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ベルシス24 Research Memo(6):新たな価値創出を目指して、「CX高度化」と「BPO拡大」を推進(2)

■ベルシステム24ホールディングスの中長期の成長戦略

3. スマートコンタクトセンター業務における取り組み
スマートコンタクトセンター業務における施策としては、以下の4点に取り組む。第1に従来型のコンタクトセンター業務におけるオーガニック成長の継続、第2にスカパー・カスタマーリレーションズのようなコンタクトセンター企業の取り込みを通じたロールアップ戦略(同一または近接する業界の中小企業を連続的に買収・統合してスケールメリットとしシナジーで急速に事業規模と収益性を高めるM&A成長モデル)の推進、第3にAIを活用したコンタクトセンターの自動化、第4にVOC(Voice of Customer:コンタクトセンターなどの顧客接点で得られる顧客の声)を活用したマーケティング支援の高度化である。これらの取り組みにより、コンタクトセンターを「価値創出の拠点」へと進化させる。2029年2月期のスマートコンタクトセンター業務における売上収益は、2026年2月期比で約200億円増の1,450億円を目標としている。

スマートコンタクトセンター業務における取り組みの詳細は以下のとおりである。

(1) オーガニック成長とロールアップによる従来ビジネスの拡大
「人手不足」と「採用難」が近年、深刻化するなか、企業が自社で顧客対応を完結させる「内製化」には、限界が見え始めている。これに伴い、自社内で運営が困難となったコンタクトセンター業務のアウトソーシングニーズや、本業への経営資源集中を図る企業によるコンタクトセンター事業の売却が拡大すると予想される。同社ではこうした環境変化を捉えて、内製コンタクトセンターの取り込みによるオーガニック成長を推進し、2029年2月期には売上収益を2026年2月期比で約50億円増、クライアント企業数で同300社増の2,000社以上を目指す。

(2) ロールアップによる従来ビジネスの拡大
ロールアップ戦略の推進により、第2・第3のSPCCモデルの展開を進める。売上収益は2026年2月期比で約50億円増を目指し、実現に向けて成長投資枠250億円のうち約100億円の事業投資を行うことを想定している。SPCCは有料多チャンネル放送「スカパー!」のカスタマーセンター及び他社カスタマーセンターを運営している会社で、同社が株式51%を保有している。同様に、同社では、各業界の事業会社における子会社案件を取り込むことを計画している。

(3) AIを活用したコンタクトセンターの自動化
コンタクトセンター業務に、同社が開発するAI自動化ソリューションであるHOLを導入し、次世代コンタクトセンターを構築する。同社は、一定規模の顧客対応窓口を運営する企業ではHOLを活用したコンタクトセンター自動化への取り組みニーズが高いと見ており、主に金融、通信、エネルギーなどの業界をターゲットに据える。2029年2月期に、コンタクトセンターの自動化サービスを50~60社に導入し、年間約100億円の売上収益を見込んでいる。ただ、この目標は保守的な設定であり、導入条件が整った場合には200億円規模への拡大も視野に入れている。売上総利益率については、従来の人手によるコンタクトセンターと比較して、2倍以上の水準を想定しており、収益構造の大きな転換につながる。同社では、AIによるコンタクトセンター自動化の取り組みが想定以上に拡大した際には、売上収益の上振れ余地があると考えている。

今後の開発スケジュールとしては、2026年春より実データを活用したナレッジ構築を開始し、同年秋頃にはAIがオペレーターに回答内容をテキストで提示する機能(ステップ2)の実装を予定している。さらに、自動対話応答を実現する段階(ステップ3)については、2027年春の開始を見込んでいる。コンタクトセンターでのHOL活用に伴いオペレーター数は減少すると予想されるが、生成AIの間違いを是正し、生成AIに正しい回答を教える必要があるため、一定数のスキルの高いオペレーターは必要と考えられる。

(4) VOCデータを活用したマーケティング支援
対面接客の音声データなども活用し、顧客データとVOCにより個々人の嗜好に最適な提案を実現する。音声データを活用したマーケティング支援について、不動産会社における事例では、モデルルームでの商談時の音声データを取得し、その内容を生成AIに分析させることで、購買意欲の高い顧客を抽出している。さらに、年齢や家族構成、年収といった顧客属性データと組み合わせ、契約締結確度の向上に活用している。このサービスは、不動産や自動車など、対面営業を中心とし単価の高い商材を扱う企業を主な対象としており、既に7社との取引実績があるが、2029年2月期には30社に拡大する計画である。

このように、従来は膨大であるがゆえに十分に活用されてこなかった音声データについても、生成AIの活用により、効率的なナレッジ化が可能となっている。同社では、従来の業務代行にとどまらず、顧客の声を分析し事業改善を提案するサービスを提供することで、「戦略的パートナー」としてのポジション確立を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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