■要約
ウイングアーク1stは、企業の基幹業務を支える帳票・文書管理ソリューションとデータから価値を生み出すデータエンパワーメントソリューションを、ソフトウェア及びクラウドサービスによって提供している。2013年9月にMBOにより上場廃止となるも、競争優位性を維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させるというMBOの目的を達成したと判断し、2021年3月に東京証券取引所(以下、東証)1部に再上場し、2022年4月に東証プライム市場に移行した。
1. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期の連結業績は、売上収益が前期比7.8%増の30,945百万円、営業利益が同9.4%増の8,989百万円、EBITDAが同9.1%増の10,526百万円となった。売上収益が前年7月予想の31,200百万円に若干の未達となったが、営業利益8,950百万円、EBITDA10,460百万円を上回り3期連続で過去最高益の更新となった。売上収益の未達は大型案件の一部で2027年2月期に後ろ倒しがあったためだが、利益面で上回ったのは、M&Aにより一時的に利益率が低下したものの、社内における生成AIの活用により、主に開発関連の人件費の抑制や外注費削減などコストマネジメントが寄与したことによる。データのクラウドの進展に加え、サブスクリプション需要拡大などを柔軟に取り込み、帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同8.0%増の20,255百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同7.5%増の10,690百万円となった。
2. 2027年2月期の業績見通し
2027年2月期は、売上収益が前期比10.8%増の34,300百万円(上期16,630百万円、下期17,670百万円)、営業利益が同17.9%増の10,600百万円、EBITDAが同14.9%増の12,100百万円(同5,590百万円、同6,510百万円)と見込んでいる。帳票・文書管理ソリューションは、「invoiceAgent」を「SVF」にブランドを統一・強化し、引き続きデジタル帳票基盤の確立を目指す。データエンパワーメントは、生成AIを脅威と捉えず、親和性を高め、増加するデータの最適化などデータ基盤強化と大企業向けを深化させる。ソリューション事業別では帳票・文書管理ソリューションの売上収益は同11.4%増の22,562百万円、データエンパワーメントソリューションの売上収益は同9.8%増の11,737百万円を見込み、2026年2月期から進めている公共領域の強化を図る。なお、2027年2月期の業績予想は市場に対する最低限のコミットメントとしており、期初計画の達成を目指す。
3. 中長期の成長戦略
同社は2022年1月に5ヶ年の「中期経営方針(2023年2月期~2027年2月期)」を発表しており、2027年2月期はその最終年度となるが、売上収益は目標320億円に対して343億円、EBITDAは目標の120億円に対して121億円と、それぞれ達成の見通しである。リカーリング比率は目標の75%に対し68.3%となるのは、想定以上にオンプレミスが強かったことによる。クラウド成長率が目標の40%に対し26.8%にとどまるのは、サブスクリプションへのシフトが進んだことが背景となっている。なお、続く新中期経営計画の発表は未定である。
■Key Points
・2026年2月期は各ソリューションが堅調に推移し増収増益。3期連続で過去最高を更新
・2027年2月期は増収増益と4期連続の過去最高の更新を目指す。クラウド進展に加え、生成AIの活用に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 井上 康)