■CSSホールディングスの業績動向
1. 2026年9月期中間期の業績概要
2026年9月期中間期における日本経済は、中東情勢の悪化など地政学リスクの高まりや原材料・労務費の高騰の影響など、先行き不透明な状況が継続した。一方で、企業努力や各種政策の効果により雇用・所得環境が改善し、緩やかに回復した。燃料価格高騰に伴う航空各社の減便や航空運賃の高騰に伴い訪日インバウンド動向が懸念材料となるものの、観光業界の好況により堅調に推移している。
このような環境下、同社グループでは2025年9月期~2027年9月期の3ヶ年の中期経営計画「Go Beyond! Next20」を推進している。中期経営計画の2年目となる2026年9月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比5.0%増の10,383百万円、営業利益で同10.5%増の566百万円、経常利益で同8.6%増の576百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同27.7%増の386百万円となった。中間純利益の大幅増益は、特別利益として投資有価証券売却益を計上したことによる。
売上原価の増加に伴い売上総利益率は前年同期比0.7ポイント低下の16.9%であったものの、販管費の減少により、営業利益率は同0.3ポイント上昇の5.5%、経常利益率は同0.1ポイント上昇の5.5%、中間純利益率は同0.6ポイント上昇の3.7%となった。
期初予想との比較では、売上高は予想比0.6%減と下回ったが、営業利益は同10.0%増、経常利益は同11.9%増、親会社株主に帰属する中間純利益は同20.9%増と、各段階の利益は予想を大きく上回った。2026年9月期通期の業績予想達成に向けて、順調な決算であったと弊社では評価している。
主力のスチュワード事業は堅調、空間プロデュース事業が大幅増益
2. 事業セグメント別動向
(1) スチュワード事業
売上高は4,967百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益は386百万円(同7.1%増)、営業利益率は7.8%(同0.2ポイント上昇)となった。大型ホテルの開業に伴う新規受注や、既存顧客との契約更改時における適正な利益確保により増収増益、同社の主力事業として堅調な決算であった。
当中間期には、新規事業所4件を開業したが、通常の半期に6~7件、通期で10件超のペースに比べてやや遅れている。外資系ブランドを中心に積極的なマーケット参入による大型ホテルの開業は続いており、新規受注に向け積極的な営業活動を行った。前期より注力中の病院案件は今期中の開業により、累計8件以上になる見込みである。従来は食器洗浄や清掃を自前で行ってきた病院でも、今後はスチュワード専門業者を頼る機会が増えそうだ。また、既存の顧客との契約更改時には、人件費等のコストアップ要因に対して顧客の理解を得ながら適正な利益の確保に取り組んでおり、今期の改定計画に対して中間期で9割超に達している。
社内管理面では、生産性改善に向けて、前期からのSaaS(クラウドサービス)に加え、新たにAIエージェントの導入を検討しており、シフト業務・労務関係業務プロセスや業績管理システムの再構築に加え、職場環境や業務フローの改善による事業基盤強化や生産性改善によって収益力を高める取り組みに注力している。また、採用活動においてもパートやアルバイトの採用の初動迅速化のためのチャットボット(質問や依頼に即時応答するプログラム)や自動対応ツールを導入したり、外国人を対象としたビジネス文化研修の充実を進めた。
スチュワード事業における2026年9月期中間期の取り組み例としては、2026年3月に開業した帝国ホテル京都においてスチュワード業務を、カペラ京都においてスチュワード業務及び従業員食堂の運営を開始した。帝国ホテル京都は京都・祇園の中心に位置し、国の登録有形文化財「弥栄会館」を保存・活用して誕生した。帝国ホテルとは長年のパートナーシップを築いており、今回で4ヶ所目の受託となる。また、カペラ京都は、京都・宮川町に誕生したカペラホテルズ&リゾーツとして日本初のホテルである。同社グループでは、これまでの知見を生かし、京都でも最高のホスピタリティを提供できるよう尽力する計画だ。
(2) フードサービス事業
売上高は2,497百万円(前年同期比16.6%増)、営業利益は49百万円(同11.0%減)、営業利益率は2.0%(同0.6ポイント低下)となった。増収となったが、営業利益は人件費や食材価格高騰、使用する衛生関連の備品・消耗品の値上がりに伴い減益となり、営業利益率も低下した。
当中間期には新規事業所6件を開業したが、今後新規受託を見込む事業所が11件あり、足元の受注は好調に推移している。大手のホテルチェーンでの実績が評価されて、新たなホテルを紹介される好循環が生まれている。一方、人件費や食材価格の高騰に加え、足元では原油価格高騰に伴い、使用する衛生関連の備品・消耗品(洗剤やゴム手袋等)の値上がりが顕著となっている。安全・安心な衛生管理体制の維持強化に対応すべく、契約更改時には顧客の理解を得ながら適正な利益の確保に取り組んでいる。また、主要顧客である一部の朝食特化型ホテルでは、中国を中心とする海外団体客の落ち込みの影響など、稼働の急激な変化が現場業務の負担を招かないように、引き続き注視している。
また、TechMagic(株)と提携し、2026年5月にテレコムセンタービルに「MAGIC CHEF」をオープンした。調理ロボットの活用により、「出来立て」「カスタマイズ」「提供時間の短縮」を実現する。食堂運営を担う子会社であるセンダンの知見と先端技術を融合させ、収益性と満足度を両立させた持続可能な食の発展を目指している。調理をする人材の調達・教育には時間を要するため、ホスピタリティは人が行い、その他の作業をロボットで補う考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)