※決算説明会及び中期経営計画説明会を同時に実施しております。中期経営計画説明会の書き起こしについては、こちらよりご覧ください。
中東情勢への対応
酒井則明氏:代表取締役社長の酒井です。本日は、決算および中期経営計画の説明会にお集まりいただき誠にありがとうございます。みなさまには私どもの経営と事業活動に対してご理解とご支援をいただき、あらためて感謝申し上げます。
決算と中期経営計画のご説明に入る前に、現在の中東情勢における当社の取り組みについてご紹介します。
基本方針はスライドに記載のとおり、安定供給を最優先として取り組んでいます。原油調達については、さまざまな報道で取り上げられているように、中東域以外からの原油や製品の積極的な調達を進めています。もちろん、中東からの調達も継続しています。ホルムズ海峡を通らないルートなども含め、調達最優先で動いています。
それに伴い、生産設備も大幅な調整が必要となっています。基本的に中東原油の水準に合わせた生産計画となっているため、異なる原油を持ち込むことが決まった段階で、連日国内の各製油所の運転計画を変更しています。
そのため製造現場には大きな負荷がかかっていますが、引き続き事故のないように、安全・安定操業を徹底して取り組んでいます。
販売に関しては政府から何度か要請があり、要請に対しては誠実に対応しています。例えば経済産業省からは、公共性や社会性の高い施設、具体的には医療機関や福祉施設などへの販売要請があった場合、これまで取引がないところにも供給させていただくなど、さまざまな取り組みを行っているのが実態です。
一方で、追加コストはかなり発生しています。調達する原油や製品の価格が上昇していることに加え、それらを輸送するタンカーの燃料代も増加しています。また、ルートの変更による輸送距離の増大もコスト上昇に拍車をかけています。さらに製油所の運転計画の変更に伴い、さまざまな時間や人件費が増えているのが現状です。
こうした追加コスト部分については、販売価格への反映が避けられない状況です。現在、丁寧にお客さまにご説明し、ご理解をいただいているところです。
まだこれからも日々刻々と変化していくことが想定されるため、私どもとしてもできるだけ柔軟かつ迅速に、変化に対応できる体制を整えています。
後ほどご説明する今期の新しい中期経営計画は、今回の中東情勢の影響でエネルギーに関する先行きの不確実性がさらに高まったことを受け、収益を上げていくことを重視した内容であることはもちろん、我が国のエネルギー安全保障に貢献できるように意識した内容としています。
目次
坂田貴志氏:常務執行役員CFOの坂田です。2025年度の年度決算について、スライドの目次に沿ってご説明します。
中東情勢の悪化に対する対応方針については、酒井からの説明のとおりです。原油価格の高騰が2025年度の決算および2026年度の業績予想に大きく影響しています。
2025年度には多額のプラスのタイムラグ影響を、2026年度にはマイナスのタイムラグ影響を見込んでいます。
2025年度 決算ハイライト
決算ハイライトです。在庫影響を除いたベースでの営業利益プラス持分法投資損益(以下、営業プラス持分損益)は2,441億円で、前年比294億円の増益となっています。当期純利益は1,923億円で、前年比675億円の増益です。
本年は、3カ所の製油所において大規模な定期修繕が実施される定期修繕の当たり年であり、さらに石炭価格の下落という厳しい経営環境にありました。しかし電力・再生可能エネルギー部門の収支改善に加え、3月のイラン情勢悪化に伴う原油価格高騰によってプラスのタイムラグ影響が発生したことが、大幅な増益要因となりました。
昨年11月に公表した通期の業績予想に対しては、在庫影響を除いたベースでの営業プラス持分損益は691億円、当期純利益では473億円の改善となりました。
株主還元については、1株当たり36円の配当を予定しています。また本日、250億円の自社株買いも決議しており、2025年度の総還元性向は、これまでに公表している還元方針に則り、50パーセントを超える水準となります。
主要指標
主要指標です。スライドのチャートが示すとおり、ドバイ原油価格は4月上旬の米国の関税公表およびOPECの増産要請により、一時60ドルを下回る水準まで下落しました。その後、65ドルから70ドルの範囲で推移していました。
ところが、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を受け、一気に100ドルを超える水準まで急騰しています。
ただし年間平均では、前年比で6.7ドル低い水準に留まっています。この影響により、約300億円に近い在庫影響が発生しています。
豪州一般炭スポット価格は100ドル近辺で推移しており、前年と比較すると年間平均で約30ドル低い水準となっています。
為替レート(USD)については、4月上旬の米国関税による景気悪化懸念やトランプ政権によるドル安誘導の思惑により、一時140円を割り込む水準まで円高ドル安が進行しました。
その後は、トランプ政権による関税交渉やイラン・イスラエル情勢による地政学リスクの影響を受けて上下を繰り返し、高市政権が発足してからは積極財政・金融緩和志向の影響で円安が進み、イラン情勢の悪化によりさらに円安が加速しています。
決算概要
決算の概要です。原油・石炭価格等については、先ほどお話ししたとおりです。売上高は8兆1,059億円で、前年比1兆843億円の減収となりました。これは第3四半期までの原油価格の低迷が主な要因です。
営業プラス持分損益の合計は2,147億円で、前年比299億円の増益となりました。在庫影響を除いたベースでは2,441億円となり、前年比294億円の増益です。
当期純利益は1,719億円で、前年比678億円の増益となりました。在庫影響を除いたベースでは1,923億円となり、前年比675億円の増益となっています。
特別損益が大きく改善している理由について、昨年は出光徳山バイオマス発電所のリース契約に伴う減損がありました。今期も減損は生じていますが、オーストラリアのボガブライ石炭鉱山の追加取得、さらにタイの潤滑油関連会社の株式を追加取得したことで、段階取得差益が発生しました。この結果、特別損失は小さくなったという状況です。
セグメント別情報
スライドは、在庫評価損益を除いた実態ベースの営業プラス持分損益をセグメント別に前年比で分解したグラフです。
前年比では294億円の増益となっています。主に燃料油セグメント、高機能材セグメント、電力・再生可能エネルギーセグメントにおいて改善しています。
一方で、資源セグメントの石油開発と石炭は減益となっています。
セグメント別情報
スライドの表は、各セグメントにおける前年比の増減内容を要素別に分解したものです。まず燃料油セグメントです。在庫影響を除くベースで2,071億円となり、前年比では大幅な増益を達成しています。
今期は定期修繕の当たり年であり、この影響により修繕費や輸入・仕入れコストなどが発生し、そのコスト増分は約440億円に上りました。
一方で、ホルムズ海峡封鎖による原油高騰の影響により、1,000億円近いタイムラグ影響が発生しています。この一部については、週次の価格改定におけるマイナス期ズレにより相殺されましたが、ネットとしては前年比551億円の増益となっています。
基礎化学品セグメントは、製品市況の悪化の影響を受け、マージンが大幅に悪化しました。ただし3月のナフサ急騰に伴うタイムラグの影響で、若干の増益となっています。またパラキシレンは、誘導品であるポリエステルの稼働回復の影響により需給が改善しました。
高機能材セグメントは、前年比52億円の増益となっています。好調な海外販売などにより潤滑油が増益となったほか、アグリライフは昨年度より当社グループに加わったアグロ カネショウの利益貢献により増益となっています。
電力・再生可能エネルギーセグメントは前年比で105億円の増益となりました。これは、前年に発生した東亜石油の発電設備のトラブルが解消したことや、海外におけるガス火力発電事業の販売価格が上昇したことが要因です。
資源セグメントは前年比で442億円の減益となりました。主な要因は石炭市況の下落によるものです。
財務状況
財務状況です。総資産は5兆3,288億円となりました。純資産は、利益の積み増しや円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前年末比で2,134億円増加し、1兆9,511億円となっています。
現金・預金をネットした有利子負債は前年末比で1,176億円増加し、1兆1,888億円となりました。ネットD/Eレシオは0.62倍、自己資本比率は36パーセントと、前年に引き続き健全な財務体質を維持しています。
キャッシュフローの状況
キャッシュフローの状況です。営業活動によるキャッシュフローが投資活動によるキャッシュフローを上回っており、約1,000億円のフリーキャッシュフローが創出されています。
投資の状況
投資の状況です。投資総額は2,147億円で、11月に公表した時点から約1,000億円減少しています。
これは、投資の意思決定自体は公表の前提どおりだったものの、一部の大型案件に関して支出の時期が後ろ倒しとなったためです。
2026年度 業績予想前提
通期の業績予想についてご説明します。まずは業績予想の前提です。中東情勢の先行きは非常に予測が困難ですが、当社の業績予想では、第2四半期以降にホルムズ海峡の通峡が可能となり、徐々に原油の需給バランスが沈静化するという前提を置いています。
一方、原油価格については、中東における製油所等の設備の一部が被害を受けていることから、年内は80ドル近辺で推移すると想定しています。その後、第4四半期以降は需給バランスの影響により徐々に下落し、中東情勢悪化前の水準に戻ると想定しています。
したがって、2025年度には大きなプラスのタイムラグが発生しましたが、2026年度には原油価格の下落に伴うマイナスのタイムラグ影響が発生する見込みです。
2026年度 業績予想ハイライト
業績予想のハイライトです。すでにご案内のとおり、2026年度よりIFRSの任意適用を開始します。これに伴い、セグメント利益はこれまで日本基準で用いていた「営業利益プラス持分法投資損益」から、「金融費用除き税引前損益」に変更します。
この主たる変更内容は、特別損益がセグメント利益に含まれるという点です。
通期の予想としては、金融費用除き税引前損益で1,400億円、当期純利益で900億円を見込んでいます。
株主還元については、在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向を50パーセント以上の水準を継続します。また、今期より累進配当を適用します。
現状はイラン情勢が非常に不透明なため、配当水準は現行の年間36円を予定していますが、先行きがある程度見通せる状況となった場合には、来期を待たずに増配する可能性もあります。
2026年度業績予想(タイムラグ除き)
後ほどご説明する中期経営計画では、2027年度にROE12パーセントを達成することを掲げています。また、2030年度に向けてROEを13パーセントまで引き上げることを目標としています。
2026年度については、先ほど申し上げたように多額のタイムラグという特殊事情があるため、当期純利益は900億円にとどまる見込みです。
ただし、この予想値には890億円のタイムラグ影響が含まれています。これを除いた場合、当期純利益は1,790億円となり、中期経営計画で予定している2027年度の利益とほぼ同水準になります。したがって、2027年度以降のROE12パーセントという目標も、十分達成可能であると考えています。
セグメント別情報
セグメント別の業績予想については、スライドに記載のとおりです。
セグメント別情報
当社では、原油価格が期末に向けて段階的に下落していく想定を置いており、燃料油セグメントにおいて今期は1,000億円を超えるマイナスのタイムラグ影響が発生する見込みです。
前期には800億円を超えるプラスのタイムラグ影響があったため、その差額として1,900億円近いタイムラグによる収益悪化が生じることになります。
一方で、販売価格の改定が1週間後ろ倒しとなるため、原油価格の下落局面ではプラスの影響が現れることになります。
また、昨年と違い大きな定期修繕の予定がないことから、これがマージンを押し上げ、675億円の収益改善を見込んでいます。
基礎化学品セグメントについてはマイナスのタイムラグ影響が予想されます。それ以外のセグメントについては、それぞれ改善が見込まれています。
感応度
原油価格や為替の変動に対する感応度については、スライドに記載のとおりです。
IFRS任意適用に伴うBSへの影響
IFRS適用に伴う貸借対照表(BS)への影響について簡単にご説明します。IFRS適用により、負債は2,600億円増加し、純資産は4,300億円減少します。
負債の増加はリース資産の負債化に伴うものです。純資産の減少は主に土地評価の見直しによるもので、土地再評価法に基づいて再評価していた土地の簿価を変更したことが影響しています。
その他の詳細な影響については、スライドに記載のとおりです。
財務状況、キャッシュフロー見通し
2027年度のバランスシートです。IFRS適用に伴い自己資本が減少することから、ネットD/Eレシオは1.1倍、自己資本比率は28パーセントとなります。
ただし、これはあくまで会計方針の変更によるものであり、本質的な財務体質の悪化ではありません。現行の格付を維持するため、財務をコントロールしていきたいと考えています。
投資の見通し
投資の見通しです。2026年度は総額2,650億円の投資を予定しています。
また、新中期経営計画に合わせて投資の区分を変更しています。詳しくは、後ほどの中期経営計画の説明でお伝えします。