世界の「生きる」に届く技術を。
横川拓哉氏(以下、横川):みなさま、本日はご参加いただき誠にありがとうございます。株式会社ペルセウスプロテオミクス代表取締役社長の横川拓哉です。これより、2026年3月期決算についてご説明します。
ペルセウスプロテオミクスは、病に苦しむ世界中の人々のために、独自の抗体技術を駆使して新しい抗体医薬品の創薬を目指すバイオベンチャーです。当社の企業理念は「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」です。世界の「生きる」に届く技術を追求していきます。
目次
本日は、スライドに記載している4つの項目についてご説明します。
2026年3月期:計画と実績
最初に、2026年3月期の計画と実績についてご説明します。スライドの左側に計画、右側にそれに対応する実績を記載しています。計画は4点あります。
1点目は「PPMX-T003」および「PPMX-T002」の導出についてです。各パイプラインともに導出には至らず、現在も導出活動を続けており、みなさまのご期待に添えず申し訳なく思っています。
2点目は、臨床開発です。「PPMX-T003」のアグレッシブNK細胞白血病における医師主導治験のPhase1/2は、2026年3月に終了する計画でした。
スライド右側の実績をご覧いただくと、今年度に2例の登録があり、登録症例数は合計5例となっています。しかし、患者数が少ないため、治験期間は2027年3月31日まで1年間延長されました。
また、新たな治験施設として大阪大学病院が加わることになりました。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の創薬支援事業から助成金1億円を獲得しています。
3点目は、探索研究です。「PPMX-T004」の予備毒性試験において薬効と毒性のバランスを最適化し、非GLP毒性試験を開始する計画については、現在、計画どおり非GLP毒性試験を実施中です。
4点目は、基盤技術に関する2点です。1つ目は、「PPMX抗体ライブラリ2」のパイプライン化およびプラットフォームビジネスの展開に関する計画についてです。2つ目は、高効率シングルBセルプラットフォーム技術における要素技術の連結および検証を行う計画についてです。
「PPMX抗体ライブラリ2」の実績としては、Eurus Therapeutics社およびあすか製薬社と共同研究契約を締結しています。高効率シングルBセルプラットフォーム技術については、予定どおりTOKYO戦略的イノベーション促進事業の完了報告書を提出しました。
開発パイプラインの状況
それぞれのパイプラインの状況について、もう少し詳しくご説明します。スライドに掲載している表に、当社のパイプライン「PPMX-T003」および「PPMX-T002」の結果を示しています。
「PPMX-T003」の標的はトランスフェリン受容体1(TfR1)で、対象疾患は真性多血症とアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)です。真性多血症については、国内ではPhase1が終了し、現在導出活動中です。アグレッシブNK細胞白血病に関しては、医師主導治験のPhase1/2をAMEDの支援を受けて実施中です。
「PPMX-T002」の標的はカドヘリン3(CDH3)で、固形がんを対象とした抗がん剤です。こちらは以前、富士フイルム社に導出し、イットリウム90というベータ線を放射する放射性同位体(RI)を結合していたもので、Phase1のexpansionまで終了しています。
その後、富士フイルム社の事業方針の変更に伴いライセンスバックし、現在は当社が実施権を所有しています。当社は、この化合物の放射性核種をアルファ線を放射するアクチニウム225へ変更し導出活動を進めています。
なお、スライドの一番上に赤字で記載しているとおり、従来こちらに掲載していた「PPMX-T004」は非臨床試験のステージにあるため、いったん探索パイプラインの表へ移しています。
導出活動の状況
導出活動の状況についてご説明します。自社による導出のアプローチに加え、2026年3月期から新たにグローバルコンサルタントと契約を締結し、導出活動の強化を図ってきました。
「PPMX-T003」については、欧米やアジアの製薬企業、バイオファーマ、さらにはベンチャーキャピタルに対し、本剤の導出に向けたアプローチを繰り返し実施しています。本剤に興味を持つ複数の候補企業に対し、詳しい情報の提供を進めている状況です。今後は、真性多血症に加え、他の疾患への適用拡大も視野に入れ、導出活動を推進していきます。
「PPMX-T002」についても、本剤に興味を持つ複数の放射性医薬品開発企業に対し、本剤導出に向けたアプローチを繰り返し実施しています。今後は、特に最近、放射性医薬品の開発を強化している候補先を中心に導出活動を推進していきます。
PPMX-T003:抗体の特徴と真性多血症領域の進捗状況
各パイプラインの特徴と状況について、もう少し詳しくご説明します。「PPMX-T003」は、当社の独自技術であるICOS法を取り入れたファージディスプレイ法により取得した、完全ヒト抗体です。標的はTfR1です。
この作用機序については、スライド右側の図をご覧ください。左半分は、通常のトランスフェリンの細胞内に鉄がどのように取り込まれているかを示した図です。グレーの横線は細胞膜を表しており、グレーの横線の下側が細胞内、上側が細胞外を表しています。
それぞれの細胞が鉄を必要とする場合、鉄を取り込むためにTfR1が細胞膜上に現れ、細胞の外部と内部をつなぐトンネルのような構造を形成します。この時、TfR1は血液中を循環するトランスフェリンという鉄イオンと結合しているタンパク質を捕捉し、細胞内へ取り込みます。
図中の赤丸は鉄イオン、オレンジ色の半月型のものがトランスフェリンを表しています。鉄と結合したトランスフェリンはホロトランスフェリンと呼ばれます。これが通常の状態です。
それに対し、図の右半分は抗体によるブロックの状況を示しています。「PPMX-T003」をY字の形で示しています。この抗体がTfR1と強く結合することで、(ホロ)トランスフェリンが結合できなくなり、細胞の中に入るトンネルがふさがれます。その結果、細胞は鉄不足により死滅するか、増殖できなくなる仕組みです。
最新の状況として、Phase1は2024年6月に終了し、現在、論文投稿の準備中です。また、Phase1に参加した治験責任医師を中心に、臨床研究を実施しています。
この研究は、関西医科大学附属病院の血液腫瘍内科の伊藤量基先生が中心となり、治験に参加した患者さまの治験前の状況や、治験終了後の3ヶ月・半年・1年・2年後の病状を調査し、この薬剤がどのように作用しているかをさらに詳しく調べるものです。当初より少し遅れましたが、2026年6月30日に臨床研究は終了する予定です。
PPMX-T003:アグレッシブNK細胞白血病領域の進捗状況
「PPMX-T003」のアグレッシブNK細胞白血病領域の進捗状況についてです。2023年4月から2027年3月までの期間で、医師主導治験を行っています。スライド右側に掲載している日本地図の赤丸が付いた箇所が治験実施施設で、現在10ヶ所あります。
アグレッシブNK細胞白血病は非常に進行が早く、珍しい疾患であるため、各地域で患者さまが見つかった際に直ちに治験に参加できるネットワークを構築し、対応しています。
現在、この病気には治療薬が存在しないため、患者さまにとっては治験への参加が非常に重要になります。そのため、全国の血液内科の先生方を結び、ネットワークプログラムを構築しています。
現在はAMEDの支援を受けており、令和8年度には創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業に採択されています。令和8年度の当該治験費用として、1年間で1億円の助成金を獲得しています。
創薬パイプラインの状況
開発パイプラインに至る前の探索段階における創薬パイプラインの状況です。探索段階の創薬パイプラインは多数ありますが、その中から比較的研究が進んでいる5つを取り上げています。
1つ目のADC(抗体薬物複合体)「PPMX-T004」は、これまで開発パイプラインに掲載していたもので、UBE社と共同で研究開発を進めています。現在、抗体最適化の最終段階で非臨床試験を行っています。
2つ目のBsAb(多重特異性抗体)は、中部大学の先生とともに、血液がんに関して抗体取得から抗体最適化の段階に取り組んでいるところです。
3つ目のBsAb/ADCは、提携先は非公開ですが、固形がんの治療薬について抗体取得から抗体最適化の段階まで進めています。この薬剤は、BsAbかつADCということで、現在最も注目されている2つの技術を同時に取り込んだものです。
4つ目のADCは、国立がん研究センター(NCCJ)の先生と協力し、固形がんに関する抗体取得を進めています。
5つ目のnaked(IgG抗体)は、薬物が付いていない通常の抗体です。国立がん研究センターの消化器系の先生とともに、消化器系疾患に対する治療薬の研究を進めています。現在は抗体取得の段階にあります。
PPMX-T004:進捗状況
「PPMX-T004」について、もう少し詳しくご説明します。まず、「PPMX-T004」の特徴と現状です。「PPMX-T004」は、CDH3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)です。本剤はCDH3に強く結合した後、がん細胞内に非常に効率よく取り込まれるように設計されています。
その結果、マウスによる実験では高い抗腫瘍効果が確認されています。非GLP毒性試験が現在進行中で、2026年9月までに終了する予定です。
ADCの構成としては、スライド右下に示している紫色のY字が抗体部分であり、当社がこの抗体を開発しています。図の右側に示しているNovel linker(リンカー)とAE(低分子抗がん剤)の2つは、UBE社が開発しています。
「(Novel linker-AE)n」は、次にご説明するDAR(Drug Antibody Ratio:抗体1分子あたりの薬物結合数)を示しています。抗体1分子あたりで何個の抗がん剤が結合しているかにより、薬剤の性質は大きく変わります。
スライド右側のグラフをご覧ください。「a」と「b」の2つのグラフがあります。「a」のグラフは、横軸が投与後の日数、縦軸がマウスの背中に移植されたがん細胞の腫瘍の大きさを示しています。
一番上のPBSとある灰色のプロットが薬剤なしの場合です。その下に水色系のプロットが多数表示されています。これらは用量とDARを変えたものです。つまり、抗体1分子に対してNovel linkerと低分子抗がん剤をどの程度付加するのが適切かを検討した結果を示しています。
一番下の横軸に近いものがよいため、現在DAR4付近が望ましいと考え、詳細な検討を進めています。
「b」のグラフは、競合品との比較を示しています。他社でもCDH3に対するADCの抗がん剤の開発が進められています。横軸と縦軸は「a」と同様です。一番上のPBSとある灰色のプロットが薬剤なしの場合を示しています。
2番目の緑色のプロットは、ノバルティス社で開発していましたが、その後中止した薬剤を示しています。その下の2本の赤色系のプロットは、中国のバイオベンチャーが開発しているCDH3を標的としたADCで、こちらもよく効いていることがわかります。
一方で、水色系の2つのプロットは当社の「PPMX-T004」を示しています。「PPMX-T004」は赤色のプロットよりもはるかに高い抗腫瘍効果を示しており、がん細胞がほとんどなくなっている状況です。このような強い薬効が見られることから、これに対する開発を進めています。
抗体研究支援
ここまで創薬についてご説明してきましたが、当社では創薬以外にも抗体研究支援と抗体・試薬販売の事業も展開しています。ここでは、抗体研究支援について簡単にご説明します。当社の抗体技術を活用したサービス内容として、配列解析、組換抗体生産、VHH抗体研究支援、シングルBセルクローニングなど、多岐にわたるプログラムを提供しています。
本日は、VHH抗体の研究支援についてご説明します。抗体研究支援の売上高は、上場来6期連続で増加しており、最近特に力を入れているところです。VHH抗体は現在世界で非常に注目されている技術で、主にラクダ科の動物が持つ特殊な抗体です。
スライドに掲載しているY字型のIgG抗体は、通常抗体になります。それに対し、その右側に掲載しているVHH抗体は、IgG抗体の重要な部分だけを持つような構造となっています。
その結果、IgG抗体の分子量が150キロダルトンなのに対し、VHH抗体は15キロダルトンと約10分の1の大きさで、非常に作りやすく、生産コストも低いです。また、分子が小さいため、極めて高い熱安定性を持っています。
VHH抗体はラクダ科の動物から採取されます。ラクダ科としてよく知られているのは、アルパカ、ラマ、ラクダですが、多くの企業ではアルパカやラマが利用されています。
ラクダは非常に大きく扱いにくいですが、調査によると、ラクダはVHH抗体が全体の約70パーセントを占めており、残りの約30パーセントは通常のIgG抗体です。一方、ラマはVHH抗体が約45パーセント、アルパカは約25パーセントしか含まれていません。残りはIgG抗体です。ラクダが最もVHH抗体の含有率が高く、それに伴って多様性も非常に高くなります。
当社のVHH抗体ライブラリは、約20頭のヒトコブラクダから構築した10の10乗オーダーという多様性を持つ、ナイーブな抗体ライブラリです。他社と比較しても、非常に高い多様性を誇るVHHライブラリを当社が有していることがわかります。
抗体・試薬販売
抗体・試薬販売についてご説明します。当社は、ヒト核内受容体抗体全48種類をはじめ、90種類以上の製品を展開しています。2026年3月期には、新たに研究用抗体として3製品を発売しました。
新製品群はスライド左側に記載しているとおり、抗GPR87抗体、抗Exatecan抗体、抗S1PR3抗体の3種です。このうち2つは疾患研究用抗体であり、もう1つはADCで使用される抗がん剤を認識する抗体を研究用抗体として提供しています。
多くのユーザーは海外の研究者ですが、日本の研究者にも広くご利用いただいています。特にアカデミアの研究者から高い信頼を得ており、実験の精度と成功を確実にサポートする信頼のツールとして20年以上の実績を持ち、多くの先生方に活用されています。
2026年3月期:業績
ここからは、2026年3月期の決算概況について鈴川取締役からご説明します。
鈴川信一氏(以下、鈴川):取締役管理部長の鈴川です。まず、損益計算書の主要な項目をまとめた表をスライドに記載しています。
売上高は、前年同期比12.6パーセント増の1億3,500万円となりました。抗体研究支援の売上高は4,000万円で、前年同期比65.4パーセント増と大きく伸びています。
抗体研究支援の売上高は、先ほど社長からお話ししたとおり、6期連続で増加しています。抗体・試薬販売の売上高は9,500万円で、前年同期比0.8パーセントの減少となり、ほぼ前年並みでした。
販売管理費は8億6,100万円で、研究開発費とその他費用も前年同期比で減少しています。また、営業損失、経常損失、純損失額も前事業年度を下回りました。
なお、特別損失として本社の原状回復費用を計上しています。これは、2023年5月に実施した本社移転に関連し、監査法人から将来退去した場合の費用を計上すべきとの指摘を受けたためです。一定の条件の下、原状回復費用を見積もった結果、2,800万円となりました。また、固定資産の減損損失として900万円を計上しています。
2026年3月期:財務状況
貸借対照表の主要な項目をまとめたスライドです。3月31日時点の現金および預金は、15億1,500万円でした。新株予約権行使の払込みによる収入が5億円あったものの、研究開発費の支払いなどに伴うキャッシュアウトにより、前年同期比で1億5,200万円減少しました。
また、固定資産が前事業年度末の4,200万円から2,800万円減少の1,400万円となっています。これは、移転した本社ビルへの入居時に収めた敷金の一部を、前のスライドでご説明した本社ビルの原状回復費用として2,800万円を充当したためです。なお、原状回復費用の計上によるキャッシュへの影響はございません。
負債の部においては、固定負債が3億4,000万円と、前年同期比で7,900万円増加しています。これは、アグレッシブNK細胞白血病の医師主導治験に対するAMEDからの補助金を預り金として計上しているもので、全額がAMEDからの補助金です。
第29回新株予約権の概要
2026年1月5日を割当日、マッコーリー・バンク・リミテッドを割当先として、第29回新株予約権の発行を行いました。3月31日時点の行使率は61パーセントで、払込額は5億円です。
2027年3月期:計画
横川:2027年3月期の計画についてご説明します。2027年3月期の計画は、4点挙げています。1点目として、「PPMX-T003」および「PPMX-T002」の導出活動を徹底的に継続・強化していきます。
2点目は臨床開発についてです。「PPMX-T003」のアグレッシブNK細胞白血病に関する医師主導治験を2027年3月に終了する予定です。
3点目は探索研究として、「PPMX-T004」の非GLP毒性試験を2026年9月までに終了する予定です。また、抗体MCB(マスターセルバンク)の製造にも着手します。
抗体を生産する細胞を大量に作成したものを凍結保管し、そこから少しずつ取り出して毎回同じ細胞で抗体を生産します。MCBはその製造の起点となる細胞株の凍結保管ロットで、重要なステップです。こちらを2027年1月頃に開始する予定です。
4点目の基盤技術については、それぞれ課題を設定しました。まず、「PPMX抗体ライブラリ2」に関しては、パイプライン化の推進とプラットフォームビジネスとして事業をさらに拡大していきます。
高効率シングルBセルプラットフォーム技術に関しては、技術が完成したため、今後は事業化に向けたビジネスモデルの構築を進める計画です。
事業展開:抗体取得技術とAI創薬の融合による技術の深化
今後の成長戦略について、2枚のスライドを用いてご説明します。まず、事業展開の方向性として、抗体取得技術とAI創薬の融合による技術の深化を掲げています。
スライド中央に示している8の字の図は、当社が得意とするWet技術と、それを支援するかたちでDry系のin silicoの技術を融合し、効率的に回すことを表しています。
Wet系による戦略として、先ほどお話ししたように、伝統的なハイブリドーマ技術に加え、ファージディスプレイおよびシングルBセルを擁しており、当社の抗体取得能力を大きく強化しています。これにより、世界レベルの抗体取得体制は整っている一方、新しいテーマに関しては、非常に取りにくい抗体やヒットを得るのに時間がかかるという難しい課題が依然として残っています。
それに対して従来型ですべて行うのは効率が悪いため、当社でこれまで蓄積してきた抗体の配列情報や結合性や安定性などの特性値をデータベースに集約し、そのデータを活用するためにDry技術を導入するというものです。
Dry技術によるAI創薬はまだ萌芽期の技術ではありますが、新たな抗体の創造や設計、親和性や物理的性質の改善における役割が期待されています。
市販のソフトウェアも多く存在する中で、当社では独自のソフトウェアを開発し、データベースの情報を最大限に活用できる仕組みを構築していきます。これにより、Wet技術とDry技術のスパイラルを回し、効率の向上を目指します。
スライド下段に記載している創薬プロセスをご覧ください。まず評価系を構築し、続いて抗体を取得して、最適化を行い、非臨床試験で問題がなければ臨床試験に進むという流れです。その中で、赤枠で囲んでいる2つの工程、抗体取得と抗体最適化の部分において、この技術が活用されるということです。
事業展開:3つの事業ポートフォリオが織りなすシナジー
最後に、当社の3つの事業ポートフォリオが織りなすシナジーについてご説明します。まず、スライド上部に記載している創薬についてです。これは、独自の基盤技術を用いて画期的な新薬を創出し、会社の価値を最も高めるものです。
これを中心に、抗体研究支援として、抗体に関するニーズや新しい技術は、製薬会社や研究機関との共同研究から生まれると考えています。例えば、製薬企業で「この抗体がうまく取得できない」「新しい抗体を作りたい」といったニーズがあり、当社に声をかけていただいた場合は、共同で創薬活動を行います。最近はこちらに非常に力を入れています。
抗体・試薬販売については、先ほどお話ししたとおり、当社には20年以上の実績があります。当社の研究用試薬は世界中のアカデミアや企業で使用されており、安定的なキャッシュを生む収益構造の基盤となっています。この分野も引き続き伸ばしていきたいと考えています。
今後も投資家のみなさまにご支援いただきながら、本日ご説明した中長期の課題を達成できるよう努めていきます。引き続き、ご支援いただけますようお願いします。
説明は以上です。
質疑応答:「PPMX-T003」「PPMX-T002」の導出活動の見通しについて
鈴川:開発中の「PPMX-T003」および「PPMX-T002」について、2025年3月までに導出予定とうかがっていましたが、未達に終わりました。その後も導出活動を継続し、1年が経過しています。各薬剤は治験が終了しており、新しいデータが増えるわけではないと思いますが、いつまで導出活動を続けるのか、今後の見通しについて教えてください。
横川:導出活動は粘り強く続けていく考えです。「PPMX-T003」は興味を持つ候補企業を選定し、複数の企業に情報提供をしています。今後は真性多血症に加え他の疾患への適応拡大も視野に導出活動を推進する予定です。
「PPMX-T002」に興味を持つ企業はあります。今後は最近放射性医薬品の開発を強化している候補先を中心に導出活動する予定です。
質疑応答:「PPMX-T004」のPhase1開始時期と導出活動計画について
鈴川:「PPMX-T004」は次のパイプラインとなるのでしょうか? Phase1はいつ頃から開始する計画なのか、また導出活動を始めるのはPhase1の結果が出てからという理解でよいのかを教えてください。
横川:「PPMX-T004」は2027年1月から2028年3月の間に抗体MCBならびにエンジニアリングバッチの製造を予定しており、その後、GLP毒性試験開始に向けたCROへの委託準備に入る計画です。Phase1はGLP毒性試験の終了以降となる予定です。
質疑応答:グロース市場上場維持基準への対応と事業方針について
鈴川:グロース市場に上場しているバイオベンチャーの中には、東京証券取引所の上場維持基準見直しを受けてビジネスモデルを変更する企業も出てきています。御社はこれまでどおり、創薬、抗体研究支援、抗体・試薬販売のままで事業を進めていくのでしょうか? また、グロース市場上場維持基準を達成可能であると考えていますか?
横川:現時点で発表できる決定事項はありません。しかし、見直し後のグロース市場上場維持基準の達成に向けてさまざまな視点で検討を行っています。
質疑応答:「PPMX-T003」「PPMX-T002」の導出が遅れている要因について
鈴川:「PPMX-T003」「PPMX-T002」の導出状況や交渉についてです。なぜここまで時間がかかっているのでしょうか?
「PPMX-T003」については、競合品が上市され苦戦しており、また別の競合品はPhase3と先行しています。導出にあたり、交渉先はどこをボトルネックと考えているのでしょうか? また、導出活動が長引くほど機会損失が拡大していきますが、その点についてはどのように考えていますか?
横川:最近の製薬企業は開発後期の製品を優先して導入するという傾向があります。
「PPMX-T003」は、Phase1に時間を要したこと、また臨床データがPhase1までであることも一つの理由になっていると思います。しかし、本剤は競合品とは異なる新しい作用機序の抗体です。将来的には真性多血症治療薬の中で組み合わせて使っていただけ、棲み分けられる可能性があると考えています。
本剤は真性多血症に苦しむ患者さんに必ず届けなければならない治療薬だと考えており、導出が実現するまで粘り強く取り組む覚悟です。
「PPMX-T002」は、これまでアクチニウム225の供給が不安定であるという点がボトルネックでした。しかし、その状況は世界的に改善傾向にあります。日本においても政府が放射性医薬品供給の課題解決に向けて検討会を立ち上げています。供給体制が整ってくれば改善の方向に向かうと考えています。
ご指摘のとおり、導出活動は長引くほど機会損失が拡大していく側面がありますが、両剤それぞれが持つ真の価値をご理解いただき、それを導出の実現へと結びつけていきたいと考えています。