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トーホー、業務用食品専業卸売で国内トップシェア インバウンド需要を背景に、26年1月期は売上・利益で過去最高

目次

原田大介氏(以下、原田):株式会社トーホー取締役執行役員グループ戦略部長の原田です。本日は当社の会社説明にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日はスライドの内容に沿ってご説明します。

トーホーグループの概要

原田:当社のご紹介です。当社は1947年に創業し、まもなく創業80周年を迎える会社です。

本社は神戸市に所在し、東証プライム市場に上場しています。2026年1月期の連結売上高は2,597億円でした。

当社は業務用食品専業卸売業界に属しており、その中で国内トップシェアを誇る企業です。

現在、株主還元にも力を入れており、5期連続で増配中です。また、現在進行中の2027年1月期についても増配を予想しています。

トーホーグループの概要

原田:連結従業員数は約3,900名です。事業内容については、後ほどご説明します。

グループ会社は22社あります。

経営理念

原田:当社の経営理念についてご説明します。

戦後の食糧難の時代に、「食糧の流通を盛んにして社会に貢献したい」という思いで会社を立ち上げました。現在も「食を通して社会に貢献する」を経営理念に掲げ、経営に取り組んでいます。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ここからは質問を挟みながら進行させていただきたいと思います。

創業当時から現在行っている業務用の食品卸を手掛けているのでしょうか? 

原田:当社は佐賀県で創業した会社です。創業当時は、有明海の海産物を炭鉱地帯に運んだり、北海道のカズノコや小豆を九州に持ち込んだりといった商売をしていたと聞いています。

その後、1951年からコーヒー豆を焙煎し、喫茶店などにお届けする事業を開始しました。喫茶店などから「コーヒーだけでなく食材も持ってきてくれないか」といった要望が増えてきたことに伴い、1954年頃から、コーヒー豆と一緒に食材もお届けするという、当社のメインビジネスである業務用食品卸事業がスタートしたと聞いています。

坂本:御社はコーヒーにも強いというお話もうかがいましたので、この後のご説明も楽しみです。

事業領域

原田:事業領域についてです。当社の主要なお客さまは、スライド中央に記載されたレストラン、ホテル、喫茶、テーマパーク、学校・事業所給食などの外食産業となります。この外食産業に対して、食材や各種サービスを提供しているのが当社の主要事業となります。

1つ目に、全体売上の約77パーセントを占めるのが、スライド左上に記載されたディストリビューター事業です。

この事業は、さまざまな業態の外食産業のニーズに応じた業務用食材を国内外から調達し、自社の拠点で在庫管理を行い、トラックなどを用いて外食産業に直接届けるというものです。こちらは国内外で89の事業所で事業展開を行っています。

2つ目に、全体売上の約17パーセントを占めるのが、スライド右上に記載のキャッシュ&キャリー事業です。

この事業は、プロの食材を店舗で品揃えし、お客さまに直接来店いただき購入していただくかたちになります。プロの食材の店「A-プライス」というブランドを中心に、関東以西で現在96店舗を展開しています。

3つ目に、全体売上の約5パーセントを占めるのが、スライド右下に記載のフードソリューション事業です。

私たちは、食材だけでなく、外食ビジネス全体をトータルにサポートできる企業グループを目指しています。

その一環として、外食企業向け業務支援システムの提供、品質や衛生管理サービスの提供、業務用調理機器の販売、飲食店の店舗内装設計・施工なども手掛けています。

坂本:キャッシュ&キャリー事業の中の「A-プライス」についてご質問します。この店舗の特徴や、見学を希望される方もいらっしゃるかと思いますので、関東にある店舗の具体的な所在地について教えてください。

原田:キャッシュ&キャリー事業で展開している「A-プライス」というお店は、外食産業向けの業務用食材専門店です。

調味料や農産品、畜産品、水産品、コーヒーなど、外食産業で使用する食材を豊富に取り揃えています。

また、特徴として、飲食店のお客さまとのコミュニケーションを重視している点が挙げられます。ご来店いただいた際にはしっかりと営業活動を行うほか、当社の社員が飲食店を訪問するなどの取り組みも行っています。

「A-プライス」は関東地区では東京に高井戸店、府中市場店の2店舗、神奈川県に3店舗、埼玉県に1店舗の計6店舗があります。ほか、千葉県にも「せんどば」という店舗を構えています。

業績推移

原田:スライドは当社グループの業績推移を示したグラフです。真ん中の棒グラフは売上高の推移を表しています。

ご覧のとおり、派手な伸びこそありませんが、着実に売上高が増加していることがおわかりいただけるかと思います。

また、ここ数年は旺盛なインバウンド需要に伴い、国内の外食産業が賑わいを見せています。それに伴い、当社の国内ディストリビューター事業が全体の売上高を牽引している状況です。

次にご注目いただきたいのは、オレンジ色の折れ線グラフです。こちらは営業利益の推移を示しています。2021年1月期には大きく赤字に転落していますが、これは新型コロナウイルスの影響によるものです。外出規制などが始まり、外食産業とともに、当社も非常に厳しい状況に直面した時期でした。

創業以来、初めての赤字を計上したため、抜本的な業務や経費の見直しを行いました。その結果、おかげさまでその後はV字回復を果たすことができています。

また、2024年11月に不採算事業から撤退したこともあり、2026年1月期では、売上高・営業利益ともに過去最高の数字を達成しました。

さらに、現在進行中の2027年1月期においても、過去最高の売上高と営業利益を予想しています。

業務用食品卸業界におけるトーホーグループの強み①

原田:当社グループの強みについてご説明します。1つ目は、販売ネットワークです。全国をカバーするディストリビューター事業では、国内で81の事業所を展開しています。

また、キャッシュ&キャリー事業では96店舗を展開しています。これらの拠点を活用することで、チェーン展開されている飲食店さまから地域の中小飲食店さままで、外食産業全般をくまなくフォローできています。このことは国内では当社のみだと考えています。

したがって、この販売ネットワークは当社グループの強みの1つであると考えています。

業務用食品卸業界におけるトーホーグループの強み②

原田:2つ目は、海外での事業展開です。日本では今後、人口減少に伴い外食産業市場の縮小が予想されています。当社グループはそれに先立ち、2015年から海外での事業を展開しています。

現在、当社はシンガポール、マレーシア、香港、ベトナムにおいて、国内のディストリビューター事業と同様の事業を海外現地でも展開しています。

また、今後日本の飲食店が海外に進出するケースがますます増加すると考えています。そのような際に、海外現地で食材の納入面をしっかりと支援できる拠点を持つことは、当社グループの強みの1つであると考えています。

業務用食品卸業界におけるトーホーグループの強み③

原田:3つ目は、商品の開発力・調達力です。当社グループは、国内のあらゆる業態の食材ニーズに対応するため、約16万アイテムを取り揃えています。

また、外食産業のニーズにきめ細やかに対応するべく、プライベートブランド商品の開発にも注力しています。

一般的に、プライベートブランド商品は通常の商品よりも安価なイメージがありますが、当社のお客さまはプロの料理人の方々です。そのため、色味や歩留まりといった点に、一つひとつこだわりながら開発しています。

また、最近では外食産業の人手不足が深刻な状況にあるため、厨房での手間を少しでも減らすことを目指した加工食品のニーズが年々高まってきています。そのような背景から、加工食品についてもプライベートブランド商品の開発に力を入れています。

さらに、「toho coffee」というブランドで展開している自社焙煎コーヒーやサステナブルフードなどの取り扱いも強化しており、このような品揃えや商品を開発・調達する力が、他社との差別化の一因になっていると考えています。

業務用食品卸業界におけるトーホーグループの強み④

原田:4つ目の強みは、外食ビジネスをトータルにサポートする力です。当社グループでは、食材の納入だけでなく、外食産業が事業を展開する上で必要なさまざまなサービスを提供しています。

具体的には、外食産業さまの業務効率化を支援する業務支援システム、厨房周りの安心・安全を担保する品質・衛生管理サービス、店舗の設計・施工、業務用調理機器や厨房機器の提供などを行っています。

このようなサービスを提供することで、「何かあったらトーホーに相談しよう」と言っていただけるような信頼関係を築くことが非常に重要だと考えています。

こうした関係を構築することで、結果的に当社グループの主要ビジネスである食材の納入においても、お客さまと強い信頼関係を築くことができるのではないかと考えています。

また、この外食ビジネスをトータルにサポートする力、いわゆるフードソリューション事業ですが、スライド下の棒グラフに示されているように、他の事業と比較しても利益率が高い事業となっています。

サービスの幅広さや利益率の高さの観点からも、この外食ビジネスをトータルにサポートする力は、当社グループの強みの1つであると考えています。

坂本:御社は業務用食品専業卸売で国内売上No.1とのことですが、あらためてこの強みと競争力の源泉について教えてください。

原田:多少説明が重複する部分もあるかと思いますが、1つ目は、最初にご説明した販売ネットワークです。

当社グループは、国内のほぼすべての地域において、同じ品質で業務用食材を物流できる体制を持っています。

一方で、お客さまの中にはチェーン展開をされているお客さまもいらっしゃいます。そのようなお客さまは、日本全国で同じ品質や同じものの提供を求められます。そのため、このような拠点網は当社グループの強みの1つだと考えています。

もう1つは、先ほどご説明した商品面についてです。これだけの品揃えを持ち、外食産業のお客さまのニーズにきめ細かく対応していることも、間違いなく当社グループの強みの1つだと思っています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027 最終年度

原田:成長戦略についてご説明します。当社グループでは現在、中期経営計画(3ヶ年計画)「SHIFT-UP 2027」を推進しています。

3つの重点施策として、「新たな成長ステージへの変革」「サステナビリティ経営の推進」「企業認知度の向上と株主還元の継続」を掲げ、最終年度の財務目標として売上高2,740億円、当期純利益48億円の達成を目指して取り組んでいます。

ROE10パーセント以上、PBR1倍以上という目標は、現在すでに達成していますが、今後はさらなる収益力の強化やIR活動の推進を通じて、より高い数値の達成を目指していきたいと考えています。

また、この計画では2030年の長期ビジョンも設定しています。「日本、そして海外の外食ビジネスの発展に貢献する企業グループを目指す」をキャッチコピーとして掲げ、2030年1月期の売上高目標3,000億円達成に向けて取り組んでいます。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:先ほどご説明した重点施策の1つである「新たな成長ステージへの変革」の実現に向けては、3つのドライバーを設けて対応しています。

1つ目が「不採算事業からの撤退完了」です。これは、中期経営計画1年目に取り組んだ内容です。

当社グループでは、65年の歴史を持つ食品スーパー事業を過去に展開していましたが、昨今の食品スーパー業界における競争激化の影響を受け、不採算な状況が続いていました。

この65年の歴史に終止符を打ち、食品スーパー事業から撤退することを決断し、2024年11月をもって完全撤退しました。

これにより、当社グループは外食産業をメインターゲットとする企業グループへと生まれ変わり、新たな体制のもとでさらなる収益力の向上に向けて取り組んでいます。

その具体策として、2つ目の成長ドライバーである「伸びる市場への成長投資(国内・海外)」と3つ目のドライバーである「外食ビジネストータルサポート機能の強化」に注力しており、これらに対して設備投資、IT投資、M&A投資を積極的に行っています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:スライドには、当社グループが属する業務用食品卸売業界の市場規模と、それに対する当社グループの市場シェアが示されています。

国内の市場規模は約4兆円と言われています。それに対して、当社グループの市場シェアは5.8パーセントです。

当社グループは業務用食品卸売業界において国内トップシェアを誇る会社ですが、市場シェアはまだ5.8パーセントにとどまっています。そのため、国内でもまだまだ伸びしろがあると考えています。

一方、今後の人口動向を踏まえると、外食産業の市場規模については、維持・拡大が期待できるエリアとそうでないエリアに、ますます分かれていくと考えています。そのため、全国一律の対応ではなく、エリアの特性に応じた対応をとっていくことが、今後の課題として重要だと考えます。

また、外食産業市場規模の維持・拡大が期待されるエリアや観光客で賑わうエリアを中心に、現在、成長投資を進めています。

向井沙耶氏(以下、向井):近年、特に伸びている地域がありましたら教えてください。

原田:最近では、大阪・関西万博の開催に伴い、関西地区においてホテルや飲食店の開業が多かったため、このあたりが非常によく伸びています。

また、大きな都市を抱える関東や中部でも売上高が伸びている状況です。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:スライドには成長投資の実績を記載しています。

まず、首都圏での取り組みです。首都圏は全国市場の4割以上を占める巨大市場ですが、当社グループのシェアは3.7パーセントと、依然として低い水準です。

この市場でのシェア拡大を目指し、現在進めているのが、事業所の再編による物流効率の向上と営業力の強化です。この内容については、後ほど詳しくご説明します。

次に、京都エリアや金沢エリアなど、観光客の増加で賑わう地域では、事業所の移転を行いました。従来よりも飲食店が集まる繁華街に近い場所に設置し直し、倉庫面積を増やすことで、さらなる市場拡大にも対応できる拠点を整備しました。

最後に、継続的に観光客が増加している沖縄県の宮古島市では、昨年11月にキャッシュ&キャリー事業とディストリビューター事業の複合型拠点を新たに設置し、宮古島市場の開拓を進めています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:首都圏の物流改革についてです。

当社グループでは、首都圏における拠点を繁華街から一定の距離がある場所に設け、そこに商品を在庫して運営していました。しかし、首都圏特有の交通渋滞の影響を大きく受けている状況です。

その物流の効率化をどのように進めるか、また営業時間をどのように確保していくかが課題でした。交通渋滞の影響で、本来確保できるはずの営業時間が短縮される場合もあり、こうした課題への対応が重要と考えています。

それに対応すべく行っているのが、首都圏の物流改革です。その1つ目として、当社グループ内で大型の拠点を設置しました。当社グループでは「横浜DC」と呼んでいますが、この横浜DCを横浜市内に設置し、近隣にある4つの拠点を1ヶ所に集約させました。

従来は、これら4つの拠点それぞれで商品を在庫しており、倉庫内作業やお客さまへの物流業務を個別に行っていました。しかし、1ヶ所に集約させたことで、倉庫内作業と物流業務の効率化を実現することができました。

また、これにあわせて、小型の拠点である「フロントステーション」をお客さまに近い繁華街の近くに新たに設置しました。スライド上では「FS」と表現されている箇所に該当します。

この拠点には、従来の拠点のような商品の在庫や整理といった機能はなく、これらの業務は横浜DCに委託しています。当日は、横浜DCで整理された状態でお客さまに運ぶ必要があるものだけがフロントステーションに届けられます。

フロントステーションは繁華街の近くに位置しているため、従来よりも高頻度でお客さまに物流や営業活動を行うことを目的としています。

現在、このフロントステーションは新宿に設置されており、試行中の状況です。今後は山手線沿線に複数箇所設置することを計画しています。

これにより、首都圏における市場シェアの獲得を進めていきたいと考えています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:伸びる市場への成長投資は、ディストリビューター事業だけでなく、キャッシュ&キャリー事業においても進めています。

従来、このキャッシュ&キャリー事業の店舗は比較的郊外に設置されることが多かったのですが、現在ではお客さまの近く、繁華街の近くへの出店を増やしています。

飲食店では現在、人手不足が課題となっています。そのため、食材の購入・仕入れをいかに効率化するかが重要なポイントです。

当社がお客さまに近い場所に出店することで、仕入れ時間の短縮が可能となり、それがお客さまの課題解決の一助になると考えています。このような出店を通じて、お客さまの人手不足を少しでも支援できればと考えています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:キャッシュ&キャリー事業では、直営店の展開だけでなく、フランチャイズによる展開も進めており、現在は2店舗をフランチャイズ店舗として展開しています。

今後に向けては、新たな提携先を模索しながら、フランチャイズ形式でまだ出店できていないエリアへの出店を進めたいと考えています。

その一環として、今年3月にカルチュア・エクスペリエンス株式会社さまと「『A-プライス』の全国展開協力および『TSUTAYA』への商品導入検討に関する合意」を締結しました。

この内容は、カルチュア・エクスペリエンス株式会社さまがこれまで培ってきたTSUTAYAのフランチャイズ店舗展開のノウハウを活かし、同社の提携先の中で、「『A-プライス』をフランチャイズ展開したいというお客さまを当社に紹介していただく」という合意です。

今回の合意を活かし、今後フランチャイズビジネスの加速を実現したいと考えています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:また、伸びる市場への成長投資として、海外事業のさらなる拡大も挙げられます。

日本の外食産業市場の縮小が想定される中、新たな成長基盤を求めるため、海外での事業拡大に今後も力を入れていきたいと考えています。

現在進出しているシンガポールや香港周辺の国々は、今後も人口の増加が見込まれ、それに伴い外食産業市場の拡大が期待できるエリアです。こうしたエリアに進出することで、海外事業の拡大を実現したいと考えています。

その一環として、この2月にベトナムの「KOME88(コメタムタム)」という会社の発行済株式の40パーセントを取得しました。こちらは、鮮魚や牛肉などの卸売をしている会社です。こことの連携を図りながら、ベトナム市場での進出を進めていきたいと考えています。

坂本:海外市場への進出について、M&Aを通じた手法が取られていますが、卸売や小売事業を中心に進められているかと思います。この点について、現在行われている施策も含めた今後の日本と海外の方針について教えてください。

原田:日本では、既存のディストリビューター事業に加え、外食産業をトータルサポートする力を活かしつつ、事業の拡大を目指していきます。一方、海外では当面、ディストリビューター事業を中心に事業拡大を図っていきたいと考えています。

また、日本の飲食店の海外進出も積極的に支援していきたいと考えています。そのためには、現地でディストリビューター事業をしっかり構築することが重要だと思います。

坂本:日本においては、同業他社とのM&Aも検討されているという理解でよろしいでしょうか? 

原田:おっしゃるとおり、国内においては、M&Aの対象として国内の同業他社を検討しています。また、外食産業ビジネスをトータルにサポートする機能を持つ企業も対象としています。

次に、シンガポールにおいても新たな需要の獲得を目指し、海外では初となるキャッシュ&キャリー事業における「A-プライス」の出店を6月に予定しています。

日本の外食企業が海外進出するケースが今後ますます増えることを見据え、当社グループでは2024年に専門部隊を設置し、海外進出を支援する取り組みを進めてきました。

現在の実績は、まだ数字として低い状況ではありますが、今後は支援体制や能力をさらに強化し、支援実績を増やしていきたいと考えています。

中期経営計画(3ヵ年計画) SHIFT-UP 2027

原田:外食ビジネスをトータルにサポートする機能のさらなる強化についてです。当社グループは食品卸にとどまらず、外食産業をさまざまな機能でサポートできる、業界でも稀有な存在です。この機能を強化することが他社との差別化につながると考えており、今後さらに強化していきたいと考えています。

そのためには、M&Aやアライアンスなどの方法を活用しながら推進していきたいと考えています。

その一環として、昨年9月に三協食鳥の株式を取得しました。同社は国産のチルド鶏肉を主力商品とし、お客さまのニーズに応じたカットや、焼き鳥店向けの串打ちなどを行って納入しています。

従来、業務用で流通している鶏肉は、外国産の冷凍品が大半を占めており、また、カットの規格も限定的なものが多い状況でした。

三協食鳥が当社グループの一員となったことで、チルドの国産鶏肉という新たな商材が増えたことに加え、お客さまのニーズに応じたカット機能も手に入れることができました。

飲食店が現在、人手不足で大変な状況にある中で、こうした課題を少しでも支援するため、厨房でのひと手間やふた手間の負担を軽減できるよう、今後もこのような機能の強化を進めていく考えです。

2027年1月期業績予想

原田:2027年1月期の業績予想についてです。売上高は、前期比5.5パーセント増の2,740億円を予想しています。前期は大阪・関西万博の特需がありましたが、それが当期は剥落する一方で、三協食鳥のグループ入りに伴う売上の寄与が見込まれます。

また、引き続きインバウンド需要が堅調に推移すると想定しており、国内のディストリビューター事業がそれに伴って売上高を牽引すると考え、このような予想としています。

坂本:今期も増益を予想されていますが、この達成に向けたドライバーは何になりますか? 特に売上の伸長については、国内事業の進展や出店、または海外展開が挙げられるかと思いますが、もう少し具体的なイメージを教えてください。

原田:今後の売上成長の中心として、まずは国内の既存事業エリアにおけるさらなるシェア拡大が重要だと考えています。その目標に向けて現在、成長投資をしっかり行いながら営業基盤を拡充しているところです。加えて、M&Aも引き続き寄与すると想定しています。

次に、営業利益は前年比4.4パーセント増の82億円を予想しています。今後は人件費や物流費の増加が見込まれますが、それを補うために売上高の増加に伴う粗利額の増加が経費の増加を吸収できると想定し、このような営業利益予想を立てています。

経常利益は前期比4.7パーセント増の83億円、当期純利益は前期比4.9パーセント増の48億円を予想しており、売上高および各段階利益ともに過去最高の数値を見込んでいます。

配当の状況

原田:株主還元についてです。スライドは配当の状況です。2026年1月期の年間配当は、1株当たり150円で配当性向は35パーセントとなりました。

現在進行中の2027年1月期は、1株当たり年間61円の配当を予想しています。前期に比べて減少しているように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、当社は今年2月1日付で普通株式1株につき3株の割合での株式分割を実施しています。

したがって、年間配当の61円を株式分割前に換算すると、当期の年間配当は183円となり、実質的に6期連続の増配予想となります。

また、中期経営計画における株主還元の目標として掲げていた2027年1月期までの配当性向40パーセントの達成について、予想どおり推移すれば2027年1月期の配当性向は40.5パーセントとなる見込みです。

さらに、スライド右側に記載のとおり、直近の当社グループの配当利回りは4.4パーセントとなっており、これは東証プライム上場企業の中でも比較的高い水準であると考えています。

坂本:来期以降の配当政策のイメージについて教えていただけますか? 

原田:現在進めている中期経営計画目標の配当性向40パーセントの達成を確実に実行できるように取り組んでいきたいと考えています。

来期以降の配当に関する考え方については、現時点でお示しできるものはありません。一方で、来期から開始する中期経営計画については現在しっかりと検討中です。計画が整い次第、その中で今後の配当方針や運用についてお示ししたいと考えています。

(参考)2026年1月末時点 PBR・ROE・PER

原田:スライドは当社のPBRの指標をROEとPERに分解したものです。ROEの水準は、他の食品卸会社の平均値11.6パーセントに対して、当社グループが14パーセントと比較的高い数値を記録しています。

PERの水準については、他社が11.2倍であるのに対し、当社は8.9倍と比較的低い数値となっています。この要因には、当社グループ全体の企業認知度の不足や、当社の成長戦略を投資家のみなさまに十分に伝えきれていないことが挙げられます。

したがって、今後は企業認知度の向上を図るため、積極的なIR活動を一層強化し、PBRやPERのさらなる向上を目指していきたいと考えています。

[参考]株主優待 (基準日:1月31日)

原田:株主優待です。300株以上をお持ちの株主の方には、買物割引券、オリジナル商品セット、「toho coffee」セットなどをお届けしています。

坂本:株主優待については、多くの会社が個人株主の拡大を目的として導入していますが、御社の場合、小売事業を展開されていることから、トーホーグループでの利用促進を目的としているのでしょうか? 株主優待の位置づけについて教えていただけますか? 

原田:今お話しいただいた目的は、どちらも想定しています。個人株主の拡大は目的の1つです。また、株主さまには株主優待を通じて、当社グループが運営する店舗や商品を体験していただき、それを通して当社グループへの理解を深めていただきたいという思いから、現在の内容を設定しています。

坂本:御社の扱う商品は業務用ですが、当然ながら個人の方も利用できる店舗ということですね? 

原田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:関東圏のシェア拡大の目標について

坂本:地域別の市場シェアについて、関東圏は一番大きな市場規模を持つ地域ですが、その中で御社の市場シェアは3.7パーセントとなっています。

御社はシェア拡大を図るため、配送網の整備や小回りの利く施設を作りながら、取り組みを進めているとのことでした。私自身、新宿の需要地に小回りの利く拠点を置いたことで、繁華街である渋谷や池袋などのたくさんの地域で売上の伸びが期待できると考えています。

今後の予測は難しいかと思いますが、具体的にいつまでにどの程度のシェア拡大を予想しているのでしょうか? 

原田:具体的な目標については開示していませんが、スライドをご覧いただくとおわかりのように、全体の国内市場構成として約43パーセントが関東市場です。当社グループの売上構成比としても、まずは40パーセント程度まで向上させることを目指しています。

質疑応答:三協食鳥の鶏肉加工機能と業績への寄与について

坂本:利益率の高いフードソリューション事業において、M&Aで取得した三協食鳥の鶏肉加工機能は、既存の卸売事業とどのようにシナジーを創出するのでしょうか? また、業績への寄与についても教えていただけると幸いです。

原田:三協食鳥はチルドの国産鶏肉を主要商品としており、加工機能を備えている点が強みの1つだと考えています。同社が持つカット機能は、飲食店の人手不足を支援することが可能であり、この機能を活用しながら、当社の既存食品卸事業とのシナジーを発揮することを目指しています。

また、業績への寄与としては、三協食鳥が昨年の9月にグループ入りし、当社グループは1月決算のため、前期の9月から1月の5ヶ月間の寄与となります。その売上は約45億円となります。当期に関しては残り7ヶ月分が売上に寄与する予定です。

坂本:三協食鳥の所在地は神戸市とありますが、関西圏を中心に展開されているのでしょうか? それとも全国規模で展開されているのでしょうか? 

原田:全国までとはいきませんが、東は京都から西は広島まで拠点を有しています。

坂本:それでは、かなり大規模な会社だということですね。

原田:おっしゃるとおりです。

坂本:三協食鳥のカット加工機能について、需要がある小売店や外食店の場合、カットしてほしいサイズが店舗ごとに異なるかと思います。例えば、焼き鳥店で「うちは大きいサイズが売りなので大きくカットしてください」といった要望がある場合、このような細かな要求にも対応できる体制を持っているのでしょうか? 

原田:ニーズに応じて対応できる能力は持っていますが、それなりの量が捌けないとなかなか供給するには難しい部分はあります。ですので、飲食店のニーズをある程度確認しながら、そこで量をまとめて作るかたちを取りたいと考えています。

坂本:現在は、ある程度規格が整っており、比較的小規模で需要のある飲食店にも対応が可能ということですね。

原田:そのとおりです。

坂本:次に、チルドについてですが、取り扱いがしやすいことから冷凍品を多く取り入れていたり、外国から輸入されるものは基本的に冷凍品だと思います。その中で、チルドにはどのような魅力があるのでしょうか? 

原田:やはり、チルドの魅力は味だと思います。冷凍品の品質もかなり向上してきていますが、それでも冷凍品に比べると、チルドの方が品質が良いと思います。

質疑応答:海外事業が営業利益に寄与し始める時期について

坂本:海外についてのご質問です。シンガポールへの「A-プライス」初上陸やベトナム進出が計画されています。この海外事業が全体の営業利益に寄与し始める時期について、もし目処があれば教えてください。

原田:現在、当社の海外事業ではシンガポールと香港が大きな割合を占めています。しかし、直近期の景況感はあまり良くなく、特にシンガポールの野菜卸事業では、競合会社の台頭や仕入れ環境の悪化により、苦戦を強いられた1年でした。

一方で、前々期までは海外事業全体が営業利益にしっかりと寄与していました。そのため、具体的な時期については明言できないものの、できるだけ早く回復できるように取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:中東情勢の影響と対応について

坂本:「中東情勢の影響はありますか?」というご質問です。

原田:具体的に発生しているケースはまだ少ないですが、今後、原油価格高騰による燃料代や物流費の上昇、資材不足や値上がりなどが原因で、仕入れが不安定になったり、仕入れ価格が上昇する可能性があると考えています。

今後も注視しながら、販売価格の管理を一層強化して対応していきたいと考えています。

質疑応答:中国からの旅行者減少の影響について

坂本:御社の月次での業績状況は非常に順調だと思います。海外からのインバウンド需要地への出店についてお話をうかがいましたが、中国人旅行者の減少が気になります。中国人旅行者の減少が御社の業績に与える影響はあるのでしょうか? 

原田:中国からの旅行者は減っていると思いますが、それを補うに余りある他国からの観光客数が存在しています。中国からの観光客減少によって、当社グループの卸部門が伸び悩んでいると感じることはありません。

坂本:インバウンド向けの飲食店が宮古島も含めて売上を立てている点が成長のポイントだと思います。

観光客が御社の業務用店舗で、いわゆる爆買いのようなかたちで商品を購入することはあるのでしょうか?  

原田:そのような光景を実際に目にしたことはありません。

坂本:生ものは持ち帰れないですしね。

原田:そうですね。

坂本:観光立地の店舗は、どちらかというと飲食店中心に需要があるというイメージで理解しておけばよいですね。

原田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:物価高と節約志向への対応について

向井:このような情勢の中で、物価高による節約志向が挙げられるかと思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか? 

坂本:個人のお客さまが、御社の「A-プライス」の店舗を利用されているのかというご質問ですね。 

原田:節約志向は高まっていると感じています。それに対して、飲食店さまであれ、個人のお客さまであれ、当社としていかに商品の良さをお伝えするかが重要です。

「どうしてもこの食材が高くなり過ぎたので使えない」といった飲食店に対しては、「これだったら品質がある程度保たれるかたちで使っていただけます」といった代替品の提案ができるかが鍵だと思います。これらの提案をしっかりと行うことが肝要だと考えています。

原田氏からのご挨拶

原田:ご視聴いただきありがとうございました。私どもの事業は、外食産業を通じて、みなさまの身近なところで食材を納入する事業です。今回を機に、当社のことを頭の片隅に残していただけましたら幸いです。本日はありがとうございました。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:食品卸業界では昨年、三菱食品が三菱商事の完全子会社となり、先月には伊藤忠食品に対する伊藤忠商事のTOBが成立し上場廃止となる予定です。業界再編の動きをどう見ているのでしょうか? 御社は国分グループ本社が大株主となっていますが、彼らの完全子会社になる可能性もあるのでしょうか?

回答:ご質問いただいた2社はリテール向けの食品卸で、業務用食品卸とは業態が異なります。業務用食品卸は、比較的集約が進んでいるリテール向けの卸と異なり、地域ごとに多くのプレーヤーが存在します。

一方、近年は後継者不足が課題となっており、当社では2009年からM&Aを活用し、考え方を同じくする会社にグループ入りしていただいています。業務用食品卸業界は当面はこのような動きになると考えてます。一方、各業界が物流面などで連携を進めているように、業務用食品卸業界においても同業間での物流などの連携は求められる時代になってきているとは感じています。現場ではフェアに競争しつつも業界共通の課題については協業を図るようなことも模索していくことは必要だと思います。

国分グループ本社さまは大株主でもあり古くからのビジネスパートナーでもあります。現在も物流などで協力関係にあり、今後も良好な関係を継続していきたいと考えています。

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