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日本紙パルプ商事、2027年3月期は増益へ 海外卸売・環境原材料の収益改善が牽引

目次

藤井賢一郎氏:日本紙パルプ商事株式会社上席執行役員管理本部本部長の藤井です。本日はよろしくお願いします。

2026年3月期の決算内容について、5月13日に開示しました。これより、決算説明資料に沿って、2026年3月期決算概要、2026年3月期セグメント別決算概要、2027年3月期業績予想についてご説明します。

決算ハイライト

当期の連結業績の概要です。売上収益は、前期にグループ会社化したドイツ・フランスの子会社の業績が通期で寄与したことに加え、オセアニアでの補完的M&Aの成果が顕在化し、海外卸売セグメントの業績が増収を牽引しました。継続して実行してきた海外展開の拡張戦略により、収益基盤の拡大が進んだと認識しています。売上収益は前期比109.4パーセントでした。

経常利益は、海外卸売セグメントにおけるドイツ子会社の業績回復の遅れや為替差損の計上、また環境原材料セグメントでの木質バイオマス燃料販売事業の採算悪化などにより減益となり、前期比68.8パーセントでした。

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減益に加え、海外連結子会社における事業構造改善費用およびのれんの減損損失を特別損失に計上した影響により減益となり、前期比62.4パーセントでした。

連結業績概要

業績の主要な数値についてはスライドに記載のとおりです。営業利益は減益となり、108億円で前期比72.0パーセントでした。ご参考までに、スライド右側に売上収益および経常利益の3期推移のグラフを記載しています。

セグメント業績

スライドにセグメント別の業績を一覧にまとめています。以降のスライドで、各セグメントの業績と概況についてご説明します。

国内卸売セグメント-1

国内卸売セグメントは減収減益となりました。紙については、デジタル化の進行などの構造的要因による需要の減少に加え、定期雑誌やカタログ向けなどの発行部数の減少や判型縮小により、販売数量が前期比で減少しました。

板紙については、段ボール原紙は工業製品向けが低調に推移したものの、インバウンド需要による下支えがあったことから、前期並みの数量を維持しました。白板紙は、医薬品や化粧品向け、さらにトレーディングカード用途向けの販売が引き続き堅調に推移しました。その結果、板紙全体の販売数量は前期並みを維持しました。

エレクトロニクス関連を中心とする機能材料製品については、地域や分野ごとに需要のばらつきがあったものの、新規受注の効果もあり、販売は前期並みとなりました。

セグメント全体では、紙の販売減少が影響し、売上収益は減収となりました。経常利益は、粗利の減少に加え、人件費や物流費などの経費の増加により、減益となりました。

国内卸売セグメント-2

国内卸売セグメント売上収益の8割以上を占める、当社単体ベースの紙および板紙の国内向け販売数量と売上収益の実績は、スライドに記載のとおりです。

紙の国内向け販売数量は前期比92.4パーセント、板紙の販売数量は前期比100.7パーセントとなりました。数量よりも利益確保を優先する営業方針のもと、収益重視で価格適正化を先行した結果、一時的にシェアが低下しました。

売上収益は、紙が前期比94.2パーセント、板紙が前期比103.5パーセントでした。

海外卸売セグメント-1

海外卸売セグメントは、売上収益は前期比で増収となりましたが、利益面では経常損失となりました。

当社グループの海外主要マーケットである米国、欧州、オセアニアでは、デジタル化の進行などを背景に、紙需要の減少傾向が続いています。

本邦からの輸出については、市況価格の低下により、中国をはじめとするアジア向けの紙・板紙の販売が前期を下回りました。

主要マーケットの紙の需要状況および本邦からの輸出は低調でしたが、前期にグループ会社化したドイツ・フランス子会社の販売収益の通期での寄与、また、オセアニアでの補完的M&Aの効果による販売増加により、売上収益は増収となりました。

利益については、ドイツ子会社の業績回復が想定以上に遅れたことや、主要市場における販売競争の激化による単価下落が採算を悪化させたこと、さらに為替差損の計上などの影響もあり、経常損失の結果となりました。

海外卸売セグメント-2

スライドの表では、セグメント内の事業別販売数量や、当社本体の輸出および海外各地域別事業での売上収益と経常利益の前期比較を示しています。

左上段の表には、海外主要事業地域である米国、欧州、オセアニアの各事業における販売数量の前期比較を記載しています。なお、注意書きに記載のとおり、ここに記載の販売数量は主要子会社の単純合算値ですが、欧州事業での販売数量が大幅に増加したことにより、海外卸売セグメント全体での販売数量は拡大しました。

また、スライド上段の網掛け箇所に記載されている当社グループの海外主要マーケットでの紙・板紙需要環境において、売上収益はM&Aの効果により欧州事業およびオセアニア事業が増収となりました。一方で、当社本体の輸出およびその他地域での事業では減収となっています。

経常利益については、当社の輸出、またアジアを除く各地域の事業において減益となりました。

経常利益に関して補足しますと、欧州事業ではフランス子会社の利益が貢献した一方で、ドイツ子会社の業績回復が遅れています。また、英国やオセアニアなどの主要市場では市況悪化に伴う減益が見られ、さらに為替差損の発生も減益に影響しました。

結果として、当期は経常損失を計上することとなりましたが、事業構造改善費用を当期特別損失として計上し、各事業地域で今後の収益力改善を図る取り組みを進めています。

製紙加工セグメント-1

製紙加工セグメントは、売上収益は横ばいで、経常利益は増益となりました。

段ボール事業は、販売数量が原紙事業では前期並み、加工事業では前期比で微増となりました。また、販売価格は原紙、加工の両事業ともに前期並みで推移しましたが、売上収益は減収となりました。

一方、再生家庭紙事業は、継続的な価格修正の浸透などにより、前期比で増収となりました。

経常利益は、労務費や燃料・副資材などの製造コストが上昇しましたが、再生家庭紙事業における販売単価の上昇などが増益に寄与しました。

製紙加工セグメント-2

スライド左下の表は、セグメント内の事業別数量です。段ボール事業では、段ボール原紙事業の販売数量は横ばいで推移し、段ボール加工事業の販売数量は前期比で増加しました。再生家庭紙事業については、生産数量を記載していますが、前期比でほぼ横ばいとなっています。

なお、生産・販売数量は、主要子会社の単純合算の数値となっています。

セグメント内の事業別売上収益・経常利益の前期比較については、スライド右側の表をご覧ください。段ボール事業は減収減益、再生家庭紙事業は増収増益の結果となりました。

環境原材料セグメント-1

環境原材料セグメントは減収減益となりました。

古紙の販売については、国内の紙・板紙需要の減少に伴う古紙の発生量の減少や、前年に実施した関東地区3事業所の譲渡、米国事業における東南アジア向け段ボール古紙の輸出量減少が影響し、販売金額は前期比で減少しました。

また、パルプの販売についても、国内向け・海外向けともに販売金額が減少しました。

総合リサイクル事業は、処理数量が増加した結果、販売金額が増加しています。

再生可能エネルギー事業では、太陽光発電および木質バイオマス発電事業の販売金額は前期並みで推移しました。一方で、木質バイオマス発電所向け燃料販売については、期の後半より仕入れコストの改善が見られたものの、通期では販売数量および金額が前期を下回りました。

以上の各事業の結果、セグメント全体の売上収益は減収となりました。

また、経常利益は、木質バイオマス発電事業の採算悪化、持分法適用関連会社で固定資産の減損処理に伴う持分法による投資損失を計上したことなどが影響し、減益となりました。

環境原材料セグメント-2

スライド左側の円グラフは、当社およびグループ会社が展開する事業ごとの売上収益におけるセグメント内構成比を示しています。右側の表には、売上収益および経常利益の前期比較を記載しています。

不動産賃貸セグメント

不動産賃貸セグメントは、売上収益が一部テナントの退去により前期比で減収となり、経常利益は管理費などの経費増加により減益となりました。

以上が2026年3月期の各セグメントの業績および概況です。

経常利益 増減益分析

スライドには、これまでお話ししたセグメントごとの業績について、経常利益に絞って主な増減要因を前期と比較して記載しています。

連結業績予想

2027年3月期の連結業績予想は、営業利益155億円、経常利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益80億円とし、各段階利益で大幅増益の予想としました。

セグメント別では、海外卸売と環境原材料の収益が改善し、国内卸売および製紙加工は引き続き堅調に推移すると見込んでいます。

2027年3月期 セグメント別予想-定性

連結業績予想の前提となる、各セグメントで現時点において想定される見通しについて、スライドに記載しています。

国内卸売セグメントでは、紙・板紙の需要減少が見込まれるものの、業界動向を上回る前期並みの販売数量で推移すると想定しています。経費面では、物流費および人件費の増加が引き続き見込まれます。

海外卸売セグメントでは、主要マーケットにおける紙需要の減少が継続すると予想されますが、前期の損失の原因となったドイツ子会社の業績は改善していく見通しです。また、継続して実施している補完的M&Aを通じて高付加価値製品の取り扱いを拡大することで、収益力の向上が見込まれます。

製紙加工セグメントでは、燃料、電力、副資材などの製造コストが高い水準で継続すると考えられますが、段ボール事業における販売数量の増加や販売価格の上昇も想定しています。

環境原材料セグメントでは、紙・板紙の消費減少に伴う古紙発生量の減少が継続すると見込まれるものの、新規仕入先の開拓により、取り扱い数量の増加を想定しています。総合リサイクル事業においては、処理数量の維持および単価の上昇を見込んでおり、木質バイオマス発電所向け燃料販売事業においては、マレーシアにおける第3ヤードの新規稼働による取り扱い数量の増加が見込まれています。

2027年3月期 セグメント別予想-定量①

各セグメントの見通しを踏まえた経常利益予想は、スライドに記載のとおりです。不動産賃貸セグメントを除く4セグメントにおいて、増益を予想しています。

スライド右側には、「中期経営計画2026」の最終年度の目標経常利益を記載していますが、同計画の最終年度目標に対しては未達となる見込みです。目標策定時の想定を上回る需要減少や販売価格の低迷により、海外卸売セグメントで38億円の未達が見込まれるほか、本社移転に伴う費用発生の影響もあり、目標達成は困難な見通しです。

「長期ビジョン2030」の実現に向けて、全セグメントでさらなる収益拡大に取り組みます。

2027年3月期 セグメント別予想–定量②

セグメント別経常利益の予想を含めた3期比較をスライドに記載しています。

中東情勢が当社グループに及ぼす影響について

スライドには、中東情勢が当社グループに及ぼす影響について記載しています。中東情勢の影響は、現時点では不透明な要素も多く、業績への影響を合理的に算定することが困難であるため、業績予想には織り込んでいません。

今後、当該情勢に起因する事業環境の変化が顕在化した場合には、その影響を慎重に見極めた上で適切に開示する方針です。

現時点において今後想定される業績への影響については、次のとおりです。

当社グループ全体としては、景気低迷による企業や個人の節約志向の高まりにより紙需要が減少し、業績を押し下げる可能性があります。

国内・海外卸売事業では、仕入れ先メーカーでの原材料調達や生産体制の変化により、販売活動に影響が生じる可能性があります。また、原油価格の上昇や国際情勢の変動を背景とした海上・陸上物流コストの増加により、業績が低下する可能性があります。

製紙加工事業や環境原材料事業では、エネルギー価格の上昇に伴い、製造コストおよび物流コストの増加が見込まれます。さらに、薬品、副資材、原材料などの調達コストの増加も想定されており、調達の遅延や供給に制約が生じた場合には、生産計画への影響が考えられます。また、出荷仕様の変更や代替原材料の使用といったオペレーション上の対応が必要となる可能性もあります。

以上が、中東情勢が当社グループへ与える影響についてです。

配当(実績および予想)

配当については、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向も勘案することとしています。

2024年度から始まった「中期経営計画2026」の期間中は、市場の期待に応える積極的な株主還元策として、連結配当性向を30パーセント以上とする累進配当を行う方針でした。しかし、当期第2四半期の決算発表と同時に、配当方針の変更を開示しました。

株主還元をさらに充実させ、安定的な配当を行う姿勢をより一層明確にするため、「中期経営計画2026」の残りの期間である2026年3月期および2027年3月期の2期においては、従来の方針に加え、連結自己資本配当率を新たな指標として導入し、連結配当性向30パーセント以上かつ連結自己資本配当率3パーセント以上とする累進配当を行う方針としました。

この方針に基づき、当期末の配当は当初予想どおり1株当たり20円とし、中間期の配当と合わせて年間配当は1株当たり34円、前期から9円の増配としています。

また、2027年3月期は、1株当たり年間2円の増配となり、中間期18円、期末18円の年間36円を予想しています。

私からのご説明は以上です。

OVOL⻑期ビジョン2030 Paper, and beyond

渡辺昭彦氏(以下、渡辺):代表取締役社長 社長執行役員の渡辺です。「中期経営計画2026」の進捗状況をご説明します。定量面については、先ほど藤井がご報告した2026年3月期の業績と内容が重複しますので、私からは定性面を中心にご説明します。

まず、「中期経営計画2026」の土台である「OVOL長期ビジョン2030」についてですが、毎回繰り返しご説明しているため、本日は定量目標および定性目標のみ簡単にご確認いただきたいと思います。

定量目標としては、連結経常利益250億円を掲げています。

また、2030年以降のサステナブルな企業集団を見据え、この定量目標以上に重要な3つの定性的なビジョンを掲げています。

1つ目が「世界最強の紙流通企業グループ」です。2つ目が「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」です。この2つが大きな構成要素となる、最も重視している究極的な3つ目のビジョンが、「紙業界の枠を超えて広く高く評価されるエクセレントカンパニー」です。

OVOL中期経営計画2026の位置づけ

このような「OVOL長期ビジョン2030」を実現するために必要な条件として、一層の競争力の向上、収益性の向上、そして収益規模の拡大を特定したのが「中期経営計画2026」です。

そして、「中期経営計画2026」を、「長期ビジョン2030」を実現するために、これまで実施してこなかった大胆で新たな仕組みや仕掛けそのものを作るための3年間と位置づけています。

OVOL中期経営計画2026 基本方針

これらの仕組み作りや仕掛け作りの方向性として、スライドにあるとおり、3つの基本方針と財務資本戦略、そしてサステナブル経営方針を掲げています。ここからはそれぞれの具体的な進捗状況についてご説明します。

OVOL中期経営計画2026 基本方針にもとづく取り組み

1つ目の基本方針は、グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高めることです。

①コミュニケーション拡充・提供価値向上-1

その取り組みの1つ目は、当社の提供価値やサービス、商品を市場や潜在顧客に幅広くお伝えする活動があります。具体的には、大阪・関西万博や各種展示会、コンペティション等を通じて、紙の機能や役割、価値、環境性能、さらにはエコロジカルな当社企画商品などを紹介してきました。

一般来場者や業界関係者から高い評価をいただいただけでなく、さまざまな賞を受賞し、広く社会や一般消費者の方々に情報を伝えることができたと考えています。

このような活動を通じて、紙やその環境性能について社会や一般消費者に広く正しく理解していただくことで、紙業界全体の評価が高まり、当社従業員をはじめとする業界関係者のエンゲージメント向上にも大いに貢献すると考えています。

また、これらの活動は多くの場合、社内横断的なプロジェクトチームによって企画・運営されています。部門を超えた情報共有や異なる分野とのシナジー発揮に役立つだけでなく、外部からも高い評価を得ています。このことも、ワークエンゲージメントの向上につながっています。

①コミュニケーション拡充・提供価値向上-2

次の取り組みとして、個人投資家のみなさまとのコミュニケーションの拡充を行いました。2024年度に初めて個人投資家向け企業説明会を開催し、2025年度には対面とオンラインで2回実施しました。

また、当社Webサイトに個人投資家向けのページを新設し、個人投資家のみなさまが必要とする情報をワンストップでご覧いただけるようにしました。

その結果、個人株主数は、2024年3月末時点で1万1,408名だったものが、2026年3月末時点で2万2,198名へと、2年間でほぼ倍増しました。

さらには、社内外とのコミュニケーションの拡充や取引先への提供価値の拡大をさらに前進させるため、DX推進の体制を構築しました。組織体制を整備するとともに、私自らがトップを務める会議体も設置し、去る1月には当社「DXグランドデザイン」を開示しました。また、5月1日には、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、DX認定事業者として認定されました。

DXへの取り組み

DXに関するビジョンや戦略、そして施策のアウトラインについては、当該グランドデザインに示しています。しかし、各施策の具体的な内容については、合理化だけでなく、当社の今後の営業施策とも深く関係するため、一律に開示することを控えています。必要に応じて、今後随時情報を開示していきます。

紙の価値普及に向けた3つの取り組み

話は戻りますが、2023年に当社が主催した「OVOL Bridges 2023~The 2nd Paper Merchants Forum~」にてお約束した、紙の価値普及に向けた3つの取り組みについて触れます。1つ目は出前教室の全国展開、2つ目はワークショップの定期開催、3つ目は紙の価値普及に向けた研究会活動です。

紙の持つ機能や役割を見つめ直すこと、紙の環境性能を正しく理解し正しく周知すること、その上で業界に活力を取り戻し魅力あるものにすること、そしてこれらの取り組みに携わる従業員のエンゲージメント向上に資することといった目的のために、すぐに商売や利益に結びつくものではありませんが、あえて活動を継続しています。

長く続けることで、究極的な長期ビジョンである「エクセレントカンパニー」の構成要素として、大きな意味を持つと考えています。

新卒採用の学生面接でも、多くの学生が当社のこの活動に共感してくれています。

OVOL中期経営計画2026 基本方針にもとづく取り組み

「中期経営計画2026」の2つ目の基本方針は、人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高めるということです。

②人材力・ワークエンゲージメントの向上(当社単体における取り組み)


先ほどご説明した1つ目の基本方針における施策のうち、DX推進や紙の価値普及に向けた取り組みなどは、この2つ目の方針にも合致する施策です。

それに加え、スライドに記載のとおり、エンゲージメントサーベイの結果を反映したエンゲージメント向上施策や、健康経営のための取り組みを幅広く実施しています。また、従業員のキャリア形成を支援する研修制度や報酬アップにも積極的に取り組んでいます。

人材に関する「中期経営計画2026」のKPIに関しては、昨年度実績で目標レベルに近づいてきています。

OVOL中期経営計画2026 基本方針にもとづく取り組み

「中期経営計画2026」の3つ目の基本方針である、M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を飛躍的に拡大することについてです。

③M&A推進・アライアンス強化による収益規模拡大-1

国内では、卸売分野においては、地域ごとに勝ち残りをかけて有力卸商の戦略的なグループ化を進めています。一方、物流面では、先週開示したように、同業の代理店との3社による共同配送の実証実験を行うなど、業界としてのコストダウンと効率化に挑戦しています。

また、製紙加工分野では、同業他社との資本提携やアライアンスの強化を通じて、資材調達、物流、販売面での効率化を推進するとともに、ブランド力の強化も図っています。

③M&A推進・アライアンス強化による収益規模拡大-2

一方、海外卸売分野では、主要市場の地場に根ざした卸商事業において、需要が漸減しているグラフィックペーパーを有効に補完し、収益規模の拡大を目指して、周辺素材を扱う現地企業の補完的買収を積極的に進めています。

また、設立後やグループイン後に一定の収益貢献期間を経て、環境の変化によりその役割を終えたと見られる海外事業については、遅滞なく精算または売却を進め、資本のさらなる有効活用に努めています。

③M&A推進・アライアンス強化による収益規模拡大-3

さらには、グローバルなサプライヤーリレーションを含め、「世界最強の紙流通企業グループ」への道筋をより確かなものとするため、単なる規模の拡大にとどまらず、取り扱い商品やeコマースを含むシステム面などでのシナジー創出も視野に入れつつ、戦略的買収を順次進めています。

先ほどの業績報告で触れたドイツの例のように、急激な環境変化により想定以上の苦戦を強いられ、費用先行期間が長引いている事案もありますが、長期ビジョン実現に向けて必要不可欠なステップとして全力で取り組んでいく所存です。

ドイツにおけるM&Aの意義とこれまでの取り組み

こちらのスライドと次のスライドでは、海外M&Aにおけるマイナス面、プラス面両面として、想定以上に苦戦しているドイツの状況と、対して補完的M&Aの成果についてご覧いただきたいと思います。

まずはドイツの状況です。一度破綻したドイツの卸売事業会社を2024年末に買収しましたが、当初の想定以上に仕入先と顧客の離反が進んでいました。

買収前の段階で前オーナーのもとで第1弾の大規模なリストラを実施しました。しかし、欧州最大規模を誇るドイツ市場にもかかわらず、その後の欧州内では最悪と思われる冷え込みが影響し、なかなかトップラインを引き上げることができず、コスト負けの状態を余儀なくされてきました。

幸いにも、仕入れ先からの信用回復はおおむね完了し、サプライヤーからの支援を受けながら、昨年後半から第2弾となる大規模な構造改革を実行しました。

需要面では引き続き厳しい状況が続いていますが、多くの市場と同様、ドイツ市場でも主力であるグラフィックペーパーにおいて、3月頃から複数回にわたる値上げがメーカー、流通など各段階で進められています。そのため、構造改革によるコストダウンと合わせて、今期は先ほど述べたとおり、大幅な収益改善を見込んでいます。

③M&A推進・アライアンス強化による収益規模拡大-4

一方、欧州とオセアニアを中心に進めている補完的M&Aにより、新たに獲得した周辺素材の販売は順調に拡大しており、スライドに示しているとおり推移しています。2026年度には、対象事業領域での売上金額を邦貨換算で約500億円と見込んでいます。

(参考)海外卸売セグメント/在庫・配送機能を有する主要なグループ会社

なお、ご参考までに、海外主要市場における当社グループの現地に根ざした紙卸売事業会社の一覧をスライドにてご紹介しています。このほかにも、香港とインドでそれぞれ代表的な紙卸商として存在感を示していることを申し添えます。

OVOL中期経営計画2026 基本方針にもとづく取り組み

以上、3つの基本方針に加え、「中期経営計画2026」では財務資本戦略とサステナブル経営も「長期ビジョン2030」実現のための重要施策と位置づけています。

財務戦略・資本戦略〜キャッシュ・アロケーション〜

財務資本戦略については、「中期経営計画2026」では、3ヶ年累計のキャッシュ・アロケーションとして、成長投資に最大800億円、さらに積極的な株主還元の実行を掲げています。

これに対し、中期経営計画2年目までの実績として、成長投資309億円、基盤投資97億円、株主還元161億円を実行しました。

成長投資の内訳としては、国内卸売セグメントのM&Aで約5億円、海外卸売セグメントのM&A関連で約290億円、製紙加工セグメントと環境原材料セグメントで合わせて約15億円となっています。

株主還元161億円の内訳は、配当金が72億円、自己株式取得が89億円です。

財務・資本戦略の実行〜株主還元の強化①〜

スライドでは、「中期経営計画2026」期間中の配当政策と配当実績の推移、および政策保有株式の縮減状況などを示しています。

配当は、2027年3月期に1株あたり36円への増配を予定しています。また、政策保有株式については、連結純資産に占める計上額が2026年3月期末で15.8パーセントまで低下しましたが、今後もさらなる縮減に取り組んでいきます。

財務・資本戦略の実行〜株主還元の強化②〜

スライドには、2025年度に実施完了した自己株式取得および自己株式消却の概要、ならびに現在実行中の500万株・55億円を上限とする自己株式取得の概要を記載しています。

株価・市場評価の推移

こうした施策に加え、個人投資家向けの説明会の開催やWebページの開設などの効果もあり、株価はおおむね右肩上がりに推移しています。PERも改善傾向にあり、直近では東証プライムの卸売業平均値を上回っています。PBRも、2026年3月末時点で0.9倍まで上昇し、足元の5月15日の終値では1.06倍を記録しています。

この先も引き続き、政策保有株式の縮減を進めるとともに、決算短信にも記載したとおり、不動産市況により評価額が大きく上昇している保有不動産についても、資本効率向上の観点から売却も視野に入れた検討を進めていきます。

ネットD/Eレシオ1.0倍以下で財務の健全性を維持しつつ、「長期ビジョン2030」の実現に向けて、積極的な成長投資と株主還元を継続していきます。

サステナブル経営の推進

サステナブル経営の推進については、中期経営計画2年目までの特筆すべき活動として、ビジネスと人権への対応および気候変動への対応を、スライドに記載のとおり進めています。

特に気候変動への対応では、2030年度までに2019年度比50パーセント削減を目指すグループ温室効果ガス排出量削減の中期目標に対し、2024年度実績は基準年である2019年度比で約41パーセントの削減を達成しました。

また、ワークエンゲージメントの向上、働き方改革、利便性向上などを通じて、生産性や競争力を向上させ、サステナブルな経営に繋げるため、今年度下期に本社を中央区八重洲に移転する予定です。

⻑期ビジョン実現のために、特に注力する仕組み・仕掛けづくり

本日の締めくくりとなりますが、今年度および次期中期経営計画期間を含め、これまでと同様に、3つの基本方針と財務資本戦略、サステナブル経営に基づき、新たな仕組みや仕掛け作りを進めていきます。

そして、仕組み作りと仕掛け作りのキーワードとして、DX、人的資本投資、M&Aの3つを強く意識しながら、「OVOL長期ビジョン2030」の実現と、その先のサステナブルな企業集団を目指していきます。

ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:2027年3月期の国内卸売セグメントの販売見通し要因について

質問者:2027年3月期の見通しについておうかがいします。スライド20枚目および見通しの部分における国内卸売セグメントに関してです。

需要が減少すると見込まれる中、業界動向を上回る前期並みの販売数量を想定されているとのことですが、その背景や理由について、もう少し詳しく教えていただけますか?

例えば先ほどスライド37枚目でご説明いただいたM&Aなどの寄与が関係しているのか、そのあたりを掘り下げていただけると幸いです。

渡辺:国内卸売セグメントにおいて、紙・板紙の需要減少が続く中、業界動向を上回る販売を目指す、あるいは前提として想定しています。

主力仕入先の値上げに伴い、当社においても販売価格の見直しを進めた結果、一定程度のシェア低下を招く結果となりましたが、今後、失ったシェアを着実に回復し、今年度以降においてはシェアの再拡大を図っていきます。

質疑応答:海外卸売事業の利益改善要因について

質問者:今年度の海外卸売事業についてですが、経常利益で約48億円の改善が見込まれるとのことです。この改善については、先ほどお話しいただいたドイツの構造改善の効果が半分以上占めているのか、あるいは半分程度なのか、またはそれ以外の要因がどのように寄与しているのか、もう少し詳しく教えてください。

渡辺:数字的な割合で考えると、ドイツの改善が圧倒的に大きく寄与しています。その中で、まず1つとして挙げられるのは、2025年度の事業改善費用や事業構造改革費用が昨年度は計上されていたものの、2026年度は計上されていない点です。まったくない、もしくは少なくなると見込んでいます。

さらに、先ほどのご説明にもありましたように、他の欧州市場も同様ですが、ドイツ市場では現在、値上げが段階的に進行しています。

特に当社は在庫を持って販売を行う卸商事業を展開しているため、価格水準そのものというよりも、価格が上昇傾向にある際にはスプレッドが拡大する傾向が確実に見られます。この点について収益への寄与を見込んでいます。

また、先ほどもご説明したとおり、一部離れてしまったサプライヤーおよびお客さまとの関係再構築を進めています。サプライヤーについては概ね完了しており、お客さまについても現在、再獲得に向けて全力で取り組んでいるところです。

したがって、数量、利益、そしてスプレッドのすべてが好転することに加えて、昨年発生した費用が今年は発生しない、もしくは大幅に減少することを見込んでの予想です。

質疑応答:今期の製紙加工セグメント利益予想について

質問者:今期の予想の製紙加工セグメントについてです。段ボール周辺や家庭紙に関して、製紙メーカー各社は数量にしろ値上げにしろ強めに出して、かなりプラスの見通しを出されているところが多かったかと思います。

その中で御社のセグメントの利益予想は、前期比でそこまで大きくは伸びないような見方になっているかと思います。他社と比べるのは難しいかもしれませんが、見通しの前提をもう少し教えてほしいです。

渡辺:製紙加工セグメントに関してですが、2025年度の数字をご覧いただければおわかりのとおり、家庭紙の領域の貢献が非常に大きかったという状況です。

2026年度の予想を策定する際には、3月から中東情勢が顕在化し、政府が一生懸命ブレーキを踏んでいる中で、3月に買いだめの動きがあったのは事実です。その後、4月以降の状況を見ていますが、大きく変化や顕著な動きは見られず、家庭紙については昨年並みの推移を基準として考えています。

段ボール事業については、グループ会社の一社で火災により工場が全焼し、現在も業績面にて復旧途上にある事業があります。その過程で一部のお客さまを失っていますが、現在は徐々に取り戻しつつある状況です。このような状況を踏まえると、短期的に大幅なジャンプアップを見込むのは現実的には難しいと判断しています。

価格に関しては、この予算を策定した段階で、昨年行われた値上げが現実的にどの程度進むのかのみを反映しています。4月以降の現在の環境や、今後出てくる可能性のある値上げの動きなどについては見込んでいないということです。

他社がどのように取り組んでいるかについては、コメントは差し控えます。

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