2026年4月期決算説明
林界宏氏(以下、林):みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。サイバーソリューションズ株式会社代表取締役社長の林です。
これより、2026年4月期通期決算についてご報告します。それでは、動画をご覧ください。
Agenda
ナレーション:2026年4月期通期の決算説明を行います。本日のアジェンダはスライドに記載のとおりです。まずは2026年4月期通期の実績、次に今後の中長期計画の順でご説明します。
通期業績ハイライト
通期業績ハイライトです。売上高は前期の31億2,600万円から当期は35億2,600万円となり、成長率はプラス12.8パーセントとなりました。営業利益は前期の12億3,300万円に対し当期は15億円となり、成長率はプラス21.7パーセントでした。
継続事業の当期利益は前期の8億5,100万円から当期は10億8,300万円となり、成長率はプラス27.2パーセントです。
業績の概要及び通期予想に対する達成率
業績の概要および通期予想に対する達成率についてです。スライドの表は左から、前期実績、通期予想、当期実績を示しています。
まず、売上高は通期予想35億6,700万円に対し、当期実績は35億2,600万円となり、予算達成率は98.9パーセントでした。これは、一部の大型案件の売上計上が予想より後ろ倒しになったことが影響しています。
次に、営業利益は通期予想14億9,200万円に対し、当期実績は15億円となり、予算達成率は100.5パーセントでした。
最後に、継続事業の当期利益は通期予想10億円に対し、実績は10億8,300万円、予算達成率は108.3パーセントとなりました。税効果会計の影響により一時的に税金費用が減少し、大きく通期予想を超過しました。
ストック売上高推移
ストック売上高の推移についてです。当期末では94パーセントがストック売上、6パーセントがフロー売上、すなわち一過性の売上となりました。当期は第1四半期に8パーセント分の大きな導入支援が入った影響で一時的にフロー売上の比率が増加しましたが、通期では例年と同水準の比率となっています。
ARRの推移
ARRの推移についてです。当期末のARRは34億7,100万円となり、前年同期の31億5,200万円に比べて10.1パーセント増加しました。前年同期比での伸び率がやや低い理由は、当期に受注した大きな案件の売上計上開始時期がやや後ろ倒しになったためです。
コスト(原価及び販管費)の四半期推移
コスト構造についてです。第4四半期末の固定費率は46パーセント、変動費率は12パーセントとなっています。変動費は過去数年間、おおむね12パーセント前後で推移しています。
一方、固定費については、当社として「コストの増加率を売上高の成長率の範囲内に抑える」という方針を掲げており、基本的には下がる傾向にあります。しかし、当第4四半期末に一過性の開発費用を計上した結果、前第4四半期末の固定費率と同水準となっています。
営業利益増減要因(YoY)
営業利益の増減要因についてです。当期の営業利益は15億円で、前年同期比で2億6,700万円増加しました。その内訳を分析すると、主に売上の増加に伴う粗利の増加が3億3,700万円、人件費の増加による利益の減少が1億400万円となっています。
クラウドサービス売上の実質解約率の推移
クラウドサービス売上の実質解約率の推移についてです。スライド上段のグラフに示している赤い数字は月次解約率で、当期は0.29パーセントとなりました。これは毎月の解約率を示しており、年間換算すると約3.5パーセントとなります。
下段のグラフに示している青い数字は月次既存売上の増減率で、当期はマイナス0.46パーセントとなりました。既存のお客さまからのアップセルやクロスセル、つまりアカウント追加や別商品をご購入いただくことによる売上増加から、アカウント減少などを差し引いた売上増減率がマイナス0.46パーセントで、年間換算すると約5.5パーセントになります。
差し引きで、3.5パーセントから5.5パーセントを引くと、年間換算で約2パーセントが純増となっていることになります。
つまり、解約率はネガティブチャーンとなっています。当社は過去からネガティブチャーンを達成しており、これはストック売上の94パーセントがそのまま来期に繰り越されることを意味します。その結果、売上は非常に安定した推移となります。
その他主要KPI
主なKPIです。EBITDAマージンは52.7パーセントで、前年から2.0ポイント増加しています。ARRは34億7,100万円で、前年から10.1パーセント増加しています。クラウドアカウント数は137万6,000アカウントで、前年から7.5パーセント増加しています。
ROEは32.5パーセントで、前年から13.6ポイント減となりました。主な理由は、上場時の増資により資本金などが増加したためです。自己資本比率は59.3パーセントです。利益の計上や上場による資本の増加があり、前年より14.8ポイント増加しました。
2026/4期トピックス
当期のトピックスです。当期は6つのトピックがありました。AIの導入と活用等については、社内AI活用や検証AI導入により、社内の効率化が大きく図られています。AIを活用した新製品開発については、後ほどご説明します。
なりすましメール対策は、画期的な仕組みを導入した結果、他社に先駆けて総務省の要請に対応しました。
他社アライアンスについては、網屋との資本業務提携を2026年2月に締結しています。こちらは、メールセキュリティに強みを持つ当社と、ネットワーク・ログ監視に強みを持つ網屋が、国内中小企業向けに「多層防御」をワンストップで提供する「純国産のセキュリティ基盤」を実現することを目的としています。
また、川口弘行合同会社との業務提携を2026年3月に締結しました。こちらは、今後見込まれる公共分野の「第3期ネットワーク強靭化」に向け、自社製品としてファイル無害化製品を提供することを目的としています。他社アライアンスは、引き続き当社の成長を加速させるために継続して進めていきます。
AIにおける影響の考察
AIにおける影響の考察です。このスライドは、投資家のみなさまからよく寄せられる「AIが当社に与える影響」に関するご質問について、当社の見解をまとめたものです。
当社の見立てでは、AIによる影響はソフトウェアの性質によりリスクが異なると考えています。具体的には、入力・処理・分析がすべて自社内で完結するソフトウェアの場合、AIによる代替リスクが非常に高いと考えています。
一方で、境界セキュリティ、外部接続インフラ、インフラ監視など、外部との接続を前提とした外部接続型(境界管理型)のソフトウェアは、相手があってのことですので、AIによる代替リスクは低いと考えています。
コミュニケーションソリューション事業およびセキュリティソリューション事業を展開する当社は、外部接続型に分類されるため、AIによる代替リスクは低いと考えています。
(参考)米国ソフトウェア株 騰落率ランキング(2025年12月〜2026年2月)
スライドには参考として、米国ソフトウェア株の2025年12月から2026年2月までの騰落率ランキングを掲載しています。
スライドに示しているとおり、株価が大きく下がっている銘柄は自社内完結型のソフトウェアを販売する企業が多く、株価が上がっている銘柄は外部接続型(境界管理型)のソフトウェアを提供する企業が多いと考えています。このとおり、投資家においてAIによる影響はすでに峻別されていると考えています。
市場動向とお客様のご要望
今後の中長期計画についてです。市場動向については、引き続き4つの大きな潮流があると考えています。1つ目は、「セキュリティ対策の重要性」の増加です。ご存じのとおり、国家サイバー統括室の設置など、近年ますますセキュリティの重要性が高まっています。
2つ目は、「Microsoft/Googleユーザーのペイン」です。両社のサービスが日本独自の規格やルールに未対応であることが多かったり、為替の影響によるサービスの値上げが継続的に行われていたりすることなどから、これらに代わるサービスへの期待が高まっています。
3つ目は、「競合事業者の撤退・縮小」です。メール技術者の確保が難しいことや収益性の低下などにより、同業他社の撤退が相次いでいます。今後も撤退する事業者が出てくると想定しています。
4つ目は、「AIの導入と活用」です。AnthropicやGoogle、OpenAIなどによるAI競争が激化しており、AIの導入と活用が会社の存続に影響を与える状況になってきていると考えています。
市場動向を踏まえた成長戦略
市場動向に応じた当社の成長戦略は、スライドに記載しているとおりです。1点目の「セキュリティ対策の重要性」については、製品を組み合わせて、セキュリティを強化したサービスをMicrosoft 365パートナーと協業して販路拡大を図っていきます。
2つ目の「Microsoft/Googleユーザーのペイン」については、これからも日本固有のニーズに対応できる製品を高品質かつ低価格で開発し、販売していきます。
3つ目の「競合事業者の撤退・縮小」については、当該事業者の事業移管を受け入れ、規模を拡大してさらなるコスト優位性を追求し、残存者利益を享受していきます。
4つ目の「AIの導入と活用」については、当社に蓄積された膨大なビッグデータに対してAIを活用することで、新製品を開発していきます。具体的には、AIの誤送信対策、AIの不正ログイン検知、AIの監査事前事故防止対策などの製品を開発しており、第2四半期頃に新商品として導入予定です。
当社サービスのみならず、他社サービス上でも活用可能なものであり、投入後にはアップセルやクロスセルが期待されます。今後もAIを活用した製品やサービスの開発を進めていきたいと考えています。
(参考)高いコストパフォーマンス(高品質・低価格)
スライドは参考資料ですが、当社製品は同業他社と比較して価格優位性が高いことを示しています。定価ベースで見ると、当社製品の価格は同業他社製品の半分以下となっています。
顧客獲得戦略-資本提携によるさらなる成長加速-
資本政策による成長加速も目指しています。現在、日立システムズ、TKC、網屋と資本提携を実施しています。今後はさらなる事業成長に向けて、それぞれの提携を進めると同時に、新たな提携も加速させていきたいと考えています。
中期目標(2030/4期)
今後の中長期計画についてご説明します。現時点で考えている当社の2030年4月期に向けた中長期目標を、スライドに記載しています。
まず、既存事業について、売上高は2030年4月期に60億円を目指します。これは、2027年4月期の売上高成長率の予算と同様に、CAGR14パーセントを継続することで達成を目指します。
次に、営業利益は30億円を目指します。コストの増加率を売上高の成長率の範囲内に抑えることにより、営業利益率50パーセントを達成することで実現可能です。最後に、営業利益30億円を達成することで、最終利益は20億円、つまり2026年4月期実績の2倍の金額を目指します。
また、スライドの表の右側に非連続成長について示しています。M&Aなどを活用し、オーガニック成長に加え、さらに成長を図りたいと考えています。
売上高成長に向けた戦略
売上高成長に向けた戦略についてです。投資家のみなさまから「成長率は低減していくのではないか?」というご質問を多くいただいています。
しかし、当社としては、今後3年間程度は公共分野における「第3期都道府県情報セキュリティクラウド」および「第3期自治体ネットワーク強靭化」による特需が見込まれます。それにより、既存成長率を上回る大きな成長を目指していきたいと考えています。
また、同業他社からの移管や新サービスの導入による影響も踏まえると、2030年4月期の売上高目標である60億円は、決して高すぎる目標ではないと考えています。
2027/4期の見込み
2027年4月期の業績見込みです。2027年4月期は、売上高は40億円で前期比プラス13.5パーセント、営業利益は18億円で前期比プラス20パーセントの成長を目指します。配当については、配当性向50パーセントを前提に1株当たり38円を予定しています。
株主還元施策
最後に、株主還元施策についてです。当社は総還元性向50パーセントを目標としています。なお、2026年4月期は税効果会計による一過性の利益増加が影響し、総還元性向が低下する見込みです。
以上が、2026年4月期通期決算の説明となります。ありがとうございました。
質疑応答:網屋との提携の狙いと今後の方向性について
質問者:網屋との提携の狙いや今後の方向性について、林社長からあらためてご説明をお願いします。また、他の会社との提携も考えていますか?
林:網屋との提携についてですが、当社は主にメールセキュリティに強みを持っています。一方で、網屋はネットワークやOS、サーバー分野に強みをお持ちです。
日本の中小企業に対し、これらを別々に販売するよりも共同で提供したり、技術的に連携できたりすれば、お客さまに多くの恩恵をもたらすことができるのではないかと考えたことが、今回の資本提携の一番の理由です。
具体的には、「多層防御」によるセキュリティ領域の相互補完を前提とした、両社の製品を組み合わせた新たなサイバーセキュリティパッケージ商品の開発や、AIを使った自動検知・自動処理などの研究開発におけるノウハウ共有を検討しています。
また、今後は別の国産メーカーと提携することも視野に入れています。
質問者:メーカーについては、プロダクトとサービスのうち、どちらかというとプロダクトの会社と提携していく方針でしょうか?
林:プロダクトだけでなく、場合によってはサービスとの提携も考えています。