本日お伝えしたいこと
井上晋司氏(以下、井上):取締役常務執行役員の井上です。まず、私から2025年度の決算説明と2026年度の見通しについてご説明します。
本日お伝えしたい内容をサマリーとしてスライド1枚にまとめています。2025年度の業績について、売上高は2,419億円で前期比193億円の増収、営業利益は225億円で前期比21億円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比71億円の増益となり、最終的に246億円となりました。
売上高は5期連続で過去最高を更新しています。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年度に投資有価証券売却益94億円を計上していたこともあり、246億円となりました。それに伴い、ROEも9.0パーセントを達成しています。
次に、2026年度の業績見通しです。売上高は2,606億円で前期比187億円の増収、営業利益は254億円で前期比29億円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は223億円で前期比23億円の減益を見込んでいます。
連結業績の推移
ここから詳細についてご説明します。まず、2025年度の業績結果についてです。スライドのグラフは、過去10年間の売上高と営業利益の推移を表しています。
私どもは中期事業計画「KAYAKU Vision 2025(以下、KV25)」を昨年度終了し、今年度から新たな事業計画をスタートしています。10年先に目指す姿を描き、そこからバックキャストするかたちで事業計画を進めようとしており、今回あえて10年前からの数値をみなさまにお示ししました。
売上高は2016年度の1,591億円から2025年度には2,419億円まで成長しています。しかし、折れ線グラフで示している営業利益をご覧いただくと、途中に凸凹はあるものの、昨年度の225億円は過去と比較して、それほど伸びていない点が大きな課題であると認識しています。
2025年度 業績
2025年度実績の詳細です。スライド上段の内容は先ほど説明しましたので、下段についてご説明します。
1株当たり当期純利益は161.18円で、前期比プラス54.01円となっています。ROEは9.0パーセントです。ROICは5.3パーセント、PBRは3月末に株価の下落等があり0.93倍となりました。なお、期中平均の為替レートは150.67円でした。
スライド右側には、今年2月に公表した2025年度の見通しも記載しています。当時公表した数値に対して、結果的にすべての項目で上回ることができました。
2025年度 営業利益増減分析
2024年度と2025年度の営業利益の比較です。数量要因で62億円ほど増加しましたが、売価要因は、特に医薬品において薬価改定が毎年行われている影響により、マイナス19億円となりました。
さらに、各種原料の高騰などが影響し、製造原価要因でマイナス20億円となっています。販売費要因はプラス8億円、為替要因はマイナス10億円です。
2025年度 営業外・特別損益
こちらは2025年度の営業外収益および特別損益の一覧表です。2025年度は為替差益が17億円発生し、前期比で19億円の増加となっています。
また、投資有価証券売却益が94億円あり、前期比で56億円の増加となっています。この2つの要因が大きく影響し、最終的な当期純利益を大幅に伸ばしました。
2025年度 財政状態
財政状態についてご説明します。総資産は3,987億円と、前期比で250億円増加しています。
流動資産に関しては、棚卸資産が医薬事業の好調な販売を支える在庫確保や化学品の新工場設立に伴う在庫の積み増しなどの影響により、前期比で128億円増加しました。また、積極的な設備投資を行っており、有形固定資産も前期比で116億円増加しています。
自己資本としては、昨年度に自己株式の取得を165億円ほど実施し、大きく減ることを想定していましたが、為替の影響による為替換算調整勘定で前期比144億円増となり、その結果、自己資本は2,790億円となりました。
その結果、自己資本比率は70.0パーセントとなり、前期比で1.6ポイント低下しましたが、依然として70パーセントを維持しています。私どもとしては、自己資本比率が60パーセント程度まで下がったとしても、財務の健全性は十分に維持できると考えています。
そのため、今後やや自己資本比率が低下する方向に向かう可能性があると見込んでいます。政策保有株式も順次売却を進めており、純資産比率は前期比で2ポイント低下し、7.9パーセントとなっています。
2025年度 業績 セグメント別
2025年度のセグメント別業績です。スライド表の上段に売上高、下段に部門営業利益を示しています。
すべての事業領域において前期比で増収となりましたが、部門営業利益ではモビリティ&イメージング事業領域が前期比で27億円の減益となりました。一方で、ファインケミカルズ事業領域とライフサイエンス事業領域は増益となっています。
モビリティ&イメージング事業領域においては、原料価格の高騰に対応し、売価転嫁やコストダウンに取り組んでいますが、一部でタイムラグが発生しているため、このような結果となりました。詳細は後ほどご説明します。
中期事業計画 KAYAKU Vision 2025の振り返り
2025年度は、私どもが進めていた中期事業計画「KV25」の最終年度でした。2022年度から2025年度までの4年間にわたる中期事業計画であり、その振り返りを簡単にお伝えします。
売上高は、最終年度に2,300億円を目標として掲げていましたが、結果として2,419億円となり、初年度に設定した目標を達成することができました。一方で営業利益は、原料の高騰などにより225億円という結果となり、目標としていた265億円には若干届きませんでした。
ROEは、最終年度で8パーセントを超えることを目指して取り組んでおり、結果として9.0パーセントとなったことから、評価を「〇」としています。
2026年度 業績見通し
2026年度の業績見通しです。スライド上段は冒頭のサマリーでお伝えしていますので、下段の内容を中心にご説明します。
売上高は2,606億円、親会社株主に帰属する当期純利益は223億円を計画しています。この223億円の中には、投資有価証券売却益を約32億円を想定して織り込んでいます。昨年度が94億円だったため、その差は約62億円です。この影響もあり、前期比で減益となる見込みです。
1株当たり当期純利益は154.5円、ROEは昨年度から若干低下して8.2パーセント、ROICは5.6パーセントです。また、期中平均為替レートは148円と想定して立案しています。
2026年度 業績見通し セグメント別
セグメント別の見通しです。スライドに示しているとおり、すべての事業領域において売上高は前期比で増収を、部門営業利益も前期比で増益を見込んでいます。
設備投資・減価償却費・研究開発費
スライドには、設備投資、減価償却費、研究開発費について、2022年度からの推移を示しています。2025年度の設備投資額は、第3四半期時点で202億円を見込んでいましたが、投資内容および投資時期の見直しを行った結果、161億円となりました。
また、2026年度は、設備投資が前期比で約110億円増加、研究開発費が前期比で30億円増加、減価償却費は前期比で横ばいを見込んでいます。
2026年度の主な設備投資は、スライド下段に記載のとおりです。モビリティ&イメージング事業領域では自動車安全部品製造設備の増強、ファインケミカルズ事業領域では福山工場の技術棟建設、ライフサイエンス事業領域では統合品質保証棟の建設を計画に織り込んでいます。
また、これまでにご説明したことがあります、医薬品を製造している高崎工場における新たな製剤工場に関しては、現在検討中であり、今回の計画には織り込んでいません。
中東情勢の影響
中東情勢の影響についてご説明します。上期は生産調整などにより下振れする可能性がややありますが、通期では先ほどご説明した見通しどおりと想定しています。
前提条件として、外部環境ではホルムズ海峡の封鎖が数ヶ月は続くと見込んでいます。その後も、年内はサプライチェーンの混乱が影響を及ぼし、原材料価格の高騰が続くと予測しています。
顧客による原材料の調達は非常に多岐にわたるため、私どもで完全に把握することが難しい部分もあります。そのため、このような状況に伴う生産縮小については、一部織り込めていない可能性があることをご理解いただければと思います。
また、内部環境として、自社で調達する原材料の高騰分について、自社努力で吸収できる部分は吸収しますが、それを超える場合には価格転嫁を基本方針としています。
スライド下段には、事業領域ごとの直近の状況を記載しています。モビリティ&イメージング事業領域では、自動車メーカーが中東向けの生産調整を発表しているものの、当社への影響は限定的であると見ています。
ファインケミカルズ事業領域は、化学品原料の影響を最も受けやすい分野ですが、原材料が高騰している製品に関しては、お客さまへの供給を最優先に考え、調達を進めています。価格が上昇した部分は、売価に転嫁する方針であることをお客さまとしっかり話し合った上で調整を続けています。
また、入手が困難な原材料が一部発生していますが、代替調達やこれまで進めてきたBCP対応の中で、適切に対処していけると考えています。ライフサイエンス事業領域は、国内事業が中心であるため、影響は限りなく限定的であると考えています。
今後、市場停滞による需要減少やエネルギー価格の大幅な上昇などが長期化し、2026年度の見通しを大きく変更せざるを得ない場合には、速やかに情報開示を行う予定です。私からは以上です。
アジェンダ
川村茂之氏(以下、川村):代表取締役社長社長執行役員の川村です。本日、アメリカのトランプ大統領が中国を訪問中であり、近日中に中東情勢へどのような影響を及ぼすのか、みなさま情報収集で大変お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
中期事業計画「KV25」については、井上から説明がありました。ここからは、2026年度以降の未来についてお話ししたいと思います。アジェンダはスライドに記載のとおりです。
私からは、SECTION1の「Evolution2035ありたい姿」、SECTION2の「Evolution2035 Phase1 財務目標と全社重点施策」についてご説明します。
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリーです。長期経営計画「Evolution2035」では、2035年度に売上高5,000億円、ROE15パーセント以上を目指します。
また、「Evolution2035」Phase1は、全体の3分の1である初めの3年間を指します。2028年度に売上高3,000億円規模、営業利益360億円、ROE10パーセント以上、ROIC(税引後)7パーセント以上を目指すことを掲げています。
Evolution2035 ありたい姿
「Evolution2035」のありたい姿について、主に定性的なお話になりますがご説明します。
すでに何度かお伝えしている内容かと思いますが、スライドには、今後10年間変わらない私どものポリシーであるパーパスを記載しています。それは「KAYAKUの技術で人と地球の未来に安心・豊かさ・感動を」です。
私どもは今年、創業110周年を迎えます。その間培ってきたカギとなる良い技術と、110年間で事業アセットとしてさまざまな経験を積んできたこと、この2つにチャレンジする企業文化を掛け合わせることで、このパーパスを実現しようと考えています。
「KAYAKUの技術で人と地球の未来に安心・豊かさ・感動を」お届けすることで、我々自身が売上を向上させ、利益を得ることを目指しています。
日本化薬が届けたい「安心」「豊かさ」「感動」
では、「安心」「豊かさ」「感動」とは具体的に何を指すのかご説明します。
まず、「安心」という観点では、バイオ医薬品や抗がん薬について、日本はかなりの部分を輸入に頼っているのが現状です。そのため、これらをできる限り国産化し、日本国内で供給できる体制を整えたいと考えており、この責務を私どもで担わせていただこうとしているところです。
また、空と海の安全についても取り組んでいきます。これまで自動車のエアバッグやシートベルトプリテンショナーなどの提供を通じて、陸の安全に貢献してきたと自負しています。これからはドローンや空飛ぶクルマといった空の安全に加え、自動車運搬船の火災予防など海の安全にも貢献していくことを考えています。
防災の分野では、火災が発生した際に瞬時に消火可能なデバイスを現在開発中です。このようなものを通じて、世の中に安心を届けていくことを目指しています。
次に、「豊かさ」の実現に向けた取り組みとしては、過去から継続して取り組んでいますが、AIの発展に伴い必要性が高まっているパワー半導体向けに使用される高機能樹脂を提供していきたいと考えています。
さらに、自動車・航空・宇宙産業にも取り組みます。特に宇宙産業では、セイフティシステムズ事業で培った当社のデバイスを宇宙ロケットなどに応用し、地球の周りを回る衛星の数を増やすことで、豊かさに貢献していきたいと考えています。
水素社会については、現状では若干停滞気味ですが、化石燃料のリスクに伴い、水素は代替エネルギーとして必ず将来普及すると考えています。その水素を我々の技術で供給するために、開発を進めていきたいと考えています。
3番目の「感動」について、スライドには「自動車」「インフラ」「高彩度印刷物」といった項目と、自動車のサンルーフの写真を載せています。これは、私どもの色素技術を活用し、スイッチ1つでクリアなサンルーフに変えたり、黒いサンルーフに変えたりすることができるものです。
この技術は、すでに一部の車両に搭載が始まっています。私どもの技術を活用すれば、例えば赤色や青色に変えることも可能です。この技術を自動車のサンルーフだけでなく、街のビルや屋根など、さまざまな場所へ応用できる可能性があるということで、スライドには「インフラ」と記載しています。
また、デジタル印刷用のインクを用い、高彩度の印刷物を高速に提供することも考えています。これらを通じて、未来の人々に感動をお届けしたいと考えています。
価値創造プロセス
このような「安心」「豊かさ」「感動」をお届けするためには、価値創造プロセスを当社の中で確実に回すことが必要だと考えています。
少し情報量の多いスライドですが、一番左側に「INPUT」を示しています。財務資本、製造資本、知的資本など、事業を運営する上での資本を活用し、スライド中央の「価値創造の独自性」を円滑に進めていくことが必要だと考えています。
スライドの3つの大きな丸のうち、「カギとなるKAYAKUの技術」は、火薬、農薬合成、抗がん薬・バイオ、触媒設計、色素合成、高分子と、当社が有する技術を示しています。我々は、オンリーワンの優れた技術を持っていると自負しています。
この技術とこれまで懸命に事業運営してきた「事業アセット」だけではタイムリーに良いものを供給することが難しい面もあります。
重要なのは、「チャレンジする企業文化」です。権限委譲、人材育成、ガバナンス強化、組織改革を迅速に進め、「カギとなるKAYAKUの技術」と「事業アセット」をタイムリーかつスピーディに動かしていける基盤が、この会社には必要であると考えています。
私は昨年6月に社長に就任しました。この約1年間、これまで携わることのなかった事業も含めてさまざまな面を見た上で、企業文化の部分が若干弱いと感じています。
そのため、来年2027年4月に向けて「企業文化を醸成していこう」「スピーディに技術とアセットを掛け合わせて、うまく回転していけるような企業文化を作っていこう」と考えているところです。
これが成就した暁には、「OUTPUT」として未来のみなさまに「安心」「豊かさ」「感動」をお届けすることが可能になります。
また、株主や取引先、お客さまといったみなさまに「OUTCOME」をお届けし、それにより得た利益を再び「INPUT」に循環させる、という動きをスムーズに行える会社になることが必要だと考えています。
Evolution2035の目標
スライドには「Evolution2035」の目標をわかりやすく示したイメージ図を掲載しています。一番左に2025年度、一番右に2035年度を置き、今後10年間の計画を表しています。また、一番下に「既存事業(既存製品)」、その上に「既存事業(新製品)」、さらにその上に「新事業・M&A」とあります。
また、スライドの最下段には「Phase1」「Phase2」「Phase3」と記載しています。この後、私がお話しするPhase1とは初めの3年間を指しており、この期間に新しい事業や新製品の創出に向けた成長の基盤を構築したいと考えています。
Phase2からは徐々に新しいアウトプットが増えていき、2035年度には売上高5,000億円、ROE15パーセント以上を目指す考えです。
5,000億円の内訳は、モビリティ&イメージング事業領域で1,800億円、ファインケミカルズ事業領域で1,400億円、ライフサイエンス事業領域で1,200億円、その他の新しい事業やM&Aなどを含めて600億円を計画しています。
現状の課題と対策
「Evolution2035」Phase1の財務目標と全社重点施策についてお話しします。先ほど「Evolution2035」に向けて「売上高は5,000億円を目標にしている」とお伝えしましたが、現在抱えている課題をスライドに記載しています。
1つ目は、先ほど井上から話がありましたが、収益性の低下が顕著に見られるという点です。2つ目は、主に社内の問題になりますが、経営効率の低下です。これらは社内のさまざまな仕組みややり方を工夫することによって、解決可能な課題であると考えています。
Phase1では、この問題に対して5つの対策を講じていきます。1番目は、「KV25」の取り組みの実績化です。さまざまな設備投資を行ってきましたが、それをPhase1で実績化することが非常に重要だと考えています。
2番目は、強靭な事業ポートフォリオの構築です。こちらは後ほどご説明します。3番目は、キャッシュアロケーションの最適化、4番目は効率とスピードを高める組織運営の進化、5番目は人的資本への戦略的投資です。これらの施策をPhase1で進めていく予定です。
Evolution2035 Phase1
Phase1で目指すべき方向性についてご説明します。スライド左側の図には、先ほどお話しした1番から5番の対策を記載しています。それを実践することで、Phase1の最終年度である2028年度にはスライドに記載された数値を達成することを目指しています。
ROEは8パーセント以上に維持しつつ、10パーセント以上を目指します。また、2028年度の財務目標として、売上高は3,000億円規模に到達したいと考えています。営業利益は360億円、ROEは10パーセント以上、ROIC(税引後)は7パーセント以上、これらをこの3年間で達成したいと考えています。
財務目標
財務目標です。スライド左側のグラフには、2025年度から2028年度の売上高と営業利益の推移を示しています。2028年度には売上高2,993億円を目標としており、なんとか3,000億円規模まで引き上げたいと考えています。営業利益も2028年度にはジャンプアップし、359億円を目指す計画です。
右側のグラフには、ROEとROICが示されています。2025年度は、おかげさまで9パーセントを達成することができました。
2026年度および2027年度は、政策保有株式の売却や設備投資を実施する予定のため、ROEは若干低下しますが、8パーセント以上は維持したいと考えています。そして、2028年度には10.2パーセントを達成し、株主資本コストを大きく上回る水準を目指します。
その下の折れ線グラフはROICの推移を示しています。2028年度には6.8パーセントを達成し、こちらもWACCを上回る水準を目指しています。
①KV25取り組みの実績化
「KV25」の取り組みの実績化です。前中期事業計画の期間中に投資し、これから実績化を目指しているものをスライドに示しています。
モビリティ&イメージング事業領域では、シリンダー型インフレータがあります。これは、シートの横や膝の前に設置されるエアバッグに使用されるものです。こちらに設備投資を行い、マレーシアと中国に生産ラインを設置しました。
今後実績化し、インドなどにも輸出していきたいと考えています。このインフレータは、主に正面から車が衝突する際ではなく、横から衝突する側面衝突時に作動するエアバッグに使用されるものです。
助手席やドライバー用のエアバッグはほぼ世界中で標準化されていますが、側面衝突用のエアバッグはまだそれほど装着率が高くありません。特に新興国では普及が進んでいないため、このような地域での拡大を目指しています。
ヘッドアップディスプレイの遮光板は、中国の中資系カーメーカーで非常に盛んに装着されています。日本のカーメーカーでも装着が増えてきており、ヘッドアップディスプレイに使用される遮光板です。
私どもの遮光板は、非常に優れた熱耐性を持ち、炎天下の車内でも長期間にわたってその機能を維持できます。今後、販売を拡大していきたいと考えています。
ファインケミカルズ事業領域では、半導体封止材、基板実装用樹脂、MEMSを取り扱っています。また、水系顔料インクジェットインクを産業用インクジェット分野で拡販する予定です。こちらは福山工場に大きな投資を行ったことを実績化していく考えです。
ライフサイエンス事業領域では、新薬として「イブトロジー」「ポートラーザ」「アラグリオ」を昨年度までに上市したため、実績化していきます。これらはジェネリック医薬品ではなく新薬であり、利益率が期待されています。患者さまの予後にも貢献できる薬剤であり、今後伸ばしていく計画です。
次に、2029年度以降のPhase2に向けた新規事業についてご説明します。二色性色素などの機能性色素や、エアロ事業ではドローン用パラシュートの「PARASAFE」が挙げられます。
さらに、新事業として、火事が起きた際にすぐに消火できるデバイスである消火シートや、宇宙に向かうロケットに使用されるデバイスがあります。また、こちらは後ほど詳しくお話ししますが、医薬製造受託事業も含まれます。
これらをPhase2に向けた新規事業として、Phase1の段階で準備を進め、できる限りの実績化を目指していきたいと考えています。
②-1 ポートフォリオの構築のためのPhase1の取り組み
ポートフォリオ構築に向けたPhase1の取り組みについてご説明します。
スライドには図を3つ並べています。一番左が現在、中央がPhase1終了時点、つまり2028年度時点、そして一番右が2035年度に目指すポートフォリオとなります。また、各事業領域における注力領域はスライド下段に記載しています。図は横軸に収益性、縦軸に市場成長性を示しています。
現在の各事業領域は一番左の図に示したポジションにあると考えています。3年後のPhase1終了時には、中央の図に示されているように、モビリティ&イメージング事業領域は収益性と市場成長性を高め、右上に移動させる計画です。
ファインケミカルズ事業領域についても同様です。ライフサイエンス事業領域は、収益性は大きく伸びませんが、成長を図っていきたいと考えています。
また、Phase1では「未来Bizセンター」を新設し、2035年には未来の社会課題を解決するような新たなビジネスを取り込んでいきます。この新事業は、一番右の図で緑色で示しています。
モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域、ライフサイエンス事業領域のそれぞれで収益性を高め、成長も取り込み、さらに緑色で示している新事業を加えたトータルで、売上高5,000億円を目指すポートフォリオを描いています。
②-2 2035年に向けた医薬事業の構造転換
医薬事業の構造転換についてです。当社は医薬品事業を手がけていますが、専門の医薬品会社ではなく、兼業の化学品会社です。このような会社において、医薬品事業を継続するためには、スペシャリティ化などの構造転換が必要な時期に来ていると考えています。
私どもの会社の規模では、世界的な「ピカ新」、つまり新しい新薬の開発は難しい点があります。
スライド左側のグラフは医薬事業の売上高と利益率を示しています。売上は徐々に伸びていますが、利益率は年々低下する傾向にあります。ジェネリック医薬品やバイオシミラーは薬価改定の影響を受けやすいため、現行の事業構造では利益率の向上が難しく、大きく構造改革が必要だと考えています。
スライド右側には過去の中期経営計画における成長投資を示しています。2019年度から2021年度の3年間は「KAYAKU Next Stage」、その次の2022年度から2025年度の4年間は「KV25」です。各期間において、行ってきた投資の規模を、プラスの文字でイメージとして表したものです。
モビリティ&イメージング事業領域は「++++」「++++」、ファインケミカルズ事業領域は「+++」「+++++」と、過去の2期の中期経営計画期間では、主にこの2つの事業領域に対して投資を実施してきました。
一方、医薬事業を含むライフサイエンス事業領域では「+」「++」と、過去に大きな投資は行っていませんでした。しかし、今年から始まった「Evolution2035」では、将来を見据え、大きく医薬事業へ投資を振り分けていく方針です。
これは構造を変革することで、薬価改定の影響を受けにくいがん関連の新薬やバイオを含めた製造受託事業に取り組むということです。この取り組みにより、利益構造を改善できると考えています。
②-3 新組織「未来Bizセンター」
新組織「未来Bizセンター」についてご説明します。これまでも当社には研究企画部という「新しいことをやろう」という組織が存在していましたが、その機能をさらに拡充した組織になります。
新しい製品だけでなく、現在の製品も活用し、新たな技術を取り込みながら、将来の新たなビジネスを創出する取り組みです。従来の研究組織は現在もありますが、それらを含めて大幅に再編や改編する計画を進めています。
2027年4月から正式に活動を開始するため、今年の4月1日に「未来Bizセンター準備室」を設立しました。現在は5名体制で準備を進めていますが、2027年4月以降は人員を増やし、新たな拠点の設立も予定しています。
これにより、新たな製品の創出に向けた取り組みを本格化させるとともに、スタートアップやアカデミアといった他の企業や機関と協力して、未来の新たなビジネスの創造や探索を進めていく考えです。
③-1 Phase1のキャッシュイン・キャッシュアウト
Phase1のキャッシュイン・キャッシュアウトについてご説明します。スライドの図の左側にキャッシュインを示しています。3ヶ年累計の営業キャッシュ・フローは1,150億円を見込んでいます。
また、3ヶ年にわたり、政策保有株式売却の180億円や有利子負債調達といったキャッシュインを利用し、キャッシュアウトとして株主還元を440億円実施します。配当性向40パーセント以上は維持していく方針です。
自己株式の取得は、2026年度に150億円を実施する予定です。設備投資は1,000億円を計画しており、モビリティ&イメージング事業領域に290億円、ファインケミカルズ事業領域に180億円、ライフサイエンス事業領域に430億円を積極的に投資する予定です。
また、成長投資としてM&Aやライセンス取得などを実施します。その一例として、富士薬品の富山第二工場の買収を決定しています。さらに、新しい薬のライセンス導入も予定しています。その他にも機動的に投資を実施していきます。
このようにキャッシュインとキャッシュアウトのバランスを保ちながら、将来のビジネスに向けて取り組んでいく考えです。
③-2 バランスシートのコントロール
バランスシートのコントロールについてご説明します。4点あります。1点目は、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮です。スライド右の図で①としている売上債権と棚卸資産を縮減していくことを考えています。
2点目は、低収益資産の最適化です。政策保有株式を6パーセントを目途に縮減し、不動産事業およびノンコア事業は売却も含めた検討を進めて縮減していきます。
3点目は、WACCの引き下げです。有利子負債の調達や自己株式の取得による自己資本比率のコントロールを進めていきます。スライドには2025年度末は自己資本比率70パーセントとありますが、2028年度末には60パーセントから65パーセントを目途にコントロールする予定です。
そのようにして得たキャッシュを、図の黄色で示している「④成長投資の実施」に充てたいと考えています。
③-3 株主還元方針
株主還元方針です。配当性向は40パーセント以上を維持し、累進的配当を継続します。自己株式取得は機動的に実施し、速やかに消却していきます。
2025年度は配当性向40パーセントを維持する予定で、配当は1株当たり66円を予定しています。これは株主総会での決議事項となりますが、現時点では66円を予定しています。
2026年度においても、予定どおり150億円の自己株式取得を行い、総還元性向106.2パーセントを達成すべく、配当を66円と予想しています。基本的な方向性や方針は変えず、2026年度も継続していきたいと考えています。
④ 効率とスピードを高める組織運営の進化
こちらは主に社内改革に関する内容です。効率とスピードを高める組織運営の進化として、業務の効率化や生産性向上、さらに事業オペレーションおよびコーポレート機能の最適化を挙げています。
AIなどを活用しながら、日々のオペレーションをいかに効率化し、人件費を抑制し、スピードを上げていけるかという取り組みになります。これまでも行ってきましたが、さらにスピードを上げて進める必要があると考えています。
⑤ 人的資本への戦略的投資
人的資本への戦略的投資です。ありたい姿を実現するために、人的資本を強化し、事業の持続的成長とチャレンジする企業文化の醸成を目指します。
「企業は人なり」という言葉は以前から使われていますが、社員がチャレンジしたいという気持ちにならなければ、さまざまな社内業務はうまく進みません。そのため、いかに人の力を高め、教育や育成を通じて成長させるかが重要だと考えています。
持続的成長に必要な人材を明確に定義し周知することや、戦略的な採用、育成、配置をこれまで以上に積極的に進めていきます。
また、例えば、社長の権限も含めた権限委譲に伴い、役割や裁量の再設計を進めることで、各レイヤーにおける一人ひとりのリーダーの権限と責任を明確にし、育成を進める取り組みを行いたいと考えています。さらに、挑戦を推奨し、それを評価する人事制度や施策を実施していきます。
日本化薬には、これまでの古い体質により、挑戦しづらい空気があったのも事実です。そのような状況を積極的に我々リーダー層が変革していくという取り組みを進めていきたいと考えています。
これにより、冒頭に示した「Evolution2035」における売上高5,000億円の達成を必ず実現できると確信しています。以上が「Evolution2035」に向けたご説明でした。
ここからは、各事業領域について、モビリティ&イメージング事業領域は湯屋、ファインケミカルズ事業領域は赤谷、ライフサイエンス事業領域は島田からご説明します。
モビリティ&イメージング事業領域
湯屋秀之氏(以下、湯屋):2026年4月よりモビリティ&イメージング事業領域を管掌しています湯屋です。よろしくお願いします。
4月から新たにコーポレート研究で展開していたエアロ事業、ドローンやパラシュートなどの関連事業もモビリティ&イメージング事業領域に加わりましたので、それらも含めて事業戦略についてご説明します。
まず方針です。川村から説明があったとおり、「Evolution2035」では、「安心・豊かさ・感動を届ける」として、世界中の人々に自動車安全部品を通じて安心を提供することや、ポラテクノ事業で取り組んでいる光制御部材を活用してさまざまな感動を届けること、さらにドローンや宇宙産業向け製品を通じて豊かな未来を拓くこと、このようなことへの貢献を方針としています。
次に施策です。まず、Phase1の成長ドライバーとして、既存事業であるインフレータのさらなる成長を図ります。また、「KV25」で実績を上げたヘッドアップディスプレイ用の遮光板をさらに伸長させます。
そして、ポラテクノ事業の中心部材であるX線分析装置部材もPhase1の成長ドライバーとして位置づけています。
この成長ドライバーを活用し、Phase1ではスライド右のグラフに示されているように、2025年度には947億円だった売上高を3年後の2028年度には1,250億円に拡大する計画です。
一番下の濃い青色がセイフティシステムズ事業、その上がポラテクノ事業、さらにその上のエアロ事業やドローン関連の売上もしっかり反映されています。エアロ事業の売上高は2026年度に3億円を計上し、2028年度には17億円まで拡大する予定です。
Phase2以降の成長ドライバーとして、偏光板事業では新規の車載用偏光板に注力していきます。近年、車にさまざまなディスプレイが搭載される中、当社は染料系偏光板の高耐久性を活かし、新たな車載用偏光板を伸ばしていきたいと考えています。
また、先日、宇宙産業向け製品の上市をプレス発表しましたが、こちらもPhase2以降に伸ばしていく計画です。さらに、ドローン用のパラシュートや安全部品、さらにはドローンそのものについても事業展開を行っていきたいと考えています。
現状の課題としては、モビリティ&イメージング事業領域は2025年度に増収を果たしたものの、残念ながら減益となったことが挙げられます。収益力の改善は急務であり、2026年度からPhase1にかけて本格的に取り組んでいきます。
具体的には、適正な売価設定を行うとともに、ポラテクノ事業においては過去数年間、古い製品ポートフォリオで事業運営を行わざるを得なかった状況にありましたが、新しい製品ポートフォリオへと転換する施策を進めていきます。
モビリティ&イメージング事業領域
モビリティ&イメージング事業領域の事業環境と事業戦略です。
セイフティシステムズ事業においては、世界の自動車生産は緩やかに成長しており、安全部品の搭載率も上昇すると考えています。また、宇宙ビジネスは、民間によるロケット打ち上げが活発に行われており、この市場も拡大しています。
このような事業環境の中、セイフティシステムズ事業では、中国やマレーシアといった拠点でインフレータの生産を拡大していきます。さらに、当社がトップシェアを収めているMGGなどの高シェアの維持に努めます。
また、収益力の向上に向けて、原材料の高騰を価格に転嫁する契約体系へ移行する方針です。自動車産業やTier1は非常に手ごわい相手ですが、確実に進めていきたいと考えています。
宇宙産業向けの製品に関しては、確実な点火や瞬時に動作するといった技術特性を持つ火薬の技術を活かし、今後さらなる拡大を目指していきます。
ポラテクノ事業では、従来、分析用途に用いられているX線部材が、いわゆるイメージング用途として携帯用メディカル分野への広がりを見せています。日本では病院に行かなければX線検査は受けられませんが、世界では、X線カメラが患者のもとへ行き、レントゲン検査を行うという分野が拡大するだろうと考えられています。
また、非破壊検査においても多様な検査分野が広がる中、高出力・高電圧のX線源を開発し、積極的に提供していきたいと考えています。
新規の車載分野やヘッドアップディスプレイに関しては、今後、自動運転や安全部品としての役割をしっかり果たすことで搭載率が向上すると考えています。この車載分野には、染料系の強みを活かした高耐久の新規車載用偏光板を積極的に投入していく方針です。
最後にエアロ事業です。中国や北米を中心に展開しており、特に中国では、今年度、新たなパラシュートの企画を立ち上げました。北米ではドローン市場の形成が急速に進んでいます。
パラシュート事業においては、北米や中国といったそれぞれの市場に適したQCDをしっかりと見極め、市場ニーズに合った製品を投入することで事業を展開していきます。
ドローンに関しては、特に北米において「バイ・アメリカン」と言われる、中国製の部品を使用しないドローンの市場が形成されていくだろうと予想しています。このため、Phase2以降にこのようなドローン事業の本格的な展開を目指し、現在Phase1では準備を進めています。
モビリティ&イメージング事業領域についての説明は以上です。
ファインケミカルズ事業領域
赤谷宜樹氏(以下、赤谷):ファインケミカルズ事業領域を担当している赤谷です。ファインケミカルズ事業領域は、機能性材料事業、色素材料事業、触媒事業の3事業で構成されています。
方針としては、「樹脂・色素・触媒の技術を活かし、高性能材料の提供を通じて人と地球の未来に安心・豊かさ・感動をもたらし、持続可能な社会の実現に貢献する。」ことを目指します。
施策としては、Phase1の成長ドライバーとして、機能性材料事業では半導体基板配線機能領域の樹脂材料、色素材料事業ではインクジェット用水性顔料インク、触媒事業では新規アクリル酸・メタクリル酸製造用触媒が挙げられます。
これらの成長ドライバーで、2025年度にはファインケミカルズ事業領域全体で741億円だった売上実績を、2028年度には874億円まで引き上げます。触媒事業では、これまで変動が大きかった売上をPhase1においては安定して100億円以上を実績とすることを目指す方針です。
さらに、Phase2における成長ドライバーとして、機能性材料事業ではウエハ周辺材料領域の深掘り、色素材料事業では新規二色性色素ビジネスの拡大、触媒事業ではエタノールtoプロピレン触媒などの新規触媒の上市を目指します。Phase2でさらなる成長が実現できるよう、Phase1から取り組んでいきます。
ファインケミカルズ事業領域
各事業の事業環境と事業戦略をご紹介します。機能性材料事業に関しては、半導体市場において後工程先端パッケージの需要が非常に伸びています。
日本化薬としては、これまでも取り組んできた次世代のアドバンストパッケージ用製品や、樹脂材料では低誘電、低反り性に優れる新規樹脂の開発、さらにドライフィルムレジストなど、ウエハ周辺領域の材料開発に取り組んでいきます。
生産体制に関しては、厚狭工場での新工場の立ち上げが遅れていますが、これをしっかりと進めていくとともに、サプライチェーンの強化も進めていきます。
色素材料事業では、印刷のデジタル化の伸長に伴い、産業用インクジェットのさらなる拡大を進めていきます。当社の強みである水系顔料インクは、これまでオフセット印刷などで活用されてきましたが、さらに包装パッケージ用インク分野での事業拡大を図ります。
また、新規の色素材として調光用ガラスについて、先ほど川村より触れられたとおり、自動車用途での採用が進んでおり、一部の高級車に搭載されています。今後も搭載の拡大に取り組みます。
触媒事業に関しては、現行のアクリル酸やメタクリル酸用触媒のさらなる高収率化や高寿命化を目指した高性能触媒の開発を推進します。このような触媒の開発および上市に加え、次の柱としてカーボンニュートラル対応の新規触媒の開発を進め、上市を目指していきます。
ファインケミカルズ事業領域についての説明は以上です。
ライフサイエンス事業領域
島田博史氏(以下、島田):ライフサイエンス事業領域管掌の島田です。よろしくお願いします。
先ほど川村からも話がありましたように、ライフサイエンス事業領域はPhase1の段階では先行投資が進むため、売上は上がりますが、投資の効果が利益に反映されるまでには時間差がある時期と考えています。
そのため、売上をしっかり伸ばすことに専念し、新しい事業を立ち上げる取り組みを着実に進めていきたいと思います。
ライフサイエンス事業領域の方針は非常にシンプルであり、高付加価値のポートフォリオを展開することがPhase1においては必須と考えています。医薬事業は従来、ジェネリック医薬品とバイオシミラーを中心としており、薬価改定の影響を大きく受ける状況が続いていました。
先ほど説明のあった、全社的な収益性の低下の要因の1つとして、薬価改定が毎年行われた結果、ライフサイエンス事業領域の収益性が大きく損なわれてきた結果でもあると考えています。そこで、新薬やバイオを含む製造受託を加えることで、収益の安定化を図りたいと考えています。
ライフサイエンス事業領域
スライドの事業戦略には、いくつかの施策が記載されていますが、大きく3つあります。まず1つ目は新薬事業の再強化です。昨年末に「イブトロジー」という新薬を上市しました。これは久しぶりの新薬で、肺がん領域におけるものです。おかげさまで非常に好調に推移しています。
この薬は希少がんの領域に該当するため、急激に売上が伸びるわけではありませんが、経口剤として長期間服用することで症例が徐々に蓄積され、Phase1の後半には大きく伸びていくと考えています。
また、「ポートラーザ」も肺がんに対する薬になります。そして「アラグリオ」は泌尿器領域で診断を行う薬です。このような新薬を伸ばしていくことに加え、ライセンス導入を通じて将来の成長に厚みを増していきたいと考えています。
2つ目は、バイオシミラーとジェネリック医薬品です。我々はこの領域において非常に強みを持っており、ユニークなポジションを確立しています。
しかし、この領域ばかりに注力すると、薬価改定の影響を大きく受けるため、計画された製品を確実に上市して売上を確保するとともに、売上の維持に努めることが重要です。この土台をしっかり築くことが1つの戦略となります。
3つ目は、M&Aを通じて製造受託事業を立ち上げたいと考えています。先ほどもご案内しましたように、富士薬品の富山第二工場を日本化薬グループに迎え入れることとなりました。富士薬品といえば配置薬の会社として知られていますが、注射剤のCDMOとして非常に高い評価を受けています。
さらにバイオ医薬品の製造も開始されており、我々にとって非常にシナジーがあり、心強く感じています。本当に巡り会うことができてよかったと思っています。なお、富山第二工場には高活性注射剤の製造ラインを導入するための投資を予定しています。
これにより、現在、当社は抗がん剤のシェアが高くなっており、高崎工場は非常に高稼働となっています。この状況を土台としつつ、今回のM&Aを活かして安定供給体制を早期に整えていきたいと考えています。
さらに、高活性の注射剤とバイオ製剤の国内製造ニーズにも応えていく予定です。今後、高崎工場と富士薬品の富山第二工場を、バイオおよび高活性製剤の国内中核拠点として育成し、Phase2以降にさらに拡大していくことを目指して努力していきます。
アグロ事業については、Phase1の期間中、国内の売上を確実に維持しつつ、海外向けのフロメトキンの登録を増やすことで海外売上を拡大し、成長を図っていく方針です。先行投資による影響で利益が思うように上がらない厳しい状況ではありますが、売上の成長を目指していきたいと考えています。
ライフサイエンス事業領域についての説明は以上です。
質疑応答:新中期経営計画における3ヶ年の設備投資内訳について
質問者:新中期経営計画における設備投資について、3ヶ年で1,000億円を予定されています。2026年度に関しては、先ほどの説明でも触れられていて重複する点もあるかもしれませんが、事業領域ごとの内訳について教えていただけますでしょうか?
井上:設備投資1,000億円について、事業領域別の金額はスライドに記載のとおりです。モビリティ&イメージング事業領域では、自動車安全部品関係の設備増強が中心となっています。
一方、ファインケミカルズ事業領域に関しては、大規模な設備投資は昨年度までの中期事業計画期間中にほぼ完了しているため、小規模な投資が中心です。ただし、研究開発を支えるための福山工場の技術棟対応などは、この中に含まれています。
また、ライフサイエンス事業領域においては、430億円を予定しており、品質保証や、先ほど説明のあった富士薬品の富山第二工場への設備投資などを通じて、製品供給の安定を図ろうとしています。また、高崎工場のバイオ化などにも、しっかりと資金を投入していきたいと考えています。
質疑応答:「未来Bizセンター」への投資計画について
質問者:「未来Bizセンター」について、新たな拠点も設けるとお話しされていたと思いますが、新たな拠点というのは建屋なども含むものでしょうか?
川村:「未来Bizセンター」について、現時点では既存の施設を活用するのか、まったく新しい拠点を設けるのか、などはまだ決定していません。
どのようなことが可能であり、何を進めていくのか、さらに交通の便などを含めて、これから検討していく段階です。予算についても必要になるとは思いますが、現時点では予算に織り込んでいません。
質疑応答:M&Aによるインドへの投資計画について
質問者:M&Aによるインドへの投資も視野に入れていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。
川村:インドに事務所を開設し、先日開所式も実施しました。現在は、インドでどのようなビジネスが日本化薬の方向性に合致するのかを探る段階にあります。
自動車安全部品を製造する拠点が必要になるかもしれませんし、ファインケミカルズ事業領域における例えば色素材の工場が必要になるかもしれません。このようなことを今年度をかけて検討していく予定です。設備投資を進める場合でも、おそらくPhase2以降になると考えています。
質疑応答:北米におけるドローン事業の立ち上げ計画について
質問者:エアロ事業に関して、ドローン事業を北米でPhase2以降に立ち上げたいとおっしゃっていたかと思います。いつ頃、どのようなかたちで立ち上げていくのか教えてください。
湯屋:北米においては、2021年に子会社エアロシステムズウェストを買収しました。この子会社ではドローンの設計が可能であり、現在は手作業で年間数十台の生産が可能な状況です。昨年度からスモールスタートとして開始しており、Phase1の間に50台程度の販売を目指しています。
ここで重要になるのがNDAA(米国国防権限法)という法律です。これは、国のお金を使う分野において中国製パーツを排除する取り決めとなっています。そのため、中国製ではないパーツおよび米国製のドローンが求められており、Phase1ではこれらの条件にフィットする製品を開発していきます。
Phase2以降では、これをどうやって量産していくかについて、さまざまなオプションを検討中です。自社で投資を行うのか、あるいは製造設備を有する北米のパートナーに生産を委託するのか、今後具体的に検討を進めていきたいと考えています。
川村:補足します。カリフォルニア州のサンフランシスコ郊外にある地方空港内に、Aero Systems West(ASW)という会社があります。飛行機の格納庫の片隅でドローンを組み立てている会社です。
この会社だけでは生産能力を十分に確保できないため、今年度のなるべく早い段階で、どのようなかたちで量産体制を築けるか、早急に検討を開始する予定です。
質疑応答:ライフサイエンス事業領域における成長投資額のイメージについて
質問者:成長投資についておうかがいします。ライフサイエンス事業領域が中心になるというイメージがありますが、具体的な投資額のイメージについて教えてください。
島田:設備投資に関しては、先ほどご説明したとおり、富士薬品の富山第二工場への投資と、現在検討中の高崎工場第4製剤工場において、バイオ製剤の製造を行うための投資を計画しています。高崎工場への投資はハードルが高く、毎年検討を重ねてきましたが、決定すべきタイミングに来ています。
また、スライド上部に記載している新薬のライセンス導入をPhase1で取り組みたいと考えています。これは、2029年度以降の成長の糧となると想定しており、現時点で明確な計画が定まっていませんが、挑戦可能なタイミングが来た際には積極的に実施したいと考えています。
これまでこのような挑戦をしてこなかったため、ぜひとも実現したいです。「イブトロジー」も成功を収めており、我々には販売力があると自負しているため、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
さらに、この期間において我々が導入しなければならないライセンスは後期品と考えています。ギャンブル性が高いPhase1やPhase2の品目は、現時点では対象外としています。そのため、投資金額は大きくなると思いますが、しっかりと挑戦したいと考えています。具体的な金額についてはご回答を差し控えます。
質疑応答:製造受託ビジネスの拡充計画について
質問者:高崎工場と富士薬品の富山第二工場を拡充していくというお話がありましたが、その中に製造受託も含まれていると認識してよろしいでしょうか? あるいは、製造受託として別の拡充を進めていく計画でしょうか?
島田:現在、我々は製造受託事業を行っており、規模は約55億円です。また、高崎工場ではバイオの注射ラインに投資しており、そろそろ完了する予定です。
富士薬品の富山第二工場で投資前のかたちでバイオ製剤等の製造が始まり、高崎工場のバイオ事業と、現行の受託事業を合わせると、2028年には100億円を超える規模のビジネスに成長する見込みです。
その先に、高活性製剤への投資が進行する予定です。高崎工場でもバイオ製剤の投資が実現すれば、大きな塊として受託事業が立ち上がってくると考えています。そのため、Phase2では大きな事業になるのではないかとイメージしています。
質疑応答:来年度以降の自己株式取得の可能性について
質問者:新中期経営計画における株主還元440億円とのことですが、今年度中の自己株式取得と配当金でその金額に到達する可能性が高いと考えています。来年度以降の自己株式取得の可能性についてお聞かせください。
井上:先ほどご報告したとおり、2026年度には150億円の自己株式取得を実施します。こちらは昨日も対外的に発表済みの内容です。
それ以降について、現時点で「実施する」あるいは「実施しない」と明言することは難しいですが、基本的には成長投資に資金を充てる方針です。その上で、資金が余る場合や使い切れない場合には、自己株式取得も選択肢の1つになると考えています。
質疑応答:金価格上昇への対応について
質問者:モビリティ&イメージング事業領域において、金の価格が大きく上昇し、全社的にトップダウンで値上げを進めてこられたと認識していますが、現在どのような状況になっているのでしょうか?
川村:主にモビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業において、販売価格への転嫁を目指し、交渉を続けています。
お客さまが多くいらっしゃる中で、ご理解いただいているところもあれば、現在進行中の交渉のところもありますが、金の価格については概ねご理解いただけている状況かと思います。
質疑応答:機能性樹脂の需要動向と新年度の見通しについて
質問者:ファインケミカルズ事業領域において、1月から3月の売上で機能性樹脂が非常に好調で、一過性ではなく継続的なトレンドとして強くなっているように感じています。台湾マーケットの環境を見ても非常に強い状況が続いており、新年度もこの傾向が続くのではないかと考えていますが、どうお考えでしょうか?
赤谷:おっしゃるとおり、1月から3月は我々の計画を上回る機能性色素、特に樹脂関連の注文を多数いただきました。1つの要因として、AIサーバー関連で当社の樹脂が新たに使用されるという需要があり、お客さまがかなりの量を事前に確保されたという意味で、一時的な要素もあったと捉えています。
ただし、ご指摘のとおり、市場全体としても樹脂関連の需要は半導体分野で拡大しているという状況です。
質疑応答:ファインケミカルズ事業領域における半導体関連の新製品について
質問者:ファインケミカルズ事業領域の半導体関連についてです。Phase1の注力領域としてウエハ周辺材料や封止材関連などが挙げられていますが、これ以降、新しい製品としてどのようなものが出てくる可能性があるか、可能な範囲で教えていただければと思います。
赤谷:私どもは、樹脂関係において基盤や封止材を含む低誘電、低反り、高耐熱といった特性を持つ新規樹脂の開発に、これまでも力を入れており、現在も引き続き開発を進めています。
市場からはさらなる低誘電や新しい高性能な樹脂が求められており、今後もそのような新製品を開発し、お客さまに展開していきます。
また、アドバンストパッケージの分野では、私どもが得意とするドライフィルムレジストについて、液状レジストを手がけるアメリカの子会社カヤク アドバンスト マテリアルズ(KAM)と協力し、新たなレジスト材料の開発を進めていく方針です。
これまではMEMS中心でしたが、今後は半導体に近い領域に向けたレジストの開発も含めて進めていきたいと考えています。
質疑応答:「未来Bizセンター」の展望について
質問者:「未来Bizセンター」について、今後どのように、そしていつ頃結果が出てきそうでしょうか? おそらくPhase2やPhase3以降になるのではないかと思いますが、結果が出る時期や具体的な取り組みについて、現在見えている部分を可能な範囲で教えていただけますでしょうか?
川村:1つ前のご質問への回答の補足にもなりますが、「未来Bizセンター」では赤谷が先ほどお伝えした用途以外のものに樹脂が活用できないか探る取り組みを始めています。
具体的には、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などにもエポキシ樹脂は使用可能です。強度を保ちながら軽量化を実現できるという特性を、どの分野に使用できるか、どのようなビジネスや製品に応用できるか、といった検討を「未来Bizセンター」では進めていきたいと考えています。
「その成果がいつ頃出るのか?」というご質問については、日本化薬の110年の歴史において初めての取り組みであるため、正確に予測することは難しい状況です。
他社が進めてきた事例を見ても、結果が出るかどうかわからない段階でスタートされていることが多く、この場で具体的な時期や結果についてお伝えすることは難しいと思っています。
仮に結果が出なかったとしても、その経験は我々の血肉となり、決して無駄にはならないと考えています。そのため、できるだけ早い段階で、小規模な成果からでも積み重ねていきたいと思っています。
目標としては、5年から10年の間に50億円以上の規模となる新しいビジネスを実現することを目指しています。
質疑応答:今年度の売価要因に対する見解について
質問者:昨年度における売価要因がマイナス19億円ということでした。原料高に対する価格転嫁が進んでいると思いますが、今年度の売価要因についての見解はいかがでしょうか?
川村:売価要因に関しては、特にモビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業およびポラテクノ事業において、特に影響を受けています。
ポラテクノ事業では、ある程度回収が進んでいると思いますが、自動車業界のカーメーカーを頂点とするTier1、Tier2、Tier3のピラミッド構造の中では、売価転嫁という手法は他の業界に比べると進行が緩やかです。
そのため、100を回収しなければならないとすると、現時点では40から50程度の回収が進んでいる状況だと考えます。
質問者:では、今年度増益を達成するには、数量を引き続き伸ばしていくことがポイントと考えてよろしいですか?
川村:数量を伸ばしていくとともに、価格転嫁についても鋭意進めています。回収はしたいと考えています。
質疑応答:2035年に向けた長期経営計画における新事業や新製品の領域について
質問者:長期経営計画において2035年に売上高5,000億円の目指す中で、特にPhase2以降はM&Aや新規事業の寄与が大きいと考えています。新製品や新事業の具体的な領域について、可能な範囲で教えていただければ幸いです。
川村:自動車のエアバッグやシートベルト用のガス発生器は、車の生産台数自体は大きく伸びないものの、装着点数が増加していく見込みです。
また、同様のデバイスを使用したロケットや宇宙産業向けのデバイスは、非常に高い付加価値が認められています。これらの分野でも一定の成長が期待できると考えています。
さらに、空の安全を支えるデバイスについても、ドローンが町の上空を飛び物を運ぶ時代が間近に迫っています。このような状況では必ず安全デバイスが必要となり、我々はそれらを供給することができます。
陸だけでなく空や海、宇宙における安全、つまり「モビリティの安全」に資するビジネスに取り組むことで、この数字は達成可能と考えています。
質疑応答:2027年度以降の株主還元の考え方について
質問者:株主還元についておうかがいします。今年度までは非常に高い総還元性向となっていますが、2027年度以降の還元の考え方についてお聞かせいただけますでしょうか?
川村:先ほど井上からもお伝えしたとおり、2027年度以降についてはまだ具体的には決まっていません。非常に不確実な時代であり、この2026年度が進む中で、さまざまな世の中の状況や当社の業績の推移を注視しながら、新たに検討を進めていきたいと考えています。ただし、株主のみなさまへの還元を重視する姿勢は変わりません。
一方で、これは私個人の見解にもなりますが、従業員への還元、つまり賃金の引き上げも、日本経済全体として非常に重要な課題であると考えています。そのような点にも配慮しながら、適切に判断していきたいと考えています。