■ウイングアーク1stの会社概要と事業概要
1. 会社概要
同社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future. 情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げ、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指している。現在、スマートフォンやIoTの普及により、日々生み出されるデータは加速度的に増加している。また、働き方改革等による業務の効率化のニーズも高まってきている。同社グループは、この様々なデータ(ビッグデータ)を「新しい資源」として捉えており、この資源を活用して企業や社会に様々な価値をもたらすソフトウェア及びサービスの提供を行っている。
2. セグメント情報
同社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしている。ただ、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分している。
(1) 帳票・文書管理ソリューション
帳票・文書管理ソリューションでは、帳票に関する業務基盤として国内で最も多く利用されているソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供しており、請求書、納品書、発送伝票、eチケットなどの業務帳票から公的機関が発行する各種証明書まで社会の様々な場所で帳票の作成や出力・管理に利用されている。主力の「SVF」は帳票の作成、出力から保管、流通まで担うデジタル帳票基盤ソリューションであり、企業及び公的機関の多くでDXの推進に貢献している。
(2) データエンパワーメントソリューション
データエンパワーメントソリューションでは、エンドユーザーに対して、ソフトウェアの販売、クラウドサービス、保守サポートの提供を主に行っている。これらは様々な種類のデータを組み合わせて分析することにより、今までにない価値を生み出すビジネスの基盤となる(一般的にBI(Business Intelligence)と呼ばれる)ソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供している。生産性の向上やビジネスプロセスの効率化による経営スピードの向上を実現することをコンセプトとし、データの集計・分析・可視化及び意思決定支援というデータ活用の一連の流れをカバーしている。企業の業務プロセスに組み込むことで、経営者から現場の業務担当者まで、多くの利用者を得ることができている。
(3) 公共関連
人口減少や職員不足など地方自治体を取り巻く課題が深刻化するなか、2025年6月に買収したウイングアークNEX(株)を活用し、基幹データの活用による住民サービスの向上、CMS(Contents Management System)への生成AI搭載による自治体職員の生産性向上など、プッシュ型行政サービスの実現に向けて、提供価値の向上を目指す。
強みは、独自のテクノロジー・強力なビジネスチャネル・厚いリカーリングレベニューによる強固な財務基盤
3. 強み
(1) 独自のテクノロジー
同社グループは、創業より企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んでいる。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、同社グループの競争力の源泉となっている。それぞれの技術は高度で難解なものであるが、「誰でも簡単」に利用でき、素早く効果を上げられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイスを備えたソフトウェア及びサービスとして提供している。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、すべて自社グループ内で行っている。
(2) 強力なビジネスチャネル
同社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっている。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築している。これにより継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動を行っている。なお2021年2月期に、同社グループのソフトウェア及びサービスの販売だけではなく、パートナーとともに新たな市場を開拓していくという考えの下、パートナー制度を改定した。今後もパートナーとより良い関係を築き、双方のビジネスの発展に努めていく考えのようだ。自社の販売が1割程度なのに対し、残りは日本電気(NEC)、日立製作所、富士通など契約パートナー向けが占めている。
(3) 厚いリカーリングレベニュー
同社グループが提供するソフトウェア及びサービスは、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約のほかサブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されている。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積み上がるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、同社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献している。2026年2月期のリカーリング比率は65.6%(前期は60.9%)であった。四半期ベースで見てもリカーリング収益は順調に増加しており、なかでもクラウドサービスが成長している。
また、同社グループは保守契約の継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの1つとしている。2026年2月期は93.4%(前期は93.7%)と高い水準で安定している。既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げることにより高い保守契約継続率を維持し、持続的な成長を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 井上 康)