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ヌーラボ、収益構造改善 「SaaSの死」論を乗り越え、ユーザ無制限モデルとAI戦略で27年3月期は過去最高益更新見通し

目次

橋本正徳氏:みなさま、こんにちは。株式会社ヌーラボ代表取締役の橋本正徳です。本日は、当社2026年3月期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、スライドの目次に沿ってご説明します。エグゼクティブサマリー、業績およびKPI推移、トピックス、2027年3月期業績予想、会社概要、サービス内容、想定質問への回答という構成です。

エグゼクティブサマリー

はじめに、2026年3月期の通期決算概要と2027年3月期の見通しについてサマリーをお伝えします。通期売上高は43億9,300万円で、前期比プラス6.8パーセントとなり、過去最高を更新しました。

営業利益は3億5,400万円で、前期比マイナス44.6パーセントと減益となりましたが、将来に向けた戦略的投資を実施しながらも計画を上回って達成しています。当期純利益は1億7,800万円で、前期比マイナス67.7パーセントとなりました。

これは海外子会社2社の清算決定に伴う事業構造改善引当金を計上した影響です。本件の事業構造の改善が、今後の利益改善に大幅に寄与する見通しです。

2027年3月期の見通しは、売上高47億3,400万円で前期比7.7パーセント増、営業利益6億5,000万円で前期比83.3パーセント増と、大幅な増益を計画しています。単価向上施策と事業構造の改善により、利益項目では過去最高益の更新を見込んでいます。

今後の取り組みについてです。AIを活用した運用支援機能「Backlog(バックログ) AIアシスタント」を2026年3月に正式リリースしました。ベータ版での高い評価を背景に、強い引き合いをいただいており、有料オプションの拡販を推進していきます。

また、「Backlog」に依存しない非連続な成長モデルの確立に向け、新プロダクト開発とM&Aに注力するほか、新規事業創出プログラム「Nu Source(ヌーソース)」も推進し、新たな収益源となるイノベーティブなプロダクト開発を促進していきます。

「Backlog」は、ID課金ではなくユーザー数無制限で使えること、「Backlog」内に蓄積される業務の膨大なナレッジデータを強みとして、AIとの共生を通じて「チームの仕事を前に進める世界」を実現していきます。

Backlogの主要KPI

「Backlog」の主要なKPIについてです。有料契約件数は、2026年3月末時点で1万5,676件となり、第3四半期比で221件増加しました。

有料ユーザー数は150万人を突破しました。月次解約率は、売上ベースで0.27パーセント、件数ベースで1.07パーセントと低い水準で推移しています。

「Backlog」の料金体系は、ユーザー数無制限であることから、有料ユーザー数の増加がトップラインの成長に直結するものではありません。ただし、「Backlog」のユーザー数が増加することは将来のリファラルにつながると考えており、これからも大切にしていきます。

通期業績ハイライト

2026年3月期の業績およびKPIの推移についてお話しします。まず、通期業績のハイライトです。

2026年3月期の売上高は43億9,000万円、2021年3月期以降のCAGRは約18パーセントで、そのうち「Backlog」の売上高は40億4,000万円、「Backlog」のCAGRは約17パーセントとなりました。

売上総利益は32億4,000万円、営業利益は3億5,000万円です。なお、国内売上高が全社売上高の98.2パーセントを占めています。

P/Lサマリー

P/Lのサマリーです。第4四半期の売上高は11億2,900万円で、前年同期比7.3パーセント増となりました。第4四半期は戦略的な広告宣伝費の投入により、営業利益が一時的に圧縮されています。

通期の売上高は43億9,300万円で、前期比プラス6.8パーセントとなり、過去最高を更新しています。期初計画には未達でしたが、解約率は低水準を維持し、成長鈍化は底を打ち、再成長の兆しが確認できています。

通期の営業利益は計画を達成しました。ただし、海外子会社の清算に伴う事業構造改善引当金の計上により、当期純利益は1億7,800万円となり、前期比マイナス67.7パーセントとなりました。

ただし、一連の構造改革に関する影響については引当済みであり、2027年3月期以降には収益性が大幅に向上する見込みです。

主要なKPIである有料契約件数について、「Backlog」はプラス913件となり、前年のプラス634件を大きく上回る成果を達成しました。

全プロダクトの有料契約件数合計については、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo(カクー)」の解約件数が新規契約数を上回る推移となった影響が含まれています。

ただし、全体の解約件数は前年度から減少しており、解約率は低い水準を維持しています。

売上高の推移(通期)

スライドは通期売上高の推移を示しています。着実に成長を続けています。

コスト構造(全社)2026年3月期 第4四半期

第4四半期のコスト構造についてです。昨年度から大きな変化はなく、労務費を含む人件費、通信費、広告宣伝費が大きな割合を占めています。

広告宣伝費については、第4四半期に戦略的に投入したため、一時的に増加しています。

コスト構造(全社) 2026年3月期 通期

通期のコスト構造についてです。通期では、人件費が13億6,000万円、広告宣伝費が6億9,600万円、通信費が5億3,600万円となっています。

Backlog月次解約率の推移

スライドは、「Backlog」の月次解約率の推移を示しています。件数ベース、売上ベースともに低水準で安定的に推移しており、ストック型ビジネスとして収益の安定性が継続しています。

Nulab Pass提供開始後の進捗

「Nulab Pass(ヌーラボパス)」の状況です。「Backlog」の新規導入顧客に対するセールスチームの提案活動等により、引き続き順調にライセンス数を伸ばし、10万件を突破しました。また、新規契約の積み上げや既存顧客のライセンス追加による成長が継続しています。

Backlog AIアシスタント 提供開始

トピックスです。今期の主な動きとして、AIを活用した新機能の提供を開始したこと、新規事業創出プログラムの進捗、海外子会社の清算についてお話しします。

まず、「Backlog AIアシスタント」の提供開始についてです。ベータ版のトライアルを経て、2026年3月5日に正式リリースしました。これは、プロジェクトの進捗状況を可視化し、意思決定を支える運用支援AI機能です。

従来の汎用AIは、プロンプトに依存した一般的な情報生成にとどまりますが、「Backlog AIアシスタント」は業務データに基づく継続的な進行管理を実現できます。

プロジェクトの進捗把握やレポート作成、課題間の関係整理など、運用中に発生する思考や判断を伴う作業を、対話を通じて支援するものです。

Backlog AIアシスタントによるナレッジデータ活用の業務適用

「Backlog AIアシスタント」によるナレッジデータ活用の業務適用領域についてです。「Backlog」に蓄積された業務データを活用することで、プロジェクト運用における活用領域が広がっています。

主な活用領域として、1点目に「プロジェクト情報の整理」として、課題ステータス、コメント、担当者情報を基にした進捗把握が挙げられます。

2点目は「課題・ドキュメントの検索」、プロジェクト横断の情報検索および文脈把握です。

3点目は「課題の作成・更新」、関連情報を踏まえた課題の作成および更新となります。

4点目は「担当者選定の支援」、過去の対応履歴や関与状況に基づく担当者判断です。

5点目は「プロジェクト状況の検知」、過去プロジェクトとの比較による進行状況やリスク検知となります。

ベータ版でも高い評価をいただいており、有料オプションとしての拡販を進めていきます。

事業創出プログラム「Nu Source(ヌーソース)」第3回目のアイデア公募期間を終了 複数プロジェクトがプロトタイピングを実施中

事業創出プログラム「Nu Source」についてです。2025年1月に始動した「Nu Source」は、これまでに86件のアイデアが応募され、複数のプロジェクトがプロトタイピングフェーズに移行しています。

このプログラムは、業務効率化、会議、プロダクト開発など、さまざまな業務課題にアプローチします。特にpostalk社との連携については、独立事業化ではなく、postalk社の持つ「思考構造化技術」を「Backlog」に活かし、パートナーシップのもとで連携機能を開発し、会議音声からタスクを生成する機能が可能となりました。

今年度からは、プログラム内容を大幅に改善する予定で、技術領域では「デスクトップロボ」および「エッジAI」の募集に注力する方針です。

海外連結子会社(Nulab USA/Nulab Netherlands)の解散・清算について

海外連結子会社2社の解散・清算についてご説明します。当社は、SaaSプロダクトのグローバル展開を目的に、米国およびオランダに現地法人を設立し、マーケティングおよび開発拠点として運営してきました。

しかし、近年の急速な円安進行に伴い、ドル建ておよびユーロ建ての運営コストが設立当初の想定を大幅に上回ったことに加え、両社の海外売上が連結全体に占める割合がわずか1.8パーセントにとどまっていました。

こうした事業環境の変化とグループ収益構造の見直しを踏まえ、両社の解散・清算を決定しました。本件に伴い、2026年3月期は特別損失として事業構造改善引当金9,800万円を計上しています。

内容は、専門家費用や解雇関連費用などを含む構造改革費用となります。ただし、連結売上高への影響はありません。これは、両社の売上が当社親会社向けの内部取引に限られ、連結財務諸表上で相殺消去されるためです。

当期利益への影響として、純利益は1億7,800万円、前期比マイナス67.7パーセントとなりますが、構造改革の影響分はすべて引当済みです。

2027年3月期以降の見通しとして、構造改革費用の一過性影響が消滅し、3億円から4億円規模の収益改善効果を見込んでいます。

グループ経営資源を国内コア事業やAIなどの重点投資領域に集中させ、持続的な企業価値の拡大を図ります。なお、カスタマーサポートは国内で継続し、海外ユーザーに対する売上への影響は最小限にとどめます。

2027年3月期業績予想

2027年3月期の業績予想についてです。売上高は47億3,400万円で前期比7.7パーセント増、営業利益は6億5,000万円で前期比83.3パーセント増を見込んでいます。また、経常利益や当期純利益などの利益項目についても、過去最高益の更新を予想しています。

トップラインの計画については、足元の状況と単価向上施策等の効果を考慮しています。「Backlog AIアシスタント」の有料オプション拡販、新プロダクトの投入、「NulabPass」の拡販など単価向上施策を実施し、さらにAI機能の拡張によってさらなる成長を目指していきます。

今後の方針としては、これまでの新規契約件数の大幅な増加を目指す戦略から、契約の質を重視する方向へ舵を切り、新プロダクト開発とM&Aに注力していきます。

今期内には、新プロダクトのリリースを目指しており、新規事業創出プログラム「Nu Source」を推進して、非連続な成長を実現していきます。

コスト面では、通信費(売上原価)について、ユーザー数の増加、効率化ツールの導入、機能開発・実装によるAWS使用量の増加を見込み、通期で6億4,600万円、前期比20.7パーセント増の計画としています。

広告宣伝費については、リード・トライアルの獲得や有料コンバージョン率向上のための施策を実施する一方で、海外分の減少を織り込み、通期で5億6,600万円、前期比18.7パーセント減の計画です。

全社人件費は、海外子会社の人員減少もあり、通期で19億8,700万円、そのうち労務費は7億4,400万円で、前期比3.4パーセント減の計画としています。

AI等の活用による開発効率の改善や、非生産活動時間の短縮により、生産性を向上させていきます。

既存事業への依存を超えた新たな成長モデルの確立を目指し、中期的な売上成長を最優先課題として資源を戦略的に配分していきます。

ブランドメッセージ

株式会社ヌーラボの会社概要についてご説明します。当社は、「“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」というブランドメッセージを掲げ、SaaS型のコラボレーションツールをサブスクリプションで提供しています。

Mission&Value

当社は「To make creating simple and enjoyable」をミッションに掲げ、「Try First」「Love Differences」「Goal Oriented」という3つのバリューを中心に据えています。

会社概要

当社は福岡本社のほか、東京事務所、国外ではニューヨークとアムステルダムに子会社を持ち、グローバル市場で競争力のあるソフトウェアを国際的なチームで開発・運営してきました。従業員数はグループ全体で207名です。

なお、先ほどお伝えしたとおり、アメリカ法人とオランダ法人については解散・清算を決定しており、今後は国内拠点を軸とした体制に移行します。

経営メンバー 代表取締役

代表取締役である橋本の略歴が記載されています。1976年に福岡県で生まれ、福岡県立早良高等学校を卒業後、プログラマーとしてオープンソースソフトウェアや開発コミュニティの文化の影響を受けながら、Webアプリケーション開発やチーム開発の知見を深めてきました。

2004年には、福岡で「無の状態から有を創り出す研究所」という意味を込めて株式会社ヌーラボを設立し、代表取締役に就任しました。

会社沿革

会社沿革です。当社は2004年に設立し、創業当初はお客さまのソフトウェア開発を請け負っていました。2006年から自社サービスの開発と運用を開始し、2013年に受託請負事業を終了し、自社サービスに集中する現在のビジネス形態となりました。

現在は、プロジェクト・タスク管理ツールの「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツールの「Cacoo」、セキュリティとアカウント管理サービス「Nulab Pass」の3つの製品を提供しています。その中でも主力サービスは「Backlog」で、売上の大部分を占めています。

サービス概要

サービス概要です。主力サービスである「Backlog」、続いて「Cacoo」「Nulab Pass」の順に説明します。

Backlog 有料契約数15,000社以上 有料利用ユーザー数150万人以上

「Backlog」は、有料契約数1万5,000社以上、有料利用ユーザー数150万人以上に利用されている、チームの進行を支えるプロジェクト・タスク管理ツールです。プロジェクト管理に必要な機能がオールインワンで揃っているため、面倒な準備をせずにすぐにプロジェクトを開始することができます。

直感的な操作性により、エンジニア・非エンジニアを問わず利用しやすい設計となっています。プロジェクト全体の状況を可視化し、チームの情報を集約することで、関係者間の連携を強化していきます。

さらに、蓄積された業務データをもとにAIが状況整理や情報検索、課題作成などを支援する機能も新たに加わりました。

Backlog プロジェクト管理・タスク管理に必要な機能がオールインワン

「Backlog」の料金の大きな特徴は、「スタンダードプラン」以上であれば、ユーザー数が無制限でご利用いただける点です。他の一般的なSaaSサービスとは異なり、ユーザー数に依存しない料金体系となっています。

ユーザー数が無制限であるという特徴を活かし、ユーザーのみなさまは、自社だけでは完結しないプロジェクトを進める際に、気軽に社外の関係者を招待し、一緒にプロジェクトを進めることが可能です。

成長著しいスタートアップ企業や、申請や稟議の手間が多い行政の方々でも、プロジェクトメンバーを巻き込むことができます。

また、大企業など、ツール導入時にセキュリティ面を重視する企業に対しては、セキュリティ強化オプション「Nulab Pass」を組み合わせることで、提供価値をさらに向上させていきます。

Backlog 幅広い顧客ラインアップ

スライドは導入企業の一例です。幅広い業種でご利用いただいています。「ITreview Grid Award」では、プロジェクト管理ツール部門で25期連続受賞を達成したことをはじめ、優れたサービスとしてさまざまな賞をいただいています。

Backlog チームの業務にAIが応える「Backlog AIアシスタント」

「Backlog AIアシスタント」の機能詳細です。組織のブラックボックスを解消し、状況把握と報告の即時作成、さらにドキュメント作成作業からの解放を実現します。

また、データの安全性にも十分配慮しており、入力データおよびプロジェクト情報はAIモデルの学習には利用されない設計となっています。

AIが参照可能なデータは、ユーザーが参加しているプロジェクト内に限定されており、管理者によってAIアシスタント機能の有効・無効を切り替えられる仕様です。

今後の開発予定機能として、AI生成内容のドキュメント保存、プロジェクトデータの理解・分析の高度化、AI利用状況の可視化、利用制御・権限設定の拡張、AIアシスタントの定期実行などを計画しています。

Cacoo 利用ユーザー数は世界で400万人以上

「Cacoo」についてです。「Cacoo」は、誰でも使えるシンプルな機能で、チームのアイデア共有を加速するクラウド環境のオンラインホワイトボードツールです。豊富なテンプレートやバージョン管理機能により、チームのコラボレーションを促進します。

例えば、「Backlog」のドキュメントや「Wiki(ウィキ)」で使用する図を「Cacoo」で描けば、特別な編集ツールをインストールしていなくても、ブラウザさえあれば誰でも簡単にわかりやすい図を作成・共有できます。

無料ユーザーを含め、世界で400万人以上の方々にご利用いただいています。

Nulab Pass 有料契約数460件以上、ライセンス数 100,000件以上

「Nulab Pass」は、ヌーラボサービスを利用する組織のアカウントを一括管理するためのツールです。有料契約数は460件以上、ライセンス数は10万件以上に達しています。

また、シングルサインオン(SSO)機能や、ユーザーの操作履歴を追跡可能な監査ログ機能も提供しています。さらに、ユーザープロビジョニング機能を搭載し、アカウント管理の効率化にも貢献するサービスとなっています。

ヌーラボのAI戦略の構想について

ヌーラボのAI戦略の構想についてご説明します。Nulabプロダクトを起点として業務のナレッジデータを基に、AIでチームの仕事を前に進める世界を実現していきます。

「Backlog」「Cacoo」「Nulab Pass」といった各プロダクトに蓄積される業務データを活用することが、当社の競争優位性の源泉になると考えています。

中期経営計画および成長可能性に関する説明資料の公表予定について

最後に、中期経営計画および成長可能性に関する説明資料の公表予定についてお知らせします。現在策定中の新戦略を反映させた上で、2026年6月24日の定時株主総会前までを目処として、開示を行う予定です。

スライドはまだ続きますが、いったん私からのご説明は以上とします。最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

Q&A ①業績・利益構造・株主還元

事前にいただいたご質問および当社で想定した主要なご質問への回答をスライドにまとめています。順を追ってご説明します。まずは、業績・利益構造・株主還元に関するご質問です。

Q1は、「2026年3月期は売上高は過去最高を更新した一方、通期計画に対しては未達となりました。計画との乖離が生じた主因を教えてください」というご質問です。

計画との乖離が生じた主因は、成長の再加速を狙い、過去の実績値からさらに一段引き上げた高い獲得目標を設定したことにあります。新規獲得について、「Backlog」単体の純増契約件数は前期比で約1.4倍のプラス913件と増加し、月次解約率は0.27パーセントと極めて低水準で推移するなど、施策自体は着実に成果を上げ始めています。

Q2は、「2027年3月期の営業利益は前期比プラス83.3パーセント、6億5000万円と大幅な増益予想ですが、その算出根拠と実現性について教えてください」というご質問です。

大幅増益の背景は、プロダクトの付加価値向上による「トップラインの着実な成長」と、不採算事業の整理をはじめとする「収益構造の抜本的改善」の2点です。

Q3は、「2026年3月期、2027年3月期ともに配当は0円、つまり無配ですか? 株主還元の考え方を教えてください」というご質問です。

現時点では、AI機能の開発・強化、新プロダクトへの投資、M&Aを含む事業拡大機会への対応を優先することが、中期的な企業価値向上に最も資すると判断しています。

なお、2026年3月期は約1億円の自己株式取得を実施しました。市場環境や資本効率を踏まえ、引き続き自己株式取得について検討していきます。

Q&A ②「SaaSの死」

Q4は、「『SaaSの死』が議論されていますが、AIエージェントによって自社ビジネスモデルが代替されるリスクをどう認識していますか?」というご質問です。

AIエージェントの普及に伴い、「SaaSの死」が議論されていますが、当社のビジネスモデルが代替されるリスクについて、認識を整理します。主なリスクは3点です。

1点目はシートベース収益モデルの崩壊、2点目は参入障壁の低下およびコモディティ化、3点目はUIの不要化です。

まず、1点目のシートベース収益モデルのリスクについてですが、「Backlog」はそもそもシートやID課金ではなくスペース課金モデルを採用しているため、構造的にこのリスクから切り離されています。「スタンダードプラン」以上ではユーザー数が無制限であり、AIエージェントによる業務処理量が増加しても追加料金が発生することはありません。

2点目の参入障壁の低下およびコモディティ化リスクについて、当社の競争優位性は、機能の多さではなく「日本市場への深い適合」「ブランドへの信頼と口コミ文化」「20年近い顧客との関係性」に根ざしており、これらはAIで短期的に複製できるものではありません。

Q&A ②「SaaS is Dead」

3点目のUI不要化リスクについてです。当社のUIは「エージェントが操作するための入力インターフェース」ではなく、「人間とチームの合意形成・意思疎通を支える場」として設計されています。この本質が変わらない限り、UIの価値は失われません。

当社は「Backlog」や「Cacoo」の真の価値を、操作のしやすさだけでなく、プロジェクトの進捗を可視化し、チーム全体で共有することでコミュニケーションコストを下げることにあると考えています。

また、AIエージェントとの接続を前提とした対応も、技術的に先行して進めています。具体的には、「Backlog」のMCP(Model Context Protocol)サーバーを2025年5月に公開しており、AIエージェントと「Backlog」を直接接続する技術基盤の整備を進めています。

「Backlog」は、UIを通じた人間による操作とMCPを通じたエージェントによるAPI操作が共存するかたちで、AI時代においても業務の中枢に居続ける設計となっています。

Q&A ③海外子会社清算・M&A

Q5は、「海外拠点(現地法人)の清算により、海外展開は事実上断念したと理解してよいでしょうか?」というご質問です。

海外展開自体を断念したわけではありません。本件は「現地法人による直接展開モデル」から「国内拠点を軸とした効率的なグローバル・オペレーション」への戦略的転換となります。

既存の海外ユーザー向けサービスは継続し、国内からのリモートサポート体制で売上高を維持していきます。

Q6は、「M&Aの検討状況について、対象領域や実行時期の目途を教えてください」というご質問です。

現時点で公表すべき具体的な案件はありませんが、中長期的な企業価値向上に向け、「非連続の成長モデルの確立」を重視したM&A戦略を推進しています。

対象領域は、「Backlog」に依存しない非連続な成長モデルの確立を目的に、業務コラボレーション領域や隣接領域でのM&Aを検討しています。

財務面では、期末時点で多くの現預金を保有しており、強固な財務基盤を維持しています。手元資金に加え、高い借入余力を活用した資金調達が可能な状況です。

時期については、2027年3月期中の実行を視野に入れ、現在は候補案件の獲得に向けたソーシング活動を加速させています。

M&Aを含む成長戦略の詳細については、6月公表予定の中期経営計画にてあらためて説明する予定です。

以上、想定されるご質問への回答とします。

最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

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