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ぐるなび、「新中計」を発表 2028年度での売上高189億円、営業利益13億円、「復配」を計画

決算概要

杉原章郎氏:おはようございます。代表取締役社長の杉原です。私より2026年3月期決算および新たに策定した中期経営計画についてご説明します。

はじめに、2026年3月期決算についてご説明します。

まず、売上高については、当期に実施した営業体制の増強などが奏功し、ストック型サービスにおいて、従来上昇基調にあったARPUに加え、有料加盟店舗数についても前期比プラスで着地したことが寄与し、前期比5パーセント増の141億3,000万円となりました。

また、利益面については、営業体制増強などの成長投資を行いつつも増益を達成し、営業利益は前期比52.7パーセント増の4億円と、期初予想3億円を上回っての着地となりました。

なお、特別利益に投資有価証券売却益1億300万円、特別損失に店舗開発事業の一部施設などに係る固定資産の減損処理に伴う減損損失2億3,400万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11.9パーセント増の2億3,600万円となりました。

連結損益計算書

損益計算書は、スライドに記載のとおりです。

売上高内訳

売上高の内訳についても、スライドに記載のとおりです。

なお、スポット型サービスが前期を下回っての着地となりましたが、これは主に上期において、店舗が抱える課題を、年間を通じて解決に導く伴走型サポートの観点から、ストック型での受注を重視したことなどが背景にあります。

上期の結果を踏まえ、下期においては、スポット型受注についても柔軟な獲得を進めた結果、減収幅は上期の14.5パーセントから下期は2.8パーセントへと縮小しました。

ストック型サービスの状況

主力売上であるストック型サービスの状況については、こちらのスライドでご説明します。

スライド左側のグラフで示す有料加盟店舗数・ARPUについては、冒頭でご説明したとおりです。

なお、第4四半期の有料加盟店舗数が前四半期末比で減少している点については、例年、忘新年会シーズン後に解約が発生しやすくなる季節性によるものであり、増加トレンドに大きな変化が生じたものではないと認識しています。

また、スライド右側のグラフは、ストック型有料商品の延べ提供数の変化を表したグラフです。

近年注力してきたマーケティングエージェントをはじめとする、自社メディア商品に留まらない多様な商品ラインナップの拡充に加えて、当社の営業力が発揮された結果、足元の延べ提供数は2023年3月と比較し、20パーセント増となりました。

各種コストの高騰により、飲食店が厳しい経営環境にある中においても、継続的にARPUを高めることができたのは、当社の強みである伴走型営業が、各店舗の課題に応じたクロスセル提案を真摯に続けてきたことによるものです。この提案力を、後ほどご説明する中期経営計画においても、存分に発揮していくべきだと考えています。

原価・費用内訳

次に、原価・費用の内訳についてご説明します。

売上原価については、飲食店支援事業強化のための採用強化に伴う労務費の増加や、固定資産の積み上がりに伴う減価償却費の増加といった成長投資の影響のほか、売上拡大に伴う外注費の増加などにより、前期を上回りました。

他方、販売費および一般管理費については、主に、内製化の推進を主因として業務委託費が減少したことから、前期を下回っての着地となりました。

なお、人件費が前期比微減となりましたが、これは給与手当が労務費と同様の理由により増加した一方、賞与関連費用が、前期に実施した賞与増額の反動により、減少したことによります。

連結貸借対照表

貸借対照表については、スライドに記載のとおりです。

施策進捗:楽天ぐるなびの強化

ここからは、2026年3月期の施策進捗についてご説明します。

まず、「楽天ぐるなびの強化」については、有料加盟店舗数と同様に人員増強などが奏功し、ネット予約対応店舗数の純増トレンドが続いており、前年同期比での増加幅も拡大基調にあります。

また、ネット予約件数については、上期において低迷したものの、対応店舗数の拡大やUIUX改善施策などの着実な積み上げにより、下期には前期比プラスで着地しました。

施策進捗:マーケティングエージェント(運用代行系商品)

次に、「マーケティングエージェント」については、 Google ビジネスプロフィール運用支援商品を主軸とした運用代行系商品が、人手不足やWeb販促ツールの多様化への対応といった飲食店が直面する課題に応えることで着実に拡大しています。具体的には、スライド左側のグラフで示す利用店舗数、スライド右側のグラフで示す売上ともに前期比プラスで推移し、ストック型売上の成長を牽引する存在へと成長しています。

足元では、MEO・AI対策に有効なオプション商品の販売も開始しており、商品内容の拡充などを通じて、今後もさらなる利用店舗数および売上の拡大を進めていきます。

施策進捗:モバイルオーダーサービス(ぐるなびFineOrder)

次に、モバイルオーダーサービス「ぐるなびFineOrder」については、スライド左側のグラフで示した契約企業数が大手チェーン企業を中心に179社となりました。

また、店舗ベースでは、契約企業における受注店舗数が着実に拡大しており、システムオンボードが完了した稼働店舗の割合は、87パーセントまで高まっています。

これまでは、DXに意欲的な大手チェーン企業を中心に導入を進めてきました。引き続き、大手への提案および既存契約企業のグループ内横展開は継続しつつ、同時に足元において、中小チェーンや個店に向けた提案にも着手しています。

この4月に組織体制を変更し、ファインオーダー事業を担う組織を飲食店支援事業傘下へと移管しました。これにより、ターゲットとする飲食店の裾野を広げ、導入店舗のさらなる拡大を目指します。

以上、2026年3月期の決算および施策の状況についてご説明しました。

中期経営計画 2028

それではここからは、将来の指数関数的成長に向けた「始動」と位置づける「中期経営計画2028」についてご説明します。

はじめに〜創業からつなぐ想い〜

新たな計画の初年度となる2026年は、「ぐるなびサイト」開設30周年の節目にあたります。そこで、当社の原点についてあらためてご説明します。

ぐるなびの根底にあるSPIRIT、それは「日本の食文化を守り育てる」です。

食べることは人生において欠かせない楽しみであり、外食は日常に限りなく近い「非日常」の空間です。そして、その提供者である飲食店は、豊かな日本の食文化を支える大切な担い手です。

当社のSPIRITには、「飲食店のみなさまが活き活きと経営され、その魅力を存分に発揮していただけるよう支援することで、外食という非日常の楽しみをさらに豊かなものにしたい」という想いが込められています。

はじめに〜事業コンセプト〜

そして、その想いを体現すべく「飲食店のサポーター」をコンセプトに、1996年6月に事業を開始しました。

日本の飲食店業界の大きな特徴は、「大部分が中小規模のお店である」という点であり、一つひとつのお店が、独自の個性を発揮しているからこそ、豊かな食文化が育まれています。その反面、規模の小ささゆえに経営ノウハウが十分でなく、収益性に課題を抱えるお店が多いのも事実です。

このような状況の中で、私たちぐるなびは、時代の波による淘汰は避けられない側面があるものの、「消滅すべきではない個性」を守り、「存続する個性」の成長を後押ししたいという考えのもと、飲食店のみなさまと向き合ってきました。

はじめに〜存在意義〜

そして、2020年に発生したコロナ禍により、飲食業界は未曾有の危機に直面し、当社業績も極めて厳しい状況に陥りました。

この難局を飲食店のみなさまと共に乗り越えるためには、今一度「何のためにぐるなびは存在するのか」を明確にし、全社一丸となることが不可欠と考えました。

そこで、当社の存在意義を「食でつなぐ。人を満たす。」と定め、コロナ禍を経て現在に至ります。

はじめに〜中長期ビジョン〜

このような歩みを踏まえ、当社は「“真の”飲食店のサポーター」となることをビジョンに掲げ、あるべき姿へのモードチェンジを図ります。

まず、本年度からの3か年を「顧客基盤の再構築フェーズ」と位置づけ、「飲食店経営プラットフォーム」としての機能拡充を推進し、飲食店ネットワークと情報資産双方の拡充に取り組みます。

これを礎に、2029年度以降の指数関数的な成長を遂げ、過去最高益の更新へとつなげる所存です。

前・中期事業方針 振り返り〜概要〜

それでは、ビジョン実現のための具体的な取り組みのご説明に先立ち、前・中期事業方針を振り返りながら、当社の現状と課題、そして今後の方向性についてご説明します。

当社は前・中期事業方針において、2024年度での「黒字転換」、そして最終年度となる2025年度からの「売上成長による利益拡大フェーズへの転換」を目標に掲げ、取り組んできました。

前・中期事業方針 振り返り〜業績動向〜

結果は、こちらのグラフに示すとおりです。

着実な売上の回復とコストコントロールの徹底により、2024年度での黒字転換は成し遂げることができました。一方、最終年度である2025年度の売上は、安定した拡大基調こそ維持したものの、成長加速には至りませんでした。

次に、営業利益については、期初計画を上回る着地となりましたが、コスト要因によるところが大きいとの認識です。

コストコントロール力が高まったことは大きな成果ですが、次なるフェーズとして「力強い売上成長による利益創出」を実現しなければならないと考えています。

前・中期事業方針 振り返り〜飲食店支援事業における課題・方向性①〜

さらに、中核事業である飲食店支援の状況を紐解きながら、当社がとるべき戦略の方向性をご説明します。

当社は、2019年10月策定の1次中期事業方針にて「経営サポート企業への進化」を掲げ、B2B事業の強化を進めることとしました。しかし、その翌年2020年に発生したコロナ禍により事業環境が一転しました。大幅な業績悪化を受け、財務の安定化が急務となったため、既存のメディア事業による収益回復を優先せざるを得ませんでした。

このような不測の事態を背景に、スライド左側のグラフで示すとおり、B2Bを志向した新サービスの売上は増加基調にあるものの、「第2の柱」として確立するまでには至っていません。加えて、既存メディア事業での確実な収益回復を優先した結果、スライド右側の図のとおり、競争が激化する「ネット予約による新規集客領域」を中心とした販促支援を継続している状況です。

そこで、当社が力強く成長するための戦略として、大きく2つの展開が重要と考えています。

1つ目は、マーケティングエージェントなどで得た手応えを、さらなる成果へと結びつけるため、より一層B2B領域を強化することです。

そして2つ目は、販促支援におけるCRM領域への進出・展開です。

「楽天エコシステム」を活かした楽天会員の当社メディア利用の促進に留まらず、現時点において圧倒的なプレイヤーが存在しない飲食店向けCRMサービスにおいても、楽天との協業関係を活かし、飲食店の売上づくりに重要な「リピーターづくり」を後押ししたいと考えています。

これらの展開により、従来のネット予約とは異なる領域で飲食店が当社に加盟する価値を創出し、「“真の”飲食店のサポーター」としての独自ポジションを築いていくことが、当社の進むべき方向性であると捉えています。

前・中期事業方針 振り返り〜飲食店支援事業における課題・方向性②〜

次に、営業活動についてです。

確実な売上回復を目的として、当社はこれまで既存加盟店に対する提案、すなわちARPU向上を軸とする営業に注力してきました。これは、黒字転換に向けて不可欠な戦略でしたが、その反面、有料加盟店舗数は2025年度において増加基調に転じたものの、総じて伸び悩む状況が続きました。

他方、昨今の光熱費や原材料価格の高騰を背景に、飲食店のコスト意識が厳しさを増す中で、ARPUを高めたという実績は、当社の伴走型営業による高い提案力を証明するものです。

今後は、この力を新規加盟店の開拓に発揮し、次なる成長の礎となる飲食店ネットワークを再構築しなければならないと考えています。

最後に、データ活用についてです。

情報資産の活用が、B2B領域における経営サポート力を高めるカギとなるところ、今後拡充すべき情報資産は、Web上で得られる情報に留まらず、飲食店の経営状態をリアルに示し、改善提案に直結する「リアル情報」です。

すでに、伴走型営業を通じて現場には多くの情報が集積していますが、より詳細な情報を体系的かつAIフレンドリーに収集する仕組みを整えると同時に、付加価値高く新たなソリューションへと転換する「データ活用基盤の構築」についても、重要な事業テーマであると捉えています。

飲食店経営の課題〜持続可能な経営モデルへの転換〜

加えて、当社顧客である飲食店が直面する課題について、その収益構造の観点から紐解きます。

こちらのスライド左側の2つのグラフは、一般的な飲食店の収益構造を示したものです。

対して、「成行き」と記載した3つ目のグラフをご覧ください。

今後さらに深刻化する人手不足や足元で一段と進むコスト高騰を背景に、従来の経営手法を継続した場合には、利益の確保が極めて困難になることが見込まれます。

このことから、今後の飲食店経営には、あらゆる業務を「自前・人手」で行う従来のモデルからの転換が必要と言っても過言ではありません。

そこで、右側の「モデル転換」の姿をご覧ください。

まず、人件費のコントロールに向けては、近年進みつつあるDXによる省人化に加え、ノンコア業務のアウトソーシング活用も有効な手段です。また、食材原価の抑制においては、勘や経験だけに頼るのではなく、AIやデータを駆使した「仕入れの最適化」が非常に重要な対策となるはずです。

さらに、このようなコスト削減のみならず、売上の安定化に向けた「リピート集客」や「インバウンド対策」などにも同時に取り組み、収益力を多角的に強化していく必要があります。

このような背景から、B2B領域の強化を通じて飲食店の「持続可能な経営モデルへの転換」を後押しすることこそが、当社の果たすべき役割であると考えています。

飲食店経営の課題〜当社加盟店アンケート調査①〜

それではここで、飲食店のコスト負担の状況について、当社加盟店を対象に実施したアンケート結果を用いてご説明します。

赤いグラフで示した「店舗運営に欠かせない主要コスト」の負担増は当然の課題ですが、それに次いで負担が大きくなっているのは、「キャッシュレス決済などの手数料」という結果でした。

飲食店経営の課題〜当社加盟店アンケート調査②〜

さらに、キャッシュレス決済の状況を深掘りしたものがこちらです。

スライド左上の円グラフのとおり、すでに飲食店におけるキャッシュレス決済比率は50パーセントを超えています。政府としても、キャッシュレス化を推進しており、今後も一層高まることは確実です。

ご覧のとおり、現時点でQRコード決済は全体の1割強程度ですが、スライド右上のデータが示すように、クレジットカードと同等のペースで利用が拡大しているため、QRコード決済は今後外食シーンにおける重要な決済手段になると考えられます。

次に、スライド右下の調査結果をご覧ください。

キャッシュレス決済のメリットとして「会計スピードの向上」といった業務効率化の声がある一方、「決済手数料の負担」や「入金までのタイムラグ」がデメリットとして挙げられており、キャッシュレス化が進めば進むほど、飲食店の利益が圧迫され、資金繰りにも悪影響を及ぼしてしまうというジレンマが生じています。

中期経営計画2028〜全体像〜

ただいまご説明した当社の原点と進むべき方向性、さらには飲食店が抱える経営課題を踏まえ策定した新たな中期経営計画について、その全体像からご説明します。

本計画では、「“真の”飲食店のサポーター」となることをビジョンとし、全社方針として、「提供価値の変革」と「飲食店ネットワークの拡大」の両輪を力強く回していきます。

これにより、飲食店をはじめとするステークホルダーのみなさまからの当社への認識を、従来の「メディア企業」から「経営サポーター」へと転換させるとともに、次なる成長の礎となる顧客基盤と情報資産の拡充を図ります。

事業戦略の核となるのは、当社ならではの強みを活かした「B2B領域へのプラットフォーム機能拡充」です。

具体的には、サービス面においてB2C領域である「メディア・会員サービスの強化」を図るだけでなく、前・中期事業方針にて創出した「エージェント事業」の確立を進めます。

さらに、これまで当社メディアに掲載するためのものであった加盟プランに、B2B領域の新たな機能を拡充することで、飲食店が当社に加盟する価値をアップデートします。

そして体制面においては、「営業体制の強化」と「AI時代に即したデータ基盤の構築・活用」に取り組みます。

加えて、これら5つの事業戦略を根底から支え、実効性を高めるため、「コーポレートガバナンス」「人的資本」「財務戦略」の3本柱からなる「経営基盤」の強化も並行して進めます。

中期経営計画2028〜価値創造フロー〜

続いて、こちらのスライドは、本計画を完遂した先に広がる「データ駆動型価値提供」の全体像を示しています。

当社戦略の軸は、図の左側にある「飲食店のサポーター」としてのB2Bモデルの追求です。

これにより、B2Cを主眼に置いたモデルでは決して生まれない独自の強みが構築・発揮されます。

具体的には、飲食店の課題を解決に導く「伴走型営業体制」や「エージェント事業」、さらには飲食店のライフラインとなるような送客支援に留まらない多様な価値の創出などです。

このようなB2Bの推進により、メディア運営で得られる情報だけでなく、飲食業界の実態を示す「リアル情報」を収集することが可能となります。これこそが、新たな価値創出の源泉となる当社ならではの「オリジナルな情報資産」です。

ここで最も重要となるのが、集積された情報資産の有効活用です。

そこで、本計画において構築を進める「データ活用基盤」に加え、将来的に構想する「ビジネスマッチング基盤」を通じて、外食産業全体の最適化に資する、より高付加価値なソリューションへと転換させていきます。

このようにデータ駆動型による価値還元ループを生み出すことで、飲食店の持続可能な経営モデル構築を強力にサポートし、さらには外食産業全体の発展に寄与することこそが、「飲食店のサポーター」としてのB2Bモデルが持つ大きな可能性であると考えています。

中期経営計画2028〜プラットフォーム機能の拡充領域〜

それでは次に、飲食店経営プラットフォームの機能拡充について、こちらの4象限の図を用いてご説明します。

縦軸は、飲食店にとっての「店内での活動」か「対外的な活動」かを、横軸は、売上づくりに向けた「消費者接点に関する取り組み」か、収益力向上のための「経営基盤および運営上の取り組み」かを示しています。

当社のこれまでの歩みを振り返ると、まずスライド左下の領域に位置する消費者接点に関する対外的な活動を支援する「飲食店情報メディア」として創業しました。続いて、前・中期事業方針では、スライド右上へと領域を拡大し、店舗運営の一部を担う「エージェント事業」を強化することで、支援の幅を広げてきました。

そして、新たな中期経営計画において「創出」を図るのが、スライド左上の象限にあたる実際のお店の現場で取り組む消費者接点に関する領域です。

これまで当社が主戦場としてきたのは、ネット上で新規客を呼び込む、いわば「空中戦」でした。しかし、今回取り組むのは、飲食店の売上基盤となるリピーターづくりのためのCRM機能や、決済に関する仕組みの提供といった、店内におけるリアルな「地上戦」です。

さらにその先には、スライド右下に位置する「仕入や調達」に関する領域への拡張も視野に入れています。

このように、プラットフォーム機能を全方位へ広げることで、飲食店ネットワークの拡大を図ると同時に、先ほどご説明した情報資産の質・量双方の拡充を進め、データ駆動型ビジネスの展開へとつなげていきます。

中期経営計画2028〜市場トレンドへの適合性〜

ご参考までに、5つの事業戦略と市場トレンドの適合性についてご説明します。

まず、スライド上段「A」が関連するネット予約市場については、今後も拡大が見込まれるものの、一層の競争激化が予想されます。そのため、当社が取るべき施策は、他社との消耗戦を繰り広げることではなく、当社独自の切り口で改善と安定化を図ることであると考えます。

他方でご注目いただきたいのが、「B」から「E」の戦略が狙う市場です。

これらは、今後大きく成長することが確実視されているものの、飲食店向けに特化した圧倒的なプレイヤーが存在しません。この領域を攻略することで、指数関数的な成長につなげる戦略とお考えください。

中期経営計画2028〜数値計画①-1〜

続いて、3か年の数値計画についてご説明します。

まず、こちらのグラフは、新たな中計に基づく事業戦略を実行せず、現状の延長線上で推移した場合のシミュレーションです。

スライド左側のグラフで示す売上高については、このままでも安定的な成長は見込めますが、その成長率は年平均5パーセントに留まる見通しです。

他方、課題となるのがスライド右側の営業利益です。

売上増加に伴う変動費の増加に加え、減価償却費が増加フェーズにあることなどから、利益額・利益率ともに停滞することが予想されます。

このような延長線上から脱却し、力強い再成長を実現するための道筋として策定したのが、今回の中期経営計画です。

中期経営計画2028〜数値計画①-2〜

次のスライドをご覧ください。

こちらが、本中期経営計画の実行によって当社が目指す数値計画です。

まず、売上高については、戦略投資の成果を2年目より創出することで、年平均成長率を10パーセントへと引き上げ、先ほどのシミュレーションを上回る成長軌道を描き、最終年度である2028年度には、「189億円」を目指します。

続いて、営業利益については、初年度は営業体制の強化を中心に集中的な費用投下を実行することから赤字計画となりますが、これを起爆剤とし、2027年度以降の売上高・利益双方の成長力を高めます。そして2028年度には、これまでの延長線上では決して到達できない「13億円」を目指します。

中期経営計画2028〜数値計画②〜

次に、売上成長を直接的に牽引する重要なKPIとなる加盟店舗数についてご説明します。

前・中期事業方針においては、既存加盟店のARPU向上による売上づくりを進めてきましたが、本計画においては、その戦略を大きく転換し、顧客基盤の再構築を推進します。

まず、スライド左側のグラフで示した総有料加盟店舗数については、コロナ禍前の水準への完全回復にあたる「6万店」を目指します。なお、オレンジの折れ線で示したARPUについては、新規加盟店の増加に伴い最終年度でわずかに下がる見込みですが、概ね現在の水準を維持する計画です。

次に、スライド右側のグラフの無料加盟店も含めた総加盟店舗数については、「10万店」を目指します。

このように、本計画における売上高はこれまでのARPU主導ではなく、店舗数の拡大によって実現していく方針です。

A メディア・会員サービスの強化(1)

それでは、ここからは5つの事業戦略についてご説明します。まず1つ目は、「メディア・会員サービスの強化」についてです。

この領域は、変化の激しいWebサービスの潮流に左右されやすい側面を有しています。そのため、当社では、楽天グループとの協業体制という強みを最大限に活かし、「楽天会員にとって、最も利便性・利得性の高いメディア」を追求します。

スライドの図をご覧ください。

「楽天エコシステム」からのユーザー流入を強化し、楽天IDによって予約から会計までをシームレスにつなぐ快適な外食体験を提供します。その上で、ポイント付与をはじめとする多様なインセンティブ施策を通じて、楽天会員のリピート利用と定着を図ります。

これらの活動を通じて、SEOやAIOに依存しない盤石かつ安定した送客サイクルを構築していきます。

A メディア・会員サービスの強化(2)

このような考えのもと、大きく3つの施策に取り組みます。

1つ目は、「幹事ランク制度」の活性化です。

これまでの運用で見えてきたユーザーの利用動向などを踏まえ、より使いやすい制度へと進化させることで、会員ロイヤリティの向上を図ります。

2つ目は、「アプリの強化」を進めます。

アプリ起動から予約までにかかる時間を大幅に短縮する「プロダクト改善」や「新規ユーザーの獲得」、そしてAI活用などによる「パーソナライズの強化」などを通じ、会員エンゲージメントを高めます。

そして3つ目は、「Push型情報発信の精度向上」です。

既存会員が当社サイトを訪れるのを待つのではなく、こちらから積極的に迎えにいく体制を整えます。これまで分かれていたアプリ通知とEメールの配信システムを統合することで、より効果的・効率的なCRM体制を構築すると同時に、運用リソースの非効率を解消します。

これらの施策に加え、ユーザーインセンティブの向上についても検討・実行し、楽天ID連携会員のアクティブ化、およびリピート化を推進します。

B エージェント事業の確立(1)〜事業規模ポテンシャル〜

次に、「エージェント事業」についてご説明します。まず、スライド左側の円グラフにご注目ください。

当社が対象とする外食産業17兆円に一般的な飲食店の経費構造をあてはめると、産業全体の人件費は実に5兆円に達します。

今後10年間で生産年齢人口が約9パーセント減少するという予測に基づけば、金額にして約4,500億円分もの労働力が失われる計算になります。

近年、外国人スタッフの採用も進んでいますが、「店舗運営のすべてを人手で、自力で行う」という従来の仕組みのままでは、飲食店経営が成立しなくなる恐れがあります。

そこで当社は、この失われる労働力を代替し、飲食店の持続可能な経営モデルを支えるものこそが、DXや業務代行といったサービスであると捉えています。

「すべての業務を抱え込む」のではなく、「適切にアウトソーシングを活用する」、このような新たな飲食店経営モデル構築の一翼を担うことで、足元でストック型売上の成長を牽引しつつある「エージェント事業」を第2の柱へと引き上げていきます。

B エージェント事業の確立(2)〜領域ポテンシャル〜

具体的には、事業領域をこれまでの「マーケティング活動」のエージェントから、飲食店の「経営資源に関する領域」へと広げていきます。

まず、新規集客については、引き続き「 Google ビジネスプロフィール」の運用支援を中心にさらなる拡大を図ります。加えて、リピート集客についてはCRMツールの運用代行を強化し、飲食店のファンづくりをバックアップします。

さらに、その先にある「経営資源領域」への拡張にも、すでに着手しています。

まず、スライド右上の「モノ」に関しては、厨房機器販売店「テンポスぐるなび」との連携のもと、店舗設備や食器などの調達支援に取り掛かりました。

また、「情報」については、各種メディアやSNSなど多岐にわたって掲載されている店舗情報の一元管理を支援し、飲食店の管理工数削減と集客効果の向上に貢献していきます。

そして、運用面においては、生成AIを段階的に導入することで業務の効率化を推進します。そこで生まれたリソースを、加盟店との対話や潜在ニーズの把握、新規加盟店への対応などに再配分します。

これにより、個々のお店に寄り添う「サービス価値の向上」と「対応店舗数の拡大」を同時に実現し、エージェント事業の拡大を目指します。

C 加盟価値の拡充(1)

続いて、「加盟価値の拡充」について、飲食店のカスタマージャーニーを用いてご説明します。

まず、スライド一番左側の「外食ニーズが顕在化」した後の来店までの流れは、大きくネットで飲食店を下調べし、「ネット予約を経て来店される方」と「電話で予約される方」、そして直接来店される「ウォークインの方」の3つに分類されます。

C 加盟価値の拡充(1)

「メディア・会員サービス」および「マーケティングエージェント」が支援するのは、スライドに示したとおり、ネット上での情報発信強化による「新規集客」の領域です。この点については、先ほどのご説明のとおり、当社の独自性や先行優位性を活かし展開します。

C 加盟価値の拡充(1)

その上で、本計画において新たに推進するのが、飲食店売上への高い貢献が期待できる「リピート集客」の領域です。

ここには、大きく2つのポイントがあります。

1つ目は、今後展開する決済サービスを通じて生まれる顧客接点を活用したCRM機能です。これにより、「楽天ぐるなび」経由で来店された方に限らず、他社サービス経由やウォークインを含めた「あらゆる経路」のお客さまを対象としたリピート促進を支援します。

2つ目は、決済サービスの提供を通じ、コスト低減やキャッシュフロー改善に直接的に寄与することで、店舗経営に直結する「実利」をもたらす点です。

このように、従来のネット予約による新規集客とは異なる領域において、飲食店が当社に加盟する価値を創出します。これは当社にとって、飲食店のみなさまに「選ばれる理由の多角化」を意味し、また同時に、Webサイト運営では捉えきれない店内における「リアルな外食情報」の集積につながります。

これにより、「加盟店ネットワークの拡大」と「情報資産の質・量の拡充」の好循環を生み出していきます。

C 加盟価値の拡充(2)〜楽天協業によるオプション機能〜

現行の基本プランである「ライトプラン」の提供価値と、今回構想する「新たな価値」を比較したのが、こちらのスライドです。

飲食店からすると、ライトプランは「『楽天ぐるなび』に掲載して新規集客の入り口を増やそう」という位置づけのため、飲食店の費用認識はどうしても「販売促進費」となります。その結果、加盟継続の判断はネット予約数の増減に左右されてしまいがちです。

対して、今回構想するのは、飲食店のライフラインとなり得る新たな価値の提供です。

具体的には、リピート促進を支援する「CRM機能」や、店舗の収益・キャッシュフローの改善に寄与する「決済機能」を、楽天との協業により展開します。

このような日々の店舗運営に役立ち、実利をもたらす機能を充実させることで、飲食店の費用認識を、「販売促進費」から経営サポートを受けるための「加盟料」へと変えていきたいと考えています。

これにより、ネット予約数の増減だけでは解約されにくい強固な関係性を築き上げ、「加盟店ネットワークの拡大」へとつなげていきます。

冒頭にご説明したとおり、今後キャッシュレス化が一層進む中、これまで現金でのやりとりを基本としてきた中小規模の飲食店にとっては、「決済手数料負担の増大」や「入金タイムラグによる手元資金の減少」という課題がますます深刻化すると予想されます。

当社は、このような新たな課題に対しても「“真の”飲食店のサポーター」として積極的に取り組み、飲食店にとってなくてはならないライフラインへと進化を遂げていきます。

D 営業体制の強化・活動プロセスの改善(1)〜最適化〜

それでは次に、新たに拡充する加盟価値をより多くの飲食店に届け、成果へつなげるための体制面での取り組みについてご説明します。

当社が、中長期にわたる指数関数的な成長を遂げるためには、その礎となる強固な飲食店ネットワークを構築しなければなりません。

そこで、中小規模店が大部分を占める外食産業と深くつながり、支える力であり、当社のB2Bモデルの要である「営業体制」の増強を中心に戦略投資を実行し、体制とプロセスの刷新を図ります。

具体的には、2026年度に集中的な増員を行うとともに、新規開拓に特化したチームを組成して機動力を高めます。さらに、見込み顧客の拡大を目的に、外部パートナー体制の整備も実施します。

加えて、営業活動におけるAI活用を推進し、営業スキルの標準化および向上を進めると同時に、その活動プロセスの改善にも取り組みます。

それでは、具体的に「どのようなプロセスにAIを組み込み、生産性を高めていくのか」について、次のスライドでご説明します。

D 営業体制の強化・活動プロセスの改善(2)〜AI活用の推進〜

まず、商談前の「事前調査」および「資料作成」のプロセスにおけるAI活用を推進します。

エリア分析から、提案すべき商品・ツールの選定、さらには提案シナリオの構築に至る業務においてAIを駆使することで、準備にかかる時間の最大80パーセント削減を目指します。そして、これにより創出された時間を新たな商談へと振り向けます。また、「何をどう提案すべきか」が明確になることで、経験の浅い営業スタッフであっても、安心して商談に臨むことが可能になると考えています。

次に、実際の「商談」プロセスです。

ここは「人の力」が最大限発揮される領域ですが、属人化しがちなトップセールスのノウハウをAIによって蓄積・共有し、組織全体の商談スキルを底上げすることで、成約率の向上を目指します。

さらに、契約後のページ制作や予約機能の立ち上げなど、「オンボーディング」においてもAIを活用します。これにより、契約から掲載までの期間を短縮し、新規加盟店へスピーディーに価値を提供するだけでなく、削減できた営業工数を再び「新規商談」へと投下します。

ここまでの一連のプロセス改革により、「商談件数」と「成約率」の同時最大化を実現します。

そして、この高まった営業生産性を武器に、拡充を図る新たな加盟価値を強力に訴求することで、加盟店舗数の増加ペースを加速させていきます。

E AI時代に即したデータ基盤の構築・活用(1)

5つの事業戦略の締めくくりとして、「AI時代に即したデータ基盤の構築・活用」についてご説明します。

こちらは、「AIを軸にあらゆる仕組みを刷新し、独自の強みへと磨き上げる」をテーマとした3か年のロードマップです。

今や、AIの活用自体は多くの企業が取り組んでいますが、当社はAI導入を単なるシステム上の効率化に留めず、それを扱う「人」の変革にも取り組みます。

AI化によって創出された時間を有効活用することで、最前線で活動する営業スタッフだけでなく、企画や開発を担うスタッフ一人ひとりの事業参画度・顧客密着度を高めます。さらには、AIを自在に操りながら、より顧客の声に寄り添い価値を生み出す「プロデュース型組織」への変革を図ります。

初年度の「構造化と合理化」からスタートし、このような「人」の変革を含めた「AI×データ×人」の力を当社独自の強みへと昇華していきます。

そして、その強みをもって、次なる情報資産の本格活用フェーズへと確実につなげていきます。

E AI時代に即したデータ基盤の構築・活用(2)

続いて、具体的な「構築」と「活用」の方向性についてご説明します。

まず、スライド左側の「構築」の面では、AIがプロダクトやデータを正しく理解し、最適に扱うことができる「AIフレンドリー」なインフラ環境の整備を推進します。

また、B2B領域の強化によって蓄積されるリアル情報を含む大量のデータを、AIが自律的に読み解き、不足を補いながら、その価値を高め続ける「情報エコシステム」の構築に取り組みます。

他方、スライド右側の「活用」の面では、情報資産の活用に関し、過去の分析に留まらず、AIによる予見精度を向上させることで、飲食店にとっての「次の一手」を迅速かつ的確にサポートしていきます。

そして、先ほどご説明した「プロデュース力」を高めた組織が、これらの技術を自在に操ることで、飲食店を確かな「繁盛」へと導く「経営コンシェルジュ機能」への発展を図ります。

A〜Eの推進を通じた事業ポートフォリオ構築

ここまでご説明した5つの事業戦略の推進を通じ構築する事業ポートフォリオを整理したものがこちらのスライドです。縦軸は「売上成長性」、横軸は「既存領域か、新規領域か」を表しています。

まず、スライド左下の「A メディア・会員サービスの強化」については、必ずしも成長性が高いわけではありませんが、確実な改善を図ることで安定した収益源を確保します。

次に、スライド左上の「B エージェント事業」については、高い成長性を見込んでおり、今後大きく伸長させる領域となります。

そして、スライド右上の「C 加盟価値の拡充」は、大きなポテンシャルを見込む新規領域です。

なお、これらAからCの戦略については、楽天をはじめとする外部連携による展開を軸とし、「最小のコストで最大の成果を生み出す」ことを基本方針としています。

他方で、2026年度に戦略投資を実行するのが、「D 営業体制の強化・活動プロセスの改善」です。

すべての戦略の原動力となるこの組織能力の強化に対し、初年度に集中的な費用投下を行うことで、2年目での収益化、そして最終年度での収益拡大へとつなげていきます。

以上、新たな中期経営計画における5つの事業戦略についてご説明しました。

コーポレートガバナンスの強化(1)〜体制構築の変遷〜

それでは、最後の項目として、経営基盤の強化についてご説明します。

まずは、「コーポレートガバナンス」についてです。体制構築の変遷はスライドに記載のとおりであり、2019年以降、一貫してコーポレートガバナンスの改革を推進してきました。

コーポレートガバナンスの強化(2)〜スキルマトリックス〜

こちらは、現時点での取締役のスキルマトリックスです。

当社が描く成長戦略を実行していく上で、多様な専門性を持ったメンバーで構成しています。

スライドに記載のとおり、楽天グループとの協業を推進し、その実効性を高めるため、楽天ペイメント社の笠原氏をはじめ、楽天系の社外取締役が3名参画しています。

これに伴う利益相反の懸念に対しては、4名の独立役員による監督機能と、社外役員が過半数を占めるガバナンス委員会の仕組みなどを通じて、透明性と公正性を担保しています。

このように、「楽天との協業強化」と「少数株主の保護」を両立する取締役会の構成となっています。

価値を創造し続ける企業として、引き続き、公正かつ透明性が高く、また実効性を有するガバナンス体制の維持・改善に努めます。

人的資本経営の推進(1)〜フレームワーク〜

次に、「人的資本経営の推進」についてご説明します。

まず、こちらのスライドは、当社における人的資本経営の基本方針となる人事ポリシーと、それを核とした基本フレームワークです。

「『私たちの成長』がつなぐ『食の未来』」というポリシーのもと、「自律型人材の力の結集」によって価値を生み出し続ける組織を目指し、「採用・育成・活躍・定着」のサイクルを回していくという基本的な考え方を示しています。

人的資本経営の推進(2)〜本中計期間における主要施策〜

そして、こちらのスライドは、本計画における具体的な取り組みです。多岐にわたる施策を記載していますが、本日は「採用」と「活躍」についてご説明します。

まず、本計画推進のカギとなる「採用」については、2026年度において約70名の集中採用を計画しています。その実現に向けて、採用チャネルの多角化に加え、飲食店支援事業部と連携した採用実行体制を敷いています。

足元の状況としては、採用の母集団形成は計画を上回るペースで進捗しており、目標達成に向けた確かな手応えを感じています。

次に、「活躍」に関する施策です。当社が重視する「自律型人材」について、その要件を定義すると同時に、ロールモデルの創出に取り組みます。また、主体性を引き出す研修や、自らのスキルを客観的に可視化する施策などを展開し、社員一人ひとりが自ら考え、行動できる環境を整備します。

「確実な採用による体制強化」と「自律型人材の輩出」、この両輪を回すことで、本計画の推進力を最大化していきます。

財務戦略の強化(1)〜骨子〜

続いて、本計画の実効性を高めるための「財務戦略の強化」についてご説明します。

まず、スライド左側に記載のとおり、「ROICマネジメントの実践」による収益力および資本生産性の向上に取り組みます。同時に、「戦略的財務基盤の構築」については、スライド右側に示した3つのマイルストーンのもと、財務の健全性と安全性の維持に取り組みます。

これらを通じて、下部の「株主還元の強化」へとつなげていく方針であり、最終年度である2028年度には、ROE21パーセント、ROIC16パーセントの達成、そして、「復配」を計画しています。

財務戦略の強化(2)〜フレームワーク〜

これら目標の達成に向けた具体的なフレームワークをまとめたものが、こちらのスライドです。

財務戦略の強化(3)〜エクイティスプレッド・ROICスプレッド〜

ここで、資本コストと資本生産性の関係についてご説明します。

2026年度は、戦略投資の影響からROE・ROICのいずれも一時的にマイナスとなりますが、2027年度において、両者とも資本コストのレンジへと確実に到達させます。

そして、2028年度には、ROEで「10パーセントから12パーセント」、ROICで「7パーセントから9パーセント」のスプレッドを生み出し、中長期的な株主価値の向上につなげていきます。

財務戦略の強化(4)〜キャッシュアロケーション〜

最後に、資本生産性の向上を支えるキャッシュアロケーションの方針についてです。

当社の基本的なスタンスは、「資本コストの低減」と「財務の健全性」を両立させるバランスシートマネジメントにあります。

スライド中央の2本のグラフをご覧ください。

この3年間で生み出す営業キャッシュフローを主な原資として、成長に向けた投資へと振り向けます。同時に、適切なレバレッジの活用と現預金のコントロールを行いながら、最終年度における「復配」の原資も確保していきます。

規律ある財務運営のもと、まずは成長投資を実行し、その成果をもって最終年度での「復配」と、その後の還元強化を実現していきます。

2027年3月期 方針・通期業績予想

それでは最後に、新・中期経営計画の初年度となる2027年3月期の通期業績予想についてご説明します。

2027年3月期は、新たな中期経営計画に掲げる数値計画を達成するため、戦略的な投資を断行し、Jカーブ成長の礎を築く1年とします。

具体的には、飲食店支援領域を中心とした約70名の集中採用、そして、新規加盟のリード獲得のためのトスアップパートナーの拡充などに約10億円を戦略的に投じ、営業体制の増強を行います。これにより、中期的な「飲食店ネットワークの拡大」の素地を整備します。

一方で、全社利益の最大化に向け、その他の事業領域においては収益改善施策を実行し、特に、店舗開発事業における事業内容の見直しや、「ぐるなびFineOrder」の導入拡大に向けた運営体制強化を進めます。

業績予想については、売上高は前期比6.8パーセント増の151億円と算出しました。

一方、利益については、戦略投資の影響のほか、働きやすさの向上と来年度以降の費用削減を両立する本社移転に係る一過性の費用約2億円の計上を見込むことなどにより、営業損失8億3,000万円、経常損失9億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純損失10億円と算出しました。

中期経営計画2028

今期については、一時的に赤字を計上することとなりますが、戦略投資を着実に断行し、来年度以降の売上・利益の拡大へとつなげます。

最後に〜中長期ビジョン〜

最後に、あらためて当社の中長期ビジョンについてお伝えします。

新・中期経営計画の実行を通じて、まずは、これまでの延長線上とは異なる新たな成長を遂げつつ、次なる飛躍への強固な礎を構築します。

その上で、2029年度以降は「指数関数的な成長」を実現し、外食に関わる深くリアルな情報をどこよりも網羅する「飲食店情報ネットワークNo.1企業」へと進化します。

さらには、当社独自の情報資産に基づくデータ駆動型の価値提供を通じ、時代と共に変化する社会課題の解決に真摯に取り組んでいきます。これにより、当社の根底にある「日本の食文化を守り育てる」という創業の想い、そして、「食でつなぐ。人を満たす。」というパーパスを体現し、持続的な企業価値の向上に邁進する所存です。

みなさまにおかれましては、引き続きご支援とご指導のほど、何卒よろしくお願いします。

質疑応答:今期の事業投資計画について

質問者:2027年3月期の営業損益のマイナス要因となる「事業投資の強化」について、具体的に何に(営業人員や広告費など)、どれくらい費用を増やすのか、補足していただけますか?

山田晃久氏(以下、山田):今期、2027年3月期においては、70名ほどの集中採用を実施する予定です。具体的には、主に電話による提案を行うインサイドセールススタッフと、実際に飲食店に赴き提案するフィールドセールススタッフをバランスよく増やしていきます。

当然、営業効率および生産性の向上に取り組んでいきますが、自社のリソースだけではアプローチしきれない層も存在します。そこで、新規加盟のリード拡大のためのトスアップパートナーの拡充に対しても、適切な費用投下を行います。

これらの施策を中期経営計画の初年度に実施することで、次期(2028年3月期)以降の、加盟店舗数の増加ペースの加速と、売上・利益の成長力の向上を図っていく方針です。

質疑応答:加盟価値拡充による加盟店舗数の拡大について

質問者:中期経営計画の最終年度となる2029年3月期に大きく加盟店舗数を増やす計画とのことですが、飲食店への新たな提供価値となる「リピート促進ツール(CRM機能)」と「決済機能」についてうかがいます。

店舗数を増やす上で、地方圏の店舗獲得が重要となると考えます。そこで、これらの新機能に対して、全体のARPU水準である「約2万円」という利用料金を地方の飲食店は受け入れられるのでしょうか?

山田:基本的には、2年目の2028年3月期より本格的に加盟店舗数を増やしていく方針ですが、特に2029年3月期はさまざまな施策の効果が現れることで、大きく店舗数を伸ばす計画となっています。

今回拡充を構想するCRM機能や決済機能は、地方・都市部を問わず地域差なく価値を感じていただけるものであるため、双方のエリアで加盟店が増加していくと見込んでいます。

また、加盟プランの新機能だけでなく、確立を進める「エージェントサービス」も店舗数拡大に寄与すると考えています。この点については、すでにエージェントサービスの利用を目的とした新規加盟の動きが進んでいます。

なお、価格の受容性についてですが、新規加盟の時点では低ARPUでのスタートが多くなることが予想されます。そのため、2029年3月期の全体ARPUは一時的にやや下がる計画となりますが、概ね2万円程度の水準は維持できると想定しています。中期的には、本計画期間において拡大した面に対して、伴走型営業体制によるアップセル・クロスセルの提案を行うことで、あらためてARPU向上に取り組んでいく方針です。

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