目次
清水竜一氏:代表取締役社長執行役員の清水です。ただいまから2026年3月期決算の内容についてご説明します。本日は、この目次に沿って進めます。
決算概要:サマリー
サマリーについてご説明します。連結売上高は、在籍人数の増加やM&Aの寄与により増加しましたが、連結営業利益は前年比で減少しています。
その原因として、全体の4割を占めるオートモーティブインダストリー(自動車・EV関連)では、米国関税の影響が徐々に薄れてきたものの、特に第4四半期後半において中東情勢の影響で製造にブレーキがかかったことが一因と考えられます。
一方、昨年度、稼働計画が遅れていたセミコンダクターインダストリー(半導体・半導体製造装置関連)については、第4四半期からデータセンターやAI関連などの需要増を背景に人材ニーズが拡大し、在籍人数および売上が増加しています。
また、エンジニア系についてもセミコンダクターインダストリーで高スキルの人材の配属が進み、再び増加基調にあることを申し添えます。さらに、新たな挑戦として、オートモーティブインダストリー向け人材育成拠点である「日総テクニカルセンター愛知」が稼働を開始しています。
今年度の連結業績予想についてご説明します。現在、中東情勢の出口が見えない状況にあり、不確実性が高まる中で、特にオートモーティブインダストリーはその影響を避けられないと考えています。この中東情勢の影響を考慮し、国内生産は横ばいもしくは微減として予想を立てています。
一方、セミコンダクターインダストリーにおいては、これから生成AI関連の需要拡大に伴い、データセンターへの投資がさらに活発化する見通しです。そのため、現状では中東情勢の影響をあまり受けずに成長を続けると見ています。
また、エンジニア系に関しても、セミコンダクターインダストリーの人材需要の高まりと連動し、堅調に推移すると考えています。このような点を前提として、連結業績予想を立てています。
決算概要:2026年3月期 連結業績ハイライト
2026年3月期連結業績ハイライトの数字についてご説明します。売上高はM&Aの影響で前年同期比9.7パーセント増加しました。M&Aによる部分が約90億円上乗せされた結果とご理解ください。
販管費については、第2四半期からMan to Manホールディングス社がグループインしたことによる影響から、人件費の増加や各種経費の増大が確認されています。また、今後のM&Aを含めた新たな事業を効率的に進めるため、システムへの投資を実施しました。
さらに、将来を見据えたグローバル人材活用への投資や、個人株主数が大幅に増えたことによる株主優待費用の増加といった要因も販管費の増加に影響しています。
その結果、本来であればスケールアップにより販管費率が下がるはずのところですが、構成比率が一時的に上昇している状況であることをご理解いただければと思います。
決算概要:2026年3月期 連結営業利益増減分析
前スライドでご説明した内容が連結営業利益にどのように影響を及ぼしたかをまとめたのが、こちらのグラフです。後ほどご覧ください。
決算概要:2026年3月期 四半期単位の連結業績
四半期ごとの売上高と営業利益です。特に右側の営業利益のグラフをご覧いただくとお分かりのとおり、米国関税の問題から徐々に回復し、第3四半期からは順調に利益を伸ばし始めることができました。
しかし、第4四半期の後半に中東情勢の影響が生じたことにより、利益額は昨年を上回るものの、当初の想定には届かない状況となりました。
決算概要:業績予想に対する進捗計画及び進捗実績
こちらは上半期および下半期における業績予想に対する進捗状況を示したグラフです。売上は概ね計画どおりの数字で着地しましたが、営業利益は若干下回る結果となっています。
サービス別業績:グループ会社一覧
グループ会社の一覧です。Man to Manホールディングス社は、当社と同じような事業を行っている会社であり、特例子会社も含めて第2四半期から仲間に加わりました。
また、オールジヤパンガード社は警備業の会社で、こちらも仲間に加わっています。
サービス別業績:サービス別売上高
サービス別売上高の構成比を示す円グラフです。全体の78パーセントが製造生産系の人材サービスとなっています。
今後は、特にエンジニア系人材サービスに積極的に投資を行うことで、受注単価の上昇と、売上増加および収益拡大を図る方針です。この方針に基づき、中期経営計画や今年度の計画を策定しています。
サービス別業績:製造生産系人材サービス
製造生産系人材サービスについてです。第4四半期単独で見ると、売上は前年同期比で15.5パーセント増加しています。通期では前年同期比で10.1パーセント増加しており、M&Aの内容が全体に影響を及ぼしているとご理解いただければと思います。
売上総利益については概ね昨年並みに推移していますが、中東情勢の悪化がなければ、昨年並み以上の売上総利益を十分に出せたのではないかと考えています。
サービス別業績:エンジニア系人材サービス
こちらはエンジニア系の人材サービスに関するグラフです。累計では売上が前年同期比12.3パーセント増加、第4四半期では11.0パーセント増加となっています。
セミコンダクターインダストリーの新しいプロジェクトが動き始めたことにより、高度人材のニーズが生じ、エンジニアの増加の流れにようやく入ってきたと感じています。これが当社の成長戦略において非常に重要なポイントになると考えており、今後も在籍人数を増やし、積極的にエンジニアの比率を上げていく方針です。
また、右上のエンジニア系売上総利益率のグラフをご覧ください。まだ、本来エンジニアとして活躍すべき人材が十分にその役割を果たしていない状況です。現在、現場のOJT(On-the-Job Training)として半導体装置メーカーのアッセンブリーのような業務に従事しているため、これらを改善することで収益率がさらに向上する見込みです。
サービス別業績:事務系・その他の人材サービス
事務系を含むその他人材サービスです。みなさまもご承知のとおり、最近の生成AIの台頭が事務分野に大きな影響を及ぼしています。
一方で、新しい事務系のオペレーションの中で必要となる人材を、どのように育成してお客さまに提供するかが、我々にとって新たな課題となっています。この内容からその重要性が見て取れるのではないかと思います。
また、ダイバーシティ経営の取り組みとして、プライム社員(高年齢者社員)や障がい者の方々の活躍にも注力しています。
特に、買収したMan to Manグループ内のMan to Man Animo社では、障がいを持つ方々がコンピューター分野でシステムの開発や作成に携わるなど活躍されています。規模としては26名程度ですが、この取り組みが企業価値を高める要素となっています。
日本では少子高齢化が進行しています。そのため、多様な方々が活躍し、お客さまにサービスを提供することがこれまで以上に重要になると考えています。
サービス別業績:その他のサービス(介護・福祉・警備等)
その他サービスは、従来、介護・福祉医療分野のみでしたが、新たに仲間が加わったことで、警備業や機械系設計など、新たな仕事を受注することができています。
特に注目すべき点として、その他サービスの売上総利益率は前年同期比9.3ポイント増加となり、新しい分野の仲間が加わったことで、収益率が改善している状況があります。
また、介護領域についても、93パーセントを超える入居率で推移している点を、この場でお伝えしておきます。
インダストリー戦略:インダストリー別売上高
インダストリー戦略についてご説明します。オートモーティブインダストリー、セミコンダクターインダストリー、エレクトロニクスインダストリー(通信機器・電子部品)の3つの分野に分かれています。
左のグラフでお示ししているとおり、オートモーティブインダストリーは前年同期比で減少している状況です。
一方で、セミコンダクターインダストリーでは、これまで売上をどのように伸ばしていくかが経営上の大きな課題となっていました。しかし、ようやくさまざまな投資やセミコンダクターインダストリーで活躍できる人材の育成が功を奏し、プロジェクトのスタートとともに売上が増加してきており、自動車分野の減少を補える規模の売上を伸ばすことができています。
引き続き、オートモーティブインダストリーは厳しい状況が続く可能性があります。今後はセミコンダクターインダストリーとエレクトロニクスインダストリーで売上を伸ばし、収益を拡大していく状況になってきたと考えています。
インダストリー戦略:2027年3月期 インダストリー別動向
インダストリー別の動向についてです。
特にオートモーティブインダストリーにおいては、将来的な状況がまだ不透明であり、楽観できる状況とはいえません。ただし、セミコンダクターインダストリーではかなり先を見通せる状況になってきています。
今年は特にセミコンダクターインダストリーの領域、またそれと連動するエレクトロニクスインダストリーの領域に力を入れ、増収増益を目指すシナリオを作っていきたいと考えています。
日総グループの人材育成:全国に広がる育成拠点
グループ全体のテクニカルセンターおよび研修施設についてです。岩手県の施設では、ようやく自治体との連携がうまく取れるようになり、岩手県から人材育成について表彰を受けるという成果も挙げています。
これから注目していただきたいのは、愛知県に設立された「日総テクニカルセンター愛知」です。この施設の稼働率が上がることで、自動車分野におけるエンジニアの育成が進むものと考えています。
日総グループの人材育成:教育実績
日総グループ全体の人材育成における教育実績についてご説明します。
セミコンダクターインダストリーの計画が当初より後ろ倒しになったため、エンジニアの育成については前の年と比べて若干停滞した状況が見られます。
一方で、「NISSO HR Development Service」として進めている、メーカー社員の研修受託は、昨年の534名から926名へと増加しました。これは我々の新しいビジネスの1つとして位置づけており、今後さらに増加していくと考えられます。
日総グループのダイバーシティ推進
日総グループは、ダイバーシティの推進に力を入れていきます。その一環として、ダイバーシティ比率というKPIを用い、2031年3月期に40パーセントを目指して進めていきます。決算ごとに、現在の進捗状況をみなさまにお知らせしていく予定です。
ダイバーシティ比率とは、当社グループ総従業員に占める女性社員、高年齢者社員、グローバル社員、障がい者社員の比率を指します。
現状の34.2パーセントから40パーセントまで、どのようにダイバーシティ比率を向上させるかが今後の課題となります。
具体的には、当社グループ企業であるニコン日総プライム社やオールジヤパンガード社においてシルバー人材が活躍している例があります。また、今後は在宅勤務の推進を含め、女性がますます活躍しやすい環境づくりも進めていきたいと考えています。
今後の見通し:2027年3月期 通期連結業績予想
今後の見通しについてです。中東情勢の影響により不確実性が増している状況ではありますが、オートモーティブインダストリーでは、一定程度の影響が出ると見ています。
一方で、セミコンダクターインダストリーやエレクトロニクスインダストリーの分野については、AI関連の需要が非常に旺盛である前提のもとに、通期連結業績を予想しています。
売上については前年比6.3パーセントの増加、営業利益は9.7パーセントの増加を見込んでいます。
株主還元方針
株主還元方針についてです。2026年3月期の配当は、スライドに記載のとおり25.00円を予定しています。
財務状況:資本収益性・資本構成(2026年3月期)
財務状況についてです。経営に関する財務指標であるROICは11.1パーセントとなり、WACCの約8.2パーセントを上回っています。
2026年3月期については若干数値が下がっていますが、これはあくまでも一過性のものであると考えています。米国関税の影響を受けた収益性の問題や、そのような状況の中でも投資を継続していることが背景にあるとご理解いただければ幸いです。
財務状況:連結貸借対照表
こちらは連結貸借対照表になります。
財務状況:連結キャッシュ・フロー計算書
こちらは連結キャッシュ・フロー計算書になります。
中期経営計画の達成に向けて
ここからは今年度の計画と密接に関わる部分ですが、中期経営計画をさらに具体化するために、もう1段ブラッシュアップした内容についてご説明します。
まず、スライド上部の「成長のスピードを上げて中期経営計画の目標を達成するため事業ポートフォリオの強化・業務効率の最大化を目指す」をお話しします。
1つ目は、製造派遣・請負のみに依存する状態から脱却することを中期経営計画の課題としています。エンジニアの活用による調整も1つの考え方です。また、メーカーの状況に大きく業績を左右されない事業ポートフォリオを、中期計画の中で構成していく予定です。
2つ目は、グループの再編です。効率的な事業運営を実現し、それぞれの事業の専門性を向上させることを目的として、今期と来期で実施していく考えです。
3つ目は、M&A戦略の見直しと記載していますが、実際には見直しというよりも、M&Aをどのような方向に進めていくかを具体化したものです。こちらについては後ほど資料でご説明します。
これらを踏まえた4つ目は、キャッシュアロケーション見直しです。こちらも見直しというよりも、キャッシュアロケーションをより適切に構築し、みなさまにご提示するとの表現のほうが正確かと思います。
①事業ポートフォリオの多様化と拡充
事業ポートフォリオの多様化と拡充についてのご説明です。
こちらのスライドでは、左側に既存サービスとそれを支える機能、右側にそれぞれの目指す姿(TO-BEイメージ)を記載しています。
既存サービスから目指す姿へ転換する方法として、既存サービスを細分化し各人材サービスの高機能化や専門性を高めていくことが1つ目として挙げられます。また、2つ目として、バックオフィスの機能や採用機能、さらには育成機能などを切り出して外販する方向性を示しています。
なかでも、メディアサービスについては少しイレギュラーな印象を受けるかもしれませんが、今後SNSなどを活用した採用活動が増えてくる可能性を視野に入れ、この分野にも挑戦していきたいと考えています。
シェアードサービスについては、グループ全体の販管費を効率的に活用するノウハウを積み重ね、それを外販していくという考えです。
また、日本の労働市場において少子高齢化が進む中で、当社はグローバル人材を的確に採用し、育成し、活躍していただく方針です。
このように、関連するサービスをさまざまなお客さまに外販していくことを考えています。
②グループの再編(事業再編)
グループ再編についてです。概念的な考え方として捉えていただければと思いますが、現状としては、各グループ会社の中で同じような業務が重複している状態があります。
こうした状況を整理し、必要に応じて会社を合併・吸収するといった施策を進めていきます。そして、目指すべき最終形としては、事業ごとに法人化することで、それぞれの事業会社が各分野の専門性をさらに高めていくことを目標に据え、中期経営計画を進めていきます。
また、経営基盤の強化を図り、より効率的に事業運営を行い、収益を増やしていくことも重要な考え方の1つとしています。
③M&A戦略の見直し
M&A戦略の見直しについてです。従来は各事業に対してM&Aを仕掛けていく方針がありましたが、一部曖昧な点が見られました。スライドの図は、特にどの分野にどの程度の投資規模を想定しているのかまとめて図式化しています。
特に、既存市場におけるスケールアップを優先し、全体の8割程度を見込んで投資を進めることとしています。
また、新市場への投資として、1つの考え方としては投資規模を15パーセント未満、約20億円と想定しています。さらに、直接的にシナジーを持たないものの、従来の人材サービスで培ったノウハウを活かした新たな分野に対して5パーセント程度、約5億円の投資を検討していることを示しています。
④キャッシュアロケーション方針 (2026年3月期~2028年3月期累計)
キャッシュアロケーション方針についてです。流動的になる可能性もありますが、この3年間で営業により85億円のキャッシュを創出する計画です。
また、「新規借入」と記載されているように、調達の手段を多様化しており、いったん100億円程度の借り入れを計画しています。一方で、キャッシュアウトについては、M&A資金として140億円、戦略投資として20億円、さらに株主還元の原資として45億円程度を予定しています。
ただし、今回の中期経営計画はすでに3分の1が終了しています。スライド右側の「参考」と記載された部分には、これまでに各分野でどれだけの資金を投入したかが記載しているので、それぞれの分野に今後どの程度投資が行われる予定なのかもご確認いただければと思います。
清水氏よりご挨拶
私たちは、より成長力のある強い会社を、社員と力を合わせて作っていきたいと考えています。しかし、人材会社として、日本の就業人口が減少している現状で成長することは容易ではありません。
特に、新しいテクノロジーが人々の働き方を急速に変えている状況の中で、先を見据えた新たなことにも積極的に挑戦していく必要があります。そうした逆風の中で、私たち一同が確固たる姿勢で臨むために、中期経営計画をブラッシュアップし、先ほどご説明したように、よりわかりやすく、明確な計画を策定しました。
今後のNISSOホールディングスの成長を、ぜひ投資家のみなさまにご注目いただきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いします。長時間にわたりご清聴いただき、ありがとうございました。