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ベルシス24 Research Memo(5):新たな価値創出を目指して、「CX高度化」と「BPO拡大」を推進(1)

■ベルシステム24ホールディングスの中長期の成長戦略

1. 前中期経営計画の振り返り
「中期経営計画2025」(2024年2月期~2026年2月期)では、新たなBPO市場の開拓を見込み、人材・型化・共創の重点施策の推進により、最終年度の売上収益1,800億円、営業利益165億円(営業利益率9.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益110億円、ROE14.4%、配当性向50%を目標としてきた。重点施策はおおむね計画どおり進捗したものの、定量目標は配当性向を除き未達で終わった。M&Aなどの成長投資が想定どおりに進まなかったことに加え、コロナ禍における企業のデジタル対応の進展や消費者リテラシーの向上により、従来型の電話対応業務の成長が限定的となったことが理由である。業績面では調整局面となったが、一方で拠点及び人員の最適化を進めることで収益基盤の強化が進んだ。また、事業環境の変化を踏まえ、AIによるコンタクトセンター自動化に向けた取り組みを加速させるなど、次なる成⾧に向けた基盤を構築した期間であったと評価できる。

2. 新中期経営計画の概要
同社を取り巻く現在の事業環境は大きな転換期にある。労働人口の減少に伴う人手不足の深刻化に加え、AI及びAIエージェントの急速な進化により、産業構造の変化が進んでいる。一方で、国内におけるBPOの利用率は依然として低水準にとどまっており、同社にとっては大きな成⾧余地が存在している。今後の市場環境としては、クライアント企業におけるコア事業への経営資源の集中、AI活用による業務プロセスの高度化・変革、さらには専門性の高いBPOニーズの拡大が進むと認識している。同社では、これらの環境変化を踏まえて成⾧戦略を推進する。

新たにスタートした「中期経営計画2028(Hybrid Intelligence)」(2027年2月期~2029年2月期)におけるHybrid Intelligenceとは、人間と生成AIの特性を補完的に活用することで優れた成果を生み出すことを意味する。中期経営計画のコンセプトは、同社の持つ3つの強み(「データ&ナレッジ」「人材活躍基盤」「共創ネットワーク」)とAIを組み合わせて成長を図るものだ。AIの活用によりコンタクトセンターに集約している膨大な音声データの活用範囲を大きく拡張する。この計画の実現に向けては、40年にわたり蓄積してきた運営ノウハウとAIを融合し、組織力の最大化を図る。また、約1,700社のクライアント基盤に加え、主要株主である伊藤忠商事及びTOPPANを介したネットワークとAIを掛け合わせることで、CXの高度化及びBPOの拡大を推進する。

中期経営計画2028の定量目標として、2029年2月期の売上収益1,750億円(年率7.3%増)、営業利益160億円(同10.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益100億円(同8.7%増)+αを掲げている。営業利益率について、2026年2月期の8.7%から9.1%への上昇を見込むが、これはコスト改善を進めるとともに、生成AIを活用したコンタクトセンターの自動化が本格化することによる収益貢献を織り込んでいるためである。この領域は高い成長ポテンシャルを有していることから、さらなる上振れの可能性を見込み、親会社の所有者に帰属する当期利益は「100億円+α」としている。成⾧投資については、M&Aを中心に、データ活用や人材への投資を含め、3年間で約250億円を想定する。配当性向については、引き続き50%を基本方針としている。

同社が2025年4月に発表した中長期成長シナリオでは、2031年2月期の目標として、売上収益2,500億円、営業利益率10%以上を掲げている。中期経営計画2028は、その目標への通過点であるが、AIを軸としたコンタクトセンター運営と事業の多角化に向けた転換期となる重要な3年間と位置付けている。

中期経営計画の達成に向けた、スマートコンタクトセンター業務及びスマートビジネスサポート業務における具体的な取り組みは、以下のとおりである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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