いただきましたが、そこでシェアを獲得しているのは中国系企業だと思います。すると、コスト競争力のあるOEM先もやはり中国系企業となる理解でよいのでしょうか?
先崎:中国系メーカーと名指しすることは控えますが、当然選択肢には含まれます。
質問者:御社がラインナップを持っていないものをOEMで扱う場合、それにはマイニングも含まれますか?
先崎:その選択肢や考え方は含まれています。
質疑応答:社名・ブランド変更に伴うコストについて
質問者:今期だけの話になるかもしれませんが、ブランドプロモーションコストとスイッチングコストにおいて、営業利益に含まれる部分と含まれない部分でかなりの金額差があると思います。これらが具体的に何を指しているのか、ご紹介できるものがあれば教えてください。
特に営業利益に含まれる部分について、販売時の優遇施策、いわゆる売価施策が中心となるのか、広告費の割合が大きいのか、主要コンポーネントごとの概算をお話しいただけたらと思います。
塩嶋:ブランドプロモーション費用については、名前のとおり、ブランドを浸透させるための前向きな費用とお考えください。一般的には広告宣伝費として、多様な媒体を用いた宣伝活動や展示会、お客さまを招待するイベントの開催といったものも含まれます。
概算の168億円は、新たに社名を立ち上げる本格的な取り組みに伴い、本年度だけでなく次年度以降も一定の金額が継続的に発生するとお考えください。詳細については、現時点では明確にお答えできませんが、概ね半数は日立建機本社が負担することになると考えています。
その他収支の項目に含まれるブランドスイッチングコストについては、一般的に必要不可欠な一過性のリーガルコストとお考えください。具体的には、看板や拠点の改装費用、ドキュメントや契約書、所定のフォームの変更にかかる費用などです。
また、システム的な対応では、ドメイン変更などの作業も一過性費用としてその他収支に計上しています。
質疑応答:第4四半期のダンプトラック需要とBBレシオ動向について
質問者:ダンプトラックのBBレシオが、第3四半期に続いて第4四半期もかなり強く見えます。この点について、なにかポジティブな案件がありましたらご紹介いただけますか?
塩嶋:2026年度は、ダンプトラックの売上を大きく伸ばす見込みを持っています。この数字は、ある程度受注残で裏付けされたものとご認識ください。
具体的には、南米・チリで500トン級の大型ダンプトラック10台を受注したほか、オーストラリアの金鉱山向けに複数台の受注がありました。さらに、ザンビアでは従来どおりの継続的な需要の中で、大口の20台の受注が入っています。
そのほか、南アフリカでも主要な鉱業会社からトラックの受注がありました。このように第4四半期に入って以降、受注状況が非常に活況を呈しており、2026年度の数字にはこれらの動きを織り込んでいるとご理解いただければと思います。
質疑応答:インド、欧州、アジアの売上予測と独自展開の成長背景について
質問者:インド、欧州、アジアの3地域で回復を織り込んでいない理由を教えてください。また、北米の独自展開は15パーセント以上の成長率を織り込んでいますが、その背景についてもあわせてご回答お願いします。
塩嶋:インドはマイナス63億円と記載されていますが、為替影響を除いた現地通貨ベースに換算すると、実際にはプラスとなっています。同様に、アジアや欧州もある程度プラスとなっているのは事実です。
実際に、アジア地域も欧州地域も2025年度は数字が大きく伸びました。そのため、私どもとしては、この好調をある程度維持していくことを考えています。
欧州においては、大陸側を主体に、国によって多少の差はありますが、需要はある程度堅調であるため、2025年度並みと見ています。
また、アジアについては主要市場であるインドネシアをはじめ、2026年度も農業セクターやパームオイルセクターにおける堅調な需要を織り込んでいます。そのため、決してネガティブな数字の組み立てとはなっていません。
独自展開については、北米でのコンストラクション、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス、マイニング、中南米でのマイニング、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスが順調に増加することを織り込んでいます。
質疑応答:地域・製品構成差他の増加内訳について
質問者:今回の調整後営業利益において一番大きなインパクトは、地域・製品構成差他の234億円かと思います。この内訳として大きいのは独自展開という理解でよろしいでしょうか?
塩嶋:独自展開ももちろん大きいです。ただし現在は、米州向けコンストラクションに関するOEM事業の減少により、ある程度相殺されることも事実です。やはり大きいのは、マイニングの本体であるトラックが現地通貨ベースでも売上を伸ばしている点です。
また、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスも重要です。特にブラッドケン社は1月の数字も伸びていますが、新たに立ち上げたペルーのミルライナー新工場が7月から稼働開始することで、売上の増加を大きく見込んでいます。この要素が構成差の改善額として織り込まれています。
もう1点加えるとすれば、日立建機の国内製造工場です。こちらはマイニングを含めて稼働状況が非常に良くなってきており、この稼働益の改善も織り込んでいます。
質疑応答:マイニングとインドネシアにおける需要見通しについて
質問者:貴金属価格や石炭価格も年初来で上昇していると思います。3ヶ月前と比べて、マイニングやインドネシアの石炭影響という視点で、現場の需要見通しになにか変化を感じていますか?
先崎:貴金属、特に銅や金の価格は高い状態が続いており、今後もその状況が続くと想定しています。それに伴い、マイニングに対する引き合いも多く見られるのは事実です。
ただ、インドネシアを中心とした石炭に関しては、それほど好転する見込みがありません。中東情勢も考えてのご質問かと思いますが、石炭系が良くなるという印象はあまり受けていません。
そのため、マイニングの事業環境については前年度から大きな変化はなく、この状況がしばらく続くのではないかと見通しています。
質疑応答:企業内部における考え方の変化について
質問者:前中計と今中期経営計画をあえて切り分けずに一連で捉えた場合、北米や中南米、部品に関する戦略については、ジョン・ディア社との関係を解消した段階から掲げられていた戦略ですので、大きな変化はないように思います。
それでいながら、今回はインオーガニック成長の話が強く前面に出てきたり、株主構成の変化も見られたりしますが、御社の中で何が変わってきているのでしょうか?
例えば、市場規模が拡大しないという判断から、椅子取りゲームを急ぐ必要があると考えたのか、ソリューションを提供しながら顧客を囲い込む必要が強まってきたのか、あるいは伊藤忠商事との関係が深まり良くも悪くもさまざまな刺激を受ける中で、M&Aという選択肢が浮上したのか、などが考えられます。
御社において、どのような考え方の変化があったのかについて教えてください。
先崎:私は、会社の中が変わってきたと感じています。日立グループから独立し、新たに社名をランドクロスに変更するというプロセスにおいて、さまざまな意味で恐怖感も抱いていますが、それ以上に期待とチャンスを感じています。
過去の我々は、例えばセカンドブランドのようなものを活用するアイデアを思いつくことはありませんでした。しかし現在は、「WIXIM」を活用し、さらに成長を目指そうとしています。これは、我々が2023年度から新たに「BUILDING THE FUTURE 2025」という名前で進めてきた取り組みです。
このプロジェクトの副題は「未来を創れ」であり、自ら未来を創り出すという理念を掲げて3年間取り組んできました。いくつか成果を挙げられたものの、依然としてやりきれていない部分があるのも事実です。その1つとして、バリューチェーンのさらなる拡大が課題として残っています。
米州におけるコンストラクションの単月シェアは10パーセントを達成しましたが、売上は目標に到達していません。これをさらに成長させるためにはどうすればよいかということが、次の「LANDCROS 2028」の重要な焦点となります。
これまでの考え方をどのように変えていくべきかを検討する中、成長投資を行うことでキャッシュを生み出せる成果も得られました。そこに加えて、インオーガニックな手法を含めて取り組む姿勢が自分たちなりにできるようになった点は、会社が変わりつつある証と言えると思います。
米州という大きな白紙を得たことや、株主構成の変化なども含め、次の成長を目指す準備が整ったことは、自分たちにとって大きな内部成長ではないかと考えています。
みなさまのご期待に応えるべく、また多大なご支援や叱咤激励をいただきながら、次の中期経営計画を全うしていきたいと考えています。ご協力とご声援のほど、どうぞよろしくお願いします。