週末の米国市場ではSOX指数が10.26%安と急落、下落率の大きさは2020年3月のコロナショック以来とみられる。同指数は4月以降で80%以上の上昇となっており、過熱感が強まっていた中では健全な調整とも捉えられる。上値追いに躊躇していた投資家にとっては、押し目買いを探る格好の局面ともいえよう。ただし、短期的にはAI・半導体関連の戻りは鈍くなりそうだ。
来週末の12日にはスペースXのIPOが予定されている。調達額約12兆円、時価総額約283兆円という前例のない規模の大型上場とあって、他の銘柄への換金売り圧力は強まる公算が大きいとみられるが、とりわけ、ここまで上昇が続いてきたAI・半導体関連銘柄が乗り換えの対象になりやすいだろう。また、アルファベットが850億ドルの増資計画を発表しているが、これは上場企業の資金調達額としては過去最大規模。さらに週末には、メタも大型増資を検討と一部で伝わっている。ハイパースケーラーの資金調達合戦に発展していくとの懸念にもつながりそうだ。AI・半導体関連の本格的なリバウンド局面入りには時間を要する可能性が高い。なお、今回需給懸念が大きく強まるような展開となれば、今後のアンソロピックやオープンAIの上場時にも、同様に警戒感が強まりやすくなろう。
雇用の強さが認識される中、早期利下げ期待は大きく後退し、一転して年内の利上げ観測が急速に台頭している。来週開催予定の欧州中央銀行(ECB)理事会でも政策金利の引き上げがコンセンサスになっているが、仮に、ラガルドECB総裁の会見が、早期のさらなる利上げを意識されるような内容となれば、米国の利上げタイミングも早まるとの見方につながりそうだ。来週発表予定のインフレ指標なども相場変動のリスク要因として注目度を高める必要性がある。来週はほかにも、週を通して開催されるアップルの年次開発会議、10日のオラクルの決算発表などが予定されている。オラクルはハイパースケーラーの一角であるが、相対的に巨額投資への懸念が強くなっているAI関連株の動向に影響を与えやすいだろう。
経済指標は、9日に4月貿易収支、5月中古住宅販売件数、10日に5月消費者物価指数、5月財政収支、11日に5月生産者物価指数、新規失業保険申請件数、12日に6月ミシガン大学消費者マインド指数などが発表される。ほか、8日から12日にかけてアップルの年次開発者会議が行われる。
主な決算発表は、9日にセールポイント、10日にオラクル、11日にアドビなどが予定されている。