■要約
ククレブ・アドバイザーズは、企業が保有する工場や倉庫などの事業用不動産(以下、CRE)に関する課題を、不動産テックシステムで可視化し、有効活用施策の提案、不動産売買・賃貸、仲介、プロジェクトマネジメントなどの各種ソリューションサービスを展開している。不動産テックによる業務効率化と、簿価でおおむね20億円以下のコンパクトCRE市場に注力することで、2019年の会社設立以来、高成長を続けている。
1. 2026年8月期中間期の業績概要
2026年8月期中間期(2025年9月〜2026年2月)の連結業績は、売上高で前年同期比45.1%減の909百万円、営業利益で同70.1%減の157百万円と減収減益となった。バランスシート(以下、B/S)を活用した不動産投資案件の売上減少が主因だ。また、第2四半期に売上計上を予定していた案件が顧客側の事由により、下期に計上時期がずれ込んだことも減少要因となった。前期はB/S活用型不動産投資の売上高15.4億円のうち、約7割を中間期までに売上計上したが、2026年8月期は下期偏重型の計画としていたため、前年同期比での落ち込みが大きくなった。ただ、資産の効率化に向け保有不動産の売却や見直しを検討する企業が増えるなかで、新規見込み案件が順調に増加するなど、これまでの高成長シナリオに変化はない。なお、KPIとしている事業用不動産マッチングシステム「CCReB CREMa」の情報登録件数は、前期末比19.1%増の8,180件と順調に拡大している。
2. 2026年8月期の業績見通し
2026年8月期の連結業績は、売上高で前期比174.0%増の7,000百万円、営業利益で同79.4%増の1,100百万円となる見通しである。期初計画に対して営業利益を据え置いた一方で、売上高は4,700百万円から上方修正した。第4四半期に売上計上を予定していた利益率の高い特定案件の期ズレ発生リスクに備え、キャピタル・リサイクル戦略※を前倒しし、B/S活用型の不動産投資案件の早期売却を第4四半期に実施することが要因である。このため、期ズレの発生がなければ業績の上振れ要因となる。なお、第3四半期の業績は、売上高で前年同期比609.2%増の2,231百万円、営業利益で同4,025.5%増の434百万円を計画している。北海道の危険物倉庫プロジェクトなど大型案件を4月までに売上計上済みであり、ほぼ計画どおりに進捗するものと予想される。なお、北海道の危険物倉庫については、2027年4月末竣工を予定しており、稼働後はマスターリース事業を展開する予定である。既に引き合いは多く、稼働当初から高い稼働率を見込んでいる。2026年8月期は、下期に営業利益の約86%が集中する収益構造となっており、通期業績は下期偏重で推移する見通しである。
※ 調達資金を投資案件に活用、売却により回収、回収資金を新たな投資や成長機会へ再投資に回し、調達資本を効率的に循環させる戦略。
3. 中期経営計画と株主還元策
同社は2025年10月に発表した中期経営計画のなかで、2028年8月期の業績目標として売上高120億円、営業利益32億円を掲げた。不動産テックを起点とした、CREソリューションの高い「質」と「成長性」を通じたビジネス展開により、CREプラットフォーマーとしての地位を確立することで高成長を目指す。現在のビジネスパイプラインの不動産評価額は670億円程度と、コンパクトCRE市場全体の0.1%であり、成長余地は大きい。高成長を実現するため、戦略的アライアンスも積極的に推進している。直近では、2026年4月に金融機関向けビジネスマッチングシステムで豊富な導入実績を持つココペリと業務提携計画を締結した。同社の「ククレブ マッチングボックス」とココペリのシステムを連携することで、地域金融機関及び地域企業との不動産マッチング強化に向けた仕組みを構築し、新規案件獲得につなげるねらいである。なお、上記業績目標には2025年11月実施の公募増資(約24億円)による効果を織り込んでいない。増資に伴う借入余力の拡大とキャピタル・リサイクル戦略の推進により、目標達成の蓋然性は一段と高まったと弊社は見ている。足元では金利上昇や原油高などマクロ環境の不透明感があるものの、景気動向の影響を受けにくいCRE市場の特性を背景に引き合いは活発であり、中期経営計画の達成に向けた進捗は順調と言える。
株主還元については、事業資金への活用、内部留保の充実を最優先としながらも、株主利益最大化と内部留保のバランスを見ながら配当を行うことを基本方針としている。2026年8月期の1株当たり配当金は前期比5.0円増配となる27.0円と増配を予定している。下期の収益動向次第ではさらなる積み増しの可能性があり、同社は今後も利益成長とともに配当水準の向上を目指す。
■Key Points
・2026年8月期中間期は減収減益。B/Sを活用した不動産投資案件の売上が減少
・2026年8月期の業績見通しは売上高の上方修正を発表
・キャピタル・リサイクル戦略の推進により収益成長加速へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)